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No63

第63回 神戸事業所 研究倫理第一委員会 議事要旨

1. 日時 平成30年1月19日(金)16:00~17:20
2. 場所 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター A棟2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

加藤 和人 委員長 (大阪大学大学院医学研究科 教授)
上野 弘子 委員 (広報メディア研究所 代表)
黒澤 努 委員 (鹿児島大学共同獣医学部 客員教授)
永井 朝子 委員 (公益財団法人尼崎健康医療財団 市民健康開発センターハーティ21 所長)
児玉 聡 委員 (京都大学大学院文学研究科 准教授/書面審査)
松崎 文雄 委員 (多細胞システム形成研究センター 非対称細胞分裂研究チーム チームリーダー)

(説明者)

大西 暁士(多細胞システム形成研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員)
小出 直史 (多細胞システム形成研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員)
豊島 公栄 (多細胞システム形成研究センター 器官誘導研究チーム 客員研究員)
生野 倫子 (多細胞システム形成研究センター 細胞外環境研究チーム 客員研究員)
神田 元紀 (生命システム研究センター 合成生物学研究グループ 基礎科学特別研究員)

(事務局)

片山 敦 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
堀江 仁一郎 (神戸事業所 安全管理室)
吉田 道生 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)ヒトES細胞使用計画変更について(報告)
(2)ヒト由来資料等を用いる研究計画に関わる審査(新規、変更)
(3)その他

5. 審議事項について
 

1)ヒトES細胞使用計画変更について

事務局より、前回委員会以降に実施したヒトES細胞使用計画変更(研究者の変更)について、研究機関の長の承認後、文部科学大臣宛の届出手続きを行なった旨の報告があった

6. 審議事項について
 

1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:KOBE-IRB-17-38 「レーベル遺伝性視神経症患者のiPS細胞由来網膜神経節細胞作製、並びに同細胞を用いた創薬・疾患研究」
研究実施責任者:CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 高橋 政代

【概要】
 研究実施者の大西研究員より、本研究計画の変更内容(研究方法の追加)について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 元々の患者の細胞の性質が少しずつ違うかもしれず、iPSを作ったときにも、少し影響するかもしれないため、両方見るということか。

説明者: その可能性があるということ。

委員長: これから採る患者のサンプルの場合に使うのか。

説明者: これまで採っていた患者のiPS細胞からは少し違いが出ており、最近の論文で組織の方でばらつきがあるということが分かってきたため、実際にiPS細胞を作る前のところも見なければいけないかと。

委員長: 既に細胞を頂いている方にも、もう一度、新しい同意を示し、説明をして、元の細胞も使わせていただくという形にするのか。

説明者: そういうことになる。

委員長: それはインフォームド・コンセントにも書いていない。変更したということについて変更前の方にも再同意を取りに行くとここに書く必要はないか。

事務局: 計画書上には残しておかなければいけないため、指針に照らし、個人情報を使う場合には公表もしくはオプトアウト等の手続きが必要となる。

委員長: そういうときには注釈が入ると思うが、今回はK大がしっかりやるということで。

説明者: ということになる。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: こちらは解析側であるため、これでいいと思う。

 

2)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:KOBE-IRB-17-40 「網膜変性患者等のiPS細胞由来網膜細胞の解析、並びに同細胞を用いた網膜変性疾患治療法の研究」
研究実施責任者:CDB網膜再生医療研究開発プロジェクト 高橋 政代

【概要】
 研究実施者の小出研究員より、本研究計画の変更内容(研究実施場所等の追加、共同研究機関の変更等)について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

事務局: 一点だけ補足で、共同研究機関がこれまで先端医療振興財団であったが、ここもアイセンター病院の方に移っている。

委員長: 以前は、先端医療財団に研究スペースがあったのか。

説明者: 先端医療財団に理研が入っているわけではなく、共同研究先として中に入っている形で、先端の方が理研で実験をすることで入っている。

委員長: 財団としてではなく、その部隊はアイセンターに行ってということか。

説明者: そうである。中央市民病院に集約されることになった。

★ ヒトの材料を扱うときに、新しい実験場所を設定した際、そこをP2レベルでやっているのかというのが気になって質問をしていた。今まであまりそういうことを我々は意識した記憶がないので。

事務局: 新規課題のところで説明を予定している。

★ もう一つの件で、臨床研究に関し、新聞報道で副作用が出たという話になったようだが、この委員会で研究テーマを審議したような記憶があるが、確かそのときは、動物実験を十分やったため、臨床の方に行くということで、安全性試験であるという話だったと思う。そうすると、常識的には報道が正しければ、細胞が漏れ、それが偽膜を作ったようなことが書いてあったが、それは、動物実験で十分に見ればすぐ分かりそうだが、やったのか。さらに、この倫理委員会はそんなところまで気にして審議するのだろうかという、二つがあるのだが。
 まず一つ目は、報道の内容が正しかったか、私の理解はそれで正しいのか。動物実験をきっちりやり直せば、そこは分かるのか。

説明者: 記者会見のときにも、幾つか説明させていただいたが、サルの実験計画については、こちらでやれることは全てやりきっている。今回、SAEとして報告させていただいた内容が出た背景には幾つか事情があり、まず一つ目としては、動物モデルと、実際にヒトの疾患の病態、要は移植するホスト環境が、動物では再構成しきれないというところが、一つ大きく課題として挙がった。実験動物の場合は正常網膜に移植するため、剥離自体の工程も比較的速やかに行うことができる。しかしながら、ヒトの場合は長年の瘢痕化であったり癒着であったりというものがあるため、どうしても網膜がはがれない状況に陥ることがあった。それが、動物実験では十分に抑え込めていたため、報道に出ているような所見に関しては、実験初期以外では確認はされておらず、最初の1、2眼ではそういった所見が幾つか散見されたため、術式自体の改良や流速のコントロールなど、やれる範囲のことは全てやり、後半に関しては、そういった症例の所見は見られなかった。こちらとしては準備万端の状態で行ったわけだが、今回網膜の癒着が激しかった症例の中で、逆流が少し散見され、それが原因となってERMを形成したと推測される症例に至ったと。従って、動物の実験計画、あるいは実施状況に関しては、準備は十分したと我々は考えている。

★ 副作用とかが起これば、また動物実験に戻るというのが原則だが、例えば網膜があり、この辺に注入しようとしたが、ここにいろいろ病変がありしてうまく入らず、漏れた細胞が偽膜か何かを作ったのではないかと私は理解したが。

説明者: それは原因の一つだと思う。

委員長: 実際にどうフィードバックされるかということを。

説明者: 今後に関しては幾つかアプローチはあるが、一つ目としては移植の手技自体で飛び散らないような工夫をするために、媒体の改良をするということを考えている。

委員長: シートの方がいいのではないのということは。

説明者: そういった意見も頂戴しているが、シートの場合は、手術自体のリスクが高くなるため、シートが絶対いいかと言われると、そうではないケースも多い。

委員長: 別のところでそれは審議されると思うため、ここでは理解を深めさせていただいたということで。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 実際にヒトに移植するプロトコル自体について、我々が前臨床を審査する委員会としてどうこう言うことは違うと思う。前臨床の動物実験の有効性というか、これをやって意味があるのかということは、おそらく言ってもいいと思うが。

★ 何かの問題が起きたときに、誰がもう一度動物実験をやり直してやりなさいと言うのかなということが、私はよく分からなかった。

委員長: 一部を担っているとは考える。ただし、メーンはヒトのプロトコルを審査するところが、十分に動物実験をやってきたか、あるいは現在のこの状況を受けて、動物実験に戻らないといけないかどうかという判断をすると思うので。

★ そちらに委員会があるということか。

委員長: そうである。

★ TR委員会で何回も審査しているため、報道と同時でもいいのでお知らせが頂けたらありがたいかなと思った。

事務局: シートの際は、理研TR委員会の方でヒト幹指針に係る審査があったと思う。今回問題になったものは、再生医療法に基づくため、理研TR委員会では計画内容についての審査はしていない。ただし、製造施設を認めていただくときに関わっていることもあり、必要に応じて連絡をできればと思う。

委員長: 関連の前臨床の基礎研究について我々は審査しているため、情報が回ってくると安心できるかもしれない。

事務局: TR委員会の事務局に相談する。

委員長: では、変更申請自体は、場所が移るということでありで、当然組織としてレベル2の話もやっているという前提で、変更を認めたいと思う。

 

3)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:KOBE-IRB-17-39 「器官発生プログラムを再現した毛包再生医療の実用化にむけた基盤技術の研究開発」
研究実施責任者:CDB器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
研究実施者の豊島客員研究員より、本研究計画の変更内容(共同研究機関及び研究実施場所の追加)について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: いつごろ臨床研究を目指しておられるのか。

説明者: 目標としては****年初めにファースト・イン・ヒューマンを予定している。

委員長: これは本人のものからやるのか。

説明者: そうである。

委員長: これはメディアには、どんどん出そうな感じの話ではないか。

説明者: 皆さんこういうものに期待されているため、できる限り早くやっていこうと思っている。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 臨床研究はどのようにするのか。そのプロトコルではないため、あまり質問する機会があるわけではないが、きっと植えるのであろう。

 

4)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:KOBE-IRB-17-34 「皮膚老化や各種皮膚病態研究の基礎となる、健常皮膚の遺伝子発現情報の集積と細胞の多様性の解明」
研究実施責任者:CDB細胞外環境研究チーム 藤原 裕展

【概要】
 研究実施者の生野客員研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、個人識別符号を含むデータのデータバンクへの登録等について議論がなされ、解析よって得られる個人識別符号のデータバンクへの登録を含む公開方法の再検討及び情報の収集・分譲を行う機関への提供についての追記、一部記述の修正ならびに説明文書への個人識別符号取扱いに係る説明の追記等を行うことを条件とした上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 健常者の皮膚は、コントロールとしては取らないのか。

説明者: 今回は皮膚、病変部周辺の健常部位というところで、健常の皮膚と判断しているため、病変部を解析するわけではない。

★ その区別は、どのようにつけるのか。

説明者: 病理判定の先生方が、病理の判定試験に用い、そのときに余った皮膚を私たちは頂くため、その判定としては健常か病変となる。

★ 既知の情報に基づいて、正常だと判断するということか。

説明者: そうである。

★ しかし遺伝子レベルで見るとそこは異常になっているかもしれない。

説明者: その可能性はある。

★ これはインターナショナルなヒューマン・シングル・セル・プロジェクトの一環としてやるわけか。

説明者: そうではない。

委員長: 理研ではそういうのがあるのか。

★ 理研というか、日本。コンソーシアムが世界で組まれている。

説明者: ヒューマン・シングル・セル・プロジェクト。

★ それではないわけか。

説明者: それではない。特に今回のものは企業と一緒に共同研究しているというところもあり、会社の事情としては、データをいろいろな人と共有していくことで、例えば他の企業にもわかってしまうということになるため、理化学研究所で行っていく。

★ ヒトの皮膚が来るとき、患者がウイルス感染性のところをチェックしたと言っても、全てはできないわけであり、それは何らかの感染の可能性はあるのではないか。常識的には普通はヒトの材料というのは、P2レベルで管理するということになっているが、そこでやるのか。

説明者: そうである。基本的にはP2レベルの部屋で、手袋をして、安全キャビネットの中で行うのがメーンとなる。

★ それがP2レベルの部屋で指定されているのか。

説明者: そうである。

★ これはバイオセーフティ委員会にかかっているということか。

事務局: この研究の中で、遺伝子組み換え実験に該当する場合は別途、遺伝子組換え実験の審査委員会にかけている。それと別に、理研の手続きで微生物等取扱届というものがあり、それが規定化されており、それに基づいた届出をしていただき、該当する部屋で実施するということになる。

★ 理研にはバイオセーフティ委員会はないのか。

事務局: 理研全体の微生物等安全委員会がある。

★ これは、そういうヒトの材料であるため、P2がきちんと保たれているかどうかということは、そのバイオセーフティ委員会で審議されていると思えばいいのか。

事務局: 審議というか、報告される形になる。

★ バイオセーフティ委員会は、その場所をインスペクションとかするのか。

事務局: それはしない。各事業所でレベル1、2の届け出を行い、それを微生物委員会に報告する。レベル2はどのような要件が必要かというところは既に決まっており、そこは我々の方で確認した上で届出を受理するような形である。

★ 我々というのは事務方が確認するのか。

事務局: そうである。

★ それは無理ではないか。バイオセーフティのことはやはりバイオセーフティの専門家が見ないと分からない。

委員長: 遺伝子組換えと感染症だけでは駄目なのか。

★ 私が心配しているのはヒトの材料であるため、感染症のことに関するバイオセーフティの対策がいるのではないかと。そのときに、扱い方のところでバイオセーフティの観点というのは、どこか他に委員会がありやってくれるならは、そこがよしと言ったということで、倫理委員会はそれで納得、終わりだと思う。しかし、他の委員会がかかっていないとなると、それで倫理的に研究をやれているのかと気になる。

事務局: 倫理的というか、施設面のところ、物理的な設備と、あとは規程に定められたルールを守ってやるということで、一般臨床材料についてはレベル2で扱いなさいということで、それに応じた届出をしていただいている。

委員長: 理研には規程があり、それは理研の組織として管理しているということ。

★ 理研にはバイオセーフティ委員会があり、そこでそういうことでいいですよということになっているということか。

事務局: そうである。

★ この委員会が、そこは気にしなくてもいいのか。

委員長: そうだと思う。

事務局: 補足で質問がきている。

委員長: 本日欠席している委員がおられ、一つ質問が来ている。

事務局: 個人情報関係のところで、「匿名化する」という言葉や、「個人識別符号および個人が特定されない提供者情報(年齢、性別、人種、皮膚の部位、摘出目的となった病名)のみの公表とする」といった表現は、新しい個人情報保護法に照らしても大丈夫なのか。個人識別符号を公表しても匿名と言えるのかということである。

委員長: 個人識別符号を公表するのか。

説明者: データベースへの投稿を考えている。アクセス制限のないところに公表し、全世界の方にご覧いただくような状態にする。それについては、インフォームド・コンセントでも、国内の研究者に関わらず、国内外の中でもアクセスできるような状態で情報をデータベースで公表するとしている。「研究成果は一般に、日本国内だけではなく、国際的に発表されます。また、公的データベースが公開された場合、国内外のどなたでもアクセスし、利用することができますが、公開データには氏名・住所・電話番号などの情報は含まれません」としている。

委員長: 国際データベースかコンソーシアムの名前は。

説明者: Gene Expression Omnibusと、あとはBioProject。

委員長: そこはSNPデータをそんなにたくさん完全公開で出しているのか。

説明者: そうである。SNPデータに限らないが。

委員長: ゲノムデータをか。

説明者: ヒトの情報については。

委員長: 多分少しお調べいただく方がいいかと思うが。

説明者: もちろんアクセス制限があるような、例えばJapanese Genotype -phenotype Archive(JGA)であったり、そういうところに出すのがいいのではないかという案もあったが、やはり解析結果の再現性の担保を保証するためには、より広く公開した方がいいのではないかと。

委員長: 出してはいけないと言うつもりはなく、私の理解では国際的スタンダードとしても、やはり個人同定可能なゲノムデータはSNPレベルも含めて、なかなか完全公開しておらず、NIHなどでも、コントロールアクセスとして申請させる。したがってその辺の人がすぐ見られるということには基本的にはなっていないと思うが。

説明者: 全ゲノム情報のことを言われているのか。

委員長: 発現データはRNAのシーケンスから出てくるが、個人ゲノムを反映したものもあるではないか。

説明者: そうである。

委員長: もしかすると、そのコンソーシアムがきっちり調べていない、ポリシーを詰めていないのかもしれないが、日本の現状では、どちらかというと制限を付けてアクセスさせる方が多いため、国際的なところもそうであれば安心して出せるのではないか。

説明者: 国際的なところは少し確認不足かもしれない。

委員長: 計画書のそこはそういう意味なのか。個人識別符号は、データベースに行くかもしれない。

説明者: そうである。世界的、常識的な考えについては、今すぐにはお答えできかねるが、少なくとも公開範囲について、患者から同意を得ていれば、国内外のだれでもアクセスできるようなところでも公開し得るということがあったため、現状そちらを取っている。しかし、一般的にやはりそちらの方が絶対いいということであれば、それはもう一度考える事項かと思う。

委員長: 同意を取れば個人情報も出していいとは思うが、この表現では個人情報を出すとは書いていない。

説明者: 個人情報を出すとは書いていない。表現の修正は、少なくとも必要だということになるか。

委員長: そうである。

説明者: 公的データベースから公開された場合について、この遺伝子情報が個人をもしかしたら将来的に特定し得るような状態であるということを記載した上で、それが国内外のどなたでもアクセスできる。

委員長: それを入れた方がいいのではないかというコメントになる。もう一つは、「研究成果の公表」ということで、公表というのは普通、論文とかプレスリリースするということであり、そのこととデータベースにデータを入れるということは、かなり質が違うことである。説明文書の中にも、別の項目を立てるほうがいいと思うが、委員の皆さんはいかがか。個人情報を公開するという同意を取るというプロトコルはあまりないが。去年、ゲノム情報が個人情報になってしまったので。

説明者: 別項目としてデータベースについて書く。表現の修正だけではなく、やはりアクセス制限があるようなデータベースの投稿に変える。

委員長: チームでもう一度検討していただき、必要であればその手続きを取ればいいという話であるため、そう理解していただきたい。関連して、S大で匿名化され、その後共同研究機関に行くというときに、「あなたの名前や生年月日、住所などの個人情報は、移されません」とあるが、これは、出てきた細胞から個人情報が得られることになるため、ここは「個人」を取ればいいのではないかと思うが。

説明者: 了解した。

★ 教えていただきたいのだが、「あなたが選ばれた理由」のところの一定期間ヨーロッパに滞在というのはどういうものなのか。

説明者: これは一般的な献血などで使われている基準のことであり、遺伝子変異の可能性、例えば狂牛病などを含めて、ウイルスに感染している可能性がある方を排除するために設けている。

委員長: これはなかなか厳しいが慎重に排除されているということか。

説明者: そうである。

委員長: あと小さいことだが、ウイルスチェックのための採血はなかったか。

説明者: 実施する。

委員長: 採血のいわゆる軽微な不利益の可能性、採血時の出血等というものが書いていないが、いいのか。

説明者: 採血も手術にとって必要な採血で。

委員長: 研究としての採血はない。

説明者: ない。手術の方も、もちろんウイルスチェックをしないと切開などができないということで、そちらで使う血液と、ウイルスチェックの項目は同じである。

委員長: これはそれが終わってから出すのか。もうウイルスチェックをやって手術すると決まってから、臨床上のチェックが行われた後で、ところでこういう研究があるのだが、余剰皮膚は使ってよろしいかと。

説明者: これは採血のタイミングで、確かに出しているものではある。

委員長: そうすると、採血は治療のために行うものだが、それについてはこういう小さな可能性があるが、十分に配慮して採血するといった、医学部などでは、定番の言葉があると思うが。

説明者: ある。その辺も調べてみる。

委員長: もう一つは、「人種」というのが何度も強調されて出てくるが、国際的なところでは、英語ではraceと言うのだが、これは基本的には使ってはいけない言葉になっている。そうではなく、人類集団とか民族とかいうethnicityを使ったりする。日本人にとっては分かりにくいが、少し注意された方がいいのではないかと思う。

説明者: 了解した。

事務局: 先ほどの公的なデータとして提供するということになるためヒト由来情報等の収集・分譲を行う機関への提供が該当する。この中で、情報名とか提供の必要性、相手機関名、匿名化の状態、同意の有無というのは、ここで該当するものにチェックしていただければ。

委員長: 提供するにして、国際的なデータベースに入れると書けばいい。

説明者: 了解した。

事務局: 個人識別符号をそのままで出すのであれば、提供する際の試料の匿名化のところが「その他」になる。

委員長: 「提供する際の試料/情報の匿名化」というところに、「その他」で、「個人識別符号が出る場合もある」とするか。これは興味深い話で、RNA-Seqなどの発現解析とか、プロテオームとか、日本の指針ではきっちりと定義していない。定義というか解釈を示していないものについて、多分国際的にもそれほどきれいに整理されていないと思うが、倫理のことを考えている場合には、比較的慎重にやっていると思うためご検討いただきたい。

事務局: 関連して、「研究成果の公開方法」で、論文とか学会で、個人識別符号に該当するもののゲノムの解析データではなくて、配列でも個人識別符号に該当しないものはいいと思うが、該当するものをここで公表するかどうかということで、そこをされないのであれば、この記載方法を変えた方がいい。

説明者: 了解した。

委員長: データベースの方をしっかり考えると書いていただくと同時に、ここ自体も検討していただいて。

★ 審議とは直接関係ないが、先ほどの一緒にやる企業が倫理的であるかどうかという話をしたときに、動物実験をやらないと言っているから倫理的にしっかりしているのではないかという、そういう勘違いは駄目である。実際に倫理的にやろうと思えば、必要な動物実験をしていただかないと駄目である。それは当たり前の話であるため、そういうところは勘違いしないようにしていただきたい。とある化粧品の会社で、うちは動物実験をやめたと言っていながら、他の医療系のことをやっているときは、動物実験をやっているところがあり、それは非倫理的である。いかにもうちはやっていないと宣伝しておき、本当はやっているなど。逆に言うと、医療系のものをやるのであれば、安全性のためには、やっていただかないと困る。そういう混乱だけしないようにしてくださいということである。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

★ 私はむしろ、こんなに神経質に病気のこととかは聞いているのに、病変の周りで病理的に正常であれば正常というところが。

委員長: 遺伝性のものは当然入れないということを聞くべきだった。

★ 疾患にもよると思うが。こちらは欲しいから、正常なところまで取るということが、昔はあったと思うが、今は非倫理的であり、そんなことは許されないが、疾患によっては、原疾患と関係ない正常組織を取ることは可能だと思う。

★ ヨーロッパは厳しいが、発展途上国に旅行うんぬんというのがないのが不思議だったが、そういうところは別に大丈夫なのか。

委員長: プリオン病ははっきりしているため、いろいろなところで使われている。検査しても見えないというのが大きい。ウイルスであれば、別にどこに行った人と言わなくても、物を見れば分かる。

★ 一応、国際的な常識では、BSEに関しては、もう山は越えたということがある。それよりも、特発性の狂牛病というのがある。そちらの率の方がもう高くなってしまっており、前からあったところのものは、ほとんどネグリジブルになってしまったという理解が今は一般的である。ただ、ヒトの場合、ヒトからヒトへ行くのはどうなっているかは、まだ疫学調査が続いているため、そちらは分からない。

委員長: データベースが本当にどういうものなのかということも答えを頂き、それで改訂版をあげていただくということで。

委員長: それで、本当に個人識別符号を出すのであれば、そのことがちゃんと明記されて同意が取れるとなっており、計画書にそれが入っているということ。

事務局: 個人識別符号の取り扱いほかについて条件という形で。

委員長: そのように。委員長預かりで見させていただいてよろしいか。ちょっと複雑な答えが来るようであれば、皆さんに回す。条件付きの承認ということでよろしいか。

 

5)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:KOBE-IRB-17-36 「***********によるヒト疾患の免疫学的解析」
研究実施責任者:QBiC合成生物学研究グループ 上田 泰己

【概要】
研究実施者の神田研究員より、本研究計画の変更内容(共同研究機関及び役割の追加ならびに研究実施場所の変更)について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: **病が特に注目されるため、新しい共同研究先を作ったということか。

説明者: そのとおりである。

委員長: 何かそれを示唆するものがあるのか。

説明者: 我々の研究室では睡眠覚醒の研究もしているが、少しリンクしてきているという話をきっかけとしたことが一つ。もう一つは、**病の中で、○○のプロファイルが変わってきているというものが最近発表されており、そうであれば、もう少し具体的に見ることができるのではないかということで、今回この試料を使おうと思っている。

委員長: 計画書にたくさんの疾患があるが、これは**病だけではないのか。

説明者: **病だけではない。

★ BSL2の部屋が準備できたため、そこを実験場所にやるということか。

説明者: BSL2が必要なサンプルがなかったので整備をしていなかった。

委員長: この47疾患から出てきたということか。

説明者: そうである。これで初めて出てきたので。

委員長: これはまだ承認して間もないが、新しいものに意味があるというのが出てきて、広がっていくのがいいが、その辺は考えておられるのか。

説明者: ヒトサンプルを実際にこの47疾患で使うことができ、最近きちんとアッセイが回るということが確認できたため、獲得したいということで入れた。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: これは承認ということでいきたいと思う。

 

6)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:KOBE-IRB-17-32 「HLAホモiPS細胞由来心臓系列細胞及び細胞構造物を用いた心臓再生医療のための前臨床研究」
研究実施責任者:CDB網膜再生医療研究開発プロジエクト 升本 英利

【概要】
 事務局より、本研究計画の変更内容(研究資金調達方法の追加)について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 利益相反に関しては予定して提出済みで、審査中なのか。

事務局: そうである。

委員長: 了解した。よろしい。これも審議事項であるが、特に問題はないかと思う。それでは、今日はこれで終了とする。

 

 

 

以上

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