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No80

第80回 神戸事業所 倫理審査第一委員会 議事要旨

1. 日時:令和3年12月7日(火)14:00~15:40
2. 場所:Web会議方式による
3. 出席委員等
 
(委員)

加藤 和人 委員長 (大阪大学大学院医学研究科 教授)
上野 弘子 委員 (広報メディア研究所 代表)
黒澤 努 委員 (鹿児島大学共同獣医学部 客員教授)
林 知里 委員 (兵庫県立大学地域ケア開発研究所 地域ケア実践研究部門 教授)
野崎 亜紀子 委員 (京都薬科大学基礎科学系一般教育分野 教授)
小門 穂 委員 (神戸薬科大学社会科学研究室 准教授)
石川 隆之 委員 (地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 副院長)
北島 智也 委員 (生命機能科学研究センター 染色体分配研究チーム チームリーダー)
濱田 博司 委員 (生命機能科学研究センター 個体パターニング研究チーム チームリーダー)

(説明者)

坂口 秀哉 (生命機能科学研究センター 理研BDR-大塚製薬連携センター 上級研究員)

(事務局)

片山 敦 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)人を対象とする研究計画に関する審査(新規・変更)
(2)その他

5. 審議事項
 

1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:K2021-025
「海馬オルガノイドを用いた脳発生に関わる基礎研究」
研究実施責任者:理研BDR-大塚製薬連携センター 坂口 秀哉

【概要】
説明者の坂口研究員より研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では特に問題はないとされ、承認と判定された。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ こういった研究はヒトES細胞より先にまず実験動物で試すというのが常道だと思っているが、これが動物ではなかなかできず、ぜひともヒトでやりたい理由など、そういったものが何かあればお聞かせ願いたい。

説明者: 言われるように従来の考え方では、動物をベースにして、次にヒトということでステップアップしていくような形だったと思うが、動物でやった研究を疾患応用したいと思っても、ヒトと動物の種差があったりして、なかなか適用しにくいということがこれまであって、やはりヒトの組織で解析したいという風潮に今はなってきていると思う。
 このオルガノイド技術ができてくるまでは、ヒトの組織といったらいきなり患者さんだった。それが培養細胞で取り扱える形で、3次元の組織として創出できるというのは、精神疾患や神経疾患に対する新しいとても強力なツールだと考えられており、これまで見ることができなかったヒトの発生段階やヒトの組織というものを見るに当たって、ヒトES細胞を使いたいと考えている。

★ 大脳および脊髄への分化誘導をして、神経オルガノイドの作製を行うということで、作製を行った後はどれぐらいの期間、それはそうあり続けるのか。

説明者: これは非常に難しい問題でもあって、培養し続けようと思えば個人的な経験上は1年以上は培養し続けることができる。ただ、それは組織として生きているのであって、正しく機能しているかなど、そういうことは分からない。また、構造としても崩れていってしまう。

★ この脳関係のオルガノイドに関しては倫理的な問題についてまだ確立した形で議論が展開されておらず、いろいろなルールにも乗ってきていないところであり、時間的にどれだけ維持されるのかということによって何が起こるのかという問題も出てくると思いお伺いした。

委員長:これから行う研究は、現在の目的だと、恐らくそれほど長く培養する必要はないかと思うが、どのぐらいで終わるのか、大体のことは言えるか。

説明者: 今回テーマにしたいのは、パターニングであり、領域としては1カ月以内の培養で見られるため、そこまで長期の培養を必要としないと思う。

委員長: 京都大学のiPS細胞研究所や、いろいろ国際的な仲間と検討して、論文も出しておられ、整理をされているというのが私の印象で、とても良いことだと思っている。

説明者: この倫理の問題というのは非常に活発だが、まだ分からないことや決まっていないことがあまりにも多過ぎて、それにどうやって切り込んでいこうかということで、現状では研究者、哲学者、心理学者の人も考えてきていて、いろいろな考え方が今はすごく発散しているように思う。
 それで哲学者の方、倫理の中でも基礎の哲学寄りの方、さらに倫理学者のほか、科学や臨床面、神経内科などの意味での意識として私がいて、さらに国際的な体制を固め、この問題について、どうやって切り出してアプローチできるかというところをいろいろな分野の人で連携して、オルガノイドが持つとしたらどのような意識レベルで、それはどこからが問題なのかをいろいろな意見を集めて考えようという体制を整えているところである。

委員長: CiRAのホームページには「今後の国際的な指針作りに向けて」というところがあり、「AJOB Neuroscience」などのジャーナルで成果が公開され、先生を含むグループで責任を持ちつつやっておられるのだと思う。もし問題なければ、既報の論文についてこの委員会のメンバーで共有させていただけると。

説明者: 承知した。

委員長: そのような活動をされて、それを社会にこのように発信されて、その上でサイエンスを同時にやっていかれるというのがこれからの時代はものすごく大事であり、かつ、基本的にはポジティブなことになると思うので、新時代のピュアサイエンティストだという気がして私はとてもうれしく思う。
 実は現在、国際的なところで、ヒトの受精胚を14日目以降も培養していいのかという議論があり、原腸陥入が起こって、それで三胚葉ができてきて、神経機能が始まるのだが、その手前で止めようというのが、14日ルールの根拠となっている。そう考えると、比較的早く何らかのファンクションはあると思っており、もしかしたらそういうところもトータルで見ていっていただけると面白いのかなというのが、委員長ではなくて一人の研究者としてのコメントである。

★ 実験動物医学では、特に安楽死させるときに痛くしてはいけないということになっており、ヨーロッパでは今、イカやタコの頭足類についても痛みがあるから無闇なことをしてはいけない、安楽死させなければ駄目だということになっている。さらに今度はクレイフィッシュというエビ・カニの仲間すらも検討を始めようかという動きがある。
 一体どこまでそれをやらないといけないのかというのは、われわれも議論を重ねているところではあるが、そういう中で最初に動物はやりましたかと聞いたが、先生は極めてコンサバティブに、痛いところの前ぐらいまでではなかろうかというご意見をお持ちなので大変安心している。恐らく痛みに関してはヒトも動物もそんなに差はないと思うが、動物は、新しいことを解明するためにはそれ以外に方法がないため許容されるということになっているが、ヒトの分野でもそういった議論しているところと聞いて、大変安心して説明を聞いた。

― 説明者、所属長退席後、審査が行われた―

委員長: 委員の一名が所属長ということで、審議には同席していただいて、議決には参加されないという形でいきたいと思う。
大事なのはこの研究が必要であるかどうか、何のためにやるのかを理解するということである。いろいろ考えておられるし、大丈夫だと思うことから、変更申請をお認めしたいと思うがよろしいか。

★ 幅広いルールづくりのことや倫理的な課題など、自己組織化の問題、脳のオルガノイドの倫理的な課題については、かなり先進的に倫理的なところも含めた議論や共同研究を進められている方で、そういう形で研究が進んできたということで、これに異論は特段ないが、このタイプの研究は多分、これからも出てきたりするのかなという気もしており、今のところ社会的・世界的にノールールの状況で、どのように考えて審査していったらいいのかということが気になった。

委員長: とても大切な指摘で、この委員会はできるだけ先を見越して、先回りできる委員会になろうということでやってきたが、一つは自分がどういうスタンスで倫理的な問題に取り組もうとしているかを確認するということがまずある。
 もう一つは、日本政府のガイドラインなどが、これを許しているか、許していないかはまず確認する必要があり、現状、精子・卵子を作る場合にはこの形の審査では駄目である。別の指針(ヒトiPS細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針)に乗せる必要があり、そこは倫理委員会としても確認しないといけない。
 三つ目としては、国際幹細胞学会(ISSCR)があり、そこのガイドラインが最近改訂され、どういう研究ならどの程度の倫理的配慮をしながらすべきかということを、どちらかというと研究を進める側の立場から作っている。そこで問題があるという領域に踏み込むような研究者がこの委員会に申請してきたら、そこに照らし合わせて議論するとすれば、委員個人の意見ではなくて、ある意味で客観的な議論として議論ができると思う。世界の状況を見て、それに照らし合わせて個々の研究者と研究内容の審査をするというのが私のコメントだがいかがか。

★ 今のところ、それしかないだろうとは思う。

委員長: 今言った三つの点はどちらかというとミニマムで、それは私の考えだが、われわれこそがそのフロントラインで前向きに議論するということで、結果的には議論がスローダウンになるかもしれないが、議論するということで、研究者自身の気付きを引き出したりしながら、良い形の研究推進を図るということだと私は思っている。

★ 今回の説明者は他の先生たちと一緒に活動をされているが、そうではない人が出てきたらということは私も気になっていたので、今の点はすごく良かったと思う。

委員長: それでは承認でよろしいか。

―挙手―

 

2) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:K2021-022
「ヒトiPS細胞を用いたアルツハイマー病のモデリング」
研究実施責任者:理研BDR-大塚製薬連携センター 坂口 秀哉

【概要】
説明者の坂口研究員より新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では特に問題はないとされ、承認と判定された。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 今回の研究では時系列的にモデリングをすると理解しているが、どれぐらい先までのモデリングが可能なのか。

説明者: マーカーの発現というタイミングを指標としたのだが、この培養にすると、3次元と違ってかなり長く培養することができる。ただ生きているだけなのか、正しく海馬として機能しているのかはまた別であるが、培養自体は続けることができる。私としては、病理変化が起こるところを、できるだけ早い段階でとらえたいと思う。

★ やろうと思えば、長く検証的なことも可能で、そのモデリングの妥当性やばらつき等があるのであれば、その辺の結果も見ることができるということで、今回はやらないけれどもという理解か。

説明者: そうである。個人的には150日を超えてしまうと、サンプルがたまってきてすごく大変になってしまうので、それ以上はあまり考えていない。

★ では、その先に逆向的に見るという、逆の向きのモデリングだが、これはモデリングではないのか。

説明者: これは逆向的にたどり、どこで異常が起こるかを見ようと思っている。本当に病気として治すべきはやはり事の起こりだと思っており、病理変化が見られたとしたら、その病理変化の本当の最初の部分の変化というのは、遺伝子レベルで少し上がるとか、そういう変化になると思う。そういうものがどのタイミングで起こるのかなど、そういう形で逆向性という言葉を使った。

★ アルツハイマー病は、一般的には年を取ってから発症してくるものだと思うが、今回は海馬が発生して出来上がって短い期間でモデリングしようとしているが、それでアミロイド等の蓄積が見えると考える根拠としてはどういうことがあるのかをお聞きしたい。

説明者: 確かに一般的なiPS細胞を使ったモデリングというのは、培養期間がすごく短く、それに対してアルツハイマー病の患者さんの発症年数はすごく高齢であり、そこにギャップがあると思う。一方で、培養環境という特殊な環境なので、そのストレスなどが何か引き起こし得るのではないかという期待もあり、それでモデリングしている方はそういう研究をしていると思う。
 今回の研究で使用予定のiPS細胞株には遺伝子変異があり、こういう方のiPSの場合だと、その異常アミロイドがたまりやすい素因があるのではないかと考えており、そういった変化が見やすいのではないかと考えている。

★ 海馬のモデル、オルガノイドを作った場合、それは何か記憶のようなものをある程度持つことはできるのか。

説明者: 海馬の記憶というのは、海馬の入り口に歯状回という領域があって、そこの神経発火のパターニングの組み合わせが伝達されて、海馬のCA領域を経て大脳に行くという回路がある。その歯状回の発火の組み合わせが記憶につながるのだという仮説があるので、そのようなネットワークのない海馬オルガノイドを単独で持ってきても恐らく記憶にはならないだろうとは思う。

委員長: 関連して私から2点ある。一つはこのオルガノイドの研究分野は2000年ごろにはまだ全然なくて、その後、Making an eyeで眼の網膜を出したときに世界が仰天し、その後はいろいろバラエティが作れるようになっていき、消化器系も作れるようになってきている。
 質問としては、この先の10年や15年ぐらいの将来で、この脳の分野の研究はどの辺まで行くと思うか。

説明者: そこは私も非常に興味のあるところで、学会などに行くと、皆さんが志向しているのは病気のモデリングである。オルガノイドを使って病気を治すというものとか、バイオエンジニアリング的な、何か工学的なものを足して、もっと複雑なもの、もっと完成した脳を作りたいという方向に向かっていると思う。本当にこれが今後どこまで行くかというとき、この見える範囲における複雑さがどうして起こるのかという基礎的な研究であるとか、あとは取りあえずできる部分はもう分かってきていて、海馬はできるとか、眼はできるとか、そういうことは分かってきているので、そのできるものを使った何かの応用はできると思う。

委員長: もう一つは、先ほどA社に委託してやってもらったものを染色したと言っていたが、あれはヒト由来の細胞なので、倫理審査の問題はどうなっているのか。

説明者: 受託される会社の側でB大学と契約をされており、そこに委託する分には問題ないとのことである。

委員長: 承知した。

★ 海馬でアルツハイマー病の疾患モデルということで取り組まれておられるが、これ以外の疾患モデルをお考えであるのか、あるいは海馬などの界隈で何か別様の疾患モデルをどれぐらい作られようとしているアイデアがあるのか。

説明者: 海馬オルガノイドはそれが最先端になると思うが、大脳オルガノイドはキット化されており、いろいろな研究者がそのキットを使ってオルガノイドを誘導し、それを疾患iPSにするという取り組みはかなりたくさん行われている。オルガノイドはどうしても培養期間が30日や60日、長くても百何十日なので、基本的には発生期の病気や小児疾患をされている方が多いと思う。

★ 治療していこうという発想で疾患モデルを作るということは、とても重要なのだろうと思うが、他方でそういったものが作れるということが持つ影響力もそれなりに大きなことがあり得るだろうと思う。大脳については本当にたくさんのものが出てきているという話だが、海馬という新しいところに先生が取り組まれて、何か海馬に関して特定のというか、特異な疾患が発想としておありなのかなと思いお伺いした。

説明者: 昨年に申請したものがその一つである。

★ B大学の方から持ってくる試料について、「先方の選別による」とあるが、先生の方から条件のようなものは出されたのか。家族性アルツハイマー病の場合は年齢層が非常に幅広く、20代から50代ぐらいで発症されると聞いた。また、アルツハイマー病でも、進行の程度によってさまざまな症状が出てくるので、例えば何歳代の人とか、進行状況がどの程度の患者さんということを先方におっしゃったのかどうか。

説明者: こちらの細胞に関して理研側から何か要求したことはなく、B大学がリクルートした患者さんがおられ、その患者由来iPS細胞をA社が樹立して、包括契約のようなものがその2者で結ばれていて、それを一般に販売したり、研究目的での使用を認めたり、そういう形になっているようである。

★ 承知した。

― 説明者・所属長退席後、審査が行われた―

委員長:  皆さま、いかがか。目的も手続きも材料も説明頂き、適切に対応されていると私は思う。問題がなければ、承認ということでいきたいと思うがいかがか。

―挙手―

委員長: それでは承認ということで、また進み具合を聞かせてもらえる機会があることを期待したいと思う。

 

3) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:K2021-024
「バイオエンジニアリングとオルガノイド技術による高度な発生場のin vitro調整」
研究実施責任者:理研BDR-大塚製薬連携センター 坂口 秀哉

【概要】
説明者の坂口研究員より新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。質疑応答では、計画書の「ヒトES/iPS」という文言の意味が分かりにくいという指摘に関連し、ヒトESの実験計画の内容をこの計画に含めなくてもよいのではという意見があり、文言を一部削除することとした。審議では特に問題はないとされ、承認と判定された。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ この研究はiPSを使うだけと読めるところもあれば、ヒトESが入っている文章もあるが、どちらなのか。ヒトESもiPSもやるのか。

説明者: これは事務局と調整したのだが、(iPSが)一般に供与されていない株のため倫理審査が必要である。ヒトESは(本日審査の)1課題目の方に入るかと思う。

事務局: この計画とヒトESの計画を審査に諮るために調整する中で、ヒトESはあくまでヒトESの計画の中で書かれている必要があり、ヒトES計画の中では脊髄を作るというところを入れてもらった。このCubeデバイスを使うという具体的なところはヒトESの計画には入っていないが、脊髄を作るというところは入っているため、具体的なCubeを使った方法として、こちらの計画の中で「ヒトES/iPS」と書かせてもらった次第である。

委員長: ヒトES細胞の方はこれだけの申請書でやってきたのだったか。

事務局: そうである。ヒトES細胞については、倫理的なところはある程度スタンダードになっているところもあり、実際の使用方法の細かなところまでは記載していないのが現状である。

委員長: 三つ目の課題に関してはESという言葉を削除すればいいのではないか。これは生命科学・医学系研究の範囲の話で、ESの審査をする枠組みではないので。

事務局: 削除で問題ないと思う。

委員長: 利益相反のところにまだ未審査と書いてあるが、これについてご説明を。いつ頃に承認されそうか。

説明者: この利益相反は2件とも出している。

委員長: いつ頃に出されたのか。

説明者: 2週間ぐらい前である。

委員長: いつ頃(結果が)返ってくるかは分かるのか。

説明者: (前回は)時間がかかった記憶がある。今回この申請書の枠組みが決まったところで(利益相反も)出しているのだが、担当の方から幾つか質問があり、体裁を整えたというところまではもう終わっている。

事務局: 利益相反委員会での進捗状況については確認しておく。

委員長: 今回の場合には仕組み自体が大塚製薬との共同研究でできている体制で、しかも去年の段階から研究していて審査もされており、その枠組みの中で今回の二つの研究をするという話なので、それなりのスピードで承認されるはずだと思う。

★: これは企業からお金をもらってやっている仕事であるが、倫理的にまずいかなと思った時に、先生が大塚製薬に、これは駄目ですと言えるような感じで研究プロジェクトが進んでいるのか。

説明者: 基本的にはかなり言いやすい環境にはあり、お互いに協議して決めている形になる。

★ 少し補足すると、大塚製薬との間のコミュニケーションは、(理研の)推進室なども間に立って、うまくお互いの意見が言えるような、ちゃんと双方が納得できるような形で、もちろん研究の内容も倫理的なことも含めて進められているため、その点は恐らく心配されなくてもよいと思う。

― 説明者・所属長退席後、審査が行われた―

委員長: 皆さま、いかがか。(利益相反委員会の)結果が出た時点で承認するという方向で、基本的に承認するのだが、委員長に預からせていただいて、結果が分かった時点で承認通知を出すということを委員会で認めておいていただけるとありがたい。

事務局: 本委員会の議事の中では、利益相反委員会の結果について、最終的には計画書の方に反映し、承認に至る経緯を明確にした形で議事録に残させていただければと。事務処理としての通知の仕方は委員長が言われた形で、この計画については対応させていただければと思う。

委員長: 二つ目も同じで。

事務局: そうである。結果については、委員の皆さまにも共有させていただければと思う。

委員長: 分かった段階で。

事務局: 関連して今の結果のまとめ方について補足で説明してもよろしいか。

委員長: 説明を。

事務局: 新指針では倫理審査委員会の審査結果の出し方としては、条件付き承認という結果の出し方がなくなっている。承認、審査継続、不承認、あとは停止や中止があり、指針のガイダンスを受けて、理研でも同様の審査結果通知で出すことを考えている。
 ただ、今までは委員長が確認してという、軽微なものも多くあり、その範囲も結構広く、明らかなものは迷わず審査継続になると思うが、それ以外は内容によっては委員長の確認、もしくは迅速審査で疑義を出していただいた委員の方にも確認いただくということをこれまでやってきている。今後の審査結果の取りまとめの全体の流れとしては、基本的に委員会の場で、先ほどのような「ここを削除する」とか、そういう軽微なものは委員会で修正をするという前提で承認という結果を出していただく、また、承認とするための条件について、次回の委員会または書面審査、迅速審査で再度審査する必要があるものは、継続審査としての手続きを取らせていただければと思う。内容によってはどちらにすればいいかという部分はあると思うため、今後も委員長とご相談させていただきながら、こういう結果で出すというところを調整させていただければと思うが、そういう方針でよろしいか。
 ある程度蓄積されていくと、こういうものはこういった手続きを取るということで、これはわれわれ事務局の手続きの話になるが、計画の中身については今までどおり委員会の中でしっかりご審議いただき、その取りまとめについては個別にご相談させていただきながら進めたいと考えている。

委員長: とにかく一つずつ、承認側のものと継続側のものが存在するのだが、今日のものは確認事項がかなり軽いと見て、それを確認できれば承認なのだということで、承認していただくという形を取る。二つ目もストレートに承認と言ったのだが、利益相反のところを確認した上での承認と解釈させていただき、三つ目もそれでよろしければ、承認ということでいきたいと思う。

―挙手―

 

4) その他

事務局より、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の変更に伴う審査方法の変更が行われてから、2件の実施許可申請(理研外で倫理審査済みの計画)があり、それを機関長(理事長)が許可した旨の報告があった。

報告概要は以下のとおり

事務局: 指針が変わり、多機関共同研究があった場合に、一つの計画を一つの委員会で審査するという一括審査という審査方法として、共同研究機関はその審査結果を受けて機関の長の許可を受けるという仕組みが動きだしている。
 理研のケース分けとしては、理研が研究代表者の場合は理研の委員会もしくは所外の委員会に諮り、所外が研究代表者の場合は、所外の委員会で一括審査が終わってきたものについて、理研に実施許可が求められると考えている。
 その中で、多機関共同研究に理研が共同研究機関として参加するものについては、既に他機関で審査が終わっているため、理研としては、その審査結果、委員会へ提出した書類一式(研究計画書等)、委員会での審査の過程が分かる記録及び委員の出欠状況が分かる書類をもって、機関長(理事長)への実施許可申請がなされる。
 今回、神戸で2件の実施許可申請が出て許可されたものがあり、このファイルの形で一括申請を経て理研で許可された課題一式を共有させていただけたらと思う。このファイルは毎回、委員会のフォルダーに保存しておき、委員の皆さまが閲覧することができる状況にしておくことを考えている。今後案件が出てきた場合も、これに追加されていくという形になる。

以上

 

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