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No71
第71回 神戸事業所 研究倫理第一委員会 議事要旨
1. | 日時:令和元年9月24日(火)14:07~16:40 | ||||||||||
2. | 場所:理化学研究所 神戸地区 発生再生研究棟A 2階 大会議室 | ||||||||||
3. | 出席委員等 | ||||||||||
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4. | 議事項目 | ||||||||||
(1)ヒトを対象とする研究に関する倫理規程細則等の改正 |
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5. | 報告事項 | ||||||||||
(1) 人を対象とする研究に関する倫理規程細則等の改正 (2) 人を対象とする研究計画の変更申請に関する承認について |
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6. | 審議事項 | ||||||||||
(1) 委員会運営規則の改定について
(2) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: 細胞株がどういうものかの説明を一言。 説明者: これはヒトから樹立したヒトiPSの細胞株である。両方とも京都大学のiPS細胞研究所CiRAで樹立された株で、一般に入手が可能なものである。 委員長: 最初にできた細胞の一つか。 説明者: そのグループの一つである。 委員長: 海外から来た細胞を基にしたものか。 説明者: 基にしていると思う。 委員長: これは本当に審査する必要があるかどうか、一つにはトランスクリプトーム解析やエピゲノム解析というのは、DNAのレベルの塩基配列は外に出るのか? 説明者: 実験の手法として外注することが考えられると思う。シークエンスを読んでもらうとか。 委員長: シークエンスは出るのか? 説明者: 一部の配列は、もしかしたらエピゲノムの部分は、このプロモーター領域がおかしくなっているといったことは出す可能性がある。 委員長: なるほど。細胞株についてはCiRAから直接もらったのか。 説明者: CiRAとはまずMTAを結んでいる。入手したときには、恐らくこれは結構古い細胞であるが、理研のBRCから取っているはずである。 委員長: 理研BRCから細胞をもらうときに倫理審査が要るか・要らないかということは。 事務局: 細胞によって、要らないというお墨付きのある株と倫理審査を受けてくださいという株があって、これは要らない株である。 説明者: ただ、CiRA側は審査をしなさいということになっている。CiRA側はそのMTAの外側、例えば共同研究で別の企業とやるので、そういうものが入っているときにはやりなさいという認識だという理解である。 委員長: しかし、それは変である。理研BRCからもらっている人はしなくていいと。今回は京都から来たのか、理研から来たのか。もう出回っている細胞であるから、元々どこから来たかも分からないか。 説明者: 分かっていない。どちらからもあって、今回のものがどちらかという質問に多分なるが。研究室側として厳しい方に振ると、倫理審査が要るのだろうと理解していた。正直なところを申し上げると、ここに来てお話をしないと、ご判断いただけないだろうということで出しているところもある。 委員長: もし要る方だったら困るということか。ところが、理研BRCは要らないと言っていて、ゲノムデータがどんどん出るならやった方がいいかなと思うが、これは全く微妙である。では、こちらで判断する。 ★ 一つよろしいか。AIなどが出てくると、倫理委員会はどうしたらいいかというのはまだあまりよく分かっていないと思うが、AIを使って、AIが細胞を作ったり選択したりするときにおかしなことをしたらどうするかというのは、何かこれを防ぐような仕掛けがあるのか。 説明者: 現場の答えとしては、現実は、実際にどう動くかは僕らが全て見て、ゴーサインを出したものだけロボットが動くという状態にしているので、そこでのストップは掛かっている。ただ、この先、自律的に全て勝手に回るということになると、何をするかというのは完全には分からないことが増えてくると思う。 ★ 今回の研究ではAIと言いながら、AIの部分はほとんどないということか。 説明者: そうである。 【審議】 委員長: 実は、理研BRCに質問したところ、この株に関しては外国から来た細胞を使って、商業的に売られているものから作ったもので、審査は要らないと言って出しているということだった。が、少し前にHeLa細胞という世界中が使っている細胞で、全ゲノム配列がインターネット上に公開されて、それを遺族が問題視しはじめて、NIHのトップが謝罪したという話があった。今回の場合でも、ゲノム情報をいろいろなところに出してしまうことはよくないだろうと思う。塩基配列が出るというなら、(審査を)やっておいて、指針に従って遺伝情報は守ってもらうということでどうか。 ★ この細胞株に関しては、それでいいのかなと思った。 委員長: つまり審査しておいていいということか。 ★ 審査しておいた方が、もしやはり必要だとなったときにまたゼロからやり直しになるので、やっておいた方がよろしいかと思うが、IC等の内容まで把握しなければならないタイプの細胞をロボットとAIを用いた細胞培養の基盤技術開発という俎上に載せてきたときには、ロボットにやってもらうようなものもICの範囲内と捉えるのかどうかということが、今後、出てくるのかなという気はしている。 委員長: AIがどういうことをやるのか、それが新しい倫理問題を持つのかということ自体は、他のものならともかく細胞を使ったAIは、これから見ていきたいと思う。今回はゲノムデータが出るということで計画として審査して、承認するということでいきたいと思う。挙手をお願いする。 ―全員挙手―
(3) ヒトES細胞使用計画変更に関わる審査(変更) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: 代表者が髙橋先生から代わるということだけか。 説明者: そうである。 委員長: 髙橋先生はこれからも研究に関わるのか。 説明者: そうである。 委員長: 髙橋先生の正式な立場は? 事務局: 客員主管研究員である。 ★ 今の話はどこに書かれているのか。髙橋先生が客員主管研究員になった形で、そういう研究グループとして維持継続されるということは、この研究計画の変更申請に際してどういったところに記載がなされるのか。これはもしかしたら事務的なことかもしれないが。 事務局: この7月から運用されているヒト倫理指針の方で、この人たちを研究に参加させるとか、そういったことの記載の必要性がなくなってきている。 委員長: 使用の方は。樹立ではないので。 事務局: そうである。 委員長: では、新しい代表者、責任者を報告すればいいだけということで。口頭でご説明を聞いたということでよろしいか。 【審議】 委員長: それでは、この変更申請は承認ということで、挙手をお願いする。 ―全員挙手―
(4) ヒトES細胞使用計画変更に関わる審査(新規) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり ★ ES細胞から人の脳を形成していこうという。それについて倫理的な考えは、何か先生はお持ちか? 説明者: 脳といっても脳の原基であって、神経回路網がきちんと出来上がる前の、ヒトで言うとせいぜい24週とか、それぐらいの段階までしか、今のところ発達しない。ですから、その点に関しては問題ないと思っていますし、将来、技術が発達すれば別だが、今の段階ではヒトと比較できるような倫理的な問題にまでは、残念ながら到達しない。 ★ 24週というのは胎生で24週か。 説明者: そうである。 委員長: その範囲でも、研究としては価値のある知識が出てくるのか。 説明者: 24週というのはマウスの14日目ぐらいであるが、性質、例えば幹細胞の細胞系譜とか、家系図、そういうものが大きく違っている。 委員長: そのことをしっかり調べることには価値があるという。 説明者: それをちゃんと調べないと、先に進めないということである。 ★ 今のところはテクニカルに24週までしか行かないから、胎生で24週ぐらいだったら倫理的にはいいかなということだろうと思うが、テクノロジーというのはどんどんうまくいくようになる。どこら辺までなら今のところ許されるとお考えか。 説明者: 大脳皮質といっても、大脳皮質だけなので、これは単に組織の、ある臓器の一部分にすぎないわけで、それがいかにヒトの細胞であったとしても、普通の脳の細胞の集合のように本当に機能的に何かを発揮するとか、そういうことはあり得ないと思う。もちろん他の部分の脳もいろいろできて、全体として例えば意識を持つというレベルになれば、それは考えなければいけないが、そうなるのはうんと遠い先で、そのためには感覚器ともつなげなければいけないし、僕が生きている間はまず無理かと思う。 委員長: 脳だけではなくて初期胚とか、その他ごく普通の臓器もオルガノイドは研究がすごく進んでいる。一般の方は「えっ、そんなことができるの」と思われることもあると思うが、日本でもそういう社会との接点のようなことを先生方と一緒にやっている人はいるのか。例えば公開フォーラムをするとか。 説明者: サイエンスライターで、オルガノイドに注目して集中的に記事を書いている人はいるが、倫理的な問題と考え合わせて記事を書いているのは、あまり見たことがない。 ★ ヒトの大脳皮質とオルガノイドの間に違いがあると研究者の方は考えているのか。 説明者: 違いはもちろんある。脳のこの部分だけを作るとか、あの部分だけを作るということは可能だが、脳全体を一遍に作るということは、いまだかつて成功した人はいない。多分、幹細胞の集合体に与えられる情報が全く足りていない。受精卵から出発すると、そういう情報が全て十分に与えられていて、必要なときに必要なものを提供して、周りとのインタラクションがあって脳ができてくるので、このES細胞から脳の前駆細胞だけを作ったのでは、基本的な構造は同じであるが、それ以上ではないということである。 ★ 倫理的なことについてであるが、オルガノイドというのは、非常にヒトの細胞に似たようなものであって、それを果たしてヒトの細胞とは全くの別物として研究対象にしていいのかどうかということ自体が、徐々に議論されて、記事に出てきているような状況でもある。 説明者: 細胞自身はヒトの細胞に違いなく、ゲノムもヒトのゲノムであるが、細胞の集合体としての性質はまだかけ離れていると言った方がいいと思う。 ★ 理解した。 委員長: 違うという科学者・研究者の見方と、社会の見方として何となく「そういうものを作っているのだ。だから、一緒のことをしているのではないか。じゃあ、その扱いはそれでいいのか」という両方の見方プラスいろいろな見方があるというのは、確かである。 説明者: それは再生医学という名前が出てきたときから同じことが起こっていて、誤解を招く恐れは大いにあると思う。それは気を付けていかないといけない。 【審議】 委員長: 世界的にもオルガノイドという言葉で、いろいろな研究が始まっている。目的は理解したと思うし、社会的な活動をいろいろ考えていただけそうなので、計画としては承認していいかと思うが、いかがか。承認ということでよろしければ、挙手をお願いしたい。 ―全員挙手― 事務局: 委員長、これはヒトESの計画ということもあり、施設・機関の基準というものがある。配布資料にはどのような設備でやるかということがまとめられている。今までと違う点として、インキュベーターが専用のものでなくてもよくなっており、その指針になってから神戸としては初めて出てきたものであるが、(今回は)専用のインキュベーターでなく、ラボにあるインキュベーターを使う。 委員長: これは経験の深い理研ならしっかりやっていただけるという形で書かれていると私は理解した。ヒトES細胞と他の細胞が混ざらないということは大事で、昔は新しいインキュベーターを入れないと研究できないという厳しいことを言っていたが、ついにES細胞をより普通に実験するようになったということである。 ★ そちらの仕掛けよりも、研究者自身にしっかりした倫理観を持ってもらわないと駄目である。 委員長: そうである。ここだけではなくて、研究者としてES細胞とはどういうものかを理解して研究していただくことが大事である。事務局、そこを確認するということで大丈夫か。 事務局: はい。 委員長: では、先ほど挙手いただいたということで、承認したいと思う。
(5) ヒトES細胞使用計画変更に関わる審査(新規) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: 普通のES細胞で呼吸器ができるかどうかもまだやられていないのか。 説明者: ヒトのESに関してはやられていない研究になる。 委員長: マウスは成功したのか。 説明者: マウスは成功した。 ★ ここら辺まで来ると、どうも気管は作れそうなので、そうすると気管に障害のある方にそれを移植するとか、そちらの方にいつでも行けるような感じがするが、そうは言っても倫理的な問題があるので、今回の計画では止めるところというか、どの辺まででやめておくかということは何かあるか。 説明者: 気管を構成しているそれぞれの細胞を作ることまではできそうだと思っている。しかし、作ったものを3次元的に正しい形にするところは技術的に非常に大きな壁があり、それは今のところ作ることができない。一方で形が作れなくても、細胞を移植というか、注入するだけでもできるのではないかという議論は確かにあるが、われわれはそこの段階を今は考えていない。やはり元々は発生学というところから来ているので、どうしてその形や異常が起こるのかというところに興味がある。それを(人の体に)入れて治せるということは、多分、非常に医学的にメリットがあることだと思うが、今回の計画の申請の大きな主眼としては発生学を再現するということまでである。 委員長: 細胞注入だろうが、できた3次元のものを移植しようが、そういう臨床応用を考える段階ではまだないということでよいか。 説明者: まだそこまでは考えていない。技術的に発達してうまくいったら、そのステップはあり得ると思うが、今はまだ基礎研究の段階である。 【審議】 委員長: 呼吸器がどのようにできるのかを調べるところからいく基礎研究で、問題はないかと思う。では、ご承認いただける場合は挙手をお願いしたい。 ―全員挙手―
(6) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり ★ 今回は**小児科病院で樹立されたヒトiPS細胞が研究対象になるわけか。 説明者: (それが)加わるということになる。 ★ 診断が確定している患者さん3名から、由来のヒトiPS細胞を樹立するということか? 説明者: 彼らは病院のアクティビティとして常にiPSのストックを作っていて、それと対応する疾患のデータというか、どういう症状の方から作ったiPSかというデータはあちらにある。その中からわれわれの研究に適合するものを相談しながら選んでいただく。 ★ それは**小児科病院の中にある、バンクプロジェクトがあって、そこからもらうもので研究を行うということか。 説明者: そうである。 ★ この研究計画の在り方として、この研究にサインをしていただくという形で3人の被験者がいるということになるのか? 説明者: それは多分、インフォームドコンセントの書き方の部分だと思うが、このインフォームドコンセントの形として、リソースというか、共同研究としてその細胞を使った研究を発展させるということも包括した書類になっている。ですから、その先が理研であるという特定は確かにないが、共同研究という形であれば、それは可能であるという書き方になっている。 ★ いろいろな形のICがあって、そちらから細胞を頂いて研究をするということはあると思うが、それは向こうのプロジェクトの話としてあるわけで。この研究のために3人の被験者にサインをしていただく研究のようにも見えたが、そうではないのか。 説明者: ICの形としてそうではない。 委員長: きっとその間である。向こうがいろいろなことに使うと言って樹立しているものを、いろいろなというよりはもう少し密に共同でやるということなので。 ★ 理解した。 委員長: このICを見ると、結構広く使えるような形で書いてある。iPSはいろいろなものになり得るので、どうしてもそのようになる。他にあるか。 ★ ヒトの場合、この気管・食道に奇形を伴うときは他の奇形等も重複していることが多いかと思う。 説明者: 実は非常にあり得る。気管・食道の奇形が行われるミューテーションは幾つかもう分かっているものがある。ものによっては同時に心臓の奇形を伴うことが実は結構多かったりする。ですから、局所的に外科的に治しても、他の部分がということはよくあると聞いている。 ★ ヒトであれば、その時期に何かが起こって、初期奇形が発生して、いろいろな部位に影響を及ぼすということがあったときに、こういう細胞で気管だけにターゲットを当てて研究するということの、その先がよく分かっていないが。 説明者: おっしゃるとおりである。複数の臓器を作るというのは、その中に複数の条件を作らなければいけない。それが今は技術的にできていないが、少しずつチャレンジングにやっている方がいらっしゃって、できるのではないかという話はあるので、それができるようになったら、もしかしたら心臓と肺が同時にiPS細胞から作れるとか、そうしたらお互いの関係の中に異常が起こるとか、そういった先駆的な発見は恐らくできると思う。それはぜひ入れたいが、多分、変更申請で入れることになると思う。 ★ では、起こってきたもので「これを」というものを採って、見つけ出して、選択して、そこについて研究していくということか。 説明者: そうである。採ってきた患者さんの異常が絶対に気管に由来するのかというのは、やってみないと分からないところは正直に言ってある。ですから、実際のところは3体ぐらいやって、うまくいかなかったらもう少しということはあるとは思う。 委員長: 今、お聞きしていて、とてもよく分かった。複数の臓器ができるからこそ起こる異常というのがあるかもしれないわけで。研究の展開もいろいろな可能性があって、だからまずやるということで理解した。 【審議】 委員長: 発生学の延長上にある、基礎でありつつも応用が見えるという研究で。倫理委員会としては問題がなければ承認したいと思う。では、挙手を。 ―全員挙手―
(7) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: 説明文書に「唾液を提供していただく場合には唾液から遺伝子を解析します」とあるが、唾液をもらって遺伝子解析をするということは説明の中になかったのか。 説明者: 元々あったが、どこが唾液に関わる部分なのかということが分かりにくかったので、そちらに文言を追加させていただいた。 委員長: 3月までの延長で大丈夫か。3カ月だけというのはあまりやらない。 説明者: 12月までの検体回収を目指していて、解析の時間を3カ月間延ばすという形で、今、調整している。 委員長: 変更点は文章の整理と、この3カ月延ばすということだけなので、それほど大きな変更ではない。 【審議】 ★ よろしいか。前のものは覚えていないが、唾液で遺伝子解析をするという表現であるが、唾液の中の細胞からでいいのか。より簡単にしたからこうなったということで、提供する人にしたら単なる唾液ですが、解析する方は当然、その中から細胞を・・・。 委員長: あまり理研などのちゃんとした医学系が絡むところで唾液を使うことがないので、確かにわれわれは慣れていない。 ★ 括弧か何かで。 委員長: 唾液の中にある細胞からということをどこかで入れるというのは、あってもいいかもしれない。 ★ よくあるのは、口の内側を削り取ってというか。 委員長: 「粘膜の細胞を」とか。 ★ 綿棒で。それはよくある。 ★ であるが、これは唾液の中に含まれる細胞という意味である。 委員長: 唾液を出すことで口内粘膜の細胞が取れてくるという、掻き取るのではなくてくちゅくちゅとやるものもあるので。では、そこは唾液の中にある細胞から遺伝子を解析するということを、どこか適切な場所に加えてはどうかと。細かい指摘であるが。 事務局 この細胞というのを入れる・入れないについて、コンソーシアムとして「やりません」という回答が来た場合はどうされるか。 委員長: 組織が大きいので、いろいろ回さないといけないから、ややこしい。 事務局: 当然、お伝えはするが、それが認める条件になるのかどうか。 委員長: では、次に修正するときには考慮してはどうかという付帯意見のような感じでいいか。 ★ それぐらいでいい。 委員長: よろしいか。それでは、これは承認ということでいきたいと思う。先ほどの意見は付けるということで、挙手をお願いする。 ―全員挙手―
(8) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(変更) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: これはまた来年3月までに、これだけの研究機関が20人ずつの試料を集め、しかも分析も終えるのか。 説明者: 年内に回収して、分析を3月末までに終える予定で進めている。 委員長: 向こう側は、倫理委員会の審査は終わっているのか。 説明者: 向こう側も今、同様に進めていて、9月中に審査をかけていただくことになっている。 ★ 同意説明文書が、研究チームが消化器内科や精神科、皮膚科などに分かれていても、1行目は全て「糖尿病・内分泌内科は」となるのか。 説明者: こちらは記載間違いである。申し訳ありません。 ★ では、これは全部それぞれのチームの科に変わるのか。 説明者: そうである。4診療科に分かれての記載になる。 ★ もう一つ、最後のA研究センターの方では、65ページのところで非常に丁寧に研究の方法が書かれていて、はさみで切るとか、これはやはり被験者にとっては非常に安心できる内容だと思う。こういうことを他の病院の方にも反映させることはどうか。そちらの方の説明文書の中には試料の採取方法が特段書かれていなかったので、それが少し気になった。 説明者: 承知した。基本的にはこちらから研究の概要をお伝えして、病院の中で臨床研究センターの方が通常のフォームに合わせてやってくださっているが、進言してみたいと思う。 ★ あくまでも被験者の立場で考えたときに、その方がいいかなと思った。 委員長: 他にいかがか。これは元々、疾患の数が非常に多い形で申請があって、それを絞って承認して、また一気に増えたという印象があるが、なぜこれらの疾患なのかという説明は? 説明者: 一番の目的としては疾患の予防につながるマーカーを探したいと考え、例えば乳がんは病態とミネラルの髪の毛の残りが相関するということが文献で分かっているので、研究対象としてはぜひやりたかったところで、共同でやってくれる機関を探していた。 委員長: 脳梗塞はどうか。 説明者: 脳梗塞はA研究センターに研究の打診のお願いに行ったときに、脳梗塞は今、成人病でとても多いので、こちらも予知できるマーカーをぜひ見つけたい、という話になった。 ★ 確か前のときは協力される医療機関が少なくて、限定的であるのにもかかわらず、いろいろな疾患をやりたいということで、一部承認ということになったと思う。やはりいろいろな疾患をやりたいので、いろいろな協力医療機関を探して、そこの了解も取り付けられたから、今回、それを増やしてやりたいということか。 説明者: そうである。 ★ いろいろな疾患をやりたいということであるが、それも必ずしも網羅的ではない。ものすごくある特定のものだけをやりたいような。 説明者: 共同研究機関の企業の研究資金があっての研究計画でして、その中で企業が興味のある疾患が第一候補として挙がってきて、その中で研究上意味のあるものを辻と相談しながら選定していったということになる。可能であれば網羅的にやって、いろいろな疾患の余地ができるようにしたいという気持ちは持っているが、やはり1検体のサンプルを解析するのにもかなりのお金がかかるので、その中で絞っていって、やってくれる医療機関とできることの兼ね合いで現状の計画申請になっている。 ★ 個人的には、当初の申請のときはそのとおりだと思うのですが、ここまで大きな医療機関がこれだけ協力してくれるのであれば、逆に疾患を別に特定しなくてもいいのではないかという気がする。例えばがんの中でも乳がんだけに限定しているが、乳がんを特選するのがよいことなのだろうかとも思う。 説明者: がんに関しては、乳がんが既存の文献で知られているということもある。おっしゃるとおり、網羅的にできれば一番いいし、脂質分析などもターゲットではなくて網羅的な分析もぜひしたいところであるが、やはりそこは予算との兼ね合いということになっている。 ★ 病歴等の詳しい質問書があるが、この研究に用いるために、これだけ詳しい既往歴を取っているのか。 説明者: そうである。 ★ これだけ非常に細かい既往歴は見たことがないなというぐらいの内容であるが。 説明者: こちらはひとつ前の審査で諮っていた一般の方に答えていただいているアンケートを疾患の患者さんにも同じものを答えていただくようにしている。というのも、生活習慣がこういう方はこういう病気になりがちだといったこともリンクさせて解析したいと思っているからである。 ★ 同じものを使っているから、仕方がないということか。 説明者: 同じもので解析をすることにデータ解析上は意味があるそうで、質問を変えてしまうと、統合解析が難しいと伺っている。 委員長: これはタブレットか何かで答えるのか。 説明者: そこは各医療機関でやりやすい形を選択していただいている。タブレットを提供する機関もあれば、紙がいいという機関もある。 ★ 私たちがよくするのは、答えるために何分間の時間を割くかということで倫理審査にかけたりする。そういった負担などを考えると大変ではないかと思ったので質問をした。 説明者: 今、平均で回答に30分かかっている。 委員長: であるが、それを無償でというところもあるが。 説明者: はい、無償でお願いしている。 【審議】 委員長: 今、質疑して答えてもらったが、それぞれの病気について、どういうことで入れているかを書いてもらった方がいいのではないかと思うが、要らないか。 ★ ないかもしれない。 ★ 最初の申請のときには、なぜ乳がんなのかというのは参考論文が一つあって。 委員長: 2006年の論文である。糖尿病、慢性腎不全、乳がんは書いていて、「そこで、本研究では」と言って、うつ病が入り、アルツハイマーが入り、脳梗塞が入り、これでは「そこで」になっていない。これはやはり書いていただきたいと思う。非侵襲で生検をしなくても分かるようなマーカーが望まれている領域であるので、例えば脳梗塞を追加したとか。 ★ そうである。 委員長: 同じような形で、全ての疾患に対して理由をやはり書いてもらいたい。あとは3月までに終わるかということがあるが、これは仕方がない。いかがか。疾患が増えること自体は認めてもよろしいか。 ★ ある研究者の人が新しい発想で、毛髪を使ったらうまくできるのではないかと思って、やりたいと言うわけであるから、それに対して侵襲性を考えたら、倫理委員会としては、まあそういう研究もあっていいかなと。 ★ サイエンスとしていけないということではないと思う。否定することはできないのではないかと思う。 委員長: つまり、これまで以上に詳しく毛髪を分析する技術が出てきて、それは今までなかったので、それを通して本当に何かマーカーが見えるかもしれないということで。 ★ やりたいと言っていることと、侵襲性から考えたら、別に倫理的に駄目だと言うほどの重大問題ではないような気もする。 委員長: そういう議論をしたということで、やってみていただくということでよろしいか。事務局は何か気になることはあるか。 事務局: 「研究の意義及び目的」のところに疾患を加えた理由を全疾患について書くことがまず条件で、あとは〇〇委員がおっしゃったICのところがあるかと。 委員長: それもコメントとして。では、この変更申請はこの内容で、意義と目的をもう少し詳しく追記していただいた上で承認するということで、確認は委員長預かりでお願いする。挙手をお願いしたい。 ―全員挙手―
(9) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり 委員長: 安くなるというのは100分の1くらいか。なぜそれができるのですか。 説明者: 普通の実験の場合は、3500検体あったら、3500回の実験をして、3500回のシークエンスをする必要がある。ですから、たくさんの試薬と労力がかかるが、このサンプルを頂いた後に、すぐに各サンプルにDNAバーコートというものを付加する。DNAで、このサンプルはATGC、このサンプルはAGGCといったものを各サンプルにまず付加するということで、そこは3500回やらなければいけないが、その後はDNAバーコードが入っているので、混ぜて1本のチューブで1回だけ実験をして、全て1回でシークエンスをする。その出てきた結果の中にDNAバーコードの情報が入っているので、その情報を使ってコンピュータでデータを3500個に分解する。そうすると3500回の実験をしたのと同じような効果が得られるということで、そのような技術を使う。3500回の実験が1回になるので、数千分の一になるという仕組みになっている。 委員長: それはRNAの分析だからできるのか。 説明者: そうである。RNAはゲノムのごく一部分からしか出ないので、たくさんのシークエンスをしなくても、全部のRNAをカバーできる。ゲノムで同じような実験をしても、たくさんシークエンスを読まないといけないことは変わらないので、コストは何十分の一かにはなると思うすが、数千分の一にするには新たな技術の開発が必要になる。 委員長: そのバーコードでマークするというのは先生が考えられたのか。 説明者: バーコードでマークする技術というのは、こういった患者さんのたくさんのRNAを由来とするものではなくて、一個一個の細胞を読む技術で使われており、それをこういったものに応用しようというのは僕らの新しいアイデアである。 ★ これは1個のiPS細胞の種の中でもヘテロジェナイティがある可能性はあると思うが、今回はもう一つの細胞種で。 説明者: そうである。バルクで。 ★ バルクで混ぜて。 説明者: シークエンスする。この技術開発をする上で、iPS細胞に5%だけ分化誘導した細胞が入っているようなシチュエーションで、バルクでシークエンスして5%入っているものと入っていないものを分けられるかという実験をしているが、クリアに分けられているので、多少の不均一性も分かると思う。 ★ データベース化するというのは、基本的にはCiRAと共有するためのデータベースを作るのか。 説明者: 最初はそうである。ただ、このiPSは全て理研BRCにバンクされるので、許可の下、研究者が手に入れることができるようになるから、そういった方々に同時にこのデータにアクセスしてもらうようなことを考えている。 委員長: そのデータはどこに入れるのか。 説明者: まずは理研側でデータを持つが、最終的にはExcelのファイルのようなものになるので、それをCiRAに渡したり、ユーザーが細胞を取り寄せたときにそのExcelシートを一緒にもらえたり、そういうところから・・・。 委員長: BRCの細胞を配るときに付けるとか。 説明者: そうである、一緒にもらえるようなイメージで。 委員長: これはゲノムデータベースではなくて、発現量のデータか。 説明者: 発現量のデータである。 委員長: シークエンスは関係ないのか。 説明者: シークエンスした結果をRNAの種類と量のExcelシートに変換したものになる。ですから、加工されたデータにはATGCの情報は一切入らなくて、遺伝子名が何分子というようなデータになる。 委員長: 今でも恐らく実際に生きている患者さんが数百人いるわけだが、その塩基配列がこの最後のデータにあるわけではないのか。 説明者: シークエンサーから出力はされるが、ユーザーが利用するのは数値データである。 委員長: 約300疾患を一応、目標として研究するということで書いていただいているが、既にiPSになっているのは何疾患分か。 説明者: 240疾患である。 委員長: われわれはずっと疾患iPSの申請をここで見てきたので、それが200種類もできていて、しかも先端的な研究の役に立つのを見るというのは感慨深いものがあるが、それは基礎的なデータか。 説明者: そうである。 委員長: どう使うかは疾患研究の方々によるということであるか。何か一つぐらい、例を説明できるか。こういう病気で、このように発現量がという。 説明者: この850人から得られたサンプルが3500になるときに、いわゆる三胚葉という体の最初の三つの系譜に分化誘導をかけるようなアッセイを全てのサンプルに対して行う。そうすると、例えば心臓になりやすいとか、神経になりやすいとか、そういった傾向が出てくるが、細胞を観察していただけでは、それはなかなか分からないので、全遺伝子の発現量を持っておくと、こういった細胞はなぜそちらの方向に分化しにくいのかと。例えば難病が神経に出るような病気であれば、やはり神経方向に分化誘導がかかりにくいということが見えてきたときに、全遺伝子を測っているので、この遺伝子が悪かったということにたどり着ける。 委員長: 要するに、言ってみれば体ができるときに全部の方向に細胞が行くところを、それぞれの病気についてどこがどう正常と違うか、iPSをモデルにして見ていくということか。 説明者: そうである。正常な方のデータも同時に取るので、差分も見られるということになる。 委員長: では、もしかしたらそれだけでも、特徴をちゃんと整理すると、200疾患が10のカテゴリーに分けられるとか。 説明者: そうである。あるいはどのパスウェイが悪いかというものにカテゴライズできる可能性がある。 委員長: それが病気と対応していたりして、思わぬグルーピングができるとか。 説明者: はい。これは技術開発であるので、僕らのラボとしては、その技術の証明としてそういった解析を加えたもので論文を目指していくことになる。 委員長: それは楽しみである。よろしいか。では、(質疑は)以上とする。 【審議】 委員長: 私からいろいろ聞かせていただいたが、科学的に非常にオリジナリティのある、しかも医学につながることも十分にある研究だと見て取った。しかも、その基盤が既にできているというのは、日本の強みかもしれない。問題がなければ、承認ということにさせていただく。挙手をお願いしたい。 ―全員挙手―
(10) ヒト由来試料等を用いる研究計画に関わる審査(新規) 【概要】 質疑応答等詳細は以下のとおり ★ 本研究は多施設共同研究という格好かと思うが、この(資料の)中で拝見すると、○○(製薬企業)が入っているが、○○が果たす本研究における役割は何か。 説明者1: **(共同研究機関)側の研究計画書の方には入っているが、われわれ理化学研究所と直接やりとりをするのは、今のところ、**だけになっている。 説明者2: **側が製薬会社と共同研究契約を結ばれていて、**と製薬会社の方で共同研究をする予定である。 ★ (理研への)資金提供や何らかの提供等は、今回はないと理解したらよろしいか。 説明者1: そうである、資金的なものはない。 委員長: **側でも分けて審査しているのか。こちらの皆さんがやる分に関しては別の計画になっているのか。 説明者2: 元々あちらではゲノム、エクソームをシークエンスするということで計画して審査を通ったものが、今回はプラスでRNAをシークエンスするということが生じているので、その部分の計画変更をされたということである。 委員長: このように相手が中心で、大きくて、そこがたくさんの事業所と組んでいて。事務局としては、向こうの大きな計画を全て出さないといけない、入れないといけないとは言っていないわけか。 事務局: そうである。 委員長: ところが、この図には予防ワクチンをデザインするところまで入っている。 説明者1: デザインは**の方で。 説明者2: デザインするところは**の中でやっている。実際に製造となると、抗体を作れる会社に委託したり、それでできたものを治験したり売ったりするには製薬会社が要るということである。 委員長: 他のところには資金は流れてこないわけか。実験自体も独立しているわけか。 説明者1: 流れてきません。 説明者2: 独立している。 ★ 分かりやすくしておかないと、それこそ臨床研究法マターになってしまい、大変なことになる。 委員長: それは非常に重要な指摘である。 ★ きちんと区切って理解されていると思うが、研究計画書の方がこうなっていると、誤解を生んでしまうような気がした。中身はきちんとクリアになっているので、それが分かるようにしてさえいただければいいのではないかと。 委員長: 「特記事項等」のようなものが必ずどこの申請書にもあって、この中に、これは**が中心である大きな研究計画ではあるけれども、当研究についてはその計画のこの部分を切り分けて行うものであるということを書いていただければいいのではないか。 説明者2: 分かりました。 【審議】 委員長: 確かに最初に見たときは少し分かりにくくて、理研は一体どの部分をどのようにやるのだろうかと思ったが、ある程度クリアになったので、それを「特記事項等」に追記してもらい、何が起こるのかを分かるようにしていただくことで大丈夫か。 ★ こういう研究は積極的にやっていただいた方がいい。せっかく頂いた材料であるから、それをこちらの新しい解析技術で新たなことに進展させるということで、それもかなりの難病で、膵がんも入っているようですから、これは画期的だと思う。 委員長: 今のこの計画で大丈夫だと思うので、承認したいと思う。 事務局: 「特記事項等」に追記する条件で、それを確認するということでよろしいか。 委員長: そうである。元の**の研究との関係についてご説明いただきたいということになる。その上で承認ということでよろしいか。よろしければ、挙手を。 ―全員挙手― |
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