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No69

第69回 神戸事業所 研究倫理第一委員会 議事要旨

1. 日時:令和元年6月20日(木)10:00~12:00
2. 場所:理化学研究所 神戸地区 発生再生研究棟A 2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

加藤 和人 委員 (大阪大学大学院医学研究科 教授)
上野 弘子 委員 (広報メディア研究所 代表)
黒澤 努 委員 (鹿児島大学共同獣医学部 客員教授)
永井 朝子 委員 (公益財団法人尼崎健康医療財団 市民健康開発センターハーティ21 所長)
林 知里 委員 (兵庫県立大学地域ケア開発研究所 地域ケア実践研究部門 教授)
濱田 博司 委員 (生命機能科学研究センター 個体パターニング研究チーム チームリーダー)

(説明者)

小出 直史 (生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト 研究員)
仲泊 聡 (生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト 上級研究員)
奥野 恭史 (科技ハブ産連本部 融合研究推進グループ グループディレクター)
宮西 正憲 (生命機能科学研究センター 個体パターニング研究チーム 上級研究員)
辻 孝 (生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム チームリーダー)

(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)ヒトゲノム・遺伝子解析研究に係る実地調査について
(2)人を対象とする研究計画の変更申請に関する承認について
(3)人を対象とする研究計画に関する審査(新規・変更)
(4)その他

5. 報告事項について
 

1)ヒトゲノム・遺伝子解析研究に係る実地調査について
事務局より、平成30年度に実施したヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に基づく実地調査の結果に関し、該当する5課題について報告があった。

2)人を対象とする研究計画の変更申請に関する承認について
事務局より、前回の委員会開催から迅速審査が3件あったことについて報告があった。また、場所の追加など軽微な変更についての申請が2件あり、人を対象とする研究に関する倫理規程に基づき委員会の審査を経ずに承認したことについて報告があった。

6. 審議事項について
 

1)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:K2019-002 「視野障害を有する者に対する高度運転支援システムに関する研究」
研究実施責任者:BDR 網膜再生医療研究開発プロジェクト 髙橋 政代

【概要】
説明者の小出研究員より新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、申請書の記載内容について、誤解のない表現となるよう修正すること、また、説明文書に記載が欠落している箇所や誤解を生じると思われる表現があるので共同研究機関に確認を求めることとされ、条件付き承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 200人が対象ということであるが、これは年齢の条件などはないのか。

説明者: 年齢は、最初は区切る話も出たが、取りあえず取れるデータは全て取って、後からソーティングするという感じでやっていく。

★  今回の研究で除外する人として「眼底疾患を伴う方」が3番に挙がっているが、今回の研究はそもそも網膜色素変性という眼底疾患のある人を対象にしているので、これを除いたら、被験者がいなくなってしまうのではないか。

説明者: 今回、アイセンターでデータを取りたい被験者としては主に色素変性症の患者さんの所見が欲しかったということで、その他複雑な眼底所見を伴った方だと、色素変性の方のデータと言いにくい部分もあって、それで書いたということである。

★ 意味は分かるが、そう思っているのが分かるかどうか、表現だけだと思うが。

委員長: そこは補わないと、正確ではない。

★ 「今回研究対象としない、その他眼底疾患を伴う方」みたいな。

説明者: そのとおりかと思う。

★ 今回は視覚障害だが、それがあって認知の問題があるので、その認知のところを今回は除外したいからMMSEをやるというご説明であったけれども、これが複合したらもっとひどいことになるとか、そういう知見はまだ得られていないのか。

説明者: 実は社会課題として一番大きいのは、認知症や高度な精神疾患を伴う方の安全確保に自動走行システムが使えないかということが狙いなのだが、いきなりそこを狙いにいくのはあまりにしんどいので、分かりやすい知覚を今回はテーマでやっているということになる。

委員長: 取りあえず排除したいわけか。

説明者: そのとおりである。モデルとしては同じでいいはずで、知覚がちゃんとすみ分けられていて、その上位に主観が伴う判断あるいは認知のところが入ってくるのだが、今はそれも全部ごっちゃになってしまっているので、まずは分解して、簡単なところでモデルを作って、その後、当て込めるのだったら、もう少し複雑なところにも当て込んでみましょうというのが、大きなストラテジーである。

★ 今回はそこをすっきりさせるために、何だか分からなくなるといけないので、認知障害がある方はとにかく除いた上で、視覚のところだけで研究するという戦略ということでよろしいか。

説明者: おっしゃるとおりである。画面が小さいが、フォーカスしているのは、全体の最初の知覚の部分である。

委員長: それが内閣府のSIPの全体像か。

説明者: 一般的には認知・判断・動作で片付けられてしまっているので、実は認知の前に知覚があるということを今回は提案した。業界と監督省庁の一番の興味としては、⑤番の真ん中に書いてある「認知症などへつなげる布石的な役割」としてこの研究テーマをやってほしいということである。

★  ○○大学病院の説明文書であるが、5番の「試料提供者にもたらされる利益,不利益」が途中で途切れている。

説明者: これは確認する。 説明者退席後、審議が行われた

委員長: 大きくは問題ないのではないかと思う。書類の軽微な修正、不十分なところを修正ということで、そこだけ事務局確認でいいのではないか。これは条件付き承認ということに。

★ 大変意義深い研究であるから、ぜひ推進していただきたい。

 

2)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:K2019-003 「大規模災害時の避難所で暮らす視覚障害者のための遠隔支援システムの開発」
研究実施責任者:BDR 網膜再生医療研究開発プロジェクト 仲泊 聡

【概要】
実験実施責任者の仲泊研究員より新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では特に問題はないとされ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 対象の人数は何人か。

説明者: もしこれが通ったらやってくださいと言っている人は1人いるが、1人だけだと、さすがに研究という意味では弱いので、今年度中に3人ぐらいを目標にして被験者さんを見つけていこうかと思っている。

委員長: 分かった。では、ご質問を。

★ ボタンを押したら、目の前の写真が撮れるのか。

説明者: そうである。

★ その写真が撮れてから、音声ガイドでその状況説明が流れるまでの時間は、どれぐらいあるか。

説明者: 通常の、元の道具だと10秒である。ただ、今回の場合はオートマチックではなくて生身の人間が間に入るので、それに近いというか、誰が話すかということが決まっていないときは1分、2分とかかかることもあるが、待ち構えていれば、十数秒から20秒ぐらいの間に返事は戻ってくる。

委員長: では、テストの間は待ち構えてやるということか。

説明者: そうである。

委員長: それはどこか完全に別の、支援者ではなくて、どこかで座ってやっているのか。

説明者: 完全に別である。

★ 被験者はどういうタイミングでボタンを押すのか。例えば道に迷ったというか、もうそろそろ着くはずなのに着かないとか、この辺に何か観光地があるはずで、それがどういう風景なのかを想像してみたいとか、いろいろあると思うが。

説明者: こういう場面で押してくださいという指示は出さずに、逆にどういう場面で必要としているのかを知りたい。それも研究対象にしている。

★ 最終的に避難所で使えるようにという目的であるが、それであれば、やはり物見遊山的なことではなくて、自分が何か困ったときを想定してということであるか。

説明者: そうである。

★ (今回は)何でもいいわけか。

説明者: AMEDのヒアリングのときには、そのような生ぬるいことをやっていないで仮の避難所を造り、その中で生活させたらどうだというご意見を頂いたが、さすがにそれは危険性が高く、最初からそれをやるのはどうかと思い、まずは普段の日常の中で、少し非日常のところで、どういうところが困るかということを知りたいと思って、こういうことを提案した。

委員長: 分かった。他にあるか。

★ この行程の計6時間というのは、どのようにサンプリングされるのか。

説明者: これは時間で区切ってしまっていいと思う。その間にずっと頻繁に出せるのかどうかは分からないので、便宜的に決めたものである。ですから、1人目で便宜的にやって、このように改善した方がいいというアイデアが出た場合は、2人目のときにその6時間をどのように配分するかを工夫していければと思っている。

★ 協力は6時間だけなのか。

説明者: そうである。あとは自由にしてくださいという感じで。

委員長: 「はい、スタート」で6時間なのか。結構大変ではないか。

説明者: そうではなくて、1時間ごとである。途中で休憩を入れないと、やはりつらいのではないかと思う。

委員長: では、その1時間は被験者の方は集中して、「さあ、送るのだぞ」と思いながらやっていただくということか。

説明者: そうである。

委員長: そのときに送ることを気にして、本来、そういうものがなければ自分で杖等を使って動ける方が危険にさらされることはないのか。

説明者: 歩いている最中の使用についてはストップしている。使うときは必ず立ち止まって、要するに安全を確保した上で使っていただく予定である。

委員長: それでも見えていないというか、障害があるので、止まっていても何かがぶつかってくるとか。

説明者: 道具を使おうと思って、道の真ん中で止まってしまうことがあり得るかもしれない。

委員長: 離れている支援者で大丈夫かなと思うが、10m以内であったか。

説明者: 普通に1人で1泊旅行ができるぐらいのスキルがある方だと、止まった状況で自分がどういう環境に置かれているかという状況把握がある程度できるから、その辺で一呼吸置くタイミングがあれば、安全性は確保できると思う。

★ これは被験者の方が初めて行く場所なのか。

説明者: そうである。それを期待している。

委員長: そうすると、やはりちょっと・・・。送らなくてはと思っているうちに、他が疎かになるということは。やはりそれは説明しておいた方がいいように思う。

説明者: 承知した。

★ 画像から音声にするときに、困っている方にとってはやはり何かここの部分が大事だというものがあると思うが、どの部分を説明するのか。全体を何となく説明するのか。

説明者: 実はそこが一番難しいところである。1年間、これをやる前のワーキンググループの中でその辺をどのようにするかということで、被験者側が何を知りたいのか。どこなのか、誰なのか、何なのか、その画面の中のおおよそどの辺なのかといったことを見る側に伝える方法も必要ではないかという意見は出ている。それも含めて、まず1回目としては安全性の確保が一番大事で、うまく安全を確保したまま検査ができるというところをするのが1年目の目標かと思っている。

★ 最初に思ったが、3人という数字なのだが、今のご説明だと、1例目を実験してからまた改善したりして、方法も変わっていったりすると、数が少ないというか、もう少しいないと具合が悪いのではないかと思うがいかがか。

説明者: いわゆる統計を取るとか、そういう形にしてすると、すぐに10人、20人というレベルに行ってしまうと思う。そのための費用と時間は、なかなかその研究費の中では収め切れない。最初のうちは少数例でもじっくりとログを検証して、次につなげるということが大事だと思うので、汎用化する手前でもう少し広く大きな実験を改めて行うべきではないかと思う。

★ これは(薬の試験では)Ⅰ相の前臨床ぐらいのフェーズで、次はやはり相当大きくやった方がいいと思う。それをやったときに、少し気になるのは、理論上10秒だとすると、恐らく実際は20秒や30秒になってしまうと思うので、そんなにタイムラグがあると、あまり実用的ではないのではないかと心配するが、何か展開を考えているか。

説明者: これは完全にアナログであるが、既にAIを使ったサービスも始まっており、当然、ある部分はAI化して、すぐに返ってくると。それから、5Gが来年度からの予定なので、もちろんそれも視野に入れていて、今は時間がかかるが、いずれは短くなるだろうと。また、AIで置き換えられるところはAIで置き換えていこうという見通しを立てている。

説明者退席後、審議が行われた

委員長: 最終的には災害のときであるから、別に1分かかろうが、2分かかろうが、今までは得られなかった情報が得られるというのはかなり大きいと思う。AIは当然、使えるし、特に大きな問題はない。

★  安全性については、これを拝見した限りでは、目は見えないけれども(日常的に)活動されている方を対象に試験をしようというわけであり、強いて言えば、押して10秒なり何秒か待っているときだけが日常とは違うだけで、そんなにリスクは大きくない。

委員長: (今回は)かなり自立できる、ガイドが要る人は大勢いるが、そこまでいかない人でやるということである。では、これは問題なく承認ということでいきたいと思う。

 

3)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:K2019-004 「糖尿病患者の服薬状況に関する事態調査」
研究実施責任者:RCH 融合研究推進グループ 奥野 恭史

【概要】
奥野グループディレクターより新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では特に問題はないとされ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ デバイスについてもう少し詳しく教えていただきたい。結局、薬を飲む時間だというアナウンスがあって、薬を1粒取り出して飲むのはもう本人に任せているということなのか。

説明者: そうである。一応、こういう箱を配り、その箱の中に錠剤が入っていて、その箱を開ければ、ちゃんと開けたという記録がされる。ただ、開けたまま飲まなければ、そこまではモニタリングができないという状況で、一応、そのデバイス、箱は最終的に返していただくので、飲まずに捨てられていたら、もう本当にどうしようもないが、もし錠剤が残っていたら、開けたけれども飲んでいなかったということは後から分かる。

委員長: これはスマホが近くにないと反応しないのか。家の中だと反応するのか。

説明者: Bluetoothが飛ぶレベルであれば。

委員長: このサーバに入るデータというのは、いわゆる病院のカルテ、臨床情報などではないのか。

説明者: それは入らない。あくまでモニタリングがされたデータである。あくまで患者同意を得た形で、体重やHbA1cなどの一部のデータは匿名でこちらに入る。匿名化はされていて、突合のリストに関しても**大が管理している。

説明者退席後、審議が行われた

 

委員長: これも問題はとても少ないのではないかと思う。そもそもデータの規模が小さいし、種類も少ないので。

★ 先ほどの説明でこれが初めてだと言うから、このようなものが今ごろ出るのかと驚くぐらいである。

委員長: 確かに不思議である。

★ このようなものが出てきたら、すぐに使いたいぐらいである。このようなものが今ごろとは思ったが、それでも素晴らしい。

委員長: これも問題なく承認ということで。

 

4)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規)
受付番号:K2019-005 「単球・マクロファージ等の血液細胞の多様性と小児疾患発症の相関性に関する基礎的研究」
研究実施責任者:BDR 個体パターニング研究チーム 宮西 正憲

【概要】
宮西上級研究員より新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、検査が行われる際に研究用に余分に試料採取を行うこと、既存試料の研究利用の同意の有無などについて審議がなされた。既存試料の研究使用について出来るだけ同意を得ること、申請書の文言の修正などを行うこととされ、条件付き承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 「特定疾患の症例数は非常に限定的である。そのため、対象疾患を限定せず症例数を増やす」と書いているが、本来はこの研究をしたい特定の疾患群がもうあるのか。そうではないのか。

説明者: 解析として、複数の疾患を多面的に解析した方が、例えば疾患に共通する項目であるとか、疾患ごとに異なる項目が洗い出せるかなと思っていて、あえて疾患を絞らずに全てを見たいと考えている。

★  今回の目的は極めてスクリーニング的なところがあって、ヒトによるマクロファージのサブセットと疾患の関連がどこかにあるに違いないから、強く関係する疾患をそこで見つけたら、その後はいろいろ疾患モデル(動物)を使ったりするということで、今回はまずそこを広めにやってみたいということか。

説明者: そうである。

★ 骨髄液について、やはり子どもで3ccというと、かなりシビアではないかと思う。そのあたりの患者に与える不安の程度について、それがやはりある程度、患者にやさしい基準がないといけないと思う。
 もう一つは個々で検体を2~3cc余分に採るということで、末梢血などは別に構わないと思うが、そのように採るということを書きながら、患者さんへの説明文書の中には「新たに余分なものは採りません」というような文面があったので、そこは一致させないといけないのではないかと思う。

★ 25ページの**病院の子ども向けのインフォームドコンセントで、25ページの下から4行目、「検査のために取った血液などの余りを研究のために使います」とある。これは厳密には「余り」ではないと思うので、「一部」に変える必要があると思う。

委員長: そうである。元々のメインの15ページのところ、「新規に検体を採取することはありません」というのは間違いである。これはかなり大きな間違いである。

★ 「余り」は間違いである。

委員長: そうである。ついでに言うと、今の小児の説明の「この研究の目的」というところで、いきなり「単球やマクロファージと呼ばれる白血球は」というのは、小学校低学年に説明するには書き直していただく方がいいと思う。それから、臨床情報がかなり細かく理研に来るように思われるが、どの程度来るのか。また、それが△△のサーバに入るのか。向こうから直接アップロードされるのか。

説明者: それを想定している。

委員長: 検査データもそのまま上がるのか。

説明者: 匿名化した後に向こうの**病院でExcelに変換していただいたものを△△に上げるという形になる。

委員長: そうすると、希少な疾患となる小児がんやいろいろな遺伝性の病気など、そういうものだと、もうほぼ個人同定できるぐらいのものになると思うが。

説明者: では、疾患をコード化するようにする。例えばこの疾患はAという対応表は向こうにキープしていただき、こちらに入ってくるのは疾患をアルファベットのような感じでコード化してもまずいか。

委員長: 質問としては、どのように、どの程度の細かさでデータをアップロードされるのか、そして理研側で見るのかということになる。

説明者: 疾患名等は頂く形になる。

委員長: HIPAAを付けておられるというのは、ほぼ今までなかったことであるが、これは△△の規定なのか。

説明者: HIPAAはアメリカの議会で決められている法律であるが、HIPAAに準拠したサービスが最近、クラウド上で△△や××など、いろいろ出ていると思うが、それを使用する。アカデミアで言うと例えば○○は△△を使ってこういう個人情報を管理しているということで、そのような事例はアカデミアレベルでも非常に広がっているという状況ではある。

委員長: 彼らがビジネスとしてしっかりやっているのは当然のことなのであるが、日本の倫理の審査から言うと、日本の患者さんのかなり細かい臨床情報がアメリカのサーバに行くということなので、これは基本的には個人情報の海外提供になると見ている。同意の中に、海外のサーバにデータを非常にセキュリティを保った状態で保存するということは入れないといない。それは個人情報保護法が海外提供を非常に厳しく見ており、それが倫理指針にも入ってきているので、説明の中に入れないといけない。

説明者: 承知した。

委員長: もう一つ非常に大事なことであるが、既存の試料は同意が取れていないという記述に読めるが。

説明者: そうである。その記載はないので、病院のホームページ上にオプトアウトの表記という形で代えさせていただこうかと。

委員長: では、全く同意、医学研究に使うということの何の説明もないサンプルを使おうとされているのか。

説明者: 確認する。

委員長: 治療のはずだったのに、気が付いたら研究に黙って使われていたという、それがホームページに数行の情報だけということでは、ちょっと気になる。通って来られる方はやはり同意を取るべきだと思うが、そこら辺はいかがか。

説明者: そうであれば、通院中の方には同意(文書)の配布を義務付けるという形は。

委員長: 探索的な(研究)ということだが、要するにこれから採られる方は新規では。

説明者: そうである。

委員長: 全ての方に同意を取る方が安全であり、研究のための同意が何らかの形であればいいと思うが検討されたか。

説明者: そこはしていない。

委員長: ご検討いただきたい。つまり過去の検体をもうそれっきりで使いたいという方と、過去の検体プラスこれから通って来ることも一緒にやりたいという方と、完全に新しい方の3種類があるわけで、全部使わないとできないのか。

説明者: メインは新規症例で、手術症例が少ないところを補完するという意味で、過去症例を使う可能性がある。研究目的に使う可能性があるという表記だったかは確認する。

説明者退席後、審議が行われた

★ 診断が確定している患者が500名、罹患が疑われる者が500名という。

委員長: それは両方に注釈を付ければいいのではないか。500と書いておいて、括弧書きで、こうこうこうだから全体で500だというのを付ければいいので。ただ、本当に500名を目指すのかどうかは検討してもらった方がいい。

★ 論点を整理したら、まずはこういう探索的な研究を臨床例で今からやりたいというものをどうするかということが一つ。また、症例数のことがある。それから、大事なのは材料。特に材料の問題は、これのためにエクストラに採取するというのはやはりやめてもらった方がいいような気がする。

委員長: 世界でここにしかない研究かもしれないということも含め、そのバランスで本当に余分に採らないといけないかということを再度検討していただきたいというコメントは出すことにしたいがいかがか。

★ 倫理的にはやはり余剰物でまず探索研究はやるべきだと思う。従って、余剰物でやることをまず検討できないかということは研究者の人に言ってみるべきだと思う。

委員長: それはそうだと思う。まず基本としては、余剰検体でできないのかという、それが原則であると考える。その上で、どうしても必要であれば、どれについてどの程度要るのかということを再度ご説明いただきたいということになる。
 あとは、先ほどの△△のことなどは対応していただくということ、先ほどの一つ目の問題が解決したら、説明文、説明の仕方は決定して直すということ、それから、海外にデータが出るということは記載していただきたい。
 条件付き承認で、結果を皆さんに回すので、ご意見を伺いたい。

 

5)ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更)
受付番号:K2019-007 「毛髪診断技術の確立に向けた毛髪の性状解析研究」
研究実施責任者:BDR 器官誘導研究チーム 辻 孝

【概要】
研究実施責任者の辻チームリーダーより研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行なわれた。審議では、特に問題はないとされ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★  下方修正して、統計学的に、前は1万人でやる予定が半分になってしまって大丈夫かという検討はされたか。

説明者: 基本的には各年代、世代別で5000名を集めれば、統計的解析は大丈夫だろうという結論に至った。

委員長: 160名と5000名ではだいぶ桁が違うが、準備しているのに時間がかかっていて、160名をやったと。そうすると、このスピードで今年の12月までに5000名できるということでよろしいか。

説明者: そのつもりでいる。 説明者退席後、審議が行われた

委員長: 5000人が応募して、ちゃんと細胞を送ってくるのかというのは気になるところであるが、やってみてもらうということで。

事務局: 今回お認めいただけるようであれば、ホームページの公開を26日から始めて、27日から募集を開始したいというスケジュールとなる。

委員長: それは手続き的に間に合うのか。

事務局: こちらは間に合うと思う。

委員長: そうであれば、もうこれは条件もなく、ただ承認ということで挙手を。ありがとうございます。

 

 

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