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No.17

第17回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨


1. 日時 平成31年1月25日(金)15:00~16:00
2. 場所 理化学研究所 
   MIR&Dセンタービル 2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

雪村 時人 委員長 (元大阪大谷大学薬学部 教授)
武田 真莉子 委員 (神戸学院大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局 記者)
西口 修平 委員 (兵庫医科大学内科学 教授)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (BDR細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者) 水野 敬 (健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム/健康計測解析チーム チームリーダー)
   
(オブザーバー)

深井 宏 (神戸事業所長)

(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
堀江 仁一郎 (神戸事業所 安全管理室)
吉田 道生 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)人を対象とした研究課題に関わる審査(新規)

(2)人を対象としたMRI・PET研究計画に関わる審査(変更)

(3)申し合わせ事項に基づく委員長承認案件の報告について

 

5. 審議事項
 

1) 人を対象とした研究課題(新規)

受付番号:K2018-039
     「タクシー運転手を対象に***を摂取することによる睡眠状態や疲労に及ぼす影響を評価する探索試験―非盲検・無作為化群間比較試験―」
研究実施責任者:健康計測解析チーム 水野 敬

【概要】
 研究実施責任者の水野チームリーダーより、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、被験食品の摂取による副作用などについて議論が行われた。共同研究機関に被験食品について食品としての基礎情報の提示を求め、被験者に与えるリスク評価等を共有すること、カフェイン高含有食品の禁止や控えることが研究参加の条件とならないよう配慮し、研究参加者として適切か共同研究機関及び被験者募集機関と慎重に調整することをコメントとして付した上で承認とされた。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり


★ 基本的に○○が高濃度に入っている食品で、いつ飲んでも車の運転をするのは大丈夫ということでよろしいか。

説明者: そうである。

★ カフェインをたくさん摂取する人は参加できないという基準になっているが、タクシーの運転手さんというのはカフェインを普段からたくさん摂取しているような気がする。そういうところを過剰に摂取しているとデータに影響しないのか。

説明者: 一応、「コーヒー7杯相当」というのは例で示しているが、運転手さんに尋ねるときに他に例をちゃんと示しているかということがポイントになろうかと思うので、例えばお茶だとこれぐらいの量であるとか、もう少し他のカフェインを多く含んだものも想起できるように工夫したい。

★ 夜勤のタクシーの運転手さんは眠気覚ましでカフェインを非常にたくさん含んだものをよく飲むと聞いたことがある。そうすると、この試験で例えばそれを禁止して事故でも起こされたら大変である。「コーヒーをやめておいてくださいね」と言うと支障が生じることが考えられるので、聞き取りをして、それを考慮した上でデータを解析された方がいいのではないかと。

説明者: まさに日常のルーティンで皆さんがやられていることを禁止するということはやはりできないと思うので、そもそもそういう生活の方はもうリクルートの時点で外させていただく。

★ 今回使用する食品が持つ副作用を幾つかおっしゃったが。

説明者: アレルギー関係、お腹が張ったような感じになること、蕁麻疹、唇のしびれというレポートが出ている。

委員長: そういう副作用の程度が心配である。運転に支障がある程度の副作用か、そうでないかということが問題だと思う。運転に支障がない程度であるということなら、特に問題にはならないと思うが。

★ 参加できない基準に「えび・かに・小麦・乳を含む製品と共通の設備で製造している」とあるので、これが混入している可能性があると。

★ 今回の場合は被験者の方だけではなくて、もし運転に支障があって交通事故を起こすと、他に被害者を生んでしまう。「異常があれば、やめてください」はいいが、やめようと思ったらもう事故を起こしていたということはないのか。

説明者: そのあたりはむしろ、○○社さんのところでは特にその食品を摂取することでの影響を倫理審査で厳しく見られていると思うので、そのあたりのレポートを頂きたいとは思う。

★ 非番の時に先に飲みはじめてもらって、しびれ等の症状がないことを確認した人だけエントリーするということで、起こったときにはこの試験には入れない。

説明者: それはできると思う。

★ 一般論として、市販されている食品を使ってこういう試験をするときに、その食品の注意書きに例えば「運転しないでください」と書かれていないものを調査で使う場合、その食べ物が原因で何か起こったら、果たして調査・研究すること自体に何か制限というのは法律的にはあるのか。

★ ○○社にもしミスがあったときに、理研としてそれに加担したという評価を受けてしまうと。理研は高度な能力を持っている機関であるから、裁判所が求める客観的注意義務も結構高い。

説明者: やはり車の運転への影響というリスクをどれぐらい考えておられるのかをお聞きしたいと思う。

委員長: 医薬品なら「運転に注意しなさい」とか「運転はやめなさい」という記載が添付文書にあるが、食品の場合にはそういうことはほとんどないし、その場合に起こってくるいろいろな不都合の責任は、逆にどこにもないのではないかという気がする。ただし、食品として売っているから大丈夫ということではなく、今回の場合は試験に参加することによって摂取するわけで。

説明者: 自由意思でいつでもやめることができるというのが、自己で判断できるということではあるけれども。

委員長: ある程度納得できる安全性についてのきちんとした調査というのは既にされているのだと思うが、確認してほしい。この物の安全性についての調査・研究はどの程度なされているのかというところを。

説明者: 確認する。

★ 特にこの案件だけではない話だが、本日の議論を拝聴していると、食品として一般の自然に流通しているものであったとしても、その介入で使うような食品の成分に関する基礎情報は、最初から出していただく方がいいということになってくるわけで。
 恐らくいろいろな年齢層や性別について、あるいは投与期間、頻度。調査はされていると思うが、そこのミスマッチがあるときは確かに重篤になることはあるだろうし、確かにそれを検討していないようなものに安直に乗るのはよくないというご指摘は非常にそのとおりではないかと思う。

委員長: そうである。副作用がなかった、あるいはあっても軽度で、それこそ重篤なものはなかったということなのかもしれないが、その調査もお願いする。

説明者: 承知した。

委員長: もう一点はカフェインの含有について、説明されるときにコーヒーだけではなしにカフェイン含有の飲み物についても聞いていただくことが大事ではないかというコメントを付けていただければと思う。

説明者: しかと伝えさせていただく。

委員長: それで、もしたくさん飲用している人がいたら、参加しないようにしていただければいいと思う。

説明者: 了解した。

委員長: 効果にしても、有効性にしても、安全性にしても検討するということを、皆さんが認めてくれるような注意をきちんとしておく必要があるのではないかと思う。

★ 理研の注意義務でいくと、そういうことを求めて、提示されて、それが「うそだろう」とまでは、理研としてそこまではもう必要ないと思う。求めなかったことの過失を問われないように。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた。

委員長: 本件は承認ということでよろしいか。ありがとうございます。

 

2)人を対象としたMRI研究課題(変更)<医学系指針>

受付番号:K2018-040
     「個別健康最大化のための健康指標開発研究」
研究実施責任者:健康“生き活き”羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 渡辺 恭良

【概要】
説明者の水野チームリーダーより、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、特に問題はないとされ承認とされた。

質疑応答等詳細は以下の通り

説明者: 変更内容については、研究方法の変更、被験者募集方法の変更、研究の参加に係る費用の変更、入手するヒト由来試料等の変更、共同研究機関の削除および情報の変更となる。
 参画機関でビタミンD関連質問票というものを解析している○○大学の先生がおられて、そちらの倫理委員会を通す際に、「食事調査」という名前だけではなくて、その中に含まれている「栄養調査」も文言として入れてほしいという依頼を受けたので、こちらを追記させていただいた。
 また、被験者の募集方法のところで、リクルート会社に被験者の募集をさせていただくということも加えた。
 それから、研究の参加に係る費用というところで、リサーチコンプレックスの予算自体は理研で受けていることから、被験者として参加して謝金を受け取るのは利益相反になるのではないかという議論があって、理研のメンバーが参加する場合には無償とすると決めたということになる。

委員長: 変更であるが、ご質問、コメントがあれば、お願いしたい。よろしいか。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた。

委員長: ご質問、コメントがないようなので、承認ということにさせていただく。

 

6. 報告事項
 

申し合わせ事項に基づく委員長承認案件の報告について

事務局より第16回委員会から本委員会開催までに委員長確認による承認となった試験内容について報告があった。

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