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No65

第65回 神戸事業所 研究倫理第一委員会 議事要旨

1. 日時 平成30年8月1日(水)13:00~16:50
2. 場所 理化学研究所 神戸地区 発生・再生研究棟 A2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

加藤 和人 委員長 (大阪大学大学院医学研究科 教授)
上野 弘子 委員 (広報メディア研究所 代表)
黒澤 努 委員 (鹿児島大学共同獣医学部 客員教授)
永井 朝子 委員 (公益財団法人尼崎健康医療財団 市民健康開発センターハーティ21 所長)
野崎 亜紀子 委員 (京都薬科大学基礎科学系一般教育分野 教授)
濱田 博司 委員 (生命機能科学研究センター 個体パターニング研究チーム)

(説明者)

仲川 雅人 (生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム 研究員)
杉村 泰宏 (生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム 研究員)
森永 千佳子 (生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員)
藤原 裕展 (生命機能科学研究センター 細胞外環境研究チーム チームリーダー)
森本 充 (生命機能科学研究センター 呼吸器形成研究チーム チームリーダー)
岸本 圭史 (生命機能科学研究センター 呼吸器形成研究チーム 研究員)
藤井 慶輔 (革新知能統合研究センター 構造的学習チーム 研究員)
渡邉 朋信 (生命機能科学研究センター 先端バイオイメージング研究チーム チームリーダー)
川井 隆之 (生命機能科学研究センター 一細胞質量分析研究チーム 研究員)
清水 義宏 (生命機能科学研究センター 無細胞タンパク質合成研究ユニット ユニットリーダー)

(オブザーバー)

深井 宏 (神戸事業所長)

(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
堀江 仁一郎 (神戸事業所 安全管理室)
吉田 道生 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)委員紹介・委員互選
(2)ヒトES細胞使用計画変更について(報告)
(3)人を対象とする研究計画の変更申請に関する承認について
(4)神戸事業所研究倫理第一委員会運営規則の改訂について
(5)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査
(6) その他

5. 委員紹介・委員互選
 

事務局より新規の委員(野崎委員、浜田委員)について紹介があった。その後、委員長の互選が行われ加藤氏の選任が承認可決され、当氏は承認を受諾した。

6. 報告事項について
 

1)ヒトES細胞使用計画変更について

事務局よりヒトES細胞使用計画の変更(研究者の追加、削除)について報告があった。

2)人を対象とする研究計画の変更申請に関する承認について

事務局より、人を対象とする研究3課題について、人を対象とする研究に関する倫理規程細則に基づき、研究実施場所等の変更に係る承認手続きを実施した旨の報告があった。

7. 審議事項について
 

1)神戸事業所研究倫理第一委員会運営規則の改訂について

事務局より、組織の改組に伴う神戸事業所研究倫理第一委員会運営規則の改訂について説明があり、これを確認した。また、事務局より、後日委員会の所掌に係る規則の改正案を提示するので審議をお願いしたい旨の連絡があり、これを了承した。

 

2)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)<医学系指針>
受付番号:K2018-023 「ICTを活用した寡少専門家による地域・在宅ロービジョンケア」
研究実施責任者:BDR 網膜再生医療研究開発プロジェクト 仲泊 聡

【概要】
事務局より本研究計画の研究実施場所の変更などの軽微な変更について説明があり、審議にて特に問題がないことを確認後、承認とされた。

委員長: まず一つは、○○病院だったのが○○センターになるという。それから、協力者の追加。単に人が増えただけ。非常に軽微な変更である。よろしいか。

★ 個人情報に接することができる方に理研では誰がどうやって教育するのか。どんなカリキュラムが済めばいいのか。

事務局: 個人情報については、eラーニングで教育システム、コンテンツを作って、それを受講する義務を持たせている。

★ 理研の人ではなくて、それぞれの組織でいろいろなインフォームドコンセントを行う者というのはたくさんおられて、リストアップされているが、その人たちが何らかの教育を受けているのかどうか。

事務局:  前回の条件対応のところを読み上げたいが、調査員のみならず、調査にご協力いただく専門家も含めた全員を対象として、プライバシー保護の責務があることを含めた研究内容の説明を、責任者からして、また社会福祉士の倫理綱領を読んでいただいた上で、同意書を取得するということなので、プライバシーについてもちゃんと説明している。

★ 安心した。

委員長: よろしいか。

 

3)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<医学系指針>
受付番号:K2018-017 「器官発生・再生の基盤技術の研究開発」
研究実施責任者:BDR 器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
説明者の仲川研究員により本新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答のあと審議が行われた。審議では、委員会における指摘事項の修正について、後日委員が確認を行うことを条件とされ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下の通り

★  共同研究機関に関してなのですが、こちらは資料によると、○○大学附属病院というふうに書いておられるのですが、IC文書の方には、共同研究で民間企業とやるけれども、特定の企業とではないというようなことが書いてあって、このあたりの関係を教えていただきたい。

説明者:  それに関しては、理研内の研究室に出向で研究員をしている外部機関の者が関わる可能性があるといったようなことであり、例えば外部の機関へ試料を提供して研究するというようなことはない。

委員長: 被験者への「説明文書」の中には、それは全く書いていない。利益相反についても、「本研究は特定の企業からの資金提供を受けておらず」と書いている。これはちょっとご確認いただくのがいいのではないかと思う。

説明者:  了解した。

★  もう1点、16歳以上の方を被験者とされる予定だと記載があるが、どういうふうに必要性があると考えたらよろしいか。

説明者:  組織、細胞の性質が、年齢によって異なる可能性もありますので、例えばどのような患者さんから提供を受けた試料が、どういう結果が出るのかというのは、全く異なる可能性がある。

★ 今のようなことであれば、なるほどと思った。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 企業の関与に関して調べていただいて、必要であれば適切な表現に変えていただいてと思うので、基本的には承認なのですが、修正・確認の上承認ということにしたい。

 

4)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)<医学系指針>
受付番号:K2018-018 「器官発生プログラムを再現した毛包再生医療の実用化にむけた基盤技術の研究開発」
研究実施責任者:BDR 器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
説明者の杉村研究員により本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後審議が行われた。外部への試料提供について審議が行われ特に問題がないことを確認後承認とされた。

詳細は以下の通り

委員長: 今回はオーガンテクノロジーズに行ったものが、さらに外部委託されて、そこから理研に戻ってくることがあると。

説明者: そうである。オーガンテクノロジーズでやろうとしている細胞加工の部分を、その自社内でやるだけではなく、○○にも委託する。

★ だんだん外部のところに広がってきて、実用的になっているのかなというふうな、そう見られる一方、提携先にも人の材料を使ったものの倫理指針などを守ってもらわなければ駄目だと思うが、それはどんなふうにして、今後担保されていくのか。

説明者: 基本的に、われわれ自体が管理責任を持っていて、あくまで業務委託である。実際には、患者さんのデータはお渡ししない。われわれの指示の下で委託させていただいているので、そこの集約というのは基本できているという認識で。かつ、この○○は、決して新参の業者ではなく、この再生医療業界の中ではいろいろなものを受託されている実績がある。

委員長: 外部委託するときに、そのようなことも含めた契約書があるのか。

説明者: 業務委託として契約書がある。

★ どういう事情で委託することになったのか。

説明者: 今後この細胞加工を事業としてやっていくとなったときにはCPCという細胞加工施設の中で行うのだが、CPCの施設内で作業する技術者というのは、やはりわれわれ研究者よりは、そういう作業に長けているので。

★ より精度を高めるために今回委託することになったという理解でいいか。

説明者: そのとおりである。

★ これまでずっとやってきて、このタイミングで委託するというのに、何か事情があったのか。

説明者: 実用化に非常に近づいており、うまくいけば○年以降に臨床研究に入っていく予定になっている。臨床研究に入っていくにあたり、誰が細胞加工するのが一番いいかという最適化を考えたときに、われわれの技術をわれわれがやるのではなくて、そういう業者の方がやると。そういう意味で言うと、○年からスタートしようと思えば、○年から動いていないといけないので、まさに今のタイミングからやらせていただいたという次第である。

★ 分かった。

【審議】
委員長: よろしければ次の変更申請に。

 

5)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)<ゲノム指針>
受付番号:K2018-019 「毛髪診断技術の確立に向けた毛髪の性状解析研究」
研究実施責任者:BDR 器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
説明者の杉村研究員により本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後審議が行われた。審議にて、毛髪以外の疾患患者を対象とすることについては本研究計画とは別に新たに研究計画を組むよう提案された。また、毛髪から疾患特有の情報が得られる科学的根拠と、協力医療機関の体制について再度説明を確認することとなり審査継続となった。後日修正変更された内容について迅速審査とし、委員の確認後に承認とされた。

詳細は以下の通り

委員長: コンソーシアムに企業を追加した。それから、元々入っていたのだけども、住所変更、および計画書に書き忘れていたのが、**で。それと、○○病院というのが他の疾患の方のサンプルを集めてくれるという形で、病気の診断等につながる研究になるのではないかという期待の下に枠組みが変わってきていると。

説明者: そうである。研究自体がちょっと遅れているので、大規模に。

★ 「提供者/被験者の選択基準・方針、考え方」というところで、かなり大幅に変更なさっておられるように思った。例えば「提供者/被験者選択基準」のところの、従来は「毛髪関連疾患では」とあったのが、「毛髪関連疾患のみならず、がんや生活習慣病」ということで、今回、疾患名が追加されている。これは、元々の研究計画で想定されていたものの目的と、その範囲内で考えられることなのか。また、新規の発想が入った新たな研究として、変化したというふうに考えるべきなのか。

説明者: 当初から、最終的には疾患の診断まではいきたいというのはあった。具体的にどの疾患を狙っているのだといったところを、お答えすることができていなかったというのが、正直なところである。

委員長: 多くの場合、ヒト試料を使う前に動物レベルの実験があって。人間の毛髪と動物の毛髪系はかなり違うけれども、例えば、血液に現れるこういうマーカーが毛の中にあるとか、何か示唆的なものがあるのか。

説明者: 説明の資料の中に記載していたのは、文献で、人の毛髪から、例えば乳がんや肝がんなど、がんの疾患のものを、髪の毛をもって見ていけるようなことを書いているものは元々あった。われわれがマウスでやっているわけではない。

委員長: 今回は少し探索をする対象を広げるということでいいかもしれないが、何でもかんでも広げるというのは、人を対象にサンプルを取るということに関しては、基本的には許されないことだと思う。

★ この○○病院の患者さんへのICは、病院が取るのか。

説明者: 病院が取る形になっている。そのICに関しては、実際に今回提出したICを基に、○○病院の方で今、倫理委員会を開くというふうに聞いている。

★ そのICの中に、どういうふうにして、どういうやり方で毛髪を取るかということが書かれていないように思う。何本ぐらい、どんなふうにしてとか、痛みがあるとか。どういうふうな採取の仕方をするだとか、その辺が、ここにちゃんと明記されていた方がいいと思う。

委員長: ICの「(4)試料の提供、研究方法及び研究期間」、ここで「毛髪、唾液、健康情報アンケートおよび診療情報になります」と。前回は、毛髪の疾患の方ということだったので、まあいいかなというのがあったかもしれないが。

★ これは全く治療の一環ではなく、わざわざ毛髪を提供していただくことになるので、その説明は必要かなと思う。

説明者: もう少し患者さんに分かりやすくなるように修正する。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 大変重要なご指摘をありがとうございました。疾患が増えることについて、かなり違うことをやるということなので、どこまで認識されているかということと、実際に患者さんへの説明をしっかりしてくださいということで、説明文書に手を入れていただく。対応いただけたら○○委員と○○委員に見ていただきたい。特に○○委員には、説明文書が十分であるかということを見ていただけると、ありがたい。

★ 何か走りながら、思い付いてやっているような。

委員長: これはもう1回「こういうこともやりたい」というのが来たら、ちょっと科学的根拠を、もう少し精査しながら、場合によっては駄目ということもあるかなという。はっきり言われていたが、「向こうの病院から言ってきたから」みたいな。ちょっと不安である。

★ そうである。向こうから言ってきたと。

委員長: では、そういうことで、修正の確認の上承認ということで、条件付き承認でいきたいと思う。それでよろしければ。

★ やはりこのがんと生活習慣病というのが、ものすごく商品化とつながっている話にどうしても聞こえた。毛髪関連疾患であれば、この研究計画は目的と研究内容とが接合しているので承認されるかもしれないが、それがそれこそ何大疾患と言われているような疾患が入るとこれが本丸ではないかというような疾患に見える。

委員長: 髪の毛で診断ということか。

★ ええ。ものすごく出てくる、商品として接続する形で宣伝されているところなので、理研の研究として、そういうもの、そういうことで一緒にやっていくということを、どれぐらいお考えなのかというところが、ちょっと気になった。

★ 恐らくご指摘、ご心配のとおりだと思う。聞いていて、何が分かるか分からないという。これはいわゆる仮説ドリブンの研究ではなくて、もうデータのAIとか何が出てくるか分からない。データから何かが分かるかもしれませんという、そんな感じの研究だと思う。

★ 何となく前聞いていた話では、○○がそういう健康のデータベースみたいな大きいのを作る中の、髪の毛部分で入っているというような説明があったような気がする。ですから、逆に言ったら、髪の毛部分が入ったときに、他の疾患、毛髪以外の疾患についても、その大きなプロジェクトに踏み込めると気が付いたか、○○(企業名)の方から言われたか何か知らないけれど、そのような経緯があったような。ただ、確かに考えてみたら、前は毛髪のことだけだったように、記憶している。

委員長: このプロジェクトは最初からどうもよく分からない。

★ 恐らく何が出てくるかも分からないけれど、取りあえず髪の毛だから、そんなに侵襲がある組織ではないから、それで何かが分かれば、データをたくさん取っていって何か分かればすごくいい、もうけものだという。

委員長: これは研究の目的がよく分からなくなってきた。科学的根拠が十分に示されていない、動物実験レベルが。それから、共同研究先の病院が、なぜそこであるのかということが分からない。その体制についても説明がなかった。理研として新しい組織と組むときに、その組織についての社会的な信頼性が要るのだけれども、十分に説明がなかった。したがって、毛髪の研究は毛髪の研究で、やってよろしい。しかし、それ以外の疾患に関しては、独立の研究として組むことを提案する。

★ それが一番よろしいと思う。

 

6)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)<ゲノム指針>
受付番号:K2018-020 「網膜変性患者等のiPS細胞由来網膜細胞の解析、並びに同細胞を用いた網膜変性疾患治療法の研究」
研究実施責任者:BDR 網膜再生医療研究開発プロジェクト 高橋 政代

 

7)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<ゲノム指針>
受付番号:K2018-025 「ヒトiPS細胞由来網膜細胞の臨床応用のための製造及び品質管理方針の検討」
研究実施責任者:BDR 網膜再生医療研究開発プロジェクト 高橋 政代

 

8)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<ゲノム指針>
受付番号:K2018-022 「iPS細胞由来網膜細胞移植による網膜変性疾患治療法の研究」
研究実施責任者:BDR 網膜再生医療研究開発プロジェクト 高橋 政代

【概要】
網膜再生医療研究開発プロジェクトの森永研究員により受付番号:K2018-020の実験課題の内容を3つの課題に分離して整理する旨説明があり、質疑応答の後審議が行われた。審議にて特に内容に問題がないことを確認し承認とされた。

詳細は以下の通り

★ (審議資料7で)元のものから分割して、新たに組まれたということあるが、その試料を他機関から頂いて研究するというふうに。○○(法人名)であるとか、○○(企業名)と書いてあるが、これは既にお持ちのものをお使いになるのか、新たにもらうというような、新規計画として、新たにそういったところから、もらうという形になるかどちらか。

説明者: 今のところは、新たにもらう予定はない。でも、今後多分出てくるかもしれないので、そのときは、また新たな変更申請というのが必要になるかなと思う。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

★ 教育は大丈夫か。資料7に書いてあるものが一番、研究実施者が多いので。この中の常勤の職員と非常勤の職員は、どんなことになっているのか。全部常勤の職員か?

事務局:  (全員)ではない。客員とかいうのは違う。ただ、参加される前には(教育は)必ずやる。

委員長: 三つとも承認でいいと思う。ただ、共同研究機関の他の組織に属する方が多数、関与されているようなので、その方々がそれぞれの組織で倫理的な側面についての研修をしっかり受けていることを、こちらの研究代表者としてご確認いただきたい。

 

9)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<ゲノム指針>
受付番号:K2018-007 「ヒト皮膚組織を構成する細胞の多様性の解明」
研究実施責任者:BDR 細胞外環境研究チーム 藤原 裕展

詳細は以下の通り

★ 「患者さん用説明文書」に、あまり明確に書いていないが、健常な部分も取るのだけれど、それはその方にとって不利益にはなりませんよということを、もう少し明確に書いていた方がいいかと。

委員長: 通常の患部の切除のときに、余計には取らないのだけれど、取れてくるものであると。そして、その健常部分を使うという。

説明者: 特に病気の方の場合は大き目に取る。もしくは、検査をするときに取るという皮膚が対象になる。それから、皮膚移植の方はできるだけ無駄が出ないようにカットするのであるが、植えるときに形が合わなくて、どうしても切除することが出てきたり。それから、伸ばすときにピンチで挟む部分が必要なので、そういう部分はしっかり取って捨てるのだが、そこは確かに説明をきちんとしないと、余計に取られるのではないかと思われるということになる。
委員長 臨床情報はほとんど使わないのか。

説明者: はい、臨床情報は使いません。

委員長: そのことは書かれているか。

説明者: 13ページの8番の「試料などの他機関への提供」の部分で、皮膚試料と登録情報、登録情報の中には皮膚を切除するに至った病名というのがあるのであるが、これは病院の方で匿名化されるということになる。

委員長: 例えば12ページの「研究の方法」で、研究の方法で2行目に「病名を情報として登録します」と書いてあるところに、他の情報、これ以外の情報は使いませんというような表現を入れるとか。

説明者: 早めにここで「使わない」と言う。

委員長: 両方にあってもいいかなと思う。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: よろしいか。説明文書等に手を入れていただいて、条件付きで承認ということでいきたいと思う。

 

10)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<医学系指針>
受付番号:K2018-016 「ヒト呼吸器原基のin vitro再構成と極性形成過程の可視化」
研究実施責任者:BDR 呼吸器形成研究チーム 岸本 圭史

【概要】
呼吸器形成研究チームの森本チームリーダー及び岸本研究員により新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後審議が行われた。審議にて内容に問題がないことを確認後承認とされた。

詳細は以下の通り

説明者: 実験計画の中でヒトiPS細胞を使用する部分があり、その使用のために、研究所内での倫理申請が必要ということで申請させていただいた。概要としては、京都大学のiPS細胞研究所から分与を受ける。受けた細胞で、呼吸器の原基の細胞を誘導して、種々の実験を行い、結果をiPSセンターと共有して研究を進めていく。

委員長: これは1株で本当に大丈夫なのか。論文を書くときに、複数のiPSでもいくとやらないといけないのではないか。

説明者: 今は確立することが第一の目標と考え、むやみにたくさん持ってしまうことも問題かと思っている。

★ この試料は、いわゆる○○のストックプロジェクトとは異なるものなのか。

説明者: タイミングとしては、結構初期に作られた株で、ブロードに募集したものよりは、ちょっと前のタイミングで樹立された株のはずである。2013年の論文で初めに報告された。

委員長: 2013年に既に報告されているから、樹立されたのは、それより結構前のはずである。元の方がおられるということで、どういうプロジェクトで作られたかは理解しておいていただいた方がいいかもしれない。同じような細胞がどういうふうに広まっているかということも理解されることは、堂々と研究ができるという意味でいいように思う。

【審議】
説明者退席後、特に意見がなかったことから、承認とされた。

 

 

11)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<医学系指針>
受付番号:K2018-012 「継続的にフットサルプログラムに参加している精神疾患患者の行動解析と神経学的課題による評価」
→ 審査後に改め「行動解析と認知課題を用いた集団スポーツの精神科リハビリテーション効果の評価」
研究実施責任者:AIP 構造的学習チーム 藤井 慶輔

【概要】
実験責任者の藤井研究員により新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後審議が行われた。審議にて患者用説明文書についての指摘事項があり、それについて共同研究機関へ進言するよう求められ、研究計画書の修正を各委員で確認後に承認とする条件付き承認となった。

詳細は以下の通り

委員長: ビデオなどを扱うことに関する研修を受けたりするのか。

説明者: 倫理の講習は受けたが、その特定のビデオの扱いというのは。

委員長: 研究室内でも、あまりそういう話はたくさんあるわけではない?

説明者: そうである。

★ 精神疾患の人がフットサルをするのだが、年齢などが全然書かれていない。どういう人たちが、どの程度の運動をされるのか、またあまり負担にはならないと書かれているが、ちょっと実態が伝わってこない。

説明者: (被験者のリクルートの最中なので、断定できないが)普通にフットサルをやるようなメンバーなので、30代などがメインの、男性が多く、女性もたまにというような。そこまでひどくない精神疾患の患者と考えていただければ。

委員長: この説明文書を理解して、同意できる方々なのか。

説明者: 共同研究機関の方から聞いた話からは、そうであると思う。今回の計測は、リクルートから同意書の説明まで、共同研究機関の精神科医が主となり行う。

★ リハビリとして意欲的に頑張ろうかなと思っていたところに、研究にまでとなると、難しい方がおられるかもしれない。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

★ 個人情報を保護して画像を分析するという経験のない方がやるので心配ではある。

委員長: チームリーダーがしっかり監督していることが必要だと考えるということで、まずはそのあたりでいかがか。それから、文章の改訂をお願いしたいということで。

★ 個人情報保護の観点から説明願いたいということではないか。

委員長: 個人情報の保護、取り扱い、保管。保護取り扱いについての質問と。それから、研究内容として分かりにくいという話と、それから計画書の中に、どういう方が対象なのであるかということを、参加したくない方への不利益がないようにすることも含めて、しっかり記述していただきたいと。委員全員で回して、皆さんが了解された段階で承認に持っていくという条件付き承認でいかがか。

事務局: **大学のICについては、もう倫理審査に提出済みとはなっているので、変更になるのがmustな感じか。

★ これはわれわれがよく見ているインフォームドコンセントの取り方の文章を、今までたくさん見た中から見たら、分かりにくいものの一つである。その改訂は、やはり理研の倫理委員会としては、これは工夫の余地があるのではないかという意見を、あらかじめ伝えておいてもいいのではないか。

委員長: 「改訂がないと、承認しない」にする。それは理研の見識を示すということ。ありがとうございます。

 

12)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<医学系指針>
受付番号:K2018-011 「難治性心筋症疾患特異的iPS細胞を用いた集学的創薬スクリーニングシステムの開発と実践(iPS細胞及び心筋細胞の品質管理)」
研究実施責任者:BDR 先端バイオイメージング研究チーム 渡邉 朋信

【概要】
先端バイオイメージング研究チームの渡邉チームリーダーにより新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後審議が行われた。審議にて特に内容に問題がないことを確認後承認とされた。

詳細は以下の通り

説明者: われわれの方で、ラマン散乱顕微鏡、第二高調波顕微鏡という、二つの特殊な顕微鏡を持っていて、これは、散乱光を少し特殊な形で見るような顕微鏡で、例えば、完全にiPS細胞になっているものと、なっていないものを、この散乱光で見分けるといった、そういう技術を作ってきた。 その技術二つを用いて、まずiPS細胞の品質管理技術を作ってきて、その次に心筋細胞の心筋の活性を同じく散乱光で見る。これには光第二高調波というものを使うが、散乱光で見るという技術を作ろうと思っている。その技術がスクリーニングに役に立つのではないかと思う。

★ 当該iPS細胞をラマン散乱顕微鏡で観察することで、疾患特異にラマンピーク、散乱ピークが発見される。発見されると期待できるということか。

説明者: そうである。

委員長: 正常な心臓の筋肉では、もう見られることが分かっているのか。

説明者: 事前実験としては、マウスで心筋細胞に分化させていく、その順序を全てラマン散乱で取り、実際に成熟したものをセレクションに掛けられるというところまで、マウスの細胞で確認している。

★ IC文書の「遺伝情報の解析とその結果の取り扱い」というところが、大きく項目立てになっていて、そのことについて患者さんというか、被験者の方にご説明になるようになっているが、計画書の方で遺伝情報の解説等について、どういうふうになっているのか。

説明者: われわれは、あくまで光の計測技術の計測のデータをお渡しするという形であり、われわれの方に遺伝情報が入ってくることはない。

委員長: 大阪大学の、大きなグループで論文を書くが、その一部に今回のデータが入っていくのか。それとも全体に幾つもの論文があって、そのうちのある部分を、先生が切り出した形で研究されるのか、どちらであるのか。

説明者: 後者の方である。大きなプロジェクトがあり、その中で一つ一つ、いろいろな柱がある。私たちはこの1個の柱のさらに一部になる。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: これは大きな本体があって、これはその中の小さいものとして、ある程度、認めていかないと。では、承認ということでいきたいと思う。

 

13)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<医学系指針>
受付番号:K2018-014 「微量汗測定による健康モニタリング法の開発」
研究実施責任者:BDR 一細胞質量分析研究チーム 川井 隆之

【概要】
一細胞質量分析研究チームの川井研究員により新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後審議が行われた。審議後に承認とされたが、被験者に不利益がないよう事務局より説明者へ再度確認を行うよう求められた。

詳細は以下の通り

★ 産総研の役割は何か。

説明者: 基本的には、データ解釈と、このウェアラブルデバイスの設計である。汗を吸いやすいような機構であるかとか。われわれの方は核となる平面型のマイクロチップを作っている。

★ どこかでメディカルの人が入ってこないと。

説明者: 今回はあくまで、メディカルの人に入ってもらう前の前実験として、われわれ研究者サイドがやるという形を考えている。

委員長: どんな健康面の情報を取るのか。測れるかどうかだけ?

説明者: 今回は、疾病患者をターゲットに測っているわけではなくて、あくまで健常者で、どんな物質が測れるかというのを、まず見極めるための実験と位置付けている。

委員長: 産総研には、倫理委員会があるのか。

説明者: ある。

委員長: そこに諮って、倫理審査が要らないと言われているのか。

説明者: 先方からは、全て理研で試料の採取から解析までやる場合には要らないとは聞いている。

★  今回、自分たちが被験者になるわけだが、特に介入もない、侵襲もないような研究だから、いいじゃないかということは、こういった人を対象とする研究では通らない理屈なので、それをまず、最初に認識する必要があるかなと。今は少人数だけれども、研究室はいずれ大きくなるかもしれないわけですし。

説明者: スタッフの誰かに圧力が掛かって、強制するような形の力が絶対に働かないように、ちゃんとインフォームドコンセントを用意した上で、進めるようにさせていただいている。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: まず産総研との共同研究であることに関しては、共同研究でよいと思うし、こちら側の倫理委員会の承認ということで。今回は認めてもいいかなと思う。

★ 分析できるかどうかだけに限るのであれば、それでいいのかもしれない。

事務局: ある意味、健康状態に関係することが出てくる可能性もあるので、仲間内で、それを知られたくないというか、知ってしまいたくないというのもあるかもしれないので。そのあたり、事務局の方からもよく説明して。

 

14)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)<医学系指針>
受付番号:K2018-013 「がん患者における生体分子の発現と投与薬物の代謝・生体応答に関する研究」
研究実施責任者:BDR 無細胞タンパク質合成研究ユニット 清水 義宏

【概要】
無細胞タンパク質合成研究ユニットの清水ユニットリーダー、一細胞質量分析研究チームの川井研究員により新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後審議が行われた。審議では説明文書中の共同研究機関の研究資金の記述について指摘があり、正しい情報を記述するよう進言することとコメントがあった上で承認となった。

詳細は以下の通り

説明者1: 共同研究先が国立がん研究センターで、がん研究センターの患者さんから頂いた生体試料を、質量分析で解析するという形で、研究を進めていこうと考えている。

委員長: 100名と書いてありますが、そうですよね。これはどういうスピードで?1年に何人、当初何人とか。

説明者1: まずはいろいろな技術、方法を確立していかなければいけない。当初は少ないサンプル数でやっていくと思う。

説明者2: 最大で100件あり得るということで考えていただければ一番よいかと思う。

★  研究資金の件で。インフォームドコンセント文書では「当院の研究費」。研究計画書では、理化学研究所の研究費と外部資金で「公的(日本医療研究開発機構 革新的がん医療実用化研究事業)、AMEDとなっているが?

説明者1: これは正確ではない。理化学研究所および外部資金の研究費も用いる。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた。

委員長: 今回は、先ほどのところ(説明文書)を直していただくということで、条件付き承認としたい。事務局・委員長確認ぐらいで。

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