- 研究者への道のり -

落合研究員(30代)の場合

子どもの頃

本を通してSFに興味を持つ
出身は、岡山県の田舎町。小さいころから外で遊ぶことより、インドア派でした。町には娯楽施設が少なく、よく図書館から本を借りて読んでいました。特にSF(サイエンスフィクション)ものが大好きで、レイモンド・F・ジョーンズの『合成怪物の逆しゅう』*1がお気に入りでした。
プログラミングという概念もSFで知り、実際にどうやるのだろうと疑問に思って、図書館から「子供の科学」でプログラミング特集していたものを借りて、調べてみました。そして実際に、自分でもプログラミングしてみました。
*1『合成脳の反乱』の改題

中高生の頃

プログラミングと
読書に没頭!
当時、ビジュアルプログラミングという、コードを書くのではなくマウスで操作できるプログラミングが出てきたころで、それを使ってアルゴリズムをいろいろ試したりしていました。中学の数学の授業で学んだ鶴亀算の方程式をプログラミングで実装できることに気づいたとき興奮した記憶があります。
近所の図書館で理系の本を端から順に読んでいたら、立花隆の「脳を極める」という本に出会いました。計算論的神経科学という分野をその本で初めて知り、興味がわきました。それを勉強してみたい!と思い、計算論的神経科学の研究を行っている山口県にある大学に進学することにしました。

大学生の頃

勉強と研究に熱中
大学では物理情報科学部に所属していて、物理系と情報系の基礎をまず学んでから、三年目にどちらかを選択してさらに専門分野を勉強するという構成でした。受けた授業の中で、ロジスティクス(いわゆる物流)の問題を動的計画で解く方法を聞いたとき、綺麗だなと思いました。また、オイラーの宝石の数式(e = -1)を初めて見た時も、感動した記憶があります。一見、成立していないように見えますが、実際に証明できているというところがすごいと思いました。
4年生の時に、念願だった計算論的神経科学の研究室に所属することができ、主に画像処理をテーマに研究していました。具体的には、合鴨農法におけるカラスによる合鴨への被害対策の課題解決の依頼が研究室にあり、映像からカラスを検出する画像処理の研究を行っていました。実用化までは行きませんでしたが、修士まで、このテーマで取り組みました。

就職した頃

仕事しながら、
勉強は続ける
研究より実用的なところに興味があったので、修士号を取得したあとは、システム開発・設計会社に就職しました。仕事の一部でも、画像処理のプログラミングも担当していました。
プログラミングのコミュニティが集まる読書会やハッカーソンなどの勉強会などにもよく参加していました。AIなどのブームがちょうど始まったころに、そういう勉強会で、今の上司に出会い、理研に来てみませんかとお声がけしてもらいました。

研究の世界に戻る

大学院生、そして研究員に
今所属している研究室でまずテクニカルスタッフとして脳型人工知能や医療用顕微鏡の画像処理などをテーマに研究していましたが、将来海外で仕事することも視野に入れるため、大学院に戻り博士号を取得することを決めました。
博士課程では、ロボットによる細胞の自動培養のプロジェクトに携わっていて、ロボットの動きをコントロールするためのソフトウェア開発と画像処理のソフトウェア開発を担当していました。
今年の3月に晴れて卒業し、今も引き続き研究員という立場で研究に取り組んでいます。
将来の夢
今やっていることの延長線上ですが、物理世界の自動化です!コンピュータ作業の自動化はプログラムをある程度書ければできますが、例えば目の前にあるものに合わせて手を伸ばして取らせるといった人間なら簡単にできることでも、ロボットにさせるのは大変なんです。そのような制御がやりやすくなるようなプログラミングを目指したいです。
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