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No56

第56回 神戸事業所 研究倫理第一委員会 議事要旨

1. 日時 平成28年8月8日(月)10:00~13:00
2. 場所 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター A棟2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

加藤 和人 委員長(大阪大学大学院医学研究科 教授)
上野 弘子 委員(広報メディア研究所 代表)
黒澤 努  委員(鹿児島大学共同獣医学部 客員教授)
児玉 聡  委員(京都大学大学院文学研究科 准教授)
竹下 賢  委員(関西大学大学院法務研究科 教授)
永井 朝子 委員(兵庫県立尼崎総合医療センター 参与)
松崎 文雄 委員(CDB非対称細胞分裂研究チーム)

(説明者)

吉田 晶子(多細胞システム形成研究センター)
       網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員
仲泊 聡 (多細胞システム形成研究センター)
       網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員
杉田 直 (多細胞システム形成研究センター)
       網膜再生医療研究開発プロジェクト 副プロジェクトリーダー
荒井 優気(多細胞システム形成研究センター)
       網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員
水野 敬 (ライフサイエンス技術基盤研究センター)
       健康・病態科学研究チーム 上級研究員
大串 雅俊(多細胞システム形成研究センター)
       立体組織形成研究チーム 上級研究員
北島 智也(多細胞システム形成研究センター)
       染色体分裂研究チーム チームリーダー
片岡 洋祐(ライフサイエンス技術基盤研究センター)
       細胞機能評価研究チーム チームリーダー
久米 慧嗣 (ライフサイエンス技術基盤研究センター)
       細胞機能評価研究チーム 研究員
辻 孝 (多細胞システム形成研究センター)
       器官誘導研究チーム チームリーダー

(事務局)

片山 敦  (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真  (神戸事業所 安全管理室)
堀江 仁一郎(神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規・変更)
(2)平成27年度研究実施報告について
(3)平成27年度ヒトゲノム解析研究実地調査報告について
(4)ヒトES細胞使用計画変更について
(5)その他

5. 委員長選任について
 

審議に先立ち、委員の互選により委員長の選任がおこなわれた。

6. 審議事項について
 

1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-11
  「遺伝カウンセリングの質向上を目指したエラーの収集と分析」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 吉田 晶子

【概要】
 研究実施責任者の吉田研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、審査対象及び「エラー」の定義等について議論され、調査内容及び表現について再検討することを条件として承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ この専門家制度のようなものが外国では確立していて、日本ではまだなかったのか、それとも、外国にも専門家制度がなく、研究者が何人かいてそのうちのリポートがあるだけなのか。
説明者: 後者の方が正しいと思う。外国ではかなりしっかりとした専門家集団があるが、日本でも最近立ち上がってきたため、これからもっと高めたいというところである。
★ あなたの所属されている専門家集団というのは、外国のそういったグループに属しているのか。それとはインディペンデントに活動されているのか。こういう問題というのは何も日本だけで起こるわけではなく、どこでも起こるはずであるから、専門家集団が国際的に存在すれば、そこに規約等を設けていろいろな調査をやっていると思う。それに日本だけ入っていないのであれば、独自ではなくそういうところと相談してやる方が、サイエンティフィックにはいいのではないかと感じることからの質問である。
説明者: つながってはいると思うが、基本的に日本は独立して専門家集団が立ち上がっている状態ではあると思う。海外の遺伝カウンセラーや遺伝医療専門職の集団が組織としてそういう例を集めて対策をしているかどうかは、私自身は把握していない。
★ ここで審議しなければならない理由というのは、どの辺が一番重要なのか。本当に専門家同士であればそこでやればいいのであり、審議も要らないような気もするが。
説明者: 現段階では日本ではそのような審議というような体制は整っておらず、個人が工夫をしているという段階であるということもある。私としてはこういうことを発端として、最終的には専門職として調べるということは必要だと思うが、まずそのような体制が立ち上がらないため、これを研究として実施する以上は、非常にセンシティブな問題を扱うものではあるため、個人情報の保護の問題や、対象者を守る方法が十分であるかどうか、私自身は一生懸命考えたが、やはり専門家の先生のご意見を頂く必要があるのではないかという思いである。
委員長: 以前、別のところで審査を受けて研究を始められたわけではないのか。
説明者: 科研費としては以前の施設にいるときに通っており実施を予定していたが、今年度理研に来たため、ここでは初めてとなる。
★ こういうことをやる場合、専門家協会のような中に委員会があり、そこで研究内容等を審査するという方が実務的ではないのか。
委員長: いろいろなパターンがあるのではないかと思う。
★ 遺伝カウンセリング学会というのがあるのではないか。その学会が、自分たちの会員の質向上のために先生が考えられたようなことを考え、成長させていくということは当然、学会がリードすることでもあるかと思うが、そこのところのつながりは何かあるのか。
説明者: 学会の中とのつながりというのは特にない。倫理問題検討委員会に相談すべきなのかもしれないが。
委員長: こういう専門家集団があるところでは、そういうのもあるということを言われているため、そういうことも今後見られたらいいかもしれない。
★ この専門家、カウンセラーのエラーを聞くわけだが、本人にとっては言いたくないことがある場合、それを言ってもらうことをどのように担保するのか。公平な情報が得られないのではと思うが。
説明者: 恐らくその小さなミスから大きなミスにつながっていくときに、話せる範囲での自分のミスが、それを分析することでの新たに得られる視点というものが、大きなミスにつながるものにも共通するのではないかという予測の下で行う他ないため、語るのが難しい問題については、いつもどのインタビューでもこういう問題は付きまとってきてしまうのではないかなと思うため、その限界を踏まえながらの分析にはどうしてもなると思う。
★ エラーというからには本人の責任が伴うため、正直一番難しい問題だと思うが。
★ エラーというのはどういう意味で言われているのか。客観的事実というか、そういう資料に基づいて一定のカウンセリングを行い、その資料の選び方、つくり方が悪かったという意味で言われているのか。
説明者: そこは非常に重要だと思う。客観的な指標というのが、遺伝カウンセリングは難しいと思う。今回は基本的には実施する側が、自分がうまくいかなかったといったことについての収集であるため、非常に限られた部分というのはよく意識しているが、今までそういった形でも収集がなされていなかったため、他の人がどういうことが起こっているのかということはまるで分らないような状況である。
★ 先行研究は海外ではあるということで、幾つか事例のようのもあったと思うが、エラーの定義はされていないということか。
説明者: この先行研究はエラーに対して直接フォーカスを絞ったものではなく、専門職が自分が遺伝カウンセリングをする中での困難がどういうポイントにあるかというのをフォーカスグループとしたようなものであり、その中で、幾つか失敗してしまって困ったというような事例が挙がってきたという程度である。
★ 医療事故でもやはりヒヤリ・ハットの話や有害事象の分析という話があると思うが、あえてそちらの言葉に近づけて「エラー」にする必要があるのか。それとも言われたように、困り事、あるいは大きな意味で失敗を正直に答えてもらえるのか。「エラー」と言うと、やはり先ほど言った責任という話になり、インタビューに答えにくいということもあるかなと思うがいかがか。
説明者: それについても考えており、非常に幅が広いが、エシカルイシューの中ではやはり解決が難しいものも含まれてくる中で、エラーというのは、もしかしたら何か対策を打てば解消していくことが可能なものもあるのかもしれないという思いもある。遺伝カウンセリングの質をすぐにてこ入れできるものと考えたときには、予防できるような知識を持つことができるため、それに最初にフォーカスを当てたいという思いがあり、今回は「エラー」という言葉を用いたが、確かに対象者が語りにくいということが起こってくるかもしれない。
★ 非常に先見性の高い研究をこれからされようとしているということは分かるが、エラーというものの具体的な内容が分からないと、それがどう倫理に関わってくるかということが判断できないため、審議が少し難しいかなとは思う。
★ エラーというのは、「間違い・誤り・失敗」と明記しておられる。やろうとしておられることは、とても対応に難渋した事例の検討をし、対応に苦慮した事例で、こういうところがこの人はとても難しかったというところ、行き過ぎだった、そういうところをもう一回検討して、こういった事例の難渋したところ等を共有し、生かそうとしておられるのか。
説明者: そうである。
★ 医療事故であれば、例えば誤薬でも明らかに間違いであるが、間違いでも本当にリスクレベルの1とか2とかというレベルとか、分けて対応するようになっている。その辺のところが全然分からず「エラー」と言われた場合、ピンからキリまであるため、少し詰めてされるのがいいと考える。また、「エラー」という言葉をできるだけ使わない。医療機関などはすごく嫌うため、「エラー」と言うと、明らかに自分が間違っていたということを言ってしまうことになる。そういうことではなく、実際にカウンセリングするカウンセラーの方とのやりとりの会話の中で難しいことがあったり、相手の理解度や性格などによる場合がある。その辺りをどうされるのかということが少し難しいのかなと思う。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

★ 少し気になったのは、ここで主に審議しなければならないのは、患者等の遺伝情報をどのように保護するかと言うことが非常に重要な問題であるが、今回の研究計画の中に極めてそれは少ないと思うため、ここはやっていただくことは何でもないと思うが。
委員長: 対象者は患者だけではなく、研究の対象者のことを考える。
★ ただ、ここではその人たちは専門職として既に自分たちが認識した人を対象にしている。
委員長: 専門職が半分義務的に組織としてやる話と外部の人間が客観的に横から見て研究するという両方あり得るが、科研費としてはやはり外から見る研究であり、認めてあげるべきではないか。将来的には専門職が集団としてやるべきだと思うが。
事務局: 医療機関と医療従事者が施設内でのデータを集積・検討して、医療の質の向上のために行うものは医学系研究には該当しないということがあるが、今回は、理研は医療機関ではないこともあり、計画としては申請することとした。
委員長: 指針の解釈次第ではあるが、科研費を取って外からやっているため、形としては申請いただいた。
将来的には専門職・専門組織の中で、組織としての調査としてすべきものではないのだろうかということと、「エラー」の定義が曖昧で、かつそれを使うということが適切かどうか疑問に思われるため、再検討した上で、場合によっては調査のタイトルを含めて修正をして、委員会に報告していただきたいということだと思うがいかがか。

 

2)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-05
  「全盲者の内的視線誘導システムの開発」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 仲泊 聡

【概要】
 研究実施責任者の仲泊研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 視線はどのように測るのか。
説明者: 見えている人は、「ここを見てください」というキャリブレーション用の目標が何か所か出て、目のビデオの映像からそこを見ていると分析し、キャリブレーションで合わせるという行為が必要となる。見えていない人は、指先を持っていって「指先を見て」と言うことで何ポイントかプロットする。
委員長: その指先を見えていなくても眼球が移動するという情報を使って目の動きを測るのか。
説明者: そうである。体の動きと目の動きというものを機械的に一致させるということである。その技術そのものは、この5年か10年の間で飛躍的に進歩し、機械も安価になってきており、これからそれを使ったいろいろなものが出てこようとしている。
★ 健常の人と全盲の人を同時並行にやるのではなく、先に健常の人をやるということか。期間はどのように考えているのか。
説明者: どのくらい来てもらえるかということにもよるが、2カ月・2カ月ぐらいの範囲で考えている。募集を始めて順に2カ月ぐらいの間で健常者のデータを取る。その後、全盲の方を言葉でガイドする誘導者として、点字図書館の職員の方、視覚リハビリ施設の職員の方、心理学者の方に来ていただけると考えている。
★ 利き目が右目の方というのはどのぐらいの割合か。
説明者: やや多いが大体半々だと思う。
★ 使う機器などは全部非侵襲性のものように見えるが、倫理的な問題というのはどの辺に存在すると思われているのか。
説明者: 患者さんを対象とすることになる。
★ 食事のときのサポートにつながっていくということだが、具体的にどのようになるのか。例えば箸やスプーンで物を運ぶときに、その物がどこにあるかといったことが分かるということか。
説明者: 障がい者施設では、時計でいう何時の方向にスープがある、6時の方向にお箸があるといった言い方で説明をする。今回、EYEマークがあることによってガイドがよりスムーズになれば良いということでそれを評価したい。
委員長: ガイドしてくれるコンピュータのようなものを横に置くような形か。
説明者: そうである。カメラを置いて監視し、それがロボットになっていて言ってくれると一番いいわけであり、そういう技術に進めていきたいというのが夢である。
★ 将来的には人間がサポートするのではなく、機械、ロボットにサポートしてもらうということか。
説明者: その過程である。もう一つ間として、遠隔にいるその場にいる人ではない人にサポートしてもらう、家に居る方が外出中の障がい者のサポートをするということも可能になると思う。
★ 取りあえず今は目の前の安全な食事で、将来的には外出中のサポートにもつながっていくと。
説明者: そうである。外出は一番ニーズが高い。しかし、事故が起きたときに責任問題をどうするというあたりが非常に難しくなると思う。
委員長: 研究実施に関し時間の拘束もあるため倫理審査は要ると思うが、議論にあったようなことをうまく説明のときに入れておかれるといいかもしれない。もちろんそこは線を引いて、このようにつながっていくかもしれないということで。

【審議】
(次課題と合わせて審査)

 

3)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-06
  「加齢黄斑変性患者に適した読書評価法の開発」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 仲泊 聡

【概要】
 研究実施責任者の仲泊研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 健常者で実施し、それが加齢網膜性の障がいを持っている人と同じような状態だということはどのようにして分かるのか。
説明者: 見ようとするところが見えないという意味では似ていると思う。
★ そこから健常者でつくったシステムを適用して試してみる必要は、実際には出てくるということか。
説明者: 4文字のシステムを患者さんに対して利用していこうと思うが、一歩手前のものとして、健常者でデータを取るということである。
委員長: 募集はどのようにするのか。ホームページか何かか。
説明者: 数が少ないため機縁で知り合いに声を掛ける。
★ 何歳ぐらいの方、どういう感じの方というのは。
説明者: 高齢の方が本来はいいと思うが、大変な部分もあるため若い方を対象とする。また、心理物理の実験は本人がやることが結構多い。心理学をやっているような若手の人たちに声を掛けて来ていただくのが一番妥当な被験者なのではないかなと思っている。
委員長: 後で「こんな大変なはずではなかった」と言われないような方であることが大事であるが、変なバイアスがかからないことも。
説明者: 心理物理の別のジャンルの実験を経験されているような方であれば、あまり問題が起きないのではないかと思っている。
委員長: そこはその分野でのご判断でいいと思う。

【審議】
説明者退席後、審査(2課題)が行われた。

委員長: 侵襲があるわけでもなく、問題はないと思うが。
★ 最初の計画は患者さんが対象ということで了承。
★ 2番目の計画は倫理審査が必要かどうかということ。
★ 人を対象とする医学系研究を実施するときに、健常者かどうかというのは必ずしも問題ではないということと、健康科学、保健学科といったところであればやる可能性は十分あると思う。
委員長: 日本の医学部だと審査は基本的にやっている。承認ということでよろしいか。

 

4)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-07
  「iPS細胞由来網膜色素上皮細胞の免疫原性解析」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 杉田 直

【概要】
 研究実施責任者の杉田副プロジェクトリーダーより、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、共同研究機関の臨床研究計画の承認後を条件として承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ この類いの研究というのは、動物実験から臨床に行くということになっていたが、HLAの問題についてはin vitroだけでやるのか。
説明者: MHCを完全に合わせるカニクイザルの他家移植のモデルをやっており、そのデータではやはりカニクイザルでも拒絶反応がないという所見を得ている。逆に、MHCが全然合わないに網膜下の移植だと拒絶反応が起こるというデータも持っており、その二つを合わせて臨床の方に持っていけるのではないかという流れになる。
委員長: それを生体でいきなりやるのではなくて、in vitroのシステムを間に入れるということか。
説明者: そうである。
委員長: 「募集方法」と書いてあるが、これはこの研究で直接募集するのではなく、高橋先生の方で募集されるのか。
説明者: そうである。私は患者の募集には一切関わらない。
委員長: そこが時々混乱すると思うため、少なくとも募集方法と他のところも見ておいていただきたい。
説明者: 了解した。
委員長: これから高橋先生がリクルートされる患者さんというのは、今度は浮遊細胞の移植を研究として参加して受けられると同時に、採られた細胞でこういう研究が行われるわけであることから重要な点である。
説明者: ICの中に明記させていただきたいと思う。
★ 「自家」と「他家」について、自家に対する他家ということもよく理解できるがいろいろなところで「他家細胞」という言葉で、括弧で「他人の細胞」と書かれているが。
説明者: 違和感を持つ方がおられるということか。
委員長: 他人の細胞であるのは事実であり、それが一番普通の言葉である。
説明者: 表現方法はなかなか難しいとは思うが、それに抵抗を示される方は同意をされない可能性はあると思う。
★ 輸血のときに「これは他家です」ということは説明せずに通常の臨床で行われているが、そういうことを考慮してくださいということになるか。
説明者: ICで説明するときに、そういった説明を、少し気を付けながらするべきかもしれない。
委員長: in vitroの試験で何か拒絶反応が出たら免疫抑制剤・ステロイドを入れると書いてあるが、これは結構大きなことである。
説明者: 「可能性があります」と書いているが、実際は目の中の炎症を見て、出ていると投薬を必ず行う。例えば目の中に炎症がなくて、全身に炎症を示唆する所見だけが出た場合という組み合わせもあると思うが、その場合はドクター同士でディスカッションし、どのようにするか決める。原則、眼内に炎症が出ていない場合は、全身投薬を追加で行うということはないと考えていただいていいと思う。
委員長: その点からすると、この研究部分は結構重要で、それを説明して、分かった上で参加し、知らない間に投与されていたとすると、そんなことが起こるとは思っていなかったということに。
委員長: それがどれぐらい起こるとみているかにもよると思う。
説明者: われわれはまず起こらないと思っている。ICの説明文の中にHLAを合わせると拒絶反応は起こりにくいということは書いている。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: この説明で必要かつ十分ということでよろしいか。

 

5)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-14
  「網膜色素変性の遺伝子診断および自己免疫の検出」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 高橋 政代

 

6)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-15
  「網膜変性患者等のiPS細胞由来網膜細胞の解析、並びに同細胞を用いた網膜変性疾患治療法の研究」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 高橋 政代

【概要】
 研究実施者の荒井研究員、大西研究員より、各研究計画(2課題)の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 利益相反の問題は審査中ということか。
説明者: 既に他の会社のライセンスなどについての協議は終了している。
委員長: 利益相反委員会は未審査であるが提出済みということで、どれぐらいの頻度で審査しているのか。
事務局: 去年から今年にかけては時間がかかっているが、マネジメントが必要とか、利益相反の問題があるような場合には報告するという形で。
委員長: 軽微な変更だと思うため、説明はこれで十分である。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 特に問題はないと思う。

 

7)ヒト由来情報を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-03
  「疲労・学習意欲のアンケート調査」
研究実施責任者: CLST健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
 研究実施責任者の水野上級研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわた。審議では、調査結果の返し方等について議論され、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 匿名化は学校等で行うが、研究成果が出た場合、それはまたパブリックにも出るため学校にも成果が戻り、学校ではある特定の子どもについて、今度の研究結果でこうであったというようなことが分かってしまうのか。
説明者: 基本的には個別には返さない。例えばこの学校全体ではこういう傾向であるというような結果のフィードバックは行うが、個別の一人一人のデータについてのフィードバックは行わない。
委員長: 「連結可能匿名化」という言葉があったがそれは何のために。
説明者: 追い掛けていくためにはその個人の情報が必要である。
委員長: 何年か後に同じ人といったことか。
説明者: そうである。1年、短ければ半年後に追い掛けていくということをやる。
★ そういう個人のものはフィードバックしないということを担保しておいてあげないと、いじめなどの可能性もあるのではないか。
説明者: 実際にいじめに関わるようなものというよりも、あくまで生活習慣を。
★ 生活習慣のある個人が特定されるような情報がフィードバックされると、そうなる可能性があるが、それは出さないという説明であった。
説明者: そうである。出さないという形で進めるとはなっているが、もちろん学校側が「これはぜひ返してほしい」ということがあれば、個別に対応はできると思う。
委員長: 今のプロトコルではやらないことになっている。やるときには、変更ということで、こちらでまた第三者の意見を言わせていただけるということか。
説明者: そうである。
★ 2万人というのは、主に熊本と大阪で中心に集めるのか。
説明者: そうである。2006年のときもK大学とO大学が中心になって実施ししており、関西で言うと兵庫県と大阪府が中心であった。熊本については熊本県のみで、一応10年前との比較はできるだろうということがある。もちろんこれは日本全体のデータではないため、ここからまたいろいろな形で他の県等も散開して一緒にやっていければと考えている。
★ 地域特性のようなものがあるので幅広く。
委員長: 地域差、学校差が出たらどうするのだというようなことについては何か議論はあるか。
説明者: 実際にコンビニエンスストアに平日の夜によく通っている地域のお子さんは疲労度が高いというような結果が出てきているが、コンビニがない地域ももちろんある。そういう地域の特徴によって、関わってくる生活習慣が変わってくるため、その辺も加味した結果を出していくということになる。また、もう少しマスのデータで、例えば熊本県のこれぐらいの母数のであればこれぐらいの傾向、兵庫県であればこういう傾向、大阪だとこういう傾向という形で、結果の出し方というのは段階を踏んで見ていく必要がある。
委員長: 学校同士が、「そちらの学校はなぜそんなに疲れているのだ」というようなやりとりになるということはないのか。
説明者: 基本的には、どこの学校とやっているということは、他の学校の先生にはもちろん言わない。ただし、同じ地域の学校であれば教諭の中でのネットワークはあり、その辺でかなりシェアされている。
委員長: 教育現場への説明と教育現場の負担軽減については。
説明者: 最多で6カ月ということで、基本的には教育現場がやりたいとおっしゃるケースも結構多く意欲的であり、半年ごとでもやっていただけるところはある。
委員長: 計画書だけ見るとかなりの負担であり大丈夫かと。これをこちらから持っていってお願いしているのかと思ったが。
説明者: K大の小児科の先生が代表であるが、O大学の疲労研究の先生も、さまざまな講演等をされ、こういう研究に取り組んでいるということで、ぜひこのタイミングでやりたいという学校が結構ある。
★ いじめも生活習慣の中に入るのか。
説明者: いじめについては聞けていない。学校側でもこういうことを尋ねるのは難しいということがある。
★ そうするとこの疲労の原因、不登校、学習意欲の低下など、その根底のまでは分からないのではないか。
説明者: そういうストレスのイベント的なものはやはり難しい。
★ 睡眠時間が短いとかそれぐらいのところで。
説明者: 分布としてそういうストレスイベントはすごく大きい。ただ、この中間層のところが睡眠時間が短い生活習慣に引っ張られている要因があると思う。そこを抽出してあげるということが非常に重要だと考えている。
委員長: より多数の問題をまずということか。
説明者: そうである。
★ アンケートの「精神的な苦痛」は今の説明で分かったが、時間的にも余分に取り組む必要があるというようなことででは、「精神的」と言うほどではないと思う。何か他に精神的な理由があるためと思われていたのかどうかということを聞きたい。つまり、内面的なことを聞くことから、それによって負担が大きくなるというような面も考えておられるのか。
説明者: それは、やはり人によって感じ方というのは違うと思うため、こちらは睡眠時間がどれぐらいかとリベラルに聞いてはいるが、当事者としては自分が、睡眠時間が短いということが何か責められたような意識になるということはあり得ると思う。時間的にこれだけのものをやっていただくという負担と、内容として個人が負担と感じる可能性の両面があると思う。
★ そういうところもチェックされるということか。
説明者: そうである。それは、学校の現場の方から声を挙げていただくと可能である。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 計画書だけ見ていると、何か持っていって「やってくれ」ということかと思ったが、現場のニーズもあってやるのかなと思う。しかも同じようなことを以前実施している。
★ 調査結果を非公式にする場合もあるのか。
★ 原則はしない。
★ 研究成果を公的に発表するが、調査資料等は戻さないことになっている。
委員長: 個別にはと理解したが、全体結果を社会に向けて出す場合はそのまま学校に行くのではないか。
★ その辺が曖昧だった気がするが。
★ 個人のデータ、解析結果が行くのはまずいだろうと思う。
委員長: もう一度聞き、そこをクリアにしたら基本的には承認ということでよろしいか。

<説明者再入室>

委員長: 先ほどのプロトコルで、学校ごとに何%がこうであるといったデータは返るのか。
説明者: 学校ごとにも出す。
★ 学校からの要望があるというのは、そういうところにあるわけか。
説明者: そうである。
委員長: 全体平均がこうなっており、貴学はこうであるといったものは行く場合もあるのか。
説明者: それは希望があれば行くが、やはりやる以上はほとんどが希望される。
★ そこで例えば個人の特定が可能なような例などが書かれていたりすることはないのか。
説明者: それはない。
委員長: 了解した。それで結構である。

 

8)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-04
  「画像解析による疲労計測手法の有効性検証研究」
研究実施責任者: CLST健康・病態科学研究チーム 渡邊 恭良

【概要】
 研究実施者の水野上級研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ カメラで交感神経、副交感神経の活動をモニターするというのは、ここで説明可能か。
説明者: それはできない。我々はその内部については教えていただいていないため。ただ、実際にはデータを見せていただいて、目視では確認しているが、かなりの精度があるだろうという印象は持っている。
★ 20~49歳となっているが、49歳というのは何かあるのか。
説明者: これまでいろいろな疲労負荷試験、疲れていない方を対象にパソコンの作業をやったというときに、50歳未満の方を今までほとんど対象にしている。
★ 男女のバランスは。
説明者: 半々を一応想定している。
★ 謝金は、大学の規定に従ってとあるが、具体的には大丈夫なのか。常識的な範囲だろうとは思うが。
説明者: 確か1日8000円ほどが支払われると思う。
委員長: 交通費や時間を拘束することに対してなどと書くが、これは何も書いていないが、大学はこれで通っているのか。
説明者: 規定によるということで通っている。大学のプロトコルとして、謝金というよりも、負担軽減費という形で。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 特に問題はないと思うがよろしいか。

 

9)ヒトES細胞研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-17
  「ヒトES細胞を用いた中内胚葉系組織への分化誘導法の確立」
研究実施責任者: CDB立体組織形成研究チーム 永樂 元次

【概要】
研究者より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、ES指針への適合性等について確認が行なわれ、ES指針に適合しているとして承認とされた。

説明概要、質疑応答等詳細は以下のとおり

【説明概要】
説明者: 今回我々は、「ヒトES細胞を用いた中内胚葉系組織への分化誘導法の確立」という課題で研究計画を申請させていただきたいと希望している。基本的な話として、我々の体は、最初は受精卵からスタートし、徐々に発生が進み、内部細胞塊という状態に至ったところで初めて多能性、我々の体を構成するあらゆる種類の細胞になれる多能性を持った組織であるが、内部細胞塊がこの後、原腸陥入というイベントを経て、外胚葉、中胚葉、内胚葉と分かれ、それぞれから、例えば外胚葉から神経、中胚葉から血液系の細胞等が作られていく。このような発生のメカニズムを模倣したような体細胞の分化誘導ということが世界中で行われている。
 この内部細胞塊をin vitroでカルチャーしたものがヒトのES細胞、また、それにほぼ同等の能力を持ったものとしてiPS細胞が作られている。このin vitroでの発生のメカニズムを試験管内で模倣することで、ES細胞からドラッグスクリーニングであったり、医療に用いることができる有用細胞を作れるのではないかということで、研究を進めているところである。
 これまで我々のグループでは、この系譜、ES細胞から外胚葉系の分化誘導のところで主に研究を進めてきた。用いている方法としては、私たちのところで開発したSFEBq法と名付けた方法で、ヒトのES細胞、iPS細胞もそうであるが、シングルセルにディソシエーションした後に、小さな穴の中に細胞を自然落下させて凝集させる。ここにメディウムを、外胚葉系に進みやすいような条件を整えて分化誘導を行う。
 特徴としては、in vivoと同様の立体的な組織が形成されやすいというのが一つである。我々はこれまで外胚葉系の分画法として、例えば網膜、大脳皮質、海馬前駆体、下垂体などを調整することに成功している。
 今回申請させていただいている研究計画書では、このSFEBq法を、これまで外胚葉系を中心に行ってきたところを、中胚葉、内胚葉系の分化誘導に適用していきたいと考えているところである。中胚葉系を経て、例えば血液系細胞であったり、心臓であったり、内胚葉系の分化を経て、腸管系、膵臓、そういうものをこのような立体組織として試験管の中で再現できる、そういう技術の開発に取り組むということを考えて本計画を申請させていただいた。

【質疑応答等概要】
★ この研究に従事される研究者は、この外胚葉の研究などをやってきた方か。これまでES細胞の経験があるかどうかということが一つのポイントであるが。
説明者: 使用責任者を含め10年から8年の経験があり、他の者もヒトiPSを使った研究を行っており、ヒトESに関しても開始している。
事務局: 承認されている外胚葉系の計画にも全員参加されている方である。
★ ES細胞は新しく外部から入手するのではないということか。
説明者: 今のところ入手は予定していない。私たちがこれまで使ってきた京都大学から分配されているKhES-1等である。
★ 使用場所、機器等も、基本的には外胚葉の研究で使っていたものか。
説明者: そうである。必要な機材、機器等は一通りそろっている。
★ これまで外胚葉がやっていたものを内胚葉、中胚葉でやるということか。
説明者: そうである。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

【指針適合性確認】
-指針適合性チェックシート(指針ガイダンス)による確認-
事務局: 既に質疑にて確認いただいたが、(3)の使用責任者の氏名、略歴、研究業績等については、既に外胚葉系の計画と同じが使用責任者ということで、指針で求められる要件は満たしているということでよろしいか。
委員長: よろしい。
事務局: 研究者の氏名略歴、研究業績等ついても同様に外胚葉系の研究に既に従事しているということ、倫理教育についても受講済みであり、使用計画において果たす役割としては分化誘導技術開発であるということを含めて指針に適合しているということで問題ないか。
委員長: 問題ない。
事務局: 「使用の目的及びその必要性」ということで、これはヒトES細胞の使用に関しては、基礎的な研究ということで、目的がいずれかに合致しているかという部分を見てもらう必要がある。指針で求められている要件として、「ヒトの発生、分化及び再生機能の解明」のための研究かどうか。もう一つが、「新しい診断法、予防法もしくは治療法の開発または医薬品等の開発」という二点になっている。
 計画書中「使用の目的」等について説明においても基礎的研究ということであったが、「立体組織をヒト多能性幹細胞から効率的に誘導するための新たな方法論と分化培養法を開発することを目的とする」ということで、必要性、方法等も含めて指針と適合していると考えてよろしいか。
委員長: よろしい。
事務局: 「使用機関の基準に関する説明」については、これも既に使用されている、指針に適合している施設を使って実施するということで、B棟の2階のES実験室1、ES実験室2及びES保管室、それとIIB棟において1実験室を使用するが、ここは外胚葉系の計画でも追加しており、施設に関し、ヒトES専用のインキュベーター、その他必要な実験装置は既に整えられているということで、設備の要件を満たしているということになると考える。
 「管理体制」についても、これまでの体制と同様に、ヒトESの研究者がIDカード等にて施設を使用し、保管管理等の必要な体制が整えられている。
 「規則」も同様であるが、理研では指針を受けて、ヒトES細胞の使用に関する規則として、ヒトES細胞分配及び使用倫理規程を定めており、その中で管理体制、禁止事項等についても担保されている。このES分配使用指針第22条の禁止事項については、指針と同じ条項を規程にも盛り込んでいる。また、「教育研修計画」については、これまで申請しているものに合わせ、添付の上届出したいと思う。
 「その他」の共同研究機関先については、今回の研究に関しては、永樂研のみで実施するということである。
 以上、指針の適合性に関し、全て確認いただいたということでよろしいか。
委員長: よろしい。確認したということで文科省への手続きをお願いする。

 

10)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-08
  「ヒト卵母細胞における染色体分配エラーの原因解明」
研究実施責任者: CDB染色体分配研究チーム 北島 智也

【概要】
 研究実施責任者の北島チームリーダーより、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ これは別の研究として新しく出すということはないものなのか。
説明者: 用いる試料としては基本的には変わっておらず、不妊治療に使えない、体外受精に使えない卵母細胞を患者から提供いただくという意味では変わっていないということで、変更申請で対応するのがよいのではないかと思っている。
委員長: もともと提供してくださる方への説明では、「第一減数分裂」などの細かいことは書いていなかったか。
説明者: タイトルが「減数第一分裂」とこれまでなっているため、そこの変更をさせていただくという形で。
委員長: 入手する卵母細胞の範囲が広くなるといったことではないのか。
説明者: 広くなってはいない。
委員長: 使う場合は、継続的に日本産科婦人科学会に計画と実施者を登録していると思うが、登録されているものが少し変更されたという形で届けるのか。
説明者: そうである。これから変更申請を提出する。
委員長: 了解した。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 当所卵子ということでかなり慎重に見たが、特に問題はないかと思うが何かあるか。
★ 「対象と人数」でかなり人数が多くなっているが。
委員長: ルートが確立し、2年間で使えるということが分かったのだと思う。減らせと言う根拠もわれわれとしてはないと思うが、必要な数を使用するようにというコメントをしてもいいかもしれない。
★ 今までは第一減数分裂に限っていたが、今度はあらゆるプロセスを解析するということで、10倍ぐらいは使うということだと思う。
委員長: 培養して、少し変化させてといった違う段階を見ないといけない。
★ そうである。第二減数分裂も引き続きということだと思うが、実際不妊に使うのは第二減数分裂中期のだけで、第一減数分裂のものは使わない。それも同時に採れてくるということで、それを使うということであれば。全く使えないものも同時に採れてくるが、全く使わないものを使うというものである。
委員長: 使わないで廃棄されるものを使うということ。
★ 理由を聞かれてもいいかと思う。
委員長: 「必要最小限」と言うと言い過ぎの感があるため、「必要な数を使用するように」というコメントで承認。

 

11)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-18
  「プロテオームおよびメタボローム解析等による慢性疲労のバイオマーカーの探索および病因・病態の解明に関する研究」
研究実施責任者: CLST細胞機能評価研究チーム 片岡 洋祐

【概要】
 研究実施者の久米研究員より、本研究計画の変更内容(軽微)について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: この解析会社は当然、信頼できるところなのか。
説明者: 一緒に研究もやらせていただいているところである。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 内容は変わらないものであり、迅速に審査したい。

 

12)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-10
  「皮膚疾患の解析と皮膚再生医療に向けた基盤技術の開発」
研究実施責任者: CDB器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
 研究実施責任者の辻チームリーダーより、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、利益相反の記述に関しコメントを付した上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 病気としては、将来的にはどういうものの治療につながる可能性があるのか。
説明者: 肥厚性瘢痕、ケロイド発症のメカニズムを解明することによって、これらの治療をしようというのが本計画の目的である。
委員長: 治療は先生がよくやられるような移植するということではなくて、これに関しては理解しようということか。
説明者: まずは理解しようということである。
★ ケロイドモデルはなくはないが、ヒトのモデルになるようなものがないということか。動物でも、あることはあるが、ヒトの重篤のようなのはなかなか形成し難い。
説明者: そうである。マウスの場合、治ってしまう。
★ そういう意味では、大変意義の深い研究ではある。
委員長: 分かっていないことがたくさんあるということか。
説明者: そうである。特に動物の場合は、瘢痕が自分で治ってしまうため、ヒトのように肥厚性瘢痕になりにくい。どうしても動物モデルでできないため、特に病院の先生方と共同して、ケロイドを研究しておられる方々がどうしてもそこのメカニズムをということで。
委員長: 先生の培養の力があるので、一緒にやるということか。
説明者: そういうことである。
委員長: 試料の入手等は他の研究でやっておられるところとよく似ているという理解でよろしいか。
説明者: そうである。基本的には、どうしても切除しなければならない患者の場合のみ、サンプルが提供される。それから、未成年の場合もやはり同じように関節等動かなくなってしまうことがあるため、それを切除することがあるということで、代諾を得て使うということが、あらかじめ病院で許可が下りている。
委員長: 未成年者の場合は何歳以上か。
説明者: 過去、倫理委員会に申請した毛髪再生に関わるところでやはり皮膚の研究の内容が入っており、やはり1歳や2歳といった若齢の方のケースがある。ケロイドの場合も、年齢や部位によって早期に切除するという可能性もあるということは伺っている。
委員長: ケロイドというのは、やけどだけではなく、病気としても処置するのか。
説明者: 自然発症のように盛り上がってきて、心理的にも機能的にも患者の苦しみは大きいということで、切除する場合が多いと聞いている。
★ よく言われている小さい子に生まれつきあるような赤いあざのようなものか。
説明者: そうである。小さい場合は問題ないが、大きい場合には10cm2を超えるケースもあり、そういう場合や非常に肥厚して盛り上がってくる場合に切除すると聞いている。
★ 研究資金と利益相反のところで、施設によって少し書き方が違うと思うがよいのか。
委員長: 先方はもう承認されているのか。
説明者: 承認されている。
委員長: 大学と研究機関で表現が違うということもあるが、われわれとしてはコメントしてもいいかもしれない。
★ 口頭で説明の際に。
説明者: 場合によっては、その点、先方に相談してみる。
★ 同意説明文書のイラストは特に本文と関係ないようなものだがどうなのか。手術のときに採り出した組織を使うというだけなので、ここでは不要ではないのか。
説明者: 恐らく、オペの際の麻酔をイメージされたのではないかと思うが、これは先方の資料である。その点もご相談してみる。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 利益相反のところはコメントとして、非常に簡単な記述の場合はもう少し書かれたらいいのではないかというコメントを付ける。その上で承認ということで。

 

13)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-09
  「器官発生プログラムを再現した毛包再生医療の実用化にむけた基盤技術の研究開発」
研究実施責任者: CDB器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
 研究実施責任者の辻チームリーダーより、本研究計画の変更内容(軽微)について説明があり、審議では特に問題なしとして、承認とされた。
 また、次回委員会において申請予定の研究計画の概要について説明があった。

次回申請予定の研究に関する質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 個人情報を連結したものを扱う事務局と、非連結の状態のデータを扱う会社の関係はどうなっているのか。
説明者: 同じ会社であるがデータベースを二つに全く分けて作る、データ管理にたけた会社であり、そこの企業の中に全く異なるデータベースを作るということを意味している。
委員長: 大企業の系列会社か。独立しているのか。
説明者: 独立した企業である。
委員長: 近いうちに申請されるということか。
説明者: そうである。ゲノム情報も含んだ形での大きなプロジェクトであり、委員会の意見を伺っておき、申請時にそれを考慮した上で記載したいと考えている。
★ 個人が同意したが、「やはり気が変わった」というのがあるが、インフォームド・コンセントのときはそれは担保しており、何かその仕組みは要りそうである。
説明者: それは入れるように考えている。
委員長: 今、ゲノムは単体で個人識別符号という個人情報になるのではないかという話があるが、そこはどう検討されているのか。
説明者: 共同研究機関の一つがゲノム情報の取り扱い等について、かなり国とのやりとりも含めてその企画に携わっていることから、情報はかなり正確な在り方で整えていけるものと思う。
委員長: ゲノムの長さがかなり長い、あるいは変異情報をたくさん持ってしまうと、多分、それは個人情報になりそうである。大規模にデータを扱われると、これは「個人が特定されない形で」といういつもの表現が使えないのではないかと思うが、その企業は自分のビジネスの方で当然検討していると思う。
説明者: そうである。その辺りはかなり慎重にやっておられるため、我々としては、ゲノムの部分に関しては議論を詰め、一番新しい、正しいやり方で申請したいと考えている。
★ 非常に面白い研究だと思うすが、その当人の髪の毛がその本人のものだというのは、どのように確認、保証できるのか。
説明者: それは、健康診断の例えば検尿や検便なども同じリスクを背負っていると思う。その点は、信頼するしかないのではと考えている。
★ 毛髪だと容易にすり替えが利いてしまうような類いのものであり、何か工夫が要りそうで、せっかくのビッグデータの信頼性が得られないと、データベース全体がもったいない。
説明者: 言われるとおりであり、一番最初は信頼できる方々から集めるしかないと考えている。
委員長: 今の段階では、ものすごく引っ掛かることがあるということではないとは思うが、まず申請してみて、個人情報、ゲノムのところは少し検討が必要である。

 

14)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-12
  「ヒト脳脊髄液におけるペプチド定量系の開発および新規精神疾患診断マーカーの探索」
研究実施責任者: QBiC合成生物学研究グループ 上田 泰己

 

15)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-13
  「三次元イメージング技術を用いた病理組織診断の標準化」
研究実施責任者: QBiC合成生物学研究グループ 上田 泰己

 

16)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-16
  「ヒト大腸ポリープにおける細胞分裂機能変化の解析」
研究実施責任者: CLST細胞動態解析ユニット 清末 優子

【概要】
 事務局より、研究計画3課題の変更内容(軽微)について説明があり、審議の結果、いずれも承認とされた。

 

7. 報告事項について
 

1) 平成27年度研究実施報告について

事務局より、平成27年度に実施された計画について報告があった。

2) 平成27年度ヒトゲノム解析研究実地調査報告について

事務局より、平成27年度に実施したヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に基づく、実地調査の結果に関し、該当する9課題について報告があった。

3) ヒトES細胞使用計画変更について

事務局より、前回委員会以降に実施したヒトES細胞使用計画変更(研究者の追加、削除等)について、研究機関の長の承認後、文部科学大臣宛の届出手続きを行なった旨の報告があった。

 

 

以上

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