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No.14

第14回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨


1. 日時 平成30年1月30日(火)18:00~20:10
2. 場所 理化学研究所 
   ライフサイエンス技術基盤研究センター 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

雪村 時人 委員長(大阪大谷大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員(辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
西口 修平 委員(兵庫医科大学内科学 教授)
中村 通子 委員(朝日新聞岡山総局 記者)
片岡 洋祐 委員(ライフサイエンス技術基盤研究センター
          細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

 
(説明者) 渡辺 恭良 (ライフサイエンス技術基盤研究センター センター長
          /健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム
          融合研究推進グループ グループディレクター)
水野 敬  (ライフサイエンス技術基盤研究センター
          健康・病態科学研究チーム 上級研究員)
 
(オブザーバー)

深井 宏  (神戸事業所長)

(事務局)

片山 敦   (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真   (神戸事業所 安全管理室)
堀江 仁一郎 (神戸事業所 安全管理室)
吉田 道生   (神戸事業所 安全管理室)


4. 議事項目
 

(1)変更申請承認の報告について

(2)申し合わせ事項に基づく委員長承認案件の報告について

(3)人を対象としたMRI・PET研究計画に関わる審査(新規・変更)

(4)その他


5. 報告事項
 

(1)変更申請(責任者の所属・職名変更)承認の報告について
事務局より、研究計画2課題について、人を対象とする研究に関する倫理規程細則に基づき、研究実施場所及び保管場所追加、共同研究機関及び研究実施場所の追加に係る承認手続きを実施した旨の報告があった。
(2)申し合わせ事項に基づく委員長承認案件の報告について
 事務局より、研究計画2課題について、委員会申し合わせ事項に基づき、当該研究計画の範囲内で実施する場合において、委員長の確認による承認手続きを実施した旨の報告があった。


6. 審議事項
 

1) 人を対象としたPET研究計画に関わる審査(新規)

受付番号:KOBE-IRB-17-37
     「[18F]ピタバスタチンを用いた分子イメージングに基づく体内動態・臓器分布の解析」
研究実施責任者:CLST創薬・医療技術イメージング基盤ユニット 渡辺 恭良


【概要】
 研究実施責任者の渡辺基盤ユニットリーダーより、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: フッ素18で標識したピタバスタチンを用いた分子イメージングの研究である。実際に被験者がその試験を受けるのは大阪市立大学で実施、理研はそのデータの解析に当たるということである。
★ 理化学研究所に提供される情報は、最初の全身スキャンの2名の方の情報は提供されないわけか。
説明者: それも入っている。
★ 2名の方というのは、全身スキャンをして、被ばく量を算定するのか。
説明者: 主には全身の臓器分布、どういう臓器にどれぐらい行っているかという全身の分布と、そのデータに基づく被ばく量、それぞれの臓器の被ばく量を計算する。
★ 6名の方は、AグループとBグループの2班で分けるため、3名ずつになるのか。
説明者: 6名で2回来ていただき、違った日にするかしないかとなる。
★ 6人と2人で全員男性というのは、何か意味があるのか。
説明者: 女性にお願いしてもいいのだが、そのときは男性、女性大体同じ数の方を集めてやるため、もう少しボリュームの大きい、例えば12名となる。どちらかの性でやらせていただく場合が多く、この場合は男性。それから被ばくの問題があるため、例えば男性、女性を比較したい理由がないと、できるだけ男性でやっていく。被ばく量もそんなに大したことはなく、安全だと思っているが、やはり被検者も含め、できるだけ女性は避けた方がいいという感覚はまだある。
★ 体内動態、臓器分布は女性にしかない臓器もあると思うが。
説明者: 違う可能性は多いにあり、いろいろな酵素活性も含めて男性・女性で相当発現が違う場合はあるのはある。
★ 取りあえず、今は全部男性でそろえて、基本的な知見をまず取ろうということか。
説明者: そうである。肝臓のこのトランスポーター活性を終え、予測できるようなものを作っていきたいという中で、今までやってきたもので、ゴールデンスタンダードができていないため、ゴールデンスタンダードにしたいという第一歩である。
★ 研究の主目的というのは、そういうトランスポーター肝細胞のいわゆる胆汁排泄型の薬剤のトランスポーターに影響を与える機能そのものの個体差を評価する方法を確立するというのが、今回の研究目的で、趣旨としては、全くこのピタバスタチンを使ったときの代謝を全然しないからということで。
説明者: そうである。代謝が非常に遅いため。
★ リファンピシンというのは、それに対していわゆるOATPなどの活性を阻害するのか。
説明者: 競合する。
★ 競合するということで、その阻害されたことを、これで見られるかどうかを検討するということか。
説明者: そうである。既に実施したデヒドロプラバスタチンのときに、既にリファンピシンを使っており、比較的、効果がきれいに出るためこれを使うということである。
★ トランスポーターの多型などをかなり研究されているのではないか。それは同時に調べられないのか。
説明者: それをやりたいのだが、それは遺伝子の方になってくるため、SNPsで多型性、動態を見てそれと合わせていくような研究のときに遺伝子解析をする、SNPsの解析まで出すというところまではできていない。
★ 同意説明文のところで、CTでトランスミッションをされるが、その時の被ばくが書かれていない。PETの被ばくは少ないが、予想されるリスクとして、CTで普通の検査をするというのは結構な被ばくだと思うのだが、それを2週間置いて2回受けることになるのか。
説明者: これはCTで解剖画像を撮っているわけではなく、解剖画像はもちろんCTでも撮れるが、基本的には片方でMRIも撮っていく。吸収補正のためにどうしてもCTが必要ということで書こうとしたが、PET-CTの全体の被ばく量をどのように表現するかということが難しい。
★ 一体型の検査。
説明者: 確かに書いた方が親切であり、CTの被ばくの方が大きいが。
★ 例えば直近1年間にCTを受けたことがあるかどうか、そういったことも参加者の要件にすることは必要ではないのか。
説明者: そうであるが、被ばく量があると言っても、いわゆる放射線被ばくの面から言うと、X線CTは年間4~5回やっておられる人は結構病院にはいるため、X線、CT検査をやったかということは書いてはいない。
★ 少ない頻度だが、副作用が生じることが報告されているとあるが、どういったタイプの方にこういう副作用が生じるかという報告はないのか。
説明者: あまり分かってない。
委員長: これは通常投与量のピタバスチンの場合の副作用のことか。通常量に比べると、ものすごく少ない量である。
説明者: 100分の1以下である。
★ むしろリファンピシンの方が常用量ぐらい飲むのか。
説明者: そうである。
★ 特に今まで薬物アレルギーとか、薬物アレルギーになる方というのは入れないのか。「予測される危険性・不利益」というところで「リファンピシンは少ない頻度で肝障害・アナフィラキシー様症状等の副作用が報告されているが、副作用と思われる症状が発現した場合には担当医師が速やかに適切な処置を行う」ということだけである。最初から薬物アレルギーの経験のある人は除くというのは募集方法にもない。
委員長: 試験の実施はO大病院でされるということであり、この委員会の主たる審議目的は、O大病院から頂いた試料であるとか画像データの解析に関するところが主眼になるため、また何かの機会にインクルージョン/エクスクルージョンのクライテリアについて、質問しておいてもらえればと思う。
説明者: 「提供者の選択基準・方針、考え方」のところに、今言われたような薬物アレルギーとかを書いておくべきであった。ここにインクルージョンクライテリア、エクスクルージョンクライテリアが書かれるのが普通であるが。
委員長: 例えば成人男性、健康成人男性といった簡単なものにされた方がいいようには思う。
★研究方法のところに、被験者が「20歳~64歳の健常男性」というフィルターはあるが、この薬物に対する反応歴とかアレルギー歴とかはない。
説明者: これまで、この薬物動態のPETを幾つかやっているため、そのままになっているのだと思う。次回あたり、薬物アレルギーなどを書き込むようにする。
★ もう一点だけ、「参加者の方へ」のところで、病気の検査ではないということを。CT、PETというと病気が見つかったら教えてもらえるのかなということで、いつも出てくる議論だが、そのことは記載では説明されないのか。予測される利益の記載でいいのかもしれないが。
委員長: 「治療効果等の利益が生じることはありません」に含まれていると思う。
★ 「この試験に参加されない場合の治療法とその内容」は何を意味しているのか。
説明者: これは患者の場合に、この試験が治験とか、例えば薬物治療をこのところに参加する人は受けられるが、その他に参加しない場合の治療法があればそれを書くということ。参加しないという意思を持ったときに、治療してもらえないというのは不利であり、一応こういう治療に参加されない場合もしますということは書くことがある。しかし、ここには健常者なので、それは必要がないと書いているが、本来は要らない。
★ 「関係者の方があなたの試験記録を調査することがあります」とあるが、この調査のときは、匿名化されたもの、匿名化される前のものになるのか。人権が守られながら、きちんと行われているかを確認するために、関係者の方が。これは理研に来る前の調査がされるのか。
説明者: 前である。時々そういう抜き打ち検査があり、治験担当者、あるいはCRCが、そういうチェックをするということが書いてある。
★ その後の文章で、「しかし、あなたから得られたデータが、報告書などであなたのデータと特定されることはありません」とあるが、前段と後段は、匿名化される前にいろいろ関係者の方が調査されるため、名前は分かるが、これが外部に出るときは特定されないということか。
委員長: そうである。報告書になるときにはということである。この試験は、治験にかかわらず、臨床試験の場合はそういう外部からの、あるいは内部の監査がある可能性があるということではないか。
★ 現実的な観点でいくと、匿名化される前に関係者の方が調査される。その段階では個人情報が分かるが、この関係者の方々はそれを外部に漏らすことはないということか。
説明者: そうである。
★ 守秘義務を負っているという記載があってもいいのかもしれないが、そこまで要らないのか。
説明者: その辺は、それぞれの病院の倫理委員会によってトーンも含めて違う。
★ ノバルティスの事件以降、このモニタリング監査をするということが必須になっている。研究者が出したデータと患者のデータがちゃんとリンクしているのかというのは、全く研究者と別の人が監査をして保証する。そのデータを匿名化して解析に持っていくということで、これはどこの大学でもやっていることになる。
★ より安心していただくには、こういった方々は守秘義務を負っているということ。
★ これは一般の方に、自分のデータがまた別の人にというのがあるかもしれないが、一般的にはあまり書いていない。
★ 法的には守秘義務を負っていることになるのか。
★ もちろんそうである。病院の中の監査部門の人間が、研究者のやったデータを第三者として監査する。このデータは正しいですよということを保証するということであり、O大の中のそういうシステムの枠に乗っかるということである。
★  モニタリング担当者とか監査担当者も全てO大の方か。
説明者: モニタリング担当者は、治験を頼んだ外部の人間の場合もある。
★ この方々が守秘義務を負っているということを前提にということか。
委員長: そうである。治験にかかわらず、全ての臨床試験では、その試験の倫理性・科学性をチェックするためにモニタリングされ、倫理委員会のわれわれ自身がデータを見に行くこともあろ。場合によっては、厚生労働省当局からのインスペクションもあり、監査担当者がそれを監査するという手順の手続きも全て定められている。O大病院の手順書などに全て書かれているはずである。これはどこの病院、医療機関でも、治験も含めた臨床試験をする、実施する施設には必ずあるものであり、当然それの担当者が守秘義務を負っているということは間違いない。治験であれば医薬品医療機器法に守秘義務が法的に定められている。治験以外の臨床試験はどうなっているのか。
説明者: 同じように定められているとは思うが、治験および医師主導の臨床試験に関しては同列で書いている。
★ 細かいところで「大学」ではなく「当院」という表現でいいのか。
★ これは多分、大学は研究の機関であり、当院はO大学の附属病院という意味で、病院でやりますということなのだろうと思う。
★ 倫理委員会は、大学ではなく病院にあるわけか。
委員長: そうである。実施医療機関の長、病院長から諮問される機関であるため。
★ これは大学によって、学長、病院長どちらでもいいことになっている。
委員長: 結局は、治験も含めた臨床試験のときの同意文書のテンプレートに沿って書かれている。
★ 多分これはO大の中の標準的なテンプレートで、モニタリングなどに関してもこの記載かと思う。
委員長: そうであろう。臨床試験全般についてのテンプレートで書かれている事柄であり、載せなければいけないことになろうかと思う。

【審議】
説明者等退席後、審査が行われた。

委員長:特段この試験の進行について異議がなかったため、承認ということでよろしいか。

 

2)人を対象としたMRI研究計画に関わる審査(新規)

受付番号:KOBE-IRB-17-41
     「電解水素水の摂取による疲労関連マーカー動態検証研究」
研究実施責任者:ライフサイエンス技術基盤研究センター 渡辺 恭良


【概要】
研究実施責任者の渡辺センター長より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、リクルートにおける除外の手順等について議論が行われ、MRI検査の可否による当該研究参加の除外の手続きについて検討することをコメントとして付した上で承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 従前からされている疲労検査、疲労に関する研究に、この水素水を使用するという点がポイントになる。それからO大と理化学研究所で血液のサンプリング、それからMRI検査は理研でされるという組み立てになっている。
★ 前のものと今回の電解水素水で水素の量というのは違うのか。ほぼ同じぐらいか。
説明者: ほぼ同じような量になるように作ってもらっている。
★ 管理医療機器として承認を受けているものとはまた別の機械になるということか。
説明者: そうである。違う新しい機械である。
★ 出回っている電解水素水とは別物の電解水素水を調べる。水素の量はこれまでの先行研究と一緒で、違うものが期待できるというのは金属陽イオンが入っているとか何かというようなことか。
説明者: アルカリ性であるといったことは違う。我々は水素の効果ではないかと思っている部分があり、そういう意味ではいろいろ比較したい。
★ 前のものと、単に水素を溶かし込んだものと、電解して作ったものについての比較を念頭に置いているのか。
説明者: そうである。
★ 温度を上げても大丈夫なのか。
説明者: なぜこの試験をするかという一つのところは、幾つかの先行する動物実験では、電解水素水を作り、煮沸をして、水素を全部逃がして与えても、ほぼ同じ効果が出るという場合が動物試験ではある。
★ 対象者でアルコールの過度の摂取者を省いているのは、例えば活性酸素とかがたくさん出てくるからということか。
説明者: そうである。今までの試験でもほとんどそれを書いている。
★ 長期摂取試験の方だが、この同意説明文の後に付いている「MRI検査を受けられる方へ」は当然同意説明文と一体となっているわけだが、「本試験では通常の医療検査とは異なる方法により、脳画像の撮影を行います」。これを読んだ方は意味が分かりづらい。MRIは大丈夫ということが書いてあるが、ここでそれとは異なった方法で撮影を行いますと言われてしまうと、ではどういう方法でというか、その前の記載を打ち消してしまうようなイメージを与えるのではないか。異なる方法についてもう少し書けるのであれば書いてもいいのではないか。
説明者: この同意説明をしてMRIを撮るという方には、説明文が別になっているが、そこにはMRIの撮影方法などかなり細かく書いてはいる。
★ 人数も多い。
説明者: チェックシートは同意説明の後にするか。リクルートのときに、できれば情報が来ている。事前チェックシートも付けてもらうことが、元々参加の条件であり、ここで金属のある方は、駄目であるということを書いておく。
委員長: MRI検査を受けることのできる人というのを。この書類の研究計画申請書に、先ほどの「提供者の選択基準・方針、考え方」のところに適格基準があり、除外基準があるため、除外基準のところにMRIチェックリストによって、金属等を体に帯びた問題があるため、MRIを受けられない者というのを入れておけば。
委員長: 計画書のプロトコルの方は、被験者の方には行かないため、できればこの同意説明文書の方に。あらかじめチェックシートで、MRI検査が受けられるかどうかをチェックしておけば、同意説明を取るまでもなく除外されるため、順序を変えるだけでいいのではないか。
説明者: 今やっているのは、リクルートのときにチェックシートを渡しており、既に金属が入ってないことというのは書いている。
★ こういう研究方法を同意して参加していただき、その日に、この「受けられる方へ」という説明文書とチェックシートを渡されて答えて、そこで除外される。しかし、そうすると人数が変化してしまう。やはり被験者の人数を確定するという意味では、最初からこれを出されて、チェックして出していただいた方がよくないか。
説明者: そういう手順にする。確かにその方が合理的である。
委員長: チェックシートを使われるかどうかは別にして、MRI検査を受けるのに適格かどうかを、リクルートのときに確かめていただくということでいいのではないかと思う。
★ 体内に棒というのは。
事務局: CLSTのMRI装置の研究運用の手引きの中の例のもので、「棒」と入っている。
委員長: 元々オリジナルの英語の翻訳で、英語の方を見れば、何かそういう専門的な用語があるけれど、翻訳の段階で一般的な用語に変わったのかもしれないが、何とも言えない。
★ 通常の医療検査という文言は誤解が生じるのではないのか。
事務局: MRIのここでやっているいろいろな試験で使われている文言で、委員会の議論の中で決まった文言であり、何度も審査され、この文言で落ち着いているものである。偶発的所見というところの返し方とか、そういうことまで含めて、医学的限界があるため、治療・診療目的ではないという説明のために。
委員長: 診断には使えない。なぜならば、普通の撮像方法と違うからだという説明のために付けている。

【審議】
説明者等退席後、審査が行われた。

委員長: 議論にあった事前チェックシートは、MRI試験をこちらに記載がある体の中に金属があることで受けられない患者は、リクルートの段階で除外するような手立てを講じていただくということで。
事務局: これはコメントという形でよろしいか。
委員長: MRI検査についてのコメントということになる。
事務局: 被験者募集時にMRI検査の可否による当該研究参加の除外の手続きについて検討するということでよろしいか。
委員長: それでよい。MRI検査できない人を呼んできても仕方がなく、絶対に先に調べられる、被験者の方に聞くと思うため、当然されることだと思っている。

 

3) 人を対象としたMRI研究計画に関わる審査(変更)

受付番号:KOBE-IRB-17-42
     「個別健康最大化のための健康指標開発研究」
研究実施責任者:健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 渡辺 恭良


【概要】
研究実施者の水野上級研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、画像データの共同研究機関への提供に関し、計画中の加工方法での個人情報への該否について議論が行われ、説明同意文書の記述の修正、およびデータの加工方法含め、個人情報の取り扱いに関し、再検討を行うことを条件として承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

事務局: 補足として、今回共同研究機関の方に顔画像データの加工したものを出すに当たって、この画像の実質的な管理は、ヒト由来情報についても個人情報についても厳格な管理が必要になるが、認識として、個人情報としての扱いをするかどうかというところの判断の基となる内容として、具体的にこういった画像で個人情報を外した情報と言えるか、個人情報外としてこれで認められるかという、非常に難しい部分があると思うが、その辺についてご議論いただければ。
委員長: この画像が個人情報に該当するか、すなわち個人を特定する情報になるかどうかということか。
説明者: 共同研究機関の社内としては、これまでこの画像いずれも個人情報に該当しないということで取り扱ってきたという慣習的なもの。ただ、それが書面上で何か出せるのかということを聞いた際には、それはちょっとお出しできるものはないというような回答であった。
★ 画像の認識ソフトというのがあるが、それで解析不可になるのか、それは検討されたことはあるか。
説明者: まだない。
★ 例えば臨床系で患者の顔を出すということも、原則的には出すなという話になってきているおり、結構厳しくはなってきている。研究の中で、患者自体にこういう画像を出すということについてOKを取っていただき、その下で出す・残すということは可能だと思うが。
★ 同意見であり、私たちの業界でも、まさに肖像権の問題でもあるが、顔を出すことについては、自宅・住所・電話番等とほぼ同じぐらい、あるいはそれ以上の神経を使っている。目を黒くするだけでは、ほとんど特定できるのではないか。もっと変えないといけないのではないか。
委員長: 塗りつぶす量を増やすということか。
★ そうである。目的としては、肌の色とか肌の質とかもっと変えてしまっても構わない。
説明者: できるだけそういうオリジナルの面積が残された方が解析の幅は広がる。要は部位のことも出てくるため、しわというのができやすい部位をできるだけ残したいという思いが解析側からするとある。
★ これは特定できる。
説明者: 外に出していくものではなく、あくまでクローズドのものではあるが、やはりそれが出ていったといったときにどうなのかというのが、多分重要なポイントだとは承知している。
★ 肌の質感だけであれば、例えば部位部位のパートで拡大したものを残していくというのは駄目なのか。例えばおでこの部分はその部分を切って残しし、頬の部分は切って残すということであれば個人を特定できない。結局、認証の中で顔画像を出すというのが、今問題にされており、認証するのは、例えば鼻と目の距離などで全部同定できてしまうため、このような隠し方では全く意味がないという話になっており、個人をすぐ同定できるではないかと。ただし、本人がこれで残すことがOKというのを取っていただければ結構である。
★ 新聞でも同じで、同意書を得た人でなければ顔を出せない。許認可を受けていないというものだと、集まっているもの一人一人に実際に許可が取れないため、小さいモブシーンでも、やはりかなり再利用は厳しい。
★ もしくは本当にそのパートで、この部分が欲しいのであればこの部分だけ。目が何cmあり、眉と何cm離れていて、鼻、口の幅はどれだけあるという、パートのサイズが分かるともう駄目である。
★ 鼻の形とかは重要なのか。
説明者: 恐らくここを残しているというところは、解析ポイントとしては重要。
★ そうすると、こういう形で残すということの同意を取っていただくべきではないか。
説明者: 例えば3パターン見せて、このパターンであればOKというようなものを一人一人考える。
説明者2: もしくは、それを選んでもらうのも一つであり、委員が言われたように、共同研究機関が本当にその幾つかの部分だけでいいのであれば、それが一番いいかと思う。
★ 本人に同意を取られたらどうか。研究目的で残すだけで、所外には出ないと。
説明者: 理研の内部としては、そういう個人情報が同意を取って、特に加工のない情報が出ていくということは問題ないのか。
事務局: 問題ない。あくまでもそれに関し、こういうものが他の機関に提供されますよという同意に加え、相手機関に対しても、個人情報に該当するため、法律、指針等に基づいた管理をしてくださいという旨を伝え、認識を持っていただく。ヒト由来情報と個人情報の漏えい等に関する安全管理措置をしっかり取っていただければ問題ないかと思う。
★ これは対象者が未成年も研究対象に入っているが未成年の場合はどうなるのか。この共同研究機関は成人のみか。
説明者: 二十歳以上の女性の方を中心に。
★ 未成年のことは考えなくていいということか。
説明者: そうである。そのときはしっかりとまた相談させていただく。
委員長: これは完全に個人情報になるということであるため、個別に一人一人同意を取っていただく。要するに個人情報であり、外部への提供についての同意を取っていただくということ。それと個人情報だから絶対に出してはいけないというものではないため、取り扱いの基準あるいは規定の範囲内でやっていただく。すなわち個人情報、名前、住所と同じというように扱っていただければと思うが、それでよろしいか。
説明者: そのように。
★ 説明文書の記載はどうされるか。まず同意を得るのであればその旨明記するのか。
説明者2: これは全般的に書き替えないといけない。
★ 特定できないように加工したとは言えない。目は閉じていないといけないのか。
説明者: 恐らくライトを当てたりするため、目を開けていると光の刺激が強すぎるということがあろうかと思う。
★ 目の大きさ、それから瞳が個人情報の特定につながるため、目をつぶるだけで、かなり情報が削減されることにはなる。
説明者: こういう写真になるということを多分お見せし、ご理解いただいた方がいいのではないかとは考えている。
★ 方針として同意を取ることになると、対象者は減ってしまう可能性はないか。
説明者: 可能性はあるかもしれない。
★ 対象者を増やすには、もっと大胆に加工してしまう。
説明者: パーツを切った形でお願いするという、そういう段階を設けて同意を取らせていただくというのがいいのかもしれない。パーツであれば、完全に個人を特定できないはずであり、それを一番後ろに持ってきておき、これだったらいいという形でお願いしたらよいか。
委員長: これは表情を見るのではなく、色調を見るのか。色調であれば、委員が言われたようにパーツで十分な気がするが、研究の進め方に影響するため、よく相談していただきたい。
説明者: 了解した。細かい解析のところまでは、まだ把握しきれていない部分があり、そういう目のこの辺りの微妙なところとか、どれぐらい関心領域を絞って、あるいは曲線で絞ってやられているのかとかについても聞いてみる。
★ これは例えば、ほうれい線とかは問題にするのか。
説明者: 恐らくそうだと思う。
★ そうすると全部要るのではないか。
説明者: そうである。
★ 目尻のしわや、ほうれい線などが全部要るということであれば、これでないと駄目ということになる。
委員長: 特定できることになる。結論としては、ある程度の加工は個人特定につながるので個人情報に該当するのが第一で、第二として、それを材料として他の施設に、研究機関に提供するについては、被験者の個別の承認を取っていただきたいと。説明書の説明文はそうなっていないと。
説明者: 見直しをさせていただく。

【審議】
説明者等退席後、審査が行われた。

委員長: 見直しをお願いしたいということでよろしいか。
事務局: 纏めさせていただくと、委員会確認の条件付き承認という形で、個人情報の共同研究機関の提供に関する説明同意文書の記述の修正、およびデータの加工方法含め、個人情報の取り扱いに関し、再検討を行うという旨を条件としてよろしいか。
委員長: それで結構である。

 

 

以上

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