公開情報

No.15

第15回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨


1. 日時 平成30年6月14日(木)10:00~12:25
2. 場所 理化学研究所 
   MIR&Dセンタービル 2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

雪村 時人 委員長 (元大阪大谷大学薬学部 教授)
武田 真莉子 委員 (神戸学院大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局 記者)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (BDR 細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者) 水野 敬 (BDR 健康・病態科学研究チーム 上級研究員)
森戸 勇介 (理研BDR-ダイキン工業連携センター 健康指標ユニット 研究員)
渡辺 恭良 (健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム
     融合研究推進グループ グループディレクター)
田村 泰久 (BDR細胞機能評価研究チーム 副チームリーダー)
   
(オブザーバー)

深井 宏 (神戸事業所長)

(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
堀江 仁一郎 (神戸事業所 安全管理室)
吉田 道生 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)研究倫理委員会等設置細則の改正について(報告)

(2)神戸事業所研究倫理第二委員会運営規則の改訂について

(3)人を対象としたMRI研究課題(新規・変更)及び人を対象とした研究課題(新規・変更)に関わる審査

(4)その他

5. 報告事項
 

・研究倫理委員会等設置細則の改正について
事務局より、MRI及びPETを使用した研究ならびにこれらに関連する研究について神戸事業所研究倫理第二委員会にて一元的に審査を行えるよう、研究倫理委員会等設置細則を改正したことについて報告があった。

6. 審議事項
 

1) 神戸事業所研究倫理第二委員会運営規則の改訂について

事務局より、研究倫理委員会等設置細則の改正を受けて、神戸事業所研究倫理第二委員会運営規則を改訂する件について説明があり、内容を確認後承認とされた。

 

2)人を対象としたMRI研究課題(変更)<医学系指針>

受付番号:K2018-005
     「fMRIによる小児疾患の疲労定量評価法の開発」
実験責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
 実験責任者の水野上級研究員より、本研究計画の変更内容(共同研究機関に関する情報の変更等)について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議にて変更内容に特に問題がないことを確認後承認とされた。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり

★ 理研がデータの流れであったり、情報の流れを統括されていたりということでよろしいか。

説明者: そうである。総合的な解析をこちらの方で行う。

★ ご存じのとおり、個人情報の受け渡しの管理をきちんとしておかないといけないということが出てきていると思うが、対応はもう済んでいると思っていいか。

説明者: きちんとしている。

★ 小学生は低学年も対象なのか?

説明者: 小学生は4年生以上。

★ 同意説明文書の文章は、小学校4年生、患者さんである場合と健常者と両方あるが、これは小学校4年生で理解できるのか?

説明者: 説明文書だけで説明しているわけではなく、まず研究実施者が丁寧な説明を本人に対し、もう少し分かりやすく書かれた用紙も使いながら説明している。

★ すると、現に診断が確定している、特に小学生に。こういう病気だから、この研究に協力してもらいたいと、説明することになるわけか。

説明者: そうである。基本的には、そこも非常に丁寧に行っている。ナーバスなところもあるが、この治療を続けていいのかということを、研究という段階ではあるが、一緒に探っていきませんかというようなことで、協力をお願いする。

【審議】説明者退席後、審議が行われた。

委員長: 他になければ、承認ということでよろしいか。

 

3) 人を対象とした研究課題(変更)<医学系指針>

受付番号:K2018-006
     「疲労・学習意欲のアンケート調査」
実験責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
 実験責任者の水野上級研究員より、本研究計画の変更内容(共同研究機関に関する情報の変更等)について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では変更内容に特に問題がないことを確認後に承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ これは11年前に行った(※11年前にJST(科学技術振興機構)のプロジェクトで当研究チームの渡辺TLが研究代表者として行ったアンケート調査研究)ときと、リスク因子がどのように変容するかというところも視野に入れてということであるか。

説明者: そうである。そこの説明が抜けていたが、まさに追跡をやるということの意味は、やはりリスク因子を明らかにできるかどうかというところになる。

★ 10年ごとにやるのか

説明者: そうである。それをオッズ比だけではなくて、全体のリスク比を出していきたいと思っている。

★ 今回の変更の中で一番大きいのは、2万人から4万人にスケールアップされるというところで、このスケールアップされる理由のところを、ちょっと確認しておきたい。

説明者: 2万人という設定自体は、実際にはそのリスクを予測する階層ベースの方法などを使うと、大体1万人以上必要だと言われていて、これが2万人スタートできれば、1万人ぐらいが継続で追い掛けられれば、ベイズ推定を用いることができるだろうという見込みがあった。多地域でも実施していきたいため、今回スケールアップをさせていただきたい。

★ 二つ目標を設定されている中の後半の部分に関しては、やはりスケールアップしないと明確な答えは出せない状況にあるということで、本研究計画の遂行にスケールアップが必要だという理解でよろしいか。

説明者: そうである。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた。
委員長: 他になければ、承認ということで。

 

4) 人を対象としたMRI研究課題(変更)<医学系指針>

受付番号:K2018-015
     「個別健康最大化のための健康指標開発研究」
健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 渡辺 恭良

【概要】
 研究実施者の水野上級研究員より、本研究計画の変更内容(研究の意義及び目的の追記、研究方法の変更等)について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では変更内容に特に問題がないことを確認後に承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 既に承認されました探索的な計測研究を、18歳以上の方に対象を限定した検証的計測研究へ変更ということか。

説明者: 探索的研究も続ける。

委員長: 探索的研究を検証的研究に変えるのではなしに、検証的研究を追加するという変更か。

説明者: そうである。

★ 特にマルチサイトに拡張されていくということなので、試料の保管、それから情報の保管、やりとり、それぞれでの研究参画者への教育、倫理的なものも含めてというところが重要かと思う。試料の保管場所というのは、元々は理研のしかるべき場所に保管されていると思うが、今後もマルチサイトで取られたものは、やはり理研に集約して管理されるという方針で間違いないか。

説明者: そうである。

★ 情報に関してだが、PC等に保管されてアクセス権を持っているものだけが知っているパスワードでアクセスできるような体制を整えられるのが一般的かと思うが、そこについてもやはり理研が統括してされていくということか。

説明者: そうである。基本的にはマルチサイトで、実施者自体は委託機関になるので、限定された方がデータを取得するということで、非常に多くの方が関わるということではない。そことの委託機関との契約の下、きちんとデータの保管もこちらで行う。○会社の方は、匿名化したときの対応表を理研には渡さないという形で対応している。

★ ○会社は、この研究の枠組みの中での研究なのだけれども、でも他の機関とちょっと違う対応で、○会社ご自身だけで(対応表を)持つという条件で参画したいということをおっしゃっているという。

説明者: そうである。

★ そこだけは特殊事例として、要注意ということか。

説明者: そうである。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた。

委員長 他になければ、このたびの変更は承認ということで。

 

5)人を対象としたMRI研究課題(新規)<医学系指針>

受付番号:K2018-002
     「室内空調環境がヒトの疲労に与える影響の検討」
健康指標ユニット 水野 敬

【概要】
 研究実施者の森戸研究員より、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では説明文書の軽微な修正以外には特に問題がないことを確認し承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 温度設定の刻みが結構近いと思うのが、例えば薬に関係する試験だと、大体、標準温度は20℃で行う。下が**℃で*℃ごとの刻みとする根拠は何か。

説明者: 厚生労働省等で発表されている、いわゆる室内温度の基準が28℃に空調を設定するようにという話があり、省エネとも併せて、実際どのぐらいであれば疲労が貯まりにくいかというのを調べるため、28℃を中心として前後を取っていこうと。もう一つは、20℃になると、やはりかなり寒く感じるので、ひとまず**℃からという形で、条件設定をしている。

★ 湿度**%、**℃とかいうような温度では、実験中に気持ち悪くなってしまったりする人が続出するのではないかと思うが、その辺は。

説明者: 被験者に事前説明として、異常を感じたらすぐにやめることができるので、部屋の中の実験者に言ってくださいという説明を徹底する。それから、試験室の中で、例えば課題がもう明らかに止まっているとか、被験者さんが辛そうにしているということであれば、声を掛けて、気持ち悪いということをおっしゃったら、すぐにその方は出て休憩していただく。それ以外にも、厚生労働省の熱中症対策ページにある、熱中症を疑う症状、めまい、失神、筋肉痛、頭痛であるとか意識障害が出たときに、意識を確認して、なかったら救急要請、あったら涼しい場面へ避難という形でマニュアルを試験室にもあらかじめ準備する。

★ 部屋を出たり休憩したりした人のデータは、検査から除外するということか。

説明者: そうである。

★ そうであるならば、**℃、湿度**%という環境に強い人のデータだけが残ってバイアスがかかり、20人のうち18人脱落しているが、2人だけ気持ちいいとかいうような人のデータだけが残るということになってしまったりはしないのか。

説明者: 線引きというのはなかなか難しいが、各水準12名を予定している中で、2割以上、つまり3名以上の方が脱落されたら、もうそのデータは、つまり3名が脱落するほど過酷であったと。質的な表現として見る。

★ では、人道的にこの設定はどうかということが、逆に結果として出てくる。オフィスで、絶対こんな湿度・温度にしてはいけないということで。

説明者: その一方で、これでも耐えられる人のデータは、今度また健康計測データと比較して、こういう特性を持っている人であれば、熱環境には強いということも、またデータとして得られるので、それはそれでまた一つの研究として進めていく。

★ 理解ができた。

★ 説明文書に、「当日は試験前に、体調をチェックするための簡単な事前質問表への回答を行っていただきます」。内容によっては中止もあり得ると。この質問表というのは、どういった内容なのか。

説明者: 前日、何時に寝ましたかとか、朝ご飯は食べましたかとか、あとは今何か服薬をしていますかということである。

★ 例えば熱を持っていらっしゃる方とか、体調が良くない方は、むしろその段階で参加を辞退してもらう、そういうハードルは?

説明者: 今回の募集の時点で、前日までに熱がある方、もしくは体調不良の方は、必ず連絡してくださいと。それによってキャンセルすることも可能ですということも、併せて伝えてある。

★ 細かいことであるが、説明文書のところで、誤字脱字等が結構残っているので。

説明者: 失礼しました。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた。
委員長: 特に実験の方法とかについて、異議がなかったので、説明文書は直していただくということで、これは承認とする。

 

6)人を対象とした研究課題(新規)<医学系指針>

受付番号:K2018-010
     「疲労科学に基づく安全運行支援技術の開発」
健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良

【概要】
 研究実施責任者の渡辺チームリーダーより、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、データの結果が個人の就業に不利益に影響する可能性について議論され、その点についての配慮を共同研究機関に伝えることとし、他は特に問題がないことを確認し承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 本来、事業者でされるような調査だと思うが、それに高度な身体計測パラメータも加えて、併せて解析しようという試みである。ご質問、コメントは。

★ この研究は、比較的シンプルなスキームで、○会社が中心になって、そこで情報等の管理をされた上で、匿名化された部分について、理研の方では解析していくのか。

説明者: そうである。こちらに来たデータで、多分それをまた高度な解析を加えることはあるかもしれないが、ほとんど向こうで解析されたデータがこちらに来るので、それを基にして、こういうことは言っていいのではないか、こういうことはまだもう少し、スタディをした方がいいのではないかと。

★ では、向こうの企業の中での倫理審査は行われているものなのか。

説明者: ○会社が行うことになっている。

★ 荷物を運ぶというトラックドライバーから得られた知見で、自己リスク評価システムを作ったものを、人を運ぶというものに、応用は簡単にできるものなのか。

説明者: 評価システムをつくるということなので、同じような試験をやるためのシステムという考えをしていただければと。試験システムをここで作ったものを、例えば他のそういうドライバーさんにも持っていくことは可能かとは思うが、しっかりとディスカッションしていかなくてはいけないと思っている。

委員長: 多分、業種ごとにデータを送っていただかないといけないと思う。

★ この被験者さんは、関連の従業員さんも当然入るのですよね。

説明者: ○会社の社員である。

★ ここで取ったデータが悪いときに、従業するに於いてという意味で「不利益ありません」というのはないので、何か1文、説明文書に入れられた方が、たくさんの人が集まってこられるような気がする。

委員長: 要するに、参加して取られたデータによって、不利益を受けないということですよね。それは、現場の方で考慮いただけるよう、お伝え願う。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた。

委員長:特に反対意見はなかったので、承認とさせていただく。

 

7)人を対象とした研究課題(新規)<医学系指針>

受付番号:K2018-008
     「酒粕エキス及び酒粕含有成分による気分改善効果の評価」
細胞機能評価研究チーム 田村 泰久

【概要】
 研究実施責任者の田村副チームリーダーより、本研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では特に問題がないことを確認し承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 安全性の方を伺いたい。投与の量とかそういう情報がないので。

説明者: 現在、動物試験を基に、酒粕エキスについては、エキス70%配合・デキストラン30%のカプセル剤としようと考えている。一方、有効成分はこちらの物質になっていて、既に欧米などで売られているタブレットと同じ用量になるものを今回用いる。

★ そのエキスの方は、量の妥当性というのは。

説明者: 実際、動物試験では、餌とエキスを50%配合したものになっていて、人に換算しますと、かなりの量を取らないといけないということがあって。

★ そこの安全性というのは保証されているのか。

説明者: 一応酒粕エキス自身が食用として用いられているものなので、そのあたりは問題ないということと、以前、○社の方で既にプレ試験を行っており、何も問題がなかったということから、問題はないと考えている。

★ それは論文化ができるほどの、きちんとしたデータなのか。

説明者: まだ例数が少ないということもあって、そこまでは至っていない状況である。

委員長: 摂取する酒粕エキスであるとか酒粕成分は、元々、酒粕何gからか。たくさんの量から高濃度で抽出してきたものであるのだったとしたら、いろいろな毒性の心配があるということだと。それで、何グラムの酒粕を1回に食べることになるのかと。

★ 私のチームなので、ちょっと立場が難しいのだが、私の理解では、通常、酒粕として皆さんよく食べられる量よりも少ない量で、抽出と言ってもそれほど濃縮をすごくしているわけではないように聞いている。ですので、○社に問い合わせて、1日に飲む量が、普通の酒粕に換算して何gなのだということを調べていただけるといいかと思う。

説明者: 承知した。

委員長: やはり基本になるのは、用量設定の根拠になるものだから、世界で初めてなら、それも必要だけれど、これは医薬品でなしに食品という理解でよいか。

説明者: そうである。

★: 薬品を開発する上での安全性試験の枠組みであったり、それとサプリメントを含めて、食品を開発する、あるいは機能性食品をうたったりするときに行う安全性、あるいは機能の確認というのは、手続きがあまりにも違う。この審査一つ一つに関しては、○社がある程度安全性を担保されていて、有効成分も商品にもなっているということで、お認めする根拠というのはあるのはあると思うが、今後そういう難しいケースが発生するのではないかと思うので、意見として提案させていただく。

委員長: ものとしては新規ではないので、特に問題になるとは思わないが、例えば先ほど言った用量設定の根拠であるとか、ものが何g由来のものであるとか、簡単な情報もあった方がいいと思う。

説明者: 承知した。

委員長: やはり医薬品と違って食品の場合は、効能・効果をうたう機能性食品にしようと思うと、いろいろ手続きがあるが、今回の場合は機能性食品でもなく、単にいわゆる食品なので、そんなに心配はないように思う。これで機能性食品のようなことにしようとすると、いろいろすべき試験研究がたくさんある。それのプレリミナリーな調査を、KOKOROスケールというか、それで見てみようということだと思う。不十分な情報について調べておいていただいて、また次回の委員会でも説明していただければ。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた。

委員長:承認ということで。

 

7. その他
 

事務局: また近々、次回委員会の日程調整をさせていただきたいので、ご協力のほどお願いしたい。

ページの最上部へ戻る