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No78

第78回 神戸事業所 研究倫理第一委員会 議事要旨

1. 日時:令和3年6月29日(火)15:00~17:15
2. 場所:Web会議方式による
3. 出席委員等
 
(委員)

加藤 和人 委員長 (大阪大学大学院医学研究科 教授)
上野 弘子 委員 (広報メディア研究所 代表)
黒澤 努 委員 (鹿児島大学共同獣医学部 客員教授)
永井 朝子 委員 (公益財団法人尼崎健康医療財団 市民健康開発センターハーティ21 所長)
林 知里 委員 (兵庫県立大学地域ケア開発研究所 地域ケア実践研究部門 教授)
野崎 亜紀子 委員 (京都薬科大学基礎科学系一般教育分野 教授)
小門 穂 委員(神戸薬科大学社会科学研究室 准教授)
北島 智也 委員 (生命機能科学研究センター 染色体分配研究チーム チームリーダー)
濱田 博司 委員 (生命機能科学研究センター 個体パターニング研究チーム チームリーダー)

(説明者)

髙里 実(生命機能科学研究センター ヒト器官形成研究チーム チームリーダー)
岩根 敦子(生命機能科学研究センター 細胞場構造研究チーム チームリーダー)
清水 義宏(生命機能科学研究センター 無細胞タンパク質合成研究チーム チームリーダー)

(事務局)

片山 敦 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)人を対象とする研究計画の変更申請に関する承認について
(2)令和2年度研究実施報告書について
(3)人を対象とする研究計画に関する審査(新規・変更)
(4)その他

5. 報告事項
 

(1)人を対象とする研究計画の変更申請に関する承認について
事務局より、第77回の委員会から今回までに迅速審査による承認の手続きを執った研究計画の変更申請4件、継続申請8件、委員会に諮らず承認した軽微変更申請4件ついて報告があった。

(2)令和2年度研究実施報告書について
事務局より、令和元年度の研究実施報告について説明があり、研究の実施状況について特に問題がなかったことを確認した。

6. 審議事項
 

(1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:K2021-005
「ネフローゼ症候群特異的iPS細胞を用いた病態発症機序の解明」
研究実施責任者:ヒト器官形成研究チーム 髙里 実

【概要】
研究実施責任者の高里チームリーダーより新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、A大学が作成した説明文書にある共同研究機関と本研究計画との関係性が明確でないという指摘があった。共同研究機関以外の参画病院においてインフォームドコンセントが行われるようであれば研究計画書に適切に記載することとされ、条件を満たした上で適正と判断するとされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 原因となる遺伝子というのはどれぐらい知られているのか。

説明者: 例えばHLA関連の遺伝子要素、自己免疫疾患を起こすようなものがあるが、今回対象の遺伝子は、そこにミューテーションが入るとネフローゼが起きるというメカニズムが想像できない患者さんが日本人では特に多いということで、それを対象に研究を進めていけたらと思う。

★ 大変興味があり素晴らしい。マウスでモデルを作ったが、そのマウスモデルは最終的にテンシンⅡのミューテーションということに決まった。これをやるときはテンシンⅡも一緒に見ていただければと。
 また抵抗遺伝子もあるらしく、全く違う系統と交配すると症状が出なくなる。大変面白いものだと思うため、ぜひとも頑張って研究していただければと思う。

★ 計画申請書の、「既提供ヒト由来試料・情報」の「既提供ヒト由来試料・情報を用いる必要性」で、「A大学はこれまでにネフローゼ症候群患者の末梢血を9検体既に入手しており、それらの試料を用いてiPS細胞を樹立中である」とあるが、この既に入手しているということと今回の研究との関係はどのようになっているのか。

説明者: A大学側の研究計画では、ネフローゼ症候群の患者さんと対照群を合わせて15例プラス5例の全20例でこの研究計画を作っており、今、その途中段階で9例まで末梢血を採血しており、残りはまだ採血してiPSを作っていない。われわれとA大学で同時に出しているわけではなく、まずは大学で承認が下りてからこちらの審査に出したため、その間に少し進んだということである。

委員長: この(A大学が作成したインフォームドコンセント用の)説明文書に多くの病院や大学などが共同研究機関として入っているのはどういうことなのか。

説明者: こちらはA大学の方の倫理審査委員会に出しているものだと思うが、これらの協力病院の患者さんの情報も全てA大学病院に入っており、それらの中から(試料を採取する患者を)選定できるという話である。

委員長: そうすると、旧指針では研究機関になるので、実際は(それぞれの機関で)倫理審査をしないといけないのではないかと思う。

説明者: これは恐らくこの先生方が個別にそれぞれの病院の倫理審査委員会でやっているのではないかと推察する。

委員長: 大事なことは、この理研に来るiPSのもとの患者さんがA大学だけなのか、それともここに出ている幾つかの病院もなのかということである。多分、iPSを作ったものを使うのが先生なので、iPS細胞を研究としては切り離し、作ってからの共同研究とすればA大学との共同研究ということでいいのではないかと思う。ただ、研究計画書のインフォームドコンセントのところに「理研以外の機関 備考:A大学医学部附属病院」と書いてあるが、これがA大学だけではないのではないかということがあり、そうであれば、それを書いていただく。そこは今日の時点では分からないか。

説明者: (疑問点に関しては)A大学の研究者代表の先生にも照会する。これ(説明文書)を見る限りでは、それらの協力病院の患者さんも恐らく患者さんのリスト、選定リストに含まれるのであろうとは思う。

委員長: 補足的に言うと、明日から施行される新指針では、試料提供だけだと倫理申請は要らなくなるため、理念として本体がしっかり審査すればいいという考えであり、(研究代表者に確認した上で)透明性をもって説明をしていただければよいかと思う。

― 説明者退席後、審査が行われた―

委員長: 私の指摘は、細胞のもとの提供者がどこなのかということが分からないため、そこはきれいにしてもらった方がよいということである。ただ、A大学でiPSにしていることは間違いないと思うので、(本研究は)A大学が責任を持ってやっており、それを使う研究だと見ていいと思う。書類上の修正をしてもらえれば、承認できるのではないかと思っている。

★ 研究申請書の中に先ほど出てきていた研究協力機関のようなところを全て明記していただくことは、いずれにしても必要だと思う。審査の仕方としてはよいのだが、明記は必要だと思う。

委員長: もし共同研究機関にするのであれば、現状、われわれの委員会としては、全ての倫理審査が通ったことを確認しないとやはり承認できないことになるが、私が提案したのは、インフォームドコンセントを行っている機関、すなわち細胞がどこから来ているのかを明記してほしいということである。理研に送る細胞のもとのインフォームドコンセントはA病院、B病院、C病院、D病院ということを書いてもらおうということである。

★ 私もそのように考えた。ここに明記する必要があるということで。

委員長: では、そこで透明性は確保されている、説明がされているということでいきたいと思う。

委員長: よろしければ挙手をお願いする。

―挙手―

 

(2)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:K2021-010
「ヒト腎生検組織糸球体の電子顕微鏡3D微細構造モデル構築による検討」
研究実施責任者:細胞場構造研究チーム 岩根 敦子

【概要】
研究実施責任者の岩根チームリーダーより研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、検体数を増やすに至った経緯と理由の説明が少し必要なのではとの意見があった。変更申請に至る状況、過程について研究継続の必要性を計画継続理由書または研究計画申請書に適宜追記することとされ、条件を満たした上で適正と判断するとされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 継続理由書に、新型コロナ感染の関係があってほとんど検体を得ることができなかったということが書かれているが、今回申請されている期間内に新型コロナウイルス感染が急に収まるとはなかなか考えにくいので、また同じようなことが続いて起きるのではないかということが気になる。
 これは貴重な人体の材料を得てやる仕事であり、検体が当該研究に適切に使えるかどうかということも含めて研究期間を定め、あるいは今度は5例から50例に増やされているようだが、何例ぐらいやらなければならないのかということもきちんとお考えになり、それを理由とされた方がいいのではないかと思うがいかがか。

説明者: 新型コロナのことに関しては、昨年は病院側も患者さん側も、これからどうなるかということが分からず不安な時期でもあり、秋頃まで患者さんが診察に全く来られなかったとお聞きしていたが、今はコンスタントにある程度のスパンで患者さんが来られるような状況になっていると聞いている。

委員長: 大事なことは、今までのものでデータが出たので、B大学の先生方とお話しになったときに、提案されている来年度いっぱいで50検体ぐらいは集まり、かつ、それは必要だろうという話をされたかどうかということ。

説明者: 共同研究者のB大学の腎臓内科の先生とは、50検体ぐらいは必要であるというコンセンサスを得ている。

委員長: われわれとしてはそれ以上専門的になぜ50なのかということを問う必要はあまりないと思っており、研究者として科学的に、そして医療の状況を見てそのように言っておられるのであれば、それは説明されていると私は理解する。

★ いろいろな状況が好転してやれそうなので、今回数を増やし、期間をさらに延長してやりたいと。期間を延長については、新しい観点からもう少し違うところも見ようかという話であるが、症例数を増やすところは、5例が50例になったのはなぜなのかをやはりある程度は説明できるようにされた方がよいだろうというのが私の考えである。

委員長: 検体取得の状況についての説明をもう少ししてもらうということか。

★ そのとおりである。

委員長: 継続内容の後半部分で、「さらに研究の継続が必要であると共同研究先のB大学病院と合意しており」というあたりに、検討の結果、約50検体が必要であるという結論に達したので、それをやるために継続したいというように少し追記をお願いすることがいいのではないかということで。
 セグメンテーションという言葉がいきなりこの継続理由書には出てくるが、これはわれわれ専門外には分からない。

説明者: セグメンテーションというのは領域抽出という意味である。電顕の画像で、足突起や核の形を3Dで解析するために、そこの部分だけを抽出するという意味合いのことと私たちは捉えている。

委員長: 一般の人に分かるように説明を。

説明者: 専門用語にはなると思うので、そこのところは注釈を入れておきたいと思う。

★ 今回50例に増やされるということで、前の申請でも研究方法のところで、1検体当たり試料作製に約3週間、その他構造モデル解析に1カ月必要と書かれており、今回の修正のところでも画像解析に想像以上に時間がかかるということが書かれていたが、これは検体が増えることにより処理等にかかる時間が莫大に増えるということはないのか。

説明者: まずどこに注目して画像解析をするというか、セグメンテーションの場所を選ぶところに時間がかかる。ただ、現在はどこに注目すべきかをほぼ決めたので、今後はそこのところに特に注目してセグメンテーションを行う。解析すべき場所を見つける、評価すべきところの基準づくりに時間がかかったが、場所はある程度限られてきたので、今後は大丈夫ではないかと思っている。

★ 適切に組織が採れた検体数が50件ということなので、うまく採れていなかった場合には、この研究に参加していただく人数はプラスアルファと考えてよろしいか。

説明者: そのような解釈になると思う。

委員長: この「対象と人数」はインフォームドコンセントを頂く方の人数なのだが、実際の予定としては50より多いのか。

説明者: 50名で収まる可能性ももちろんあると考えている。

委員長: 高度な電子顕微鏡と画像解析を診療につなげるという理研ならではの研究だと思うが、ぜひ発展することを祈っている。

― 説明者退席後、審査が行われた―

委員長: いつも本当にそれだけの人数の研究対象者が要るのか、試料が要るのかというのは議論になるところで、そこは皆さんも気にされたと思う。ある程度の質疑はできたと思うが、これまでやってみて分かってきたことによる申請であることから、(継続理由書に)少し説明を加えてもらう。その上で、両方の書類を併せて説明されているということで承認したいと思うので、これは委員長確認で、修正の上、承認ということでいきたいと思うがよろしいか。

―挙手―

★ 一点よろしいか。臨床の材料を使っている人は意外と簡単に「何例やったから今度はこのぐらいやろうか」ということでやる人が多いが、倫理委員会の肝は何かというと、むやみやたらとやってしまっては駄目ですよ、どうしても科学的な理由で、これだけのものがあるとこのような見通しがあるとか、本当にそれがちゃんとできるのかなど、まず倫理的にものを考えていただき、納得して初めて承認すべきだろうと思って発言した。そういうことをきちんと記載さえしてくれれば、別に駄目なわけでも何でもない。ただ、ちゃんと考えてくださいねというのは、倫理委員会からきちんと言っておくべきだろうと思う。

委員長: 一応伝わったと思うが、重要なのはB大が本気でどこまで考えているかということもあり、理研の委員会なので、なかなか手が届かないところがずっと歯がゆい。どんな倫理委員会でも、その積算根拠を出せということは、普通はあまり徹底的にはやらないということがある。質疑の中でラフに根拠があるということを確認しているというのが経験ではある。他の研究とのバランスもあり、そこはなかなか難しいがある程度の突っ込みはしたと思う。
では、先ほど手が挙がったという理解で、条件付きで、修正の上、承認としたい。

 

(3)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:K2021-001
「がん患者における生体分子の発現と投与薬物の代謝・生体応答に関する研究」
研究実施責任者:無細胞タンパク質合成研究チーム 清水 義宏

【概要】
研究実施責任者の清水チームリーダーより研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、共同研究機関が作成の説明文書において研究機関以外の外部からの資金提供があることが説明されておらず、説明文書の資金提供についての記載を修正する必要があるのではという指摘があった。この記載がないことの理由を共同研究機関に確認いただき、適切に修正されるよう調整することとされ、条件を満たした上で適正と判断するとされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: Cセンターの方では利益相反委員会を通っているのか。また、こちらの方は今申請中なのか。その利益相反委員会の状況の説明を。

説明者: Cセンターの方は通っていて、こちらは申請中である。

委員長: 以前の承認時の患者さんへの説明文書だが、これが患者さんへの説明で、「この研究は、Cセンターの研究費および理化学研究所の研究費を資金源として実施され、この他に特定の団体からの資金提供は受けておらず、研究組織全体に関して起こりうる利益相反はありません」は変わるのでは。

説明者: 治験なので、患者さんにはどういう会社のどういう薬を打って治験に協力していただくのかという別紙があり、それも込みで考えているのでこういう運用になっているのではないかと思う。

委員長: 人を対象とする医学系研究指針のガイダンスという文書が政府から出ていて、インフォームドコンセントを受ける際に説明すべき事項がある。この①から⑭までをインフォームドコンセントの場合には必ず全て説明しなさいと書いてあり、⑬に「研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況」を書きなさいと書いてある。これが先ほどの説明文書でできているとは言えないので、この審査そのものに関して言うと、これでは「うん」と言えない状況である。  
 共同研究先がどういう経緯でどういう審査をしているかが分からないが、やはり向こうにご相談いただく必要があるのではないかというのが今の意見である。

★ 以前はAMEDのお金でやっていたという意識で問題なかったと思うけれども、今度は民間であり、そこはきちんと説明された方がよろしいのではないか。

★ やはり資金源の変更に関しては、新たにこれから頂くような場合にはもちろん説明し直すというか、この説明文を変更しなければいけないと思うが、ただ、COI(利益相反)については利益相反委員会の方で独立に検討いただくことになるため、まずはこの資金源が変わるということはきちんと明記し、ここを変更したのだということを踏まえて、新たなインフォームドコンセントの説明文書の修正は当然必要になってくるかと思う。既にCセンターの方でCOIの委員会を通っているというお話だったが、確認はしなければならないだろうと思った。

委員長: 利益相反の委員会は資金の管理がされているということを見ると思うので、インフォームドコンセントという倫理委員会のマターのところにどう説明が入っているかということまでは一般的には利益相反委員会は見ないため、倫理委員会の方がどう考えているかである。
 追加でコメントするのであれば、ディオバン事件のときには資金が入っていることを隠し、しかもデータを不正にねじ曲げて、企業に有利なようにしていたということで、全国の名だたる大学の研究者の名前も出て批判された。それがあったので臨床研究法ができ、法律の下に置かれたということがあるので。利益相反という問題はそのとき以来、ますます気を付けてやっておかないと、先生に責任がなくても、何かが起こったときに理研にまで影響が及ぶ可能性はあると思う。
 では、取りあえず質疑はこれで終わって、(委員会として)意見を出し、調べていただくということになるかと思う。

説明者: 例えばこの「研究費によって行われます」というところに、「研究費もしくは治験の場合は薬剤を提供する民間企業の資金によって行われます」という文があればいいのかなと思うため、そういう修正をお願いすればいいのかと考えるが、その点に関してはどう思われるか。

委員長: この研究の研究資金がどこから来ているかを書くだけのことである。研究計画書の方に、これはこういう治験をやっているのだけれども、その治験とセットにして行っている研究であるということを書いていただいて、具体的な名前、企業名など、その計画書の中にやはり入れていただく必要がある。
 向こうになぜ企業名をはっきり入れられないのかも説明してもらいたいところではあるが、いろいろな手続き上の問題もあり、ここには企業から(資金が)来ていると書くけれども、同時に治験の説明文書の中で資金源の具体的な企業名が出てくるということを先生および先方の言葉でわれわれの委員会に教えていただきたい。

説明者: 承知した。

― 説明者退席後、審査が行われた―

委員長: 普通は透明性ということを言えば、〇〇会社から資金を得ていると書くべきだと思う。事前の事務局とのやりとりでは、先方ではどんどんいろいろな企業からお金が入ってきて、それを基礎研究側の説明文書に1回ずつ入れ替えているとその改訂作業が大変であり、全て審査しないといけなくなってしまう。そのため、企業から来ているというような一般的な書き方にしたいのではないかと理解したのだが。

★ 利益相反委員会の方にかかるから構わないのだということであれば、今回の計画書には、「治験で行う研究が一部含まれるので、スポンサーの資金も入ります」と書いてもらえばいいのではないか。

委員長: それを説明文書にどう書くかということで、「治験の場合には、治験の資金提供をする企業から資金が入ることがあります」ということを書いていただければいいか。しかも、それは利益相反委員会で審査されていると。
 では、条件付き承認で、修正の上、承認するということでいきたいと思う。挙手をお願いする。

―挙手―

 

7. その他
 

事務局より、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の制定に伴う理研の規程、細則の改正、委員会運営規則の改正についての説明があった。審議の後、委員会運営規則の改正について特に問題はないとされ、適正と判断された。
詳細は以下の通り

★ 根源的な質問だが、ガイダンスで、各研究機関はきっちりした倫理体制をつくらなければいけないということで、その倫理審査委員会がちゃんと機能しているかどうかは誰が見るのか。

★ これはやはり答えがないところであるが、さまざまな倫理委員会があって、その質の保証ということが長らく議論されてきたが、やはりあまりにもたくさんの倫理委員会があり、どのようにより良い方向に向けていくのかという一つの方向性として、委員会の数自体を絞っていく。そして主たるところでしっかりと検討していただくことにするという、そういう立場の方に舵をひとまず切ったということなのだと思う。ただ、言われるように、それではそこがきちんとしているのかということは常に問題になる。とりわけ今回は機関の長がどのような関わり方をするのか、研究責任者がどのような関わり方をするのか、その全体像を見る人たちというのが、今まではそれぞれがチェックして、機関が見て、各機関のIRBが見てというやり方をしていたのが、研究責任者中心の仕組みに変わったため、良い方向でいけば、中心となるどこかの代表機関がIRBで検討するということに対して、「そんなことでは困るよ」といろいろと言うという方向に進んでいけばよいのだが、そういう姿勢を示すしか手がないということで、しばらくそういった状況が続くのかなという気がしている。

★ 私もやりながらというか、走りながらだんだんつくっていくという感じでやっていくしかないのかなと思っている。

委員長: 二つのコメントがあり、一つは今まで機関の長の責任があって、それから倫理審査委員会が多数あって、研究者としては自分が責任を持つのだというところがいい加減になっていたのではないかということがある。研究者が責任を持たないと必ず悪いことが起こるという、そういう方向に認識を変えさせたいという、半分は期待なのだと思うが、そういうことが一つあるのではないかと。
 もう一つは、再生医療は法律の下で、少し立て付けは違うにせよ、一つのところで審査するということで、出すところを選べる。そうすると、「あそこは通りやすい」と言って出す人が必ずいるのだが、それは今、再生医療法が施行されてから、みんな睨んでいる。 
 やはり何となくお互いに牽制しながら、レベルを上げていこうと。レベルの高いところに出さないと、社会は信頼しないという感じが再生医療の研究者の中には出てきているので、違う面から全体のレベルを上げていく努力が、「あそこは信頼できるから、ちゃんとやっている」ということで上がっていくことも期待している。
 そういうことで、新しい時代が始まるのは事実であり、それでわれわれはやっていくと。全体としては一審査委員会当たりの課題の数が減ると期待されていて、その分しっかり審査するということだと思っている。

★ 今、倫理委員会の国際的な認証システムというものが出てきており、あちこちが採用しだしているが、国際的にはやはり倫理的な医学研究をしてもらわないといけないという流れのようで、その後ろ盾となるものとして、先ほどの倫理体制はしっかりしているか、倫理委員会はちゃんと機能しているかを見る国際認証のようなものができてきているようであり、理研も一度検討してみたらいいのではないか。

委員長: それはAAHRPP (Association for the Accreditation of Human Research Protection Programs, inc®)という。確かにそういう第三者認証というか、質保証のようなものは議論した方がよくて、AAHRPPが一番良いのかどうかは分からないが、委員会の質を上げていく、保証していく、そしてそれが日本のモデルになるという感じのことは、できる範囲で少し覗いておいていただけるとありがたいと思う。
 では、この審議事項としてのいろいろな改正はご承認いただけるということで。
 一括審査の手続き利益相反の確認など、そこはやりながら、走りながら見ていくということで。

以上

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