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No81
第81回 神戸事業所 倫理審査第一委員会 議事要旨
1. | 日時:令和4年2月15日(火)14:00~15:50 | ||||||||||
2. | 場所:Web会議方式による | ||||||||||
3. | 出席委員等 | ||||||||||
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4. | 議事項目 | ||||||||||
(1)人を対象とする研究計画に関する審査(新規・変更) |
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5. | 審議事項 | ||||||||||
1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: バトンゾーンのことについて、私は(事務局から)事前に聞いたが、これは正式には今年の4月1日からスタートすると。 説明者1: そうである。 委員長: 説明者は今、どこに所属しているのか。 説明者1: 今はビジョンケアのVC Cell Therapyである。(理研には)4月1日から、非常勤扱いの採用ということである。 委員長: 非常勤チームリーダーか。 説明者1: 兼業するということになる。 ★ 細胞に関しては臨床用株をお使いになるという形なのか。例えばiPSのストックなどだと、臨床用株と研究用株に分かれていると思うのだが。 説明者1: そうである。臨床用株も使う。 ★ 両方ともお使いになるということか。 説明者1: そうである。両方とも使う。 委員長: こちらでテストしたものがそのまま患者さんに行くわけではもちろんないということでよいか。 説明者1: 理化学研究所で臨床のためのものを直接作るわけではない。 委員長: こちら(当課題)でテストしたもの、そのテストした結果は、元の細胞ないしは実際に移植に使うもののテストとしてみなせるぐらい近いところの細胞だけれども、こちらの細胞が行くわけではないと。 説明者1: そういうことである。実際にヒトに移植するには、作る部屋から何から違ってくるところもある。 委員長: 実際は同じロットなどになるのか。 説明者1: ロットというか、親株が同じということ。 委員長: 同じやり方で作った細胞をもう一度、臨床グレードで作って使うということになるわけか。 説明者1: そういうことになる。 委員長: 別の組織、別のプロジェクトでテストしたもののデータが、実際に臨床に使えるデータになるというのは不思議な感じがするのだが。 説明者2: 同じクローンである。例えばCPCで遺伝子改変を行い、選んだクローンの一部を研究用に使用し、それで実験を行ってうまくいったその元のCPCで作られた株を臨床に持っていくということである。 委員長: 一つの細胞株のサブクローンのようなものを作り、この株は良い株だということで、いろいろなことに使うと。そのサブクローンレベルをさらに分けたものの一部がこちらに来るということか。 説明者2: そうである。クローンの中で良いクローンを選び、そのクローンの一部を研究に使い、同じクローンの元のCPCで作られたものからサブクローンを作る。 委員長: つまりこちらはあくまで基礎研究というか、臨床ではない研究をするのだけれども、そのデータが十分に臨床に使う細胞のテストになるようなデザインを全体としてはされていて、ただ、今日はその臨床に行かない部分の計画を独立させて申請してこられているので、私たちはそれを審査するということで。 ★ 対応表のところで、京都大学CiRAで匿名化を行い、対応表を作成しているというのは間違いないかと。理研は対応表を保有していないということで、その次のビジョンケアグループなどでは「匿名化」されており、「対応表が作成されていない」というのは、これは「作成されていない」でいいのか。 説明者1: 対応表はそもそも持っておらず、作ってもいない。 事務局: 今回はCiRA由来のものと理研の過去計画由来のものがある。CiRAのものは対応表が作成されており、理研やビジョンケアなどにも来ていない。また理研で過去に取得した試料は対応表が作成されていない、匿名化されているものになる。 ★ 承知した。 ★ ICの資料の中に拒絶反応を起こしにくいHLAから作製したiPS細胞も使うと書かれているのだけれども、ヒトと同じようにやはり動物実験の場合でも、この拒絶反応を起こしにくいHLAというのは同じように共通した効果をもたらすということなのか。 説明者1: われわれのグループの中では既にサルのHLAで、サルのiPSをサルに移植して拒絶反応の基礎となるものを確認している。ただ、免疫というのは個別に動物種によってかなり事情が違ってくるということはもちろんあるが、まずは原理的にHLAという免疫拒絶に重要な役割を果たしていくところを落とした細胞、操作した細胞を作り、それで免疫拒絶が少なくなるだろうということで、動物実験も含めて進めていくのだが、もう一つのわれわれのグループのアプローチの強みとしては、免疫拒絶の状態をモニターする手段、検査法を幾つも確立しており、そういったものを併せて精密に研究を進めながら、免疫拒絶の少ない移植治療を完成させていこうとしている。 ★ ヒトと同じような効果が得られるかどうかは、これから実験の中で見いだしていかれるということなのか。 説明者1: サルも含めて今まで大体確立されてきているかと思うが、それを実際にヒトにやるときにどういうところが必要なのかということを検査法も含めて、一つ一つ確認しながら進んでいきたいということになる。 説明者2: 動物実験においては、ヒトで拒絶されにくいであろう細胞が実際に動物で拒絶されにくいということを検証するのは、やはり動物種が違うので難しいため、細胞としての安全性や機能などを検証し、本当に免疫的に拒絶が大丈夫かというのは、やはりヒトでしか最終的には確認できないということになる。 委員長: この研究方法の中身、HLAを遺伝子改変して免疫原性を低減した細胞を動物に使うことの意味が分からないのだが。 説明者2: 免疫性自体を動物実験で検証するためではないということになる。ただ、HLAを例えばノックアウトしたことによって、その細胞自体に他の欠点が何か生じていないかということは、動物実験でもある程度検証できるかという意味である。 委員長: HLAは拒絶反応に関わる遺伝子で、その拒絶反応に関わる遺伝子を壊して、拒絶反応されにくいという検査をここでやるわけではないというのが、今の説明である。その細胞を人間に使うので、その細胞が他の面について安全であるということ、例えば腫瘍化しないかなどを。 ★ 最初に安全性と仰っていた意味が分かった。 委員長: 網膜細胞モデルで機能が補えることが、その細胞でもちゃんとできるかを見ようということである。 ★ 理解できた。 委員長: 時々問題になることとして、所属がどこなのかという話、理研が本当に責任を持てるのかという話があり、先ほどの非常勤というのが気になるが、これは、もうダイレクトに事務局に理研として全てのことについて研究者としての対象の範囲に入っているということを確認したい。 事務局: 理研の非常勤というのは、融合的連携研究制度など、産業連携関係のチームでよくあるのだが、本務先がある企業の方などが理研のチームとしてのPIになる場合には、理研としては非常勤PIという形での受け入れになる。ただし、理研内での権限と責任体制、責務は常勤のPIと同じになるため、責任体制も全く同じという確認を人事の方から取っている。 委員長: 非常勤PIだとかなり重たいわけか。 事務局: そうである。 ★ 先生は普段は理研のどこの場所で、どれぐらいの頻度でやられるのか。 説明者1: 書類で週何日・何時間というのは提出させていただいている。 委員長: 倫理審査に向けた透明性という意味では、この申請書の書き方でいいのかということは気になる。 説明者1: どの部分か。 委員長: どこにも非常勤だということが出ておらず、例えばこの実験が行われていて、理研の経費で雇用されている若手の方が部下、チーム内に入ってくるときに、その方のスーパーバイズができない日もあるということがあるが、だから駄目だということではなく、要するにそういう方の申請を審査していったとき、前向きに承認できないといけないと思う。 説明者1: 客員という形でビジョンケアの方からこのチームに参加するということになっており、そのメンバーのスーパーバイズという意味では、私は会社の業務としてもできる関係ではある。 ★ このバトンゾーンという新たな試みは非常に重要な試みなのだろうと思う一方、いわゆる企業との共同研究や連携した研究とどのように違うのか。 説明者1: 今回、バトンゾーンにわれわれが入る一番大きなメリットは、リバーストランスレーショナル・リサーチの実験ができるというところが、非常に大きいメリットだと思う。普通、共同研究だとなかなかそこまではできないというところがあり、こういう制度を活用すると、さらに力強く先に進むことができるということを一番のメリットとして考えている。 ★ これは安全性試験の一部としてやると表現されているが、いわゆるスタディディレクターはどなたになるのか。チームリーダーがスタディディレクターという考え方でいくわけか。 説明者1: 私がそれに相当することになるかと思う。スタディディレクター、試験に責任を持つという意味で。 委員長: アイセンター、ビジョンケアと一緒にやっていて、そこが次に企画する臨床研究のデータに使うということか。 説明者1: 臨床研究に直接的なデータとしては利用することにはならないかとは思う。 委員長: その距離感が分からない。 説明者1: リバースと言っているのは、臨床の方から戻してきて新たなものを生み出すとか、科学的知見を得るところに意味があるかと思う。 委員長: 基礎研究をより豊かなものにしようという、それがまたトランスレーショナルに戻っていくという感じだというのは分かるが、現実的にクローンのテストという意味になって、厚生労働省などの再生医療の研究の申請のときにこのデータが使われるかどうかという点と関係する質問を委員がされたのかと。 説明者1: ここ(今回の研究計画)で作ったデータを申請資料に直接使うということにはならないかと思う。複数の細胞株を作ったとして、そのうちどれを使うかというセレクションをこのプログラムで行ったとしても、その選ばれた一つに対してヒト試験をやるのに必要なデータというのはたくさんあるのだが、それはこのプログラムと別のところで取らなければいけないデータも多いかと思う。 ★ これはうまくいけば、国際的に使おうかという話に当然なるわけで、アメリカのFDAのやり方を想像しながら、そのときの書類関係はスタディディレクターになる人がサインをするわけであるが、そのサインをする方がその試験をやった場所では非常勤という、そのような話をFDAが受け付ける可能性はないのではないかと思った。そうではなく、今回はその基本的なところを基礎研究として明らかにすることが目的であり、その成果の一部、例えば論文で出ていたものが、この細胞株というか、クローンをどこかでいよいよヒトに使うということで、例えばアメリカで使わせてくださいとFDAに言うときに、その一部の資料として出てくる可能性はあるが、本体でやるところは全て別の人、別のスタディディレクターがしっかりやって提出するというイメージであれば、大丈夫かなとは思うのだが。 説明者1: 後者の方になると思う。VC Cell Therapyの立場で申請資料などはきちんとそろえていくということになると思う。 委員長: よろしいか。では、質疑はこれぐらいにさせていただき、これから審議に入る。 -説明者退出後、審議が行われた- 委員長: 少し時間をかけていろいろ質問することによって、クリアになってきた点があったと思う。申請書の「その他」の「特記事項等」のあたりに、少なくとも彼の立場がこういうことであるということ、それからその責任はフルであるということを書いていただくのが、今回は適切、必要十分かなと私は思う。長期的には理研、事務局の方で、所属長・研究責任者のところに何かもう少し情報を入れた方がいいのかどうかをご検討いただければと。それでよいかどうか、皆さんにご意見いただきたい、書類上は問題ないと思うが、委員が指摘された、このデータはどういうことに使われるのかということについて、あくまで基礎研究であるという理解を私はした。 ★ 研究計画の内容自身はよく分かったが、やはり委員長が言われるように、組織の実態がよくわからない。この組織は今回、いろいろな所属の人たちが含まれており、どこに所属する人がどれぐらいの頻度で理研に来て、責任は誰にあるのかということ、組織図、実態が見えにくいので、なかなかイメージしづらい。そういうものはもう少し分かりやすく情報、資料があるといいと思う。 委員長: 提案であるが、先ほどの特記事項のところに、バトンゾーンという仕組みを使ってビジョンケアの人が理研で仕事をするということのようなので、チームリーダー以外にはこういうメンバーがこういう立場で働くということ、人数とその内訳、どういう職務なのかを書いて、計画書に入れていただく。 ★ そのようにしていただければ。 委員長: 企業がより深くパブリックインスティテューションに入ってくるという、それはWin-Winになるのだと思うが。もちろんCOIなどは気を付けないといけないため、これは(COIの)審査にかかっているはずである。 事務局: 補足してよろしいか。今回の融合連携以外に例はあるのだが、産業界との融合的連携研究制度設置規程に基づいて、企業からの研究参加の提案書を基にいろいろな手続きを経て、理研でバトンゾーン研究推進プログラムディレクターがそれをまとめて報告し、承認するという手続きを経て設置されている。その規程の中でも、バトンゾーン研究推進プログラムのユニットについては、所属長がどういう役割をするとか、そういう説明があるので、その辺を踏まえて特記事項、もしくは別紙にさせていただくかもしれないが、その中で示させていただければと思う。また、副チームリーダーとして理研の常勤の者が入っているという制度設計になっているため、その辺の役割や体制が分かるような形で参考資料としてまとめ、添付するような形にし、それを見ていただくということでよろしいか。 委員長: 承知した。提案だが、これは透明性というか、説明責任の部分に関わると思うので、研究の内容とその倫理的側面は大丈夫だと私は思うことから、基本的には承認をして、(後日)その情報を皆さんで見るということにさせていただき、情報が足りないとか、ここはどうなのだというやりとりをまたメールでやってもいいかと思う。初めてのケースであり、皆さんに見ていただくこととして、この補足情報が十分かどうかを補足的に特記の情報として見ていただくということで、少し例外的なやりとりも含めてやっていきたいと私は判断した。 ★ 私の知っているところで少し気になったのは、今回、動物実験が入っているということで、これは私の専門分野であるが、誰が責任を持ってやるのですかと言われたときに、非常勤PIが責任者であるという話が国際的にリスクがあることを考えると、やはりこの研究の責任体制がどのようになっているかをはっきりさせる必要がある。もちろん、理研の動物施設にはそれなりのスタッフなどがおられて、その人たちがケアしているのだから大丈夫だという話はあったが、自分の部下には理研の方はいないという話になると、外国に申請するときには、そこはものすごく厳格であり、そこを少し気にしている。新しいことだから、どこでもきちんと説明できるようにだけはしておいた方がいいのではないかと思う。倫理委員会としては、きちんと説明できるように制度設計などもやっておいた方がいいというアドバイスをぜひともしておくべきではないかと思い発言した。 委員長: 理研のサブリーダーもいるということで、非常勤であり、いかにもチームリーダーと数名だけがやるかのように聞こえたところがよくなかったが、実際にはもう少し理研もしっかり組むような体制があるように事務局の説明で思ったため、それさえしっかり書いていただければと。一方で、それをきちんと言ってくれていない部分をここで簡単に承認するわけにはいかないというのも、もう一つの考え方になってくる。 ★ いや、そちらではなく、倫理委員会が何を審議しているのかということはいろいろあるとは思うが、どうやってこの研究自体を倫理的な立場から守ってあげるか、理研の中できちんとこれがやがて成果となって出るかというのも大事なことだと思う。なので、この審議の中で少しでも気が付いたことがあれば、それをどのようにうまくやるかはまた別の話として、まずそういう懸念があるということはお伝えしておいた方がいいのではないかと思う。 委員長: 全く同意である。そのためにこういうマルチディシプリナリーな、分野横断的な委員会が、日本中、世界中に存在しているので大変ありがたく思う。倫理委員会の議論というのは本当に尽きないところがあるのだが、これはかなりのレベルまで広げて、考慮しないといけないことが皆さまのおかげで出たのではないかと思う。事務局にはそれを書面にするということをやっていただき、皆で確認する。基本方針としては、先ほど私が言ったように、研究としては価値があり、倫理性については医学研究倫理のコアの部分は大丈夫だと思うことから、その情報が透明性を保てる計画書の中に入っているということを押さえていきたいと思う。 ―挙手― 事務局: 補足で、これは4月1日付で発足するチームであるため、委員会としての承認を頂いても、理事長の許可としては4月1日付を予定している。
2)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: 最初の図で整理していただいたが、基礎研究をしっかりやるというプロジェクトと、疾患ごとのプロジェクトがあるということか。 説明者: そうである。 委員長: A大のプロジェクトは規模も非常に大きいので、いろいろなところとつながっている(共同研究をしている)のだが、説明者のプロジェクトはこのA大の大きなプロジェクトの一部に入っている細胞をこちらに持ってきて使うということで、共同研究だが、(A大のプロジェクトの共同研究先)全部と共同研究をするわけではないということか。 説明者: そうである。 ★ A大学でやられる組織に関して説明文書等を読むと、組織を頂くとき、手術などで残余的にあったものをお使いになるというご説明だったかと思うが、これはどういう局面が想定されているのかということは、何か先生の方でご承知のところはあるのか。 説明者: 僕の方で頂く予定なのはiPS細胞であり、患者さんの血液細胞を採ってきてiPS細胞化したものを凍結したストックがあって、そこからもらうことにしている。 ★ もっと前(iPS細胞化前)の最初のときのICの話をここでされているという、ここで添付された説明同意文書は、そういうレベルの説明同意文書だと理解したらいいのか。 説明者: iPS細胞と、採った検体から神経やミクログリアという細胞に分化させるということと、それを研究機関に応じて分配することもあるという内容だと思っている。 ★ 承知した。 委員長: ものすごくたくさんの全国の精神神経あるいは神経科学系と組んでいるから、どの病気について、どの組織からiPS細胞を作っているかということまでは細かく書いていないため、可能性としていろいろな生体試料のソースを書いているように読めるが。 ★ 説明書の部分と研究計画がだいぶ離れている感じがあったのだが、説明書のところの疾患で、何かこの研究と特化して結び付いたところがあるのかどうかが分からなかった。iPS細胞になったものをお使いになるということで、元々のICの範囲内でなさるということか。ストックを作るときのHLAホモの最初のICに基づいてiPS細胞を作るけれど、そのICの範囲内で研究をするというレベルの話だとおおむね理解した。 説明者: A大の最初のターゲットとして、いろいろな精神疾患をターゲットにされており、確かに統合失調症以外の疾患をたくさん書いておられたので、そこは確かにコンフュージングだったかもしれない。 委員長: A先生のグループはこういうことをやるグループとしては日本である意味ではトップで、かつ、相当の部分を組織化されているグループなので、いろいろな精神疾患の研究をされていて、全国の方々とやろうというところである。分子から表現系までというのをみんな見たいということで、ネットワークがかなり前からできているというのが私の理解ではある。そこからiPSだけが、しかもその2疾患についてだけ来るというのが今回の申請か。 説明者: そうである。 ★ 前回の説明のときに、海馬のモデリングなどができるのは説明者だけということを聞いたかと思うが、今回、大脳については、世界などを見てどのような状況なのか。 説明者 実は大脳オルガノイドという言葉はすごく浸透しており、大脳オルガノイド誘導キットというものが販売されていて、それを使って報告しているものが世界中にある。大脳オルガノイドを作ったという報告や、患者さんのiPSを使って疾患モデリングをしたという報告はかなりたくさん出ていると思う。 委員長: それでは、まずはこの変更申請に関する質疑はこれぐらいにして、説明者は一度、退室していただく。 -説明者退出後、審議が行われた- 委員長: 理解もできたし、特にA大のプロジェクトとの関係が分かった。細胞が来るということで、それはヒト由来のiPSで、そこはしっかり何が来るのかを理解し、研究の目的も理解した。変更申請を認めてよいと思うが、よろしければ、挙手をお願いする。 ―挙手― 委員長: 承認ということで。
3)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: 理研バイオリソース研究センター(BRC)で、たくさんのiPS細胞がここに寄託されていて、全国の研究者が使っている。何株を使われるのか。 説明者: 6株である。 委員長: これから来るものは全部、ALS由来の。 説明者: そうである。 委員長: どこの大学が樹立したかはご記憶か。 説明者: これは論文になっていて、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)のB先生の論文で使用されていると書いてある。 委員長: その際の説明同意文書も付いているが、審査も通り、実際にそれによって細胞が樹立され、その細胞がBRCに寄託されているということになる。先ほど口頭でも説明があったように、健常者由来iPS細胞が1名分、ALS患者由来iPS細胞が6株分、これは全部CiRAから来るもので、他に一般的に入手可能な健常者由来iPS細胞というのは、もう流通しているiPSということで、確認ができたと思う。 ★ 「研究資金の調達方法」の「利益相反委員会における審査状況」というところで、利益相反状態が「あり」になっていて、「利益相反マネージメント」のところに「研究方法や研究結果にバイアスがかからない方法を採用していることについて、必要に応じて説明責任を果たす」と書いておられるが、具体的にどのような方法ということなのか。 説明者: この研究資金は製薬企業からの資金になっているので、どうしてもそこのバイアスがかからないようにする必要があり、それが文面として出てきている形になる。例えば創薬スクリーニングをするとなったときに、どこか特定の会社の利益になるようなことにならないか、自分がちゃんと説明する必要があるということなのだと思う。 委員長: 利益にならないというよりはバイアスがかかってしまわないように、研究データとしてしっかりしたものになるようにということで。ちなみにこれはデータが出て、創薬スクリーニングが始まるとしたら、製薬企業とはどういう関係になるのか。 説明者: 最初に製薬企業が知る権利はある。 委員長: やはりそうか。そういう契約で資金が来るのか。 説明者: そうである。 委員長: そのときにデータをねじ曲げてはいけないということである。 ★ 承知した。 委員長: 必要に応じてそのことを説明する旨が書いてあるということで。こういう創薬スクリーニングはB先生ご自身も何か有名な論文を出されたのでは。 説明者: そうである。 委員長: このオルガノイドを使わないと、やはりなかなか進まないため、単なる分化誘導だけでは駄目だということか。 説明者: 確かB先生のところでは、神経細胞死や軸索伸展が阻害されるところを改善するという形でされていて、病理ではなかったはずだと認識している。標的があり、それを改善するというような創薬ではなかったと考えられるため、そういう意味ではもっと根本的なところになる。 委員長: なるほど。先ほどの遺伝子変異の封入体が出てくるあたりが追い掛けられて、それがブロックできる薬が見つかるといいということで、これはこの手法でないとなかなか何度も実験はできないという理解でよろしいか。 説明者: 僕もそのように思っている。やってみないと分からないところはあるが、やはりできるだけ生体に近い組織で作るというのが大事なのではないかと思っている。 委員長: アイデアさえあれば、他のところでもできるのか。オルガノイドの部分が脊髄だから、簡単ではないのか。 説明者: 脊髄の3次元誘導については、これは2018年に論文報告したのだが、その後、続いて報告する方がいないので、意外と難しいのかなと思っている。 委員長: 世界中の患者さんが期待するような研究ではないかと私は見て取った。 -説明者退出後、審議が行われた- 委員長: あとは倫理的なものとして問題がなければ、皆さんがよろしければ承認とさせていただきたい。承認を認める方は挙手を頂いてもよろしいか。 ―挙手―
4)その他 事務局: 事務局から幾つか報告事項と依頼事項がある。 委員長: では、議事は全てその他も含めて終わりということで。次回は来年度になるので、来年度の予定はまた(日程)調整させていただくということでよろしいか。 以上 |