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No.22

第22回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨

 

1. 日時 令和2年2月7日(金)14:00~15:45
2. 場所 理化学研究所 MIR&Dセンタービル 2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

玉木 彰 委員長 (神戸医療大学大学院医療科学研究科 教授)
武田 真莉子 委員 (神戸学院大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局 記者)
西口 修平 委員 (兵庫医科大学内科学 教授)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者) 渡辺 恭良 ( 生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム チームリーダー/
 健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム プログラムディレクター)
水野 敬 ( 生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム/
 健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム・健康計測解析チーム 上級研究員/チームリーダー)
   
(オブザーバー) 小川 壮 (神戸事業所長)
(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)人を対象としたMRI研究課題(変更及び新規)に関わる審査
(2)人を対象とした研究課題(新規)に関わる審査

5. 審議事項
 

1)人を対象としたMRI研究課題(変更)
受付番号:2019-K058
「個別健康最大化のための健康指標開発研究」
研究実施責任者:健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 渡辺 恭良

 

2)人を対象としたMRI研究課題(新規)
受付番号:2019-K074
「個別健康最大化のための健康指標開発研究」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良

【概要】
研究実施責任者の渡辺チームリーダー及び水野研究員より、変更のあった研究計画について説明があった。同時に、2019-K058と同じ内容での新規計画について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議にて特に問題がないことを確認後、リサーチコンプレックスの後継機関である神戸大学へのデータの移管は神戸大学側の体制が整ってからとすることというコメント付きで適正と判断された。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり

説明者1: 「健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム」はこの3月31日をもって終了する。これまで集めてきた人の健康に関するデータは、おかげさまで総合的な健康度のポジショニングマップというものが非常にうまくいき、その中から健康に資するようないろいろな方策を取っていけるものと思っている。今日はこのデータの管理も含めた後継について、これまで見ていただいた書類の修正等が必要なので、その変更も含めてお願いしたい。

委員長: それでは、質疑応答に入りたいと思う。辰野先生からご意見を頂いているので、お願いする。

事務局: まず審議事項1に対して質問を1点、「17頁の提供先の研究機関名の箇所で、『2020年よりリサーチコンプレックス後継機関の参画機関』とある。後継機関は神戸大学のようであるが、参画機関とは『医学研究科AI・デジタルヘルス科学分野』のことを指すのか。それとも他の研究機関のことか」という質問が1点。
 続いて審議事項2に関して、「中学生未満および中学生以上高校課程を修了していない18歳以下の各グループ向けの説明文書が添付資料に付いていないようである」ということで、ご意見を頂いている。
 なお、審議事項2の方の未成年に対しての説明文書については、当日配布資料のとおり、「渡辺恭良・プログラムディレクター」から「渡辺恭良・チームリーダー」に変更したものを用意している。

委員長: 後継機関はこの神戸大学のここでしょうかという質問については。

説明者1: この「後継機関の参画機関」という書き方は非常に難しい。「後継機関の参画機関」という言葉付きがあまりそぐわないということであれば、「後継機関の部局」とか、そういう名前になるが、良い表現が見当たらなかったので、こういう形になっている。

★ 恐らく「機関」という言葉が意味しているのは、結局、責任を取る機関の長ということを意味されているのではないかと思うので、そういう意味では、神戸大学の場合は、「医学研究科AI・デジタルヘルス科学分野」となっていても、最終的には神戸大学の学長の責任の下に行われるということかと思うから、機関としては「神戸大学」と広く包括しておかなければならないのではないかというのが私の理解である。

説明者1: そうである。神戸大学の方でもちろん審議いただいて、倫理審査委員会(IRB)が立つのだが、その最終的な確認書のようなものは医学研究科長名で出てくるかと。最終責任者が誰になるのかは、今、**先生といろいろお話をさせていただいている。

★ (持参した端末で)確認してみたが、倫理審査としては、つまり医学研究科長名で承認が下りている。

説明者1: そうすると、医学研究科長ですから、神戸大学医学研究科までが後継機関のような書き方をさせていただくということでよろしいか。

委員長: はい。その他、何かあるか。

★ よろしいか。研究期間が18歳以上は2023年になっていて、お子さまは2021年3月31日までなのだが、18歳以上だったら、例えば探索的健康計測研究は引き続きやる、データをまだ集めるという理解でいいのか。検証的健康計測研究ではもう新たなデータは取らないけれども、探索的健康計測研究ではまだ取っていくということなのか。

説明者1: いえ、検証的と探索的はMRIが入っているか、入っていないかだけの違いである。

★ では、もう新しいデータは基本的に取らないで、この同意書は基本、歴史的文書ではあっても、現実的にはどちらも将来に使われる必要はなく、後日のために修正して整合性を取ったということか。

説明者1: そうである。後日というか、この変更をさせていただくときに同意書も変更しておかないと片手落ちなので、一緒に変更させていただいている。実際にはこれから来年度、2020年4月から取っていくデータに関しては、このプログラムではもう取れない。ただ、論文を書いて出していったときにいろいろなことを言われるので、2021年3月までデータの保管期間を取らせていただく。

説明者2: こちらは実際にその研究期間が、本当に2021年3月までに論文を書き終えるのかということもあるし、また、もしかすると新たにデータを取らせていただくような方向性も可能性としてはあるのではないかということもあり、新規案件については一応、2023年3月までにさせていただくということになる。先ほどご指摘いただきました小学生の保護者用や中高生の保護者用、それからアセントフォームの分については、審議資料1の方の修正バージョンのみがここには出ていて、新規バージョンの方の同意説明文書は今日、用意できていない。

★ では、今後、この整合性が取れた新規バージョン、審議2用の18歳未満バージョンがきちんとした形でできるということで、これは審議1の方の焼き直しのような感じなのか。

説明者2: そうである。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: いかがか。質問にはお答えは頂けたが、それ以外に何か気になる点等はあるか。

★ 新規は、新しいことをやるというよりも、研究の引き継ぎに伴う手続き上のものということか。

委員長: そうである。そうしたら、後継機関の体制が整えば問題ないということで、審査結果として適正と判断するということでよろしいか。では、そのようにさせていただきたいと思う。

 

3)人を対象とした研究課題(新規)
受付番号:K2019-046 
「市民PHR基盤を活用した保険医療福祉情報流通の実証」
健康羅針盤チーム 奥野 恭史

 

4)人を対象とした研究課題(委託審査・新規)
「市民PHR基盤を活用した保険医療福祉情報流通の実証」
日本医師会ORCA管理機構株式会社 事業推進部 伊藤 伸昭

【概要】
説明者の竹村研究員及び共同研究機関の松永氏より、本研究計画の内容に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、研究目的の意義や目的が分かり難い等の意見があった。実験計画書及び説明文書の内容を修正の上で書面審査を行うこととされ、継続審査とされた。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり

委員長: それでは、(書面にて審査していただいた)辰野先生からのご意見をお願いする。

事務局: まず、「スキームは理解できるが、実証スキーム概要のフロー図の右側の事業者(ORCAMO情報信託/匿名加工医療情報作成事業者)の実態がよく分からない。どのような研究機関なのか、もう少しご説明いただいた方が良いのではないか」と。
 もう1点は、「研究参加者向け説明書に、『匿名加工医療情報作成事業者の候補者へあなたの情報を提供します。』と記載されている。脚注で匿名加工医療情報作成事業者の説明がなされているが、その実態は必ずしも明らかではなく、さらにその候補者への提供の同意となると問題があるように思う」。
 それから、「ORCAMOが共同機関であるというだけではなお十分ではないように思う」というコメントである。

説明者: ORCAMO自体は診療報酬を請求する電子的な仕組み、簡単に言うとレセプトサービスを行う事業者である。これは社会的にも認知されている事業であり、元々は、日本医師会のレセプトを扱うIT会社を作ろうとして、それを事業化すべきだろうということで、ORCAMOという形で事業化された。この経緯をわれわれ医療側、医療情報の人間はよく知っていたので、個人情報を取り扱う事業者という意味においては、疑っていなかったということがある。クラウドに個人の各診療所のデータを上げて、診療所に対してレセプトのサービスを行うということを実際に事業としてORCAMOが行っており、レセプトのデータを各診療報酬請求機構に送るということもされているので、個人情報の取り扱いに対しては問題ないかと認識している。
 ORCAMOは安全であるということや、次世代医療基盤法に基づく人たちに配るということに対して信用が得られるのかに関しては、確かにそこは対象になっていただく人にご理解を頂く必要がある。ですから、ここに研究計画としては明示していないことで恐縮だが、対象となる人たち、実際に実験をさせていただくところは、神戸市民の中でもこの辺のことをご理解いただいている人、もっと言うと、市役所の中でこの全体のことをご理解いただいている人たちを対象に現実的にはさせていただこうと思っており、一般的に募るというよりは、そういうところに絞って、コミュニケーションできる対象にクローズできればと実際の運用上は思っている。

★ まず元情報は人のいろいろな健康情報で、ソースは二つあると。一つは左に書かれている神戸市民で、もしかしたら最初は市役所の関係の人たちであるかもしれないけれども、一般市民であるということかと。もう一つは右下にある、いわゆる普通に患者さんとして地域のクリニックにかかっている方のデータということで、この2種類があると。右下の病院やクリニックに普通にかかっている方の情報というのは、このORCAMOのところで、普通に診療情報として個人情報も含めてクリニックとの契約の中で既に扱われているわけでよいか?

説明者: そうである。

★ そのデータに関して一部匿名化して、例えば産業界にお渡ししようという目的もあるのか?

説明者: 実証の実験という意味においては、そこが肝になっている。神戸市民のところから上がっているリソースと、病院・診療所のところで診療所が入っているリソースに関して、名寄せする方法はない。例えば基本4情報でやりましょうということで、今、現実に氏名・年齢・生年月日・住所でやればいいではないかという話があるが、ここをどう突合していいのか、できるのか、どういう仕組みがあればいいのかということは、実は次世代医療基盤法、この情報信託の機能の中でORCAMOが実証したいところであるかと思う。 一方で、認定事業者に認められていないので、ここの中に名寄せをして入るというところまでがORCAMOの今回の審議範囲になっているかと思う。したがって、このデータを出すことは基本的にはないし、われわれもそれは企図していない。

★ 質問をした理由としては、この倫理委員会でどの範囲の審査をすればいいのかということがある。例えばクリニックとORCAMOが契約して、それを実際にデータに入れるというところは、恐らくこの倫理委員会の範疇外であり、それを除くと考えて、今度は左の神戸市民からのデータだけをここで審議したらいいのかという整理をしたかったので。

説明者: 実は全体のところを理化学研究所の研究として実証させていただければと思っていた。それは一つにはこのデータがどう使われていくのか、二次利用の世界にどういうものがあればいいのかということを世の中で実証してみたかったからである。そして、総務省にもそれを認識いただいたということがあった。ですから、総務省の実証全体が走っていいのかということに対し、実際に申請している当事者の一人である理化学研究所として全体の倫理的な正しさを当然問われるだろうということで、ぶしつけながら、全体のスキームで持ち込ませていただいた次第である。

事務局: 最初に事務局からご説明すればよろしかったのだが、今回審査していただく資料3の方が理化学研究所のものである。資料4の方は、理研の審査ではないが、ORCAMOから理研の方に審査3の関連研究なので理研で倫理委員会の審査をお願いしたいということで出てきており、その審査を今回はお願いする次第である。

委員長: 一つは審議資料3の参加同意書のところで、保険者番号、被保険者証記号等のかなり踏み込んだ個人情報の記載を求めているが、これはデータの名寄せをするためにどうしても保険者番号が必要になってくるということか。

説明者: 他のデータと突合できるようなキーとしてという形で入れさせていただいていたかと思う。

委員長: 審議資料4のORCAMOの方で、12ページに「研究機関や企業研究部門等の第三者に提供することがあります」と、次世代データベースからの次のところへの提供をにおわせた記載がある。このスキームにはないが。

説明者: 今回はありません。

委員長: ただ、ここにそう記載している以上、その次の二次、それ以外に出す可能性を書いているかと思っているが。

★ 両方書いてある。これはすごく気になる。

説明者: 当初、この事業を開始したときに、われわれは認定を得られるだろうという見込みの下にこれを書いていて、残ってしまっているということかもしれない。

委員長: どこの部分までを今回の審査の範疇にするのかによっても、恐らくこの左半分の方だったらいけそうであるが、右が入ってくることによって、ちょっとなかなか・・・。先生方はどうか。

★ 全く同感である。もう一つこれは確認だが、今回の審査の対象になっているデータおよびそのデータの元になっている提供者は、既に取得されている〇〇サーバーにも入っているであろうデータの話をされているのか、あるいはこれから新しく取るデータの話をされているのか、それはどちらか。

説明者: 新しく取るデータとしてご審議いただいている。

★ データをこのスキームの中でもしトランスファーするとすれば、そのデータの提供者は、この同意文書にはきちんと目を通して同意した上でということにはなるわけか。

説明者: そうである。

★ 次世代データベースに入ってくる診療所・病院からのデータだが、そこのところに関してはどう同意を取っていく予定になっているのか。

説明者: 診療所のデータが実際に多分、ORCAMOの中で上がっていくこと自体はここで契約がなされているはずで、患者さんの同意が必ずしも必要ではない状況、もしくは何か包括的にされているのかもしれないが、データを持っているとしているので、同意をもし取るとしたら、〇〇サーバーの方で同意が取られた上で、情報信託データベースで名寄せをしてもいいかということが、多分、資料3の方で包括的に同意されているという状況になり得るのではないかという気がする。

★ データの利用として、匿名化した情報であっても、その情報がどのように使われるのかということは提供者には同意を取っておかないといけないということになる。

説明者: そうである。

★ ですから、今のお話と同意をどのように取るかというのは恐らく少し次元が違うような気がする。

説明者2: 情報信託の事業者としてそのスキームが上に流れるかというところで、実際に流すかというとそうではなくて、流せるようなスキームができるかを検証したいというところになる。

説明者: そういう意味では、診療情報を上げるときに本当の個人情報としてのデータを上げるかどうかではなく、変な言い方であるが、こちらはダミーを上げるというようなことでも、そちらでは構わないということになる。
 正直、病院・診療所は別だろうという認識だったので、ここが個人として上がっていくということに関してはご審議の範囲外でもしお願いできるのなら、それでご審議を賜れればと思う。

★ 診療データの部分は外すということか。

説明者: そうである。今回、実名で社会基盤からデータが入ってきて情報信託になっていく流れをぜひ見たい、それを実証してくれということで総務省からのフィードバックがすごく掛かっていたということで、こちらを実名の流れというところで、全体の研究のスキームとさせていただければと思う。

★ この同意文書に書いてあって、私が一般市民として理解する流れと、書かれているスキーム概要は違う感じがする。それで、「個人情報の保護について」というところを見たら、「匿名加工情報と他の情報を突合して個人情報を得ることは禁止されています」と書かれているのを読むと、では、突合は一体どこで合法的に行われるのかということが分からなくなってしまって、これでは参加に同意できないと思った。

説明者: 個人のデータをここまで同意していただいて、この名寄せの瞬間に匿名化される。匿名化するときに、もちろん誰々さんという形で入ってきて、名寄せをしたけれども、もうもはや誰か分からないという状況に加工したいというのが、この肝になっている。「ここに流すというところに同意いただいてもよろしいでしょうか。その後は必ず絶対に個人のことは分かりません」という文章になっている。

★ 突合した上で個人を特定できないようにするということで、では、私がここにハンコとサインをしたら、私の医療情報とフレイルチェックや健診のデータが突合される、名寄せされてしまうことに合意したことになるのか。

説明者: そうである。こちらで同意を頂くと、医療データと匿名化した形で取れるようになるという形になるかと思う。

★ 情報信託データベースに情報を流してもいいかというところまでを理研の研究として、その情報がちゃんと流れるかどうかということのスキームだとしたら理解できるが、そこから先は本当にここで審議していいものなのかどうなのか、やはり納得がいかないというか、よく分からない。

★ 今、次世代医療基盤法で新たに目指しているビジネスのスキームは本来なら認定事業者に認められるもので、認定事業者になっていない状態では認められないものだということがあるので、何とかそこをグレーにしながら認めてもらえないかという議論をしていると思う。しかし、どこまで審議するのかということが全く見えなくて分からなくなってしまうので、やはりそこは整理しなくてはいけない。今回審議するのは情報信託データベースまでデータを送るというところだけを審議するとして、それはもう絶対に外へ出しませんという形で審議するのか、あるいは利活用者に出すということまで含めて審議するのか、やはりそこは、明確にしないと審議ができないのではないかと思う。

説明者: 1点だけ、本人の同意の下で流すことは個人情報保護法を含めて認めていただいている。その研究をしていいかというところについて、こちらに関しては同意者だけをやるので、それがアクセプタブルかどうかというのが一番、私たちの懸念としてご無理を頂いている次第である。

★ つまり、本人の同意書が、先ほど他の委員からもご議論があったところで、きちんと同意者が理解できる形になっていれば問題ないということを、今、おっしゃったのか。

説明者: そうである。

★ 理解した。

説明者: 情報信託データベースと次世代データベースはもう完全にクローズドにする、実験の期間が終わると、ここも含めて、ここのデータは全て廃棄するということにはなっていたと思うので、一度、ここまで通せればというのが、実証事業で検証したいと思っているところである。

事務局: 資料4のORCAMOの申請書について、例えば7ページの「既提供ヒト由来試料・情報」のところで、対象者が受診した医療機関の情報を使うようなことが書かれているが、今のご説明だと、これは使わないということでよろしいか。

説明者: そうである。訂正させていただく。

事務局: それから、12ページの(4)の③のところにある医療情報との突合もしないし、第三者提供もしないということになる。それで審議をしていただきたいという理解でよろしいか。

説明者: はい。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 先ほど事務局に整理していただいたヒト由来情報のところと、説明文書にある医療情報との突合と、二次利用、第三者にデータを提供しないという前提にしての審議ということになるが、いかがか。

★ これ(説明文書)で本当のことが理解できて、本当に同意が取れるのかどうかはちょっと疑問である。

委員長: この複雑なスキームを一般市民の方が同意する段階で理解できるかということになる。

★ そうである。本当はそういう深いことがあって、自分のデータが使われるのだが、それを理解しないまま、もう「面倒くさいから、まあいいわ」と同意しそうな気がしている。それで、今回の実証実験では、対象者は市役所の理解できる人に絞ると言うけれども、それで何人のデータが取れて、それで本当に実証になるのかどうか。流れを見るだけということなのか。

★ そうしたら、ダミーデータでもいいはずである。

委員長: そうである。

★ その流れてきたもの、ダミーのデータと診療情報のデータできちんと突合できるか、市民基盤から情報信託データベースへの情報の流れがうまい具合にできるかということを実証するだけだったら、リアルな個人情報でややこしいことをせずに、もうダミーデータを作って実証すればいいだけのことである。それがちゃんと流れるスキームができて、ORCAMOが本当に匿名加工をできるような事業者認証を頂いた時点で、改めて生のデータを使ったスキームを考えるということだと思う。ですから、これは順番が逆のような感じがすごくする。

★ まだ時期尚早という感じである。

★ ORCAMOがもしかしたら(匿名加工医療情報作成)事業者として認定されない可能性もあるわけで、それでも情報信託データベースとしてだけの利用というのはあるかもしれないが、そうしたら、ここで審議するスキームともまた違ってくる。

★ 先生方がおっしゃった議論は全くそのとおりであるが、やはりまずいと思うのは、研究計画書に、いろいろとおっしゃっている内容がちゃんと書かれていないことである。例えば市役所の方で分かっている方だけを対象にするのだったら、そういう方を何人と、ちゃんと人数を書けているのだったら。それが信用というものだと思うので、ある意味ではこの研究計画書から信用を勝ち取ることはなかなか難しい状況である。

★ お急ぎなのかもしれないが、やはりこれは今後のビッグデータの取り扱いとか、そういうことを考えると、軽々に「時間がないからいい」と言える話ではないような気もするし、この研究申請書も何だか、他の今まで見てきたものと比べると、やはり対象者などの限定もあやふやであり、そういうことを考えたら、ここで「はい」と言うのは難しいような気がするが、いかがか。

★ この研究目的は、将来、ああいう流れをつくって運用するためにまず流れを実際につくって、どういう問題があるかを抽出して解決することであり、そうすると、ダミーデータではなくて本当のデータを使わなければいけない理由を書いていただくということになる。そして、それが20人なのか、何人あればいいのか、それから出口は一体何なのかをきちんと明記するということで、もっと絞った条件にしていただくということを例えばこちらの委員会の条件にするというのは一つかと思う。いずれにしても時間があまりないので、できることは少ないと思うから、一体その間に何と何をされるのかという、それをもっと具体的に書いていただきたい。

★ 申請書をきちんとしたフレームで、ダミーデータでは駄目な理由とか、目指すべきゴールというか、そのカットオフというか、何を目指しているのかということをもう少し明確にして、生データを使う必然性があるのだったら、それは「理解のある市役所の職員約20名」という形できちんと限定した対象者の記載にしてもらわないと、審査のしようがないのではないかと思う。

★ 恐らくこの研究はいわゆるPoC(Proof of Concept)というものではないかと思う。つまり、ああいうものを今後つくっていく、認定も取りたいということがあって、そのために「こういうことはできました」「こういうことはここに問題があったから、こう解決しました」という、多分、3種類か4種類、この研究でアウトプットとして求められている具体的な問題があり、それが解決できるかどうかを確認したいということではないか。

★ プラクティカルなことを確認したいが、今回の審査が例えばリバイズするということになったとして、その後、どういうタイミングで委員会が開かれていく感じになるのか。

事務局: 今回は時間ないので、もし差し支えなければ、書面でさせていただくことになる。

★ 書き直していただいて、彼らが要求しているタイムフレームの中で承認まで持っていくというのは、委員会の回数としてはメール審議で十分に取れるということか。

事務局: きちんと今のご意見を踏まえた形で計画が(再度)提出されれば、可能性はまだあるのかとは思う。

★ 向こうがどれだけ素早く申請書を書き直してくるかにもよるということか。

事務局: おっしゃるとおりである。

★ そして、メールで素早い審議をして、お互いが「そこだったらいい」というものに早く落ち着けばいいというだけのことになるかと。

委員長: では、保留として、書き直していただいたものをまた審査した上で、審査結果を決めるということで、今日の判断としたいと思う。

 

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