理化学研究所 神戸キャンパス(第一地区)では、毎年恒例の一般公開を10月24日(土)に開催しました。
当日はお天気に恵まれ、さわやかな秋晴れの中、CDB会場には1,600人、CLST会場には1,579人と、過去最高の来場者数を記録!たくさんの方にご来場いただき、サイエンスに親しんでいただきました。 当日は、各会場で、趣向を凝らした様々なイベントが開催されました。その様子をご報告します!



講演会

今年4月から運用をスタートした融合連携イノベーション推進棟(IIB棟)も、一般公開会場として皆さんにお披露目しました。8階ホールでおこなった講演会には、CDB, CLST, AICSの3センターから3人の研究者が登場し、それぞれの研究を熱く語りました。
第1回目は、CDBの濱田博司センター長・チームリーダー(個体パターニング研究チーム)が登壇。「基礎研究はおもしろい!」と題して、からだが左右非対称につくられる仕組みを探る自身の研究のほか、CDBの最新の研究成果を紹介しました。
第2回では、CLSTの細谷孝充チームリーダー(分子標的化学研究チーム)が、身近にある「くすり」をテーマにした「くすりの効きかたを調べるには?」という講演を行いました。「くすりの効き方」を調べることが創薬においてなぜ大切なのか、なぜ難しいのかについて、くすりの具体例を挙げながら研究内容にも踏み込んだお話をわかりやすく解説しました。
第3回目は、AICSから、石川裕プロジェクトリーダー(エクサスケールコンピューティング開発プロジェクト)が登壇。「スパコンの世界、世界のスパコン」と題し、スーパーコンピュータ「京」や「京」の後継機として現在着々と開発が進められているスパコン ポスト「京」について、世界のスパコン情勢を交えて紹介しました。



展示とイベント:西エリア(多細胞システム形成研究センター、生命システム研究センター)】

今年もCDB会場では、大人から子供まで楽しんでいただけるように様々な企画をご用意しました。「研究者をもっと身近に感じてもらおう!」を合言葉に、恒例のオープンラボや生物展示に加え、トークショーや研究者直伝の実験体験コーナーなども開催しました。


オープンラボ

普段はなかなか立ち入ることのできない研究室の中で、研究者自身が研究の魅力を熱く語る、一般公開の目玉企画「オープンラボ」!今年は、組織形成ダイナミクス研究チーム、上皮形態形成研究チーム、細胞外環境研究チーム、非対称分裂研究チーム、立体組織形成研究チーム、感覚神経回路形成研究チームの6つの研究室が参加しました。細胞サンプルの実物を観察したり、実験操作の一部を体験したりしながら、実際の研究の楽しさ・大変さに思いをはせていただけたのではないでしょうか。


生きものたちを見てみよう!

毎年恒例の「生きものたちを見てみよう!」のコーナーでは、研究者注目の生きものたちが大集合!鳥、カエル、魚、ハエなど研究によく用いられる生きものたちのほか、珍しいスッポンの赤ちゃんや不思議生物・プラナリアなども登場。さらに、話題のiPS細胞の実物を観察するコーナーや、マウスの卵を顕微鏡下で操作する実験の体験コーナーなども設けられ、小さなお子さまから大人の方まで、たくさんの方にお立ちよりいただきました。


きみも科学者?!DNA実験を体験してみよう!・自分の細胞を見てみよう!

今年は2つの実験体験型イベントを開催しました。「きみも科学者?!DNA実験を体験してみよう!」では、ライフサイエンス研究に欠かせないDNAを扱う実験操作を体験していただきました。実験器具・ピペットマンを使っての細かな操作に苦戦しつつも、研究者のやさしい(!?)指導のもと、皆さん楽しく作業していただけたようでした。
「自分の細胞を見てみよう!」では、ほほの内側から採った自身の細胞を観察するというもの。顕微鏡で観察すると、染色した細胞の中央にきれいな核の構造が見られ、方々で感嘆の声が上がっていました。


科学者しつもんライブ!

「研究者に、気になるギモンをなんでも聞いてみよう!」をテーマに開催したのは、「科学者しつもんライブ!」。30分×3ラウンド・各回4名の研究者が登壇し、自身の研究テーマについて紹介した後、会場のみなさんからの質問にお応えしました。質問が全然出なかったらどうしよう…と戦々恐々としていた研究者たちをしり目に、「研究者ってどんな生活をしているの?」「研究をしていて楽しいこと・つらいことは?」「どんな本に影響を受けた?」などさまざまな質問が次々と飛び出し、会場は大いに盛り上がりました。
当日お答えしきれなかったご質問への回答を下記にアップしていますので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね!
科学者しつもんライブ!番外編


親子であそぼう☆サイエンス!・ブックラウンジ

今年は、小さなお子さま連れの方にも多くご来場いただきました。そんなちびっこたちにも楽しんでいただけるよう、プレイコーナー「親子で遊ぼう☆サイエンス!」をご用意しました。研究に用いる生きものなどをモチーフにしたパズルやカードゲームのコーナーの他、身近なものを顕微鏡で拡大してみるコーナーも!
また、プレイコーナーに併設して、研究者おすすめの本を紹介する「ブックラウンジ」を設置。絵本から専門的な洋書まで、様々な本を、その場で手にとって眺めていただける空間を創りました。展示している本のタイトルを熱心にメモされている方も!これを機に、ぜひ発生・再生研究にまつわる本の世界に興味を持っていただければ幸いです。


クイズラリー 科学でQ!

毎年大人気の「クイズラリー 科学でQ!」は、今年も健在。所内のあちこちに計5カ所の設問を設置しました。ちなみに、スタッフ一押しの設問は、「Q 試料を顕微鏡で観察できるようにしたものを何と言う?―①プレパラート、②マルゲリータ、③マルコポーロ、④ケセラセーラ」。全問回答していただいた方には、素敵なおみやげをプレゼントしました!


実験ショー 超低温が生み出すふしぎな世界!

バンドー神戸青少年科学館にご協力いただき、「実験ショー・超低温が生み出すふしぎな世界!」を開催しました。私たちが普段、細胞や胚を凍らせて保存するために用いる「液体ちっ素」を使って、超低温の世界が生み出すふしぎな現象の数々を披露していただきました。あっという間にコチコチに凍ってしまうお花、ふわりと宙に浮く重たい磁石など、次々とくり出される実験に、あちこちから驚きの声が上がっていました。


生命のなぞに迫る~理研CDB・QBiCの紹介~・大学生として理研で研究しよう!

休憩コーナーを兼ねたラウンジスペースでは、「生命のなぞに迫る~理研CDB・QBiCの紹介~」と題した展示を設け、両センターで行われる研究内容を最新の成果を交えてご紹介しました。
また、理研のセンターには、大学院生が研究に参加できる制度「連携大学院制度」があります。「大学生として理研で研究しよう!」では、制度の概要をご紹介した他、学生を募集する研究室のリーダーがポスターの前で自身の研究室の研究を説明する時間を設けました。研究者を目指す学生さんだけでなく、研究を詳しく知りたい皆さんが研究者と深くディスカッションする、良い機会にしていただけたようです。



展示とイベント:東エリア(ライフサイエンス技術基盤研究センター)】


ラボツアー「最先端の分子イメージング研究の実験室を見学しよう!」

CLSTのメインイベントといえば、「イメージングラボツアー」!普段は公開していないエリアにある実験機器たちを、間近にご覧いただける見学ツアーです。電子を加速して放射線を出す原子を作る「サイクロトロン」や、化合物に放射線の目印をつける化学反応を完全自動の遠隔操作で行う「ホットラボ」、体内での分子の動きや場所を特定したり、体の中の形を撮影したりする「PET/CT装置」、そして次世代のイメージングのために開発中の「GREI装置」などを、それぞれの専門家が本物の機器の前で解説しました。


見たい!知りたい!身の回りの放射線

もう一つの恒例企画である、「見たい!知りたい!身の回りの放射線!」。放射線に関するクイズを、研究員たちの解説を聞いたり、実際に放射線を身近に感じていただいたりしながら解いていく、体験型イベントです。クイズ正解者には、これまた研究者手作りの「病巣にくすりを届けよう玉転がしゲーム」に挑戦していただきました。


あなたは疲れていませんか?疲労度測定体験

CLSTでは「疲労」の研究もしています。そこで、来場者の方の「疲労度」を測定するこちらのイベント。お仕事の疲労、日常生活の疲労、精神的な疲労・・・個人の状態に合わせて、研究者が疲労軽減のためのアドバイスをしたり。なんと、250人以上の方の疲労度を測定させていただき、終わったあとには研究者の疲労度が上がっていたかもしれません!?


CLSTの研究紹介コーナー

CLSTで行っている研究を紹介するコーナーでは、今年から新たに「顕微鏡体験コーナー」「プレスリリース本人解説」を実施しました。顕微鏡体験コーナーでは、実体顕微鏡や蛍光顕微鏡を実際に覗いて、胚や細胞を観察していただきました。また、最新の研究成果のポスターの前には、研究を行った研究者本人が登場!研究内容の成果やポイントについて、詳しく楽しくお話させていただきました。


ホタルの光でスライムを光らせよう

今年は国際光年!というわけで、今年作ったスライムは、なんとルシフェラーゼというホタルの光の原理を利用して暗闇で光るスライムでした。透明な液をまぜまぜしただけなのに、部屋を暗くすると・・・キラリとした光が!子どもたちからも「うわぁー!」と驚きの声が上がりました。


ゲノムの樹 いきものつなぎ

DNAやRNAの配列を解読することは、ライフサイエンス研究の基本作業の一つ。例えば、いろいろな生物のDNA配列を調べて比較すれば、進化の道筋をたどることができます。このワークショップでは、ヒト、イルカ、カバ、きんぎょのロドプシン遺伝子を題材に、DNAが似ているもの同士を線でつなぐ作業を繰り返すと「系統樹」が描けることを実感してもらいました。

 
関連リンク 第二地区(計算科学研究機構)開催報告
多細胞システム形成研究センター(CDB)ニュース
ライフサイエンス技術基盤研究センター(CLST)ニュース

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