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No57

第57回 神戸事業所 研究倫理第一委員会 議事要旨

1. 日時 平成28年12月27日(火)14:00~17:00
2. 場所 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター A棟2階 大会議室
3. 出席委員等
(委員) 加藤 和人 委員長(大阪大学大学院医学研究科 教授)
上野 弘子 委員(広報メディア研究所 代表)
黒澤 努  委員(鹿児島大学共同獣医学部 客員教授)
竹下 賢  委員(関西大学大学院法務研究科 教授)
松崎 文雄 委員(CDB非対称細胞分裂研究チーム)
(書面審査委員) 永井 朝子 委員(兵庫県立尼崎総合医療センター 参与)
児玉 聡  委員(京都大学大学院文学研究科 准教授)
(説明者) 辻 孝  (多細胞システム形成研究センター)
器官誘導研究チーム チームリーダー
岡田 康志(生命システム研究センター)
細胞極性統御研究チーム チームリーダー
六車 恵子(多細胞システム形成研究センター)
非対称細胞分裂研究チーム 専門職研究員
清末 優子(多細胞システム形成研究センター)
細胞動態解析ユニット ユニットリーダー
仲泊 聡 (多細胞システム形成研究センター)
網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員
水野 敬 (ライフサイエンス技術基盤研究センター)
健康・病態科学研究チーム 上級研究員
(事務局) 片山 敦  (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真  (神戸事業所 安全管理室)
堀江 仁一郎(神戸事業所 安全管理室)
4. 議事項目
(1)ヒトES細胞使用計画変更について
(2)ヒト由来試料等を用いる研究計画等に関わる審査(新規・変更・継続)
(3)その他
5. 審議事項について
1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-37
「器官発生プログラムを再現した毛包再生医療の実用化にむけた基盤技術の研究開発」
研究実施責任者: CDB器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
研究実施責任者の辻チームリーダーより、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、未成年者への説明文書等について議論され、対象年齢を共同研究機関に確認することに関しコメントを付した上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 動物実験が含まれているが、これは最終的に目標としているのは人に毛を生えられるようにするということか。
説明者: そうである。
★ これが美容ということになると、特に欧州では、化粧品については動物実験が全面的に禁止であり、美容系のものについても相当のところまで踏み込んで輸入が禁止されている。
説明者: 基本的には、美容の領域で用いることはあまり考えておらず、毛包の再生に関しては、ヒトの再生治療ということで、世界各国でできることだと考えている。動物実験はどうしてもやむを得ない、例えば前臨床などの場合に予定しているが、当然美容の領域などで期待されているのは、皮膚組織、それもシャーレの中に入った皮膚組織で、現状、毛包が入っていないような皮膚しか試験に使えていないため、この計画の中でシャーレの中で人工皮膚を作成し、そこに毛包皮脂腺が付いたような、完全なin vitroの再生組織を提供するとすれば、ヘルスケアの領域で非常に有用性が高いと考えている。
委員長: 最終的にはシャーレの中で。
説明者: そうである。ご指摘のように動物実験を使わない系が進んでおり、再生皮膚に関しては全てシャーレの中で、毛包再生に関しては毛包再生治療という、再生治療としてワールドワイドに普及させようという計画である。
委員長: 本日欠席の委員から書面でコメント、質問が二点あり、一つは、未成年者の参加があるということで、未成年者向けの説明資料は要らないのかという質問である。
説明者: 今回の内容に関しては、中央市民病院では、基本的にこの内容で未成年の方にもインフォームド・コンセント、代諾者の了解を取った上での内容になっており、これまでのインフォームド・コンセントの取り方と基本的には変わらないと聞いている。
委員長: 実際15歳以下など、アセント文書等を用意するお子さんがおられるのか。
説明者: 基本的には成人の患者からオペで出てきたものが中心であり、未成年の年齢に関しましては確認をとることとしたい。
委員長: それはお願いしたい。やはり本人に説明するのが基本になる。
説明者: 15歳以上であればよろしいか。
委員長: 15歳以上なら同じ文書で結構である。 もう一つは、利益相反のところに研究資金の出所が書いていないということだが。
説明者: 「研究資金の調達方法」で、「その他」のところに「共同研究費」と書いてある。共同研究費というのは、理化学研究所内で言う場合には民間企業との共同研究費であり、共同研究機関と締結した共同研究費に基づいて実施するということでご了解いただいたのだと思う。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: コメントを付けて承認とする。

 

2)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-38
「毛髪診断技術の確立に向けた毛髪の性状解析研究」
研究実施責任者: CDB器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
研究実施責任者の辻チームリーダー及び代表機関の責任者より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、代表機関、解析担当機関の関わり方等について議論され、説明同意文書の構成の再確認・修正、遺伝カウンセリングの検討、遺伝子解析に用いる試料についての整理を条件とし、解析担当機関における情報管理、倫理体制等の状況、コンソーシアムの進展等に伴う研究体制等の説明文書への記載の検討等に関するコメントについて、事務局で取り纏めた上で委員長に確認を求め、条件付き承認あるいは審査継続等の判断を仰ぐこととされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ この代表の会社は、ヒトの材料を使った匿名性を保つような他のプロジェクトもたくさん抱えられているのか。
代表機関説明者: ヒト組織を扱う上で、倫理委員会も当然開いた上で実施している。
委員長: 今回はゲノムの研究であるが、ゲノムの審査はやったことがあるのか。
代表機関説明者: ゲノムに関してはなく、まずヒトの検体を取るということについては、これまでのわれわれのノウハウがある。一方で、遺伝子の部分については今一緒にやらせていただいている解析担当機関に完全なサポートをしていただいている。
委員長: 代表機関として倫理審査をやることができるかという質問である。
代表機関説明者: 倫理審査は今準備している。
委員長: 解析委託機関は委託契約か。
代表機関説明者: 現状の形では委託契約である。我々は今後も彼らと一緒に連携していくに当たり、今回の部分に関して、彼らから助言を受け、その倫理委員会の進め方というところをやりとりさせていただいている。
★ 唾液を取るという必然性は何かあるのか。
説明者: 髪の毛の根元で遺伝子を見ることはもちろんできる。従来の方法として、解析担当機関が唾液で取るシステムを使っており、その両方での一致性というあたりも今回確認しようということで、あえて毛髪だけではなく、唾液も入れさせていただいた。
★ 唾液というと、唾液中にある細胞を見るのか。
説明者: そうである。
委員長: 計画書のどこに書いてあるのか。その遺伝子の情報が毛髪で取ったものと唾液で取ったものが同じかということかと思うが。
説明者: 一致性という言葉、文言は入っていないかもしれない。
委員長: 以前聞かせていただいたときに、網羅的というか壮大な健康管理プロジェクトのようなことだったが、今回はその一部を基礎的なデータ取りのために始めるということか。
説明者: そうである。
委員長: 特に遺伝子解析から見たときに何が目的なのか。
説明者: 毛髪疾患と遺伝子多型の関連ということで、対象とする遺伝子というところに記載させていただいた。その病気の状態と、髪の毛と遺伝子に出てくる情報を突き合わせ、どこに相関が取れるかということを見たいということである。
委員長: 少しややこしいのは、この代表機関が主体なのか理化学研究所が主体なのかがよく分からないところがある。
説明者: 連結可能匿名化に関しては、代表機関が全て行い、ここから出てきたものに関して個人を特定する情報を持たない状態で解析を行なう。
委員長: 解析担当機関で出たDNAの情報を、理化学研究所としては、いろいろな細胞レベルのチェックをしたものと合わせて、研究として理化学研究所で匿名化された状態でIDで合わせていくのか。
説明者: そうである。健常者と毛髪関連疾患の方と、毛髪の形態とか組成の違いを見る。もう一つは、遺伝子の多型を両者で比較する。この比較によって、例えば形態の変化と遺伝子の異常や疾患の異常の全てを関連付けて解析したい。それが例えば病気の発症度であったり、ある特定の毛髪関連疾患と言っても多種類あり、その中のある毛髪関連疾患の方は、例えば毛髪のミネラルの成分の何らかがおかしくなるとか、形態の変化が認められるとか、そういうところを互いに比較していくことによって見いだしていこうという取り組みである。
委員長: 理研と代表機関両方が研究としてやると。
説明者: もともとそうであり、共同研究も締結している。
★ この代表機関はどのようなことで利益を上げる会社なのか。
代表機関説明者: まだバイオベンチャーとして、ビジネスとしてどうやってできるかというところを探っているところであるが、この研究をしたい理由は、最終的にAGAになられる疾患患者の今の毛質と遺伝情報を含め、この関係性、相関を見たところで、最終的に毛髪再生医療というところの事業として我々は考えている。そのターゲットになる患者がどういう方であるのかというところを調べていかないと、最終的な患者を見つけにくいというところがあり、まさに今回の研究が、最終的な我々の毛髪再生医療につながると思っている。
★ この代表機関は、先生とは毛髪のところで組んでいるが、他の疾患等もいろいろやろうという会社か。
代表機関説明者: 可能性としてはあるとは思っている。
説明者: 当該機関に限らず、参加したいという他の企業もあるため、その場合には都度、倫理委員会に図らせていただく。
委員長: つまり世の中ではあまり毛髪の再生について、遺伝性要因をテレビのコマーシャルで言ったりすることがないと思うが、恐らくはそれなりの部分において大事なことであるため、単に毛髪を作って植えるという移植医療を考えても、それだけでは実際の医療は進まないことから、裏にあるいろいろな遺伝性を見ていかないといけないということで、会社としてはそこにまず投資するという感じか。
代表機関説明者: 言われるとおりである。
委員長: 書面での質問は、ヒト試料は理研で保管するとあるが、代表機関が保管するようにも見えるとあるが、試料自体も匿名化された上で理研に来るのか。
説明者: 来る。代表機関では一時保管するような形になる。
事務局: 補足になるが、解析データなどは、代表機関の方で専用サーバーを保有し、そこに解析結果が集まってきて、それを理研と共同で解析に資するというような形でよろしいか。
説明者: そうである。
委員長: 個人情報レベルのデータを入れているPC、サーバーと、匿名化されたゲノム情報や研究情報の入るサーバーは当然、別物か。
代表機関説明者: 言われるとおり全く別物である。
事務局: 確認になるが、今回の申請では、ゲノム解析は理研では行わず、解析委託機関でのみ行うという形であるが、遺伝子解析した結果がサーバーにあり、その情報解析データの取り扱いはあるというような形か。
説明者: そうである。
委員長: 資金の調達について民間資金取得予定とあり、利益相反マネジメント委員会への提出が12月となっているが、これはどういうことか。
説明者: 今回外注先と書いてあるが、相手機関と共同研究を締結し、コンソーシアムを形成してやっていく予定であったが、会社の数が多すぎてなかなか動かないということがあり、ただし理化学研究所としては、コンソーシアム形成に当たって利益相反については見てもらっている。
委員長: 利益相反というのは予定で申請できるのか。この会社からこれだけ来るという、そういうことで申請するのではないのか。
代表機関説明者: 共同研究を進めさせていただいている部分で言うと、共同研究費を理研に払っているという形であるため、その分は少なくともある。
委員長: 予定というのは、さらなる資金が来る予定だという意味か。
代表機関説明者: そうである。
委員長: これは現在あるものを書いていただき、さらに取得予定と書いていただかないと困る。
説明者: 了解した。
★ 同意説明文書で、非常に文字が詰まっていて読みにくい。また冒頭の文章が何か上から目線な感じがし、全体的に読みにくい。この辺をもう少し相手に読みやすく分かりやすく工夫していただきたいと思う。
委員長: 同意書のところに「遺伝子解析を行うこと」というのが書かれていない。説明しながら、チェックしていく様式ではなく、これは少し困る。
説明者: 了解した。
委員長: 解析担当機関がインターネットを介した遺伝子解析をやっているのは有名な話であるが、これは一応切り分けるのか。コマーシャルでDNAの解析のサービスをやっているのではないか。そこが関わるのか。
代表機関説明者: 関わる。
委員長: 関わるが、この計画に参加したからといって、患者、健常人の方が、解析担当機関のサービスを通して結果が見られるわけではないのか。
代表機関説明者: 別途、今回のもので作る形になる。
委員長: 理研CDBが直接この解析担当機関にDNAの解析を委託するのであれば、私としてはもう少し解析担当機関がDNA情報をきっちりと扱ういろいろな方策があるということを見せてほしいと思っている。別のところで、私が委員をやっているところでそういうことを結構気にしており、企業が倫理面、セキュリティ面がどこまでしっかりしているかということは、新しい分野なので分からないため、倫理委員会としては結構気にしている。データセキュリティはこういうことをしているということが、普通は委託するときにあると思うため、見せていただけたらと思うが。
代表機関説明者: その辺は解析担当機関との相談にもなってくるかという気はする。
説明者: セキュリティに関しては、プライベート・サービスをやられるぐらいなので十分配慮されていると。
委員長: プライベート・サービスをやっているから大丈夫というのはちょっと違うと思っており、あれは商業的なもので、ゲノム指針は研究のための指針であるため、そこはすっきりしていないところがある。研究として研究データが行くものがしっかり扱われているかを間接的なレベルで確認したい。
説明者・代表機関説明者: 了解した。
★ 先生が理研で作ったデータがあるが、これは代表機関と共同研究であるためシェアしているわけか。
説明者: そうである。
★ そのデータ自体が解析担当機関に行くのか。
代表機関説明者: 今のこの仕組みでは行くことはない。
委員長: 解析したら、返ってくるが、向こうには残らないのか。
代表機関説明者: コンソーシアムの大きな構想の中では、そのコンソの中で情報のやりとり、匿名化された情報の中のやりとりということはしていこうとはまずは考えているが、第一段階の、今回の倫理委員会に提出させていただいている中では、あくまで委託・受託の関係であり、逆に言うと、彼らから情報をもらうという形になる。
★ 個人情報が解析担当機関に渡ることは今回はないのか。
代表機関説明者: もともとなく、理化学研究所との共同研究での内容を彼らに戻すということも今回の仕組みではない。
委員長: 遺伝カウンセリングは要らないと言われたが、遺伝性の要因の強い患者なので、データそのものは返さないポリシーで結構だが、関連の不安を持たれたときや、家族のことも調べてもらえるのかとか、いろいろ来たときには、普通は遺伝カウンセリングを用意しておくものであり、お考えいただければと思う。もう一点は、試料・情報は提供しないとあるが、説明文の中で、もしもコンソーシアムで、将来的に製薬系、化粧品系の会社がこのゲノムデータや試料の一部を使いたいと思われる可能性があるのであれば、それに当たる説明を入れておく方がいいかもしれない。そうでないと、代表機関と理研だけのデータで、あとは使えないということになる可能性があり、もし本当に広がっていくのであれば、倫理的には説明しておく方が正しいやり方である。
説明者: 形が変わる都度、倫理委員会に提出させていただこうと思っており、今回はこの形にさせていただいた。
委員長: 説明は再同意をとらないのであれば、最初に入れておかないといけない。やがて本格的にたくさんの企業がゲノム情報を使うときに、果たして倫理委員会は最初の同意だけで承認できるかというと、どうかというのがある。将来的に他の企業が共同研究でその情報を使う可能性があると入っているのか。
説明者: 現状は入っていない。
委員長: ゲノム指針では、それを入れておくべきとなっている。正しく説明するという意味では、入れておく方がよろしいかと思うため、それはご判断いただきたい。
説明者: 了解した。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 実際にできることから始めるということで、解析担当機関はやると言ったのか。
事務局: 以前打ち合わせ時に、解析担当機関はそういう情報をもう持っているため、そういう手法を活用してもらいたいという方向という話は言われていた。
委員長: 解析担当機関がこのデータを利用しないという文面はないのか。
事務局: ない。
★ 共同研究機関という枠組みに解析担当機関に毛髪検体を送ると入っていないがそれはそれでいいのか。委託契約ということであれば、共同研究ということではないのか。
委員長: そこは違う。が、単なる委託研究の業者に業務で出しているというのを超えている形をやっており、実際は解析担当機関が共同研究先のように見える。
★ 実際、将来それを考えているのではないか。そうなった場合、コンソーシアムでやることになった場合は、新たに倫理委員会に提出するということ。
委員長: 委託先だったが、実は共同研究先として変更申請を出すという感じである。
★ そうなると、解析担当機関とは情報共有することになる。個人情報は別にして、ゲノムの情報と。理研で得た情報は、コンソーシアムで将来使うということになれば、また新たに倫理委員会に提出すると言っていたが、そうなると明らかに共同研究である。
委員長: 共同研究機関として、解析担当機関を位置付けた方がいいのではないかという。
★ 意図にそれがあるのであれば、いずれあると言っていただかないと具合が悪いのではないか。そういうものがないということで承認したとして、続いて変更届で「やります」と言った場合、すでに材料を取る人からは、そういうものがないということで承諾書をもらい、物が動いてしまっているところでそれをしたら、もう1回、全て戻すのか。やるのであれば、初めから包括的に言っておかないと。
委員長: 公的機関同士であれば既存試料ということで一度プロジェクトが動いており、そこから次へという形の場合、倫理委員会レベルで承認する場合がある。
★ 倫理委員会で大事なのは、個人の不利益は本当に守られているかということを考えなければ駄目である。大きいデータを作り、やがて医療のために役立つというのはよく理解できるし、構わないと思うが、個人に不利益なことが起こらないようにいろいろルールや指針を作っているわけである。しかし、それを本当に会社が守るかどうかということは誰も知らないことになる。
委員長: コンソーシアムに関して説明がなかったが。
★ そういうものを作っているということは聞いているが。
★ コンソーシアムが大きすぎてまだ動かないため、ある特定のところでまず少数例をやりたいような印象に聞こえたが。
委員長: ゲノム研究としては結構本格的な研究になり、かなりの部分を解析担当機関が担うため、共同研究機関として位置付け、それを同意文書に説明し、勧めるという方がいいのではないか。
事務局: 整理させていただいてもよろしいか。条件としては、説明文書および同意文書に関しての再確認。説明文書および同意文書に関し、文章構成等の再検討・修正等を行うとともに、将来的に使用する計画に関しても、追記を検討する。それと、遺伝カウンセリングの必要性について再検討を行うという点が条件として。
解析担当機関が絡むものについては、条件とするか、コメントとするかという部分はあると思うが、解析担当機関における倫理審査体制等についての補足説明を一応聞かせていただく。
委員長: それは、代表機関に関してである。委託であれば必ずしも委員会は要らない。
事務局: 倫理体制というか、代表機関との関係において。
委員長: データのセキュリティや倫理的取り扱いについての体制。
事務局: 代表機関が解析担当機関に相談しながらやっているという話があったため、どういう体制で遺伝子解析などをされているかという補足説明をコメントとして求める。また、将来的な本研究計画、コンソーシアム等の進展等に関し、解析担当機関との研究体制と理研との関係、将来的な体制についての説明、検討というような形で入れてもらうという方がよろしいか。
委員長: 主として解析担当機関を含む、コンソーシアムに参加すると思われていた会社と、将来、共同研究をする予定があるのであれば、現時点でも共同研究機関として位置付けた方がいいのではないかということである。そこで「はい」と言われたら、やはりそちらを向いて行ってもらうしかないと思う。予定が変わり、解析担当機関は当面何もないと言い切られるのであれば、委託解析機関として認めるということでよろしいか。
★ もう一つ、計画書を見ると、毛髪のところだけを解析するような話をされていたが、よく見てみると、毛髪に付いている毛根の辺りにいる毛包の細胞、そして唾液の中の細胞の両方を見るような話になっている。
委員長: 先ほど指摘したところなので、それも言っておいてほしい。
★ 取りたいのは唾液ではなく、唾液中の細胞、毛根に付いている細胞も解析したいという意図が伺われるため、それを明確に書いておかないと駄目なのではないか。
委員長: 唾液と毛根細胞を用いたゲノムの解析について、少し切り離して書くということを投げてみる。
★ 解析担当機関が共同研究で入る場合、説明文書の中にも入ってくるのか。
委員長: そうである。
★ そうすると、一般の方は驚くというか、戸惑われると思うが。その際は解析担当機関がどういうことをしているか、丁寧な説明が必要だと思う。
委員長: 共同研究すると言っておられるようなものであり、解析担当機関を書いたときに、研究がどのように受け止められるかは、私たちが考える問題ではなく、全体がそういう体制であるのなら、そのとおりやってもらわないといけない。場合によってはメールで流し、途中から継続審議的にやるかもしれない。納得できなければ、もう一度この場で審査すると、私が判断するかもしれないということでよろしいか。

 

3)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-33
「ヒト由来iPS細胞を用いた循環器疾患の病態解明と新規治療法開発に関する研究」
研究実施責任者: QBiC細胞極性統御研究チーム 岡田 康志

【概要】
研究実施責任者の岡田チームリーダーより、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 理研が主として行うのか。共同研究機関でも十分やれそうな感じがするが。
説明者: 共同研究機関で実際に心筋を作ること自体は既に行われているが、その過程で細胞がどう変化していっているかということを見るためには計測システムが必要で、それが今、理研にしかないため持ってきて理研で計るということである。大学から共同研究で心臓外科の先生が理研に客員研究員として実験をするという形になる。
★ この過程は、既に動物の細胞を使い、いい成果が上がっており、それに基づいて、今度ヒトでやろうという考え方でよろしいのか。
説明者: マウスのES細胞では行っているが、マウスES細胞とヒトiPS細胞では違うがあるため、やはりヒトで最初からやり直す必要があるだろうと。
★ 同じようなことを動物の細胞を使って行うのか。
説明者: そうである。我々はもともと循環器ではなく神経の方をやっていたため、マウスのES細胞から神経に分化させ、これに説明したような内容のことをやるということは、既に我々のところで動いており、その実績があることからそれを心臓に適用したいということである。
委員長: この説明文書でこれからこの研究のため同意を取り、それからiPS細胞を作るのか。現状のiPS細胞なら既に作られており、それを使えばいいと普通は考えると思うが、そうではないのか。
説明者: 今使っているiPS細胞と、これからこの研究で使おうとしているiPS細胞で、樹立の方法が少し違うらしい。そういう意味で、同じ方法でコントロールとして取ったものを使った方がいいだろうということで、最初から今回の研究でこのために樹立する、ボランティアの方由来のiPS細胞を使おうという計画になっている。
委員長: 欠席の委員からコメントがあり、疾患名を記入するというひな型のままになっているのは。「あなたの病気の病名」というのは複数の心臓疾患か。
説明者: そうである。
委員長: 使うときに入れるのか。全体はいわゆるiPSネットワークの説明文書だということか。
説明者: そうである。
委員長: 遺伝子解析まで入っているが、今回、遺伝子解析はしないのか。
説明者: 少なくとも、我々の方では行わない。これはもっと大きなプロジェクトの一部で、共同研究機関の方で循環器内科の方がヘッドになってやっているプロジェクトの、さらにその一部の心臓外科でやっているものの一部がうちと共同研究という形になっている。
★ こちら側で形態などを観察したデータが向こうに渡れば、共同研究機関ではそれを連結して解析するということは当然想定されることか。そこはやらないということは、もっぱら形態を見るということか。
説明者: そうである。顕微鏡で観察するのがわれわれのミッションである。
委員長: 論文を書くときはどうなるのか。 別の論文か。
説明者: 論文はどうなるか分からないところがあり、例えば共著で書くのであれば、共同研究機関の方のデータが入るという形ももちろんあると思う。理研だけで単独で論文にするのか、共同研究機関と共著で書くのかでその辺が変わってくると思う。
★ それは、共同研究機関でという大きなプロジェクトの一部として、心筋の細胞というものを実用化するというその方向に向かっているという意味か。
説明者: 最終的なゴールはそちらの方向である。
委員長: この共同研究機関の承認済みの研究計画はゲノム研究も入ったものか。
説明者: 入っていると思うが。
委員長: 日本がわざわざゲノムありの研究となしの研究を別の枠にしているため、こういう問題が出ているのだが、一体化しており一つの研究として出された方がきれいだと思う。そうならなかった理由は共同研究機関の方と話されたか。
説明者: 話しているが、結局われわれの側ではゲノムの話は全く行わない。
委員長: 研究には目的があり、目的のためにセットの研究があるので、その目的は研究として独立しないのか。
説明者: この目的は、イメージングによって指標を作るということが我々しては目的である。我々はイメージング技術を研究しており、それがゴールである。そういう意味でゲノムはわれわれの範囲からすると、向こう側の話。
委員長: そう言われるのなら、切り分けを認めるということになるかとは思うが、大きなプロジェクトの一部をやって最終的に1つの論文を書くのだと言われると、それはここだけ認めるのは変ではないかという話になる。
説明者: それは言われるとおり明らかに変である。もちろんそれが基本的にプライマリーな目的ではないため、あくまで我々の研究としてこれを行うため、その範囲においてはゲノムとの突き合わせはない。ただ、その成果をさらに彼らが使い、ゲノムと突き合わせてとやることを別に否定するわけではないため、そういう形で使われるということはあり得るという、それくらいの理解である。
★ 正常なiPS細胞の新規分化過程を、先生の技術を使って明らかにするというのはよく分かり、その部分が分担だということか。
説明者: そうである。
★ 疾患iPS由来のものに関しても同じことをされるのか。
説明者: 疾患由来のものは成熟心筋細胞が得られるようになったところで、今度は出来上がった細胞のフェノタイプを比較するという、そういうレベルで疾患細胞が出てくるということである。
★ その新規分化過程の解析によって明らかになったメルクマールを使い、例えば疾患患者から取ったiPS細胞を検証した場合、検証するのは、全く別のところでやられるということ?
説明者: こういう状態の細胞であれば同じステージだと言えるというものについて、そのメルクマールでまず疾患由来の細胞とコントロールの細胞を用意し、それについてフェノタイプの比較、ドラッグに対するレスポンスを同じフェノタイプについて見るということになる。
★ その研究は共同研究機関の方でやられるということか。
説明者: これは研究のだいぶ後半のプロジェクトになるため、その時点で共同研究機関の方でやることになるか、理研でやるかというのは不透明であるが、そのぐらいのステージになると多分、共同研究機関にだいぶ技術移転が進むと思うため、実質的に共同研究機関でやることになる。多くの部分を共同研究機関に技術移転する形になると思う。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 実験実施責任者はいつから理研にいるのか。
★ QBiCチームができてからである。
委員長: 倫理審査は初めてか。
事務局: 初めてである。
委員長: 委員の質問は非常に重要で共同研究機関の研究部分については興味がないということ。
★ 患者の細胞との比較であれば、それは共同研究機関が中心になるというのが彼の考えである。また次の段階だと、私は聞いていて理解したが。
事務局: 研究責任者は岡田先生であるが、実施者として共同研究機関の方が客員研究員として理研に来てこの計画を行う。
★ 恐らくここは基礎医学の研究が多いため、この類いのプロジェクトというのは、今までもあり、今後もあると思う。神経系でやっていたものが、形態学的なものを見たら、画期的なことが分かってしまったといったこともあると思う。そうすると、病態解明等の論文に関し、主力の発見者となる可能性もあり、そういうものをこの倫理委員会でどのように考えるかというのは、なかなか難しいところである。我々としては、それがやがて社会的なインパクトのあることについても、倫理的に大丈夫かなと心配しなければいけない。
委員長: 医療の現場が必ずしもすぐそばにないときに、しかし研究自体は医学に関わることになってきて、チームリーダーと呼ばれる人たちがどこまで主体的に自分の研究としてされるのかというのがだんだん分からなくなってきている。
★ 医者ではあるが医学には全く興味がないという人である。iPS細胞というのは、ある一定の分化をさせるというときでも、いろいろなものが出てくるため、その中で正しいものが出てくる割合など、プロセスを多くの例や条件で行い、機会学習という解析方法で一番適切な方法を選んでいく。そういうのが彼の得意とするところである。その後の細胞内小器官、内部の構造のいろいろな形態観察というのも彼の最も得意とするところである。
委員長: やはりここでもこのオリジナリティはこうであって、ここが重要なので研究したいと言ってもらわないと。説明のときにやはりそれを聞きたい。
ということで、共同研究として来られた方が実施するところは承認とする。コメントとして、ゲノム解析を伴う研究が出てきたときには、別途変更申請を出してくださいということで。

 

4)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-31
「疾患特異的iPS細胞を活用した神経系難病の病態モデル化と治療法の開発」
研究実施責任者: CDB非対称細胞分裂研究チーム 六車 恵子

【概要】
研究実施責任者の六車専門職研究員より、本研究計画(3課題)の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、いずれも承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 追加する機関の提供者は1名か。もうiPSができているわけか。
説明者: そうである。樹立自体終わって、最終評価段階と聞いている。
委員長: 神戸の方は、もともとの人数が診断確定している患者約10名、罹患が疑われる患者3~5名、健常者3~5名。これは全部共同研究機関で実施か。
説明者: そうである。共同研究機関と関連病院。
委員長: 考えていた新規患者だけではなく、繊維芽細胞を持っている方にも入っていただき、この説明文書で説明するということか。共同研究機関の方もいわゆる大きなiPSのプロジェクトの一部になっているのか。
説明者: そうである。

 

5)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(継続変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-34
「高品質な分化細胞・組織を用いた神経系および視覚系難病のin vitroモデル化と治療法の開発」
研究実施責任者: CDB非対称細胞分裂研究チーム 六車 恵子

 

6)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(継続変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-35
「神経系難病患者由来iPS細胞の樹立・分化ならびにその解析」
研究実施責任者: CDB非対称細胞分裂研究チーム 六車 恵子

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 継続するということと、対象疾患が少し増えるということで、提供機関が増えたりはしていないのか。
説明者; そうである。少し具体的に言うと、審議資料6の方については、今までALSと脊髄小脳変性症という形にしていたものを、アルツハイマー病というのを一つ入れさせていただいたのと、神経変性疾患ということを入れさせていただいたということになる。それに伴って、対象人数が若干増えている。
委員長: あとは、資料5の方では、AMEDから資金が来る。
説明者: もともと文科省だったものがAMEDになったということになる。
委員長: こういう神経疾患というのはなかなか研究も大変だと思うが、この疾患iPSはいろいろなところに広がっていって日本中で使われているのか。
説明者: そうである。神経は特に難病指定のものが多いこともあり、神経分化法も、日本で樹立されたものが結構あることから、競争が非常に激しいような状態である。その中でも、何とか日本独自の、日本でしかないような疾患にできるだけターゲットを絞ってやろうということで、私たちが取り組んでいるところも、疾患としては世界中にあるが、日本に非常に多い、日本で遺伝子が発見されたものとか、そういうものをできるだけこぞって、臨床家ではない製薬企業が入り込みにくい難病のところを、iPS細胞を使って、研究者側から使っていこうということでやっている。
委員長: 日本で発見された遺伝子というのはどれなのか。
説明者: 例えばALSだとオプチニューリンというものが日本で発見されたものになる。
委員長: ALSの原因遺伝子か。
説明者: そうである。もともと緑内障の原因遺伝子として発見されていたが、実はこれがALSも引き起こすということが分かっている。
委員長: その治療のところまではなかなか進まない。
説明者: 一部のALSについては、まだアカデミアの域を越えないが、一部非常に有望な化合物というものを見つけ出されており、それを製薬会社の方にシーズとして送り出し、何度かデリバティブを作って開発候補品にしていただきたいということをやっている。
委員長: 視覚系、神経系のiPSの樹立はいつごろ始められたのか。
説明者: iPSの樹立は、私がやり始めたときであり、3年ほど前になる。
委員長: 何か広がっている感じがとてもする。
説明者: 非常にたくさん樹立させていただいている。

【審議】
説明者等退席後、審査が行われた。

委員長: 特に問題なく変更と継続を認めたいと思うがよろしいか。
★ 全く問題ないと思う。

 

7)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-32
「ヒト大腸ポリープにおける細胞分裂機能変化の解析」
研究実施責任者: CLST細胞動態解析ユニット 清末 優子

【概要】
研究実施責任者の清末ユニットリーダーより、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、委託契約について議論され、データの取扱等契約内容について確認することを条件として承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: この世界では有名な技術で、染色体が異常になっているか、なっていないかが見えるという。
説明者: それが確認できると、今回見つけたメカニズムが切断によって確かに染色体の再編成が起こり得ると。そのことによって、細胞の増殖に有利な遺伝子を増幅した細胞が増えていくといったステップが、今まで見つかっていなかった一番非常に初期な段階で起こっている。
委員長: もう持っていて、それに対して新しい手法を当てはめるということか。
説明者: 確認するために追加するということである。
★ 外部委託されるということが、この委託先というのは、割と定評のあるというか、そういう専門的に定着しているところか。
説明者: 専門的に受けている受託会社の一つで、マウスのCGH解析はここで行った。
★ マウスでも同じことが分かったのか。
説明者: マウスで分かったので、ヒトでも確認したいと思う。
委員長: そのときにデータの取り扱いとかどういう契約をされておられるのか。
説明者: 特に秘密保持契約はしてはいないが、契約上の一般的な仕様として契約はある。
委員長: 確認いただければと思うが、第三者にデータを出さないとかセキュリティには気を付ける、インターネット上に勝手に出ていかないようにするといった、ヒトのゲノム情報を扱うとき。
説明者: 了解した。確認し、仕様書ももしそういう文言がなければ加えるようにする。

【審議】
説明者等退席後、審査が行われた。

委員長: データの取り扱いについての確認をしていただくことの条件付きで承認ということでいいと思う。

 

8)被験者を対象とする研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-42
「加齢黄斑変性患者に適した読書評価法の開発」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 仲泊 聡

【概要】
研究実施者の仲泊研究員より、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、説明文書中の表現について議論され、適切な表現での記載を検討することをコメントとして付した上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: これは東京女子大でも実験をすると。それは今まではなかったので、説明文書は今回出てきたということになるか。
説明者: そうである。先方の倫理審査はもう既に通っている。
委員長: 説明文書の不利益の記述で、国内の安全基準を満たしているので、この実験によって健康が害される心配はないと書いてあるが、東京女子大の方が易しい説明で、「この実験によって健康が害される心配はありません」という言葉が入っており、丁寧かなと思った。理研の方が事務的で、安全に準拠しているという、不安を軽減させるような説明文になっていないところがある。これは変えてもいいのではないかと思うが。もう少し語りかけるような文書にされる方がいいのではないか。共同研究者のアドバイスも得ながら、やられたらいかがかと思った。
説明者: 承知した。
★ 謝金が一律3000円と1時間1000円と違いがあるが。
説明者: 最初に理研で決めるときに、こちらで先行されていたものを参考に、この額を決めたところ、先方では大学側とやりとりをしたようであるが、大学の基準に合わせて何カ所か細かいところが変えられている。
委員長: 結果的には、理研は多いのか。
説明者: 1回の実験は、基本的には1時間を要するものとして考えているが、先方で実施する計画は時間が長く、3時間ぐらいを要するものである。
委員長: それは理研ではやらないのか。
説明者: 今まではやってきていない。範囲はどういう条件でやるといいかというのを決めるためのもので、そのためには1時間あれば十分であったが、きちんとしたデータをこれから取っていこうというときに、同じ被験者でいろいろな条件で繰り返し実験をしていく過程で時間が延びてしまう。
委員長: これからは理研ではなく、東京女子大が中心になるのか。
説明者: そうであるがやれる可能性があるので残したい。実質的な金額は、多分両方ともあまり変わらないのではないかと思う。先方の方の実験内容のところに、「実験はおよそ3時間かかります」という記述があるため、3時間で3000円と1時間で1000円というのが同等であろうと。

 

9)被験者を対象とする研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-41
「ICTを活用した寡少専門家による地域・在宅ロービジョンケア」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 仲泊 聡

【概要】
研究実施者の仲泊研究員より、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、被験者のプライバシー保護のための仕組み、必要性等について議論され、プライバシー保護の仕組みの検討を条件とし、また説明文書の文字の大きさ、謝礼の必要性の検討をコメントとして付した上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 関係されている方は、国家資格とか何かそういう資格関係がある方なのか。
説明者: 調査員に当たる方は、例えば相手が地方の眼科の外来であれば看護師であったり、市の訓練士だったりという国家資格の方がおられるが、福祉の現場で国家資格がある方は、社会福祉士とかいうレベルになるが、歩行訓練士と我々が呼んでいる視覚障害に一番詳しい人たちが要るが、彼らは資格は持っていない。全国に500人いないというレベルで、そういった資格の体系に入っていけないということがあり、厚労省でも話し合われていることである。また、日盲連という当事者の団体でも話し合われていることであるが、そういう資格のない人たちが関わるという場面もある。想定しているのは、点字図書館の相談室といったところに普段利用者として関わって来ておられる視覚障害の方に、普段そこでお世話している方たちが調査員として入っていただくということである。
委員長: 計画書中に3機関の病院名があるが。
説明者: その3カ所が医療機関になる。
委員長: 視覚障がい者生活支援センター、点字図書館が、患者と直接やりとりされる現場になるということでよろしいか。
説明者: そのとおりである。
★ インフォームド・コンセントを取ったり、プライバシーに配慮したりと言うが、実際に調査されたり関係する方がそのことの責任をよく理解されずにやると、どこかで情報が漏れていってしまうということをどうするのか。
説明者: 調査票のアプリのフロントページに、その説明と同意を行ったかというチェックボックスがあり、知り得た情報を他に漏えいしないという宣言をしているチェックボックスがある。それをチェックしないと調査用のアプリが起動しないような仕組みになっており、それが一つ、個人情報が漏れないようにするための工夫ではある。今回の研究の範囲内で行われる事象としては、調査員になる方には全て私の方が個人個人に依頼するときにそういった説明をし、医療の世界では常識であっても、福祉では常識ではないところもあるため、そういったところへの配慮を十分気を付けてしていただくようにお願いしながら、調査員の質というか人柄を確認しながら依頼していきたいと思っている。
★ この研究でその対象となる方の不利益は何があるのかなと思ったとき、プライバシーぐらいしかないのかなと思いつつ、調査員の方が悪いことをしようと思ったときの制裁が何もないのでは思うと、これは大丈夫かなと気になっただけである。
説明者: この調査員と利用者の関係であるが、この調査のために初めて会うという局面はほとんどない。この調査員が勤めている施設に、それを利用するためにやってくる当事者に対しての調査となり、研究をしたことによってそれが漏れやすくなるということはない。
委員長: 問題は、研究のために聞いた質問を、普通に口に出してしまうということが起こり得る。コホート研究などでかつてあった話で、「あの人とあの人はもう入っているのだよ。なぜおまえは入らないのだよ」みたいな話になったりして、独立に同意を取って、独立に調査して回らないといけない人が。
説明者: 特に我々が工夫したのは、このアンケート調査は、その個人情報とひも付かない形で収集する。最後の最後につながるのは、指摘があった調査員の記憶とその行動であり、彼らを信じるしかこの研究はできない。
委員長: 日ごろのアドバイスの話でも、多分気を付けてはいると思う。誰かが相談に来た話を、他で話したりしないはず。その同じレベルのことを、彼らに説明し、インタビューで聞いた内容は、他の利用者に言うものではないという、そういったことを押さえないといけないのではないか。
★ 対象者の人に対しては、同意書、説明書と言っているが、調査する側の人たちの誓約書を取るといった何か仕掛けが要るような気がするが。
委員長: 不利益というところで、これを書くか書かないかも。不利益のところに書くのではないかもしれない。 個人情報のところに、あなたの答えはしっかり守るといったことをもう少し。
★ 調査される側の人よりも、調査する側の人たちへの制約がぬるいのではないかなという気が何となくする。
★ 100の設問の中から20を選び出して調査するということの公平性は。
説明者: アプリで自動的にランダムに20個が出てくるようなプログラムを組んでいる。
★ 設問の中一つに違和感があり、他の質問と少し違い、これは認知症かと思うがどうなのか。
説明者: それはまさに認知症のチェックである。
委員長: その目的は。
説明者: 対象者がどういうプロフィールを持っているかということを分析するためである。
★ それは事前に相手を調査員が知っているわけであり、認知症の傾向のある人ではない人を抽出しているということではなかったか。
説明者: それは程度の問題だと思うが、理解できると思っていたけれども、それができないという。
★ 普通の話などはできるが、計算などになったら分からない。
説明者: 計算できないという人も混ざっていると思う。
★ やはりポイントは守秘義務。
委員長: 職業上、押さえられないのであれば、やはり署名してもらわないといけないか。
説明者: 視覚障害の全般的な問題として、本人たちが声を上げないという問題がある。どこにいるかも分からない、どう困っているかも分からないという状況の中で、どうやってその隠れた人たちをあぶり出すかというのが大問題である。そのときに、昨今の厳しい研究体制でやるとどうにもならない面がある。ここ10年近くこういうことを今までやってきたが、何とかそういうひも付かない形をできないかなという工夫を、苦肉を重ねてはきたが、まだ言われるような問題点は抱えているが、基本的には性善説であれば問題ないはずのところまではたどり着いているとは思う。

【審議】
説明者等退席後、審査が行われた。

委員長: 変更申請の方は説明文のところに少し手を入れてもらうというコメントで、基本、承認とする。新規申請の方は、少し大きな話であるが、調査員へのプライバシー保護の点についての説明書と署名を指示するのはやはり必要か。
★ そもそも寡少なわけであり、対応できる人が日本に500人しかいないという話で、500人の人を対象に署名したところであまり意味がないというか、そのコミュニティではお互いに知り合っているような人たちなのではないか。
委員長: しかしその人たちがやはりここで聞いた質問、「この人、認知症だ」といったことを話されたら。
★ 任務に就く人については、それをしてもらう人が研修みたいな感じでやるということか。署名してもらうところまでは必要ないと思う。ただ、それで説明をしたということが、やはり痕跡として残るような形にしておかないと駄目ではないかという気はするが。
委員長: 個別でもよいので、実質的に講習、研修に当たることを。
事務局: 少しまとめさせていただくと、被験者の個人情報の保護に関し、調査員に対し、十分な説明を行うという。
委員長: 個人情報というか、プライバシー保護の方がいいかもしれない。
事務局: プライバシー保護のために、調査員に対し十分な説明を行うとともに、その記録を残すとするか。
委員長: 仕組みを検討するとを条件として承認にするということで。
事務局: 委員からの説明文書の文字を大きくした方が良いという事前コメントの件を。
委員長: コメントとして文字を大きくした方がいいのではないだろうかということを。
事務局: もう一点、謝礼を払わなくていいのかということがあるが、これは研究実施責任者に確認するということで。

 

10)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)

受付番号: KOBE-IRB-16-36
「多施設共同研究による眼内液・眼組織を用いた眼感染症疾患の迅速診断」
研究実施責任者: CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 仲泊 聡

【概要】
事務局より、本研究計画の変更内容(軽微)について説明があり、審議が行なわれ承認とされた。

 

11)ヒト由来情報を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-39
「寝環境と疲労、学習意欲に関するアンケート調査」
研究実施責任者: CLST健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
研究実施責任者の水野上級研究員より、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、被験者の利益、説明文書の記載等について議論され、説明文書について研究費に関する追記及び一部語句修正をコメントとして付した上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 何人ぐらいのサポーターというのが既におられるのか。
説明者: これは立ち上がって間もなく、お子さんは実はそんなに登録されておらず、高齢者の方が多い。
委員長: 1000人という対象者はどうするのか。
説明者: 実際にはこの財団の方でそういう部隊があり、今回の事業をサポートする。学校、教育委員会関係を回るなどで幾つかめどは立ってきている。
委員長: 1000人いかなくても、研究はある程度成り立つのか。
説明者: 一応数百あればいいかと思っているが、できれば、あらゆる層の方が欲しいということがあり、年代が幅広く取れたらいいなと。ただ、中学3年生などはかなり難しいとは思っている。
★ これは親子でセットになっているのか。
説明者: そうである。
★ 匿名化されているが、AさんであればAさんの保護者と子どもさんのアンケートがセットになって届くのか。
説明者: そうである。IDが、例えばABとかAA、次の家族であればBBなどが付いて一応そこだけは分かるというふうな形にはなるかと思う。
委員長: オプトアウトと書いてあるが、「インフォームド・コンセントを行わず」というのは同意を取っているので、対面でのインフォームド・コンセントを行わず、回答をもって同意したと見なすと。回答をもってというのはよくある話であり、ここはオプトインではないのか。
説明者: そうなる。
★ この研究機関というのは寝具店がもともとのものか。だから睡眠研究所を作っているわけか。
説明者: そうである。
委員長: これはお子さんや親御さんにとって、どういう直接の利益があるのか。
説明者: 匿名化は別のところでされており、あなたはこうでしたという結果はもちろん直接には返せないが、この財団の方で年に1、2回、市民公開講座のような形で、セミナーであったり講演会というのを企画されており、そういった場でこういった結果を紹介させていただくことをしている。
あるいは、論文が出たということになれば、それをサポーターの方に、この財団を通じて「こういう結果が出ました」という形は、リーフレットとかメールマガジンとかいろいろな形があるため、そういった形で配信されて、「自分が関わった研究がこうなったのだ」という全体の知見を得るチャンスはあるということに。
委員長: 前回のプロジェクトをお聞きしたときもそうであるが、そちらのチームと皆さんは、いろいろ経験を重ねてきておられると思うが、この大人向けの説明は、やはり研究者の視点になっていて、「あなたが同定されない形で発表します」ということばかりが書いてあり、それが社会に対して、あるいは家族に対して、間接的に意味のある結果が出るとか、あるいは興味があればご覧いただくことができますとか、そういう前向きな内容があまり入っていないように思う。直接的な利益はないが、そういう形で社会に利益が還元されていき、それは皆さんのこれからの生活を考えるときに、役立つ可能性もありますと切り分けて説明される方がいいのではないか。
★ 保護者としては、この研究で何かそういう寝具の開発をするのではないかと。
委員長: 間接的にはそれはするのでは。
★ 利益相反はどうか。これは研究費が来るのか。
説明者: 研究費が来る。
委員長: 利益相反委員会の審査には上がっていくのか。
説明者: 審査をしていただく形で。
委員長: 研究費がどこから来ているのかというのは書いたらいかがか。
説明者: 保護者用の説明文書にはそれも書かせていただく。
事務局: 指針上のICとして捉えるか、指針の中でICを取らなくて済む項目として見るかで、必要な項目が若干変わってくるかと思うがその辺はどうか。介入がなく、連結不可能匿名化されているということ。4項目あり、いずれもクリアされているので、ICを取らずに実施することができる内容には該当していると思う。
委員長: 全ての項目を入れないといけないわけではないが、研究費がどこから来ているかは前向きな意味で書かれたらどうか。
説明者: その方がいいかと思うためそのようにさせていただく。

 

12)ヒト由来情報を用いる研究計画に関わる審査(新規)

受付番号: KOBE-IRB-16-40
「小児・思春期の飲料摂取による抗疲労効果の検証」
研究実施責任者: CLST健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
研究実施責任者の水野上級研究員より、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、被験者の利益、説明文書の記載等について議論され、説明文書について研究費に関する追記及び一部語句修正をコメントとして付した上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ CO2は今、動物実験の分野では話題になっているが、こういう研究を実施するときに動物実験の成果というのは前にあるのか。
説明者: 言われるとおりで、水素水などは結構あるが、炭酸飲料についてはあまりない。
★ 香料についてであればありそうな気がするが。
説明者: 香料についてはある。
委員長: 何か分かっているのか。
説明者: 例えば緑の香り、青葉アルデヒドと青葉アルコールはセロトニン系を動かすということがあり、動物実験でも副交感神経を刺激するということは分かっている。
★ 炭酸ではないのか。
説明者: 炭酸では、動物実験ではそんなにはなく、ヒトでは多少やっている部分もある。
委員長: こういう介入度の少ないものは、人間と動物で計れない、同じではないことが多いので、やはり人間でやるのか。
説明者: そうである。これは刺激の入れ方というものが、30分というある勉強をやっているところをシチュエーションとして考えたときに、疲れるのは疲れるわけである。勉強をやっていても授業を受けても疲れるが、その集中力を保って疲れを緩和する方法というのはないのかという概念で考えている。これは、別に飲料に限らず、以前に行った試験では、例えば癒やし画像という、自然風景の写真を見せることによっても疲れにくいという結果が得られた。こういう刺激の入れ方ということが結構、疲労では大事だということがわかった。
委員長: 我々は介入とか、いろいろな負荷が倫理的でないものでは困る、倫理的に問題があると困るというのが1点。もう1点は、企業の利益になることは分かっているが、それに誘導されるのは困るということがあるが、説明を聞いているとそれほどでもないように感じる。
説明者: 我々疲労の研究でいろいろ分かってきて、みんな疲れているのは分かっているが、それを解決するソリューションを実際どれだけ提供していくかというのは企業が持っているシーズに可能性がある。そこにエビデンスがつくのであれば、それはやはり研究成果として出していっていいのではないかと思う。今回の試験プロトコル上では効果があったというように、きちんと限定したメッセージを出すつもりである。
委員長: これは3日間行わないと駄目なのか。1000人ぐらいランダムにやって、それぞれを飲んだ人が一定数出ればいいように思うが。
説明者: それだと研究のデザインというか、精度は落ちる。結局人によってレスポンダー、ノンレスポンダーがどうかということがあるので、厳しくやはりデザインとしてはクロスオーバーでやらないと。
★ この小学校4年生から中学3年生のテストで、1日に8000円で、3日で2万4000円。それが妥当な金額かどうかということと、それから小学生向けの説明文書の中で、飲んだときに疲れが取れるか、やる気がわいたり、集中力がつづくかを」とあるが、これは最初から答えを誘導しているような意識付けをしてしまうのではないかと危惧するがいかがか。
説明者: 今回、水と、この飲料を比較するわけではなく、数種類の中でどれが効果があるのかを明らかにすることを目的としているため、むしろ「これを飲んでいただきますよ」という情報を流し、目的としては疲れや意欲、集中力がどうなるのかを調べるということなので。
★ それであればいいと思うが、最初から疲れが取れる、やる気がわくといったポジティブな言葉がこの説明文書の中にある。それがお子さんにとっては、誘導的にしてしまうのではないかと。
説明者: 理解した。
委員長: 読み取り方として、確かにそうなる気はする。取れるかどうかという3文字を付けるだけでも印象は変わる。
★ 謝礼というのは親に払うのか。子どもに払うのか。
説明者: 保護者の口座に入れさせていただくという形。
委員長: この額は本当に妥当な額なのか。
★ 行かせたいと思うのでは。
説明者: 理化学研究所ではファーストスタディになり、この金額というところは、これまで大人で同様の負荷をやった場合にこれだけの額を出していっているというところがあるが、子どもでも負荷量はある程度同じ場合に金額を変えるというところは、どのように考えたらよいか。
委員長: 大人の場合でも別に負荷のための補償ではなくて、時間拘束のための補償と考える場合、大人は仕事、主婦も含めていろいろやることがあるが、その時間を拘束している。もちろん、子どももやることはあるのだが、子どもは仕事していないわけである。
★ 実際、小学校4年生なら親は付いてくるのか。
説明者: 親に来ていただく前提である。
委員長: 1日何時間?
説明者: 4時間半以内である。
★ 交通費が結構かかるような場所なのか。
説明者: 人によってはかかる。保護者の交通費もこれには入っている。
★ 親が付いてくるということであれば、それほど高くないのではないかなと。親も拘束するので。高学年になれば1人で来るかもしれないが、子どもにお金を渡さないなら、倫理的にはそれほど問題はないのではとも感じる。
委員長: このような調査で日本中でいろいろな研究をされているときに、どのようなものかということを調べていただくことは可能か。
説明者: 大学では6000~8000円だったと思う。

【審議】
説明者等退席後、審査が行われた。

★ こういう研究に参加しようかという人はボランティア精神で来ているため、謝礼の額としては構わないような気もする。
委員長: 2万円はそれなりの額である。
★ 1日限りであれば別に思わないが、3日連続で行くということが、大変なことではあると思うのだがそれで総額が2万円を超えるというのは。
事務局: CLSTの第2委員会ではMRIが絡む研究で、いろいろな疲労の負荷を与えてという研究で、1日3~4時間で終わるもので8000円という形にしている。
委員長: 時間の拘束という考えもあると思うが、4時間半で8000円で負荷も少ない。
★ とんでもなく高いわけでも安いわけでもなく、それほど問題であるとも感じないが。
事務局: 謝金と言うか、負担軽減費の妥当性について再確認するというような形ではいかがか。
★ ここへ子どもを連れて親が来て、電車代でも2000~3000円ぐらいかかるのではないか。
委員長: リサーチコンプレックスで、学校、近隣大学にポスター掲示するのではないのか。
★ 兵庫県および神戸市。
委員長: 少し調べられる範囲で調べてみたいという気になる。
★ 少し気になるのは、研究がかなり商業ベースと思う。ここには何か研究発表にいずれつなげると書いているが、直接的にはつながらず、今日の説明を聞いていても、それが科学的にどういう形で効くかということをやろうとすれば、また別に詳細な研究を行わないとそういう論文は書けないのでは。
委員長: 日本の中では特殊なグループで、渡邊先生が大学の教授になられて疲労研究をやってこられており、その疲労研究は、さらに言えば大阪に有名な先生がおられ、世の中の人がやらない研究をやるということで、メカニズムの研究をされ、その延長上にこれはあるのではないかと思う。
★ 全体的なものの中の一部分をやっていて、研究とは少し距離があるかも知れないが、全体的な構想の中で動いておられるという。倫理委員会に直接関わりのない論点になってくるが、このごろの研究というのは、そういうところもいろいろと見ておかないとなかなか理解できないということはあるかも知れない。
★ 逆に民間から研究費を得ないと、研究ができないという日本の基礎研究の危機の一部かもしれない。
委員長: 民間企業に余裕があり、こういう研究にもお金を出そうと言えるからできるというところはあるかもしれない。最初に申し上げたように、少しウオッチしていくこととしたい。
★ 説明文は少し工夫していただきたい。子どもに対して誘導的になっているのではないかという懸念を持つような書き方なので。
委員長: 一つは説明文章について修正、誘導的になり過ぎないような表現を入れて修正をすること。また、質問として謝礼の金額が妥当かどうかについて、再度類似の研究を参考にして調べた上で意見をいただきたいと。
★ 懸念を伝えたらいいのではないか。委員会としての懸念は、8000円で3日間で2万4000円となるのがいささか高額ではないかと気なるため、調べてくださいという前提を付けたらいいのではないか。
委員長: そのような条件とする。納得できればOKということで。

6. 報告事項について

1)ヒトES細胞使用計画変更について

事務局より、前回委員会以降に実施したヒトES細胞使用計画変更(研究者の追加、削除)について、研究機関の長の承認後、文部科学大臣宛の届出手続きを行なった旨の報告があった。

2)その他

事務局より、個人情報保護法の改正を受けて、医学系研究指針及びゲノム指針について改正が予定されており、今後具体的に必要な対応が必要である旨の報告があった後、委員長より、指針改正に関するこれまでの検討概要についての補足説明があった。

以上

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