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No.18

第18回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨


1. 日時 平成31年3月8日(金)15:00~17:00
2. 場所 理化学研究所 MIR&Dセンタービル 2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

雪村 時人 委員長 (元大阪大谷大学薬学部 教授)
武田 真莉子 委員 (神戸学院大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局 記者)
西口 修平 委員 (兵庫医科大学内科学 教授)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (BDR細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者) 山野 恵美 (健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 新規計測開発チーム 研究員)
佐々木 章宏 (BDR 健康・病態科学研究チーム 研究員)
水野 敬 (BDR 健康・病態科学研究チーム 上級研究員)
渡辺 恭良 (健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 融合研究推進グループ グループディレクター)
   
(オブザーバー)

深井 宏 (神戸事業所長)

(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
堀江 仁一郎 (神戸事業所 安全管理室)
吉田 道生 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)平成29年度研究実施報告について

(2)人を対象とした研究課題に関わる審査(新規・変更)

(3)人を対象としたMRI・PET研究課題に関わる審査(変更・継続)



事務局: 本日、辰野委員が不在だが、書面にてご意見を伺っている。この委員会の運営規則では、法律学の専門家の先生がいらっしゃらないと委員会が成立しないが、書面でご意見を頂いているので、今回は書面出席ということでお認めいただき、成立という形にさせていただきたいと思う。

委員長: よろしいか。

―全員同意―

事務局: ありがとうございます。では委員会は成立ということにさせていただく。

5. 報告事項
 

1) 平成29年度研究実施報告について

事務局より、平成29年度に実施された研究課題等について報告があり、研究結果及び進捗状況を確認した。

6. 審議事項
 

1) 人を対象とした研究課題(継続)

受付番号:K2018-053
     「疲労科学に基づく***の開発」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良

【概要】
説明者の山野研究員より、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われ、心電図モニターによるデータ取得が診療目的ではないことについて説明文書、計画書に記載してもらうよう、共同研究機関に申し伝えることとし、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 測定された生のデータは、先方が保管するのか?

説明者: そうである、理研には来ない。

★ 心拍モニターで取るデータは、〇〇グループの方については、この研究にのみ使われるということを保証されているということか?

説明者: そうである。もし、別途使うという可能性があるのであれば、また倫理審査を新しく審査を受けてということで、こちらの方も規定している。

★ 研究者は個人情報とは独立した形で解析するようになっているのか?

説明者: もちろんそうである。匿名化されている。解析データを扱う部署は、匿名化したデータしか見られないことになっている。

委員長: ここに参加されている方のデータは、仕事上のラインのマネジメントの方とか、人事担当者はタッチしないと。

説明者: 一切しない。

委員長: ということであれば、問題ないかと思う。

★ 例えば一過性に意識を失うとか、そういうことも、この研究で捉えることはできるわけで。あるいは不整脈で脈が停止しているとか。そういう場合はどうするのか。今回、ホルターを撮るので。

説明者: そのあたりは見つけ次第、その時点で研究の関係者とはまた別に、産業医だったり、そちらの方を通して個別に医学的措置を・・・。

★ この中に記載はあるか。

説明者: こちらは、現時点ではまだ記載がなかったかもしれない。

★ 恐らく倫理的な観点から申すと、あくまで個人情報としては、何か健康上に異常があったとしても、この個人がこういう所見があったというのを、どなたかにお伝えいただくというのは、ちょっと問題があるのかなと思う。

★ この研究で見つけておきながら、それを本人に告知していなかったということも、逆に研究自体が問われる可能性がある。そうすると、両方で配慮しないといけないことになるので、もし異常を見つけた場合にどうするかということに関しては、ちょっとお考えいただいておいた方がいいと思う。

委員長: そうしたら、もし異常が見いだされたときの対応をどうするかということをもう一度考え直し、プロトコルとインフォームドコンセントに記載しておく必要があるということか。

★ ホルター心電図から、例えば医療関係者が心拍のその波形を見るというよりも、多分この作業では、そのデータをソフトウェアに入れてR-R間隔を読み、そこで自律神経を評価するという流れだと思う。

★ そうすると、感知できないか。

★ それは感知できない可能性が高いのではないかと思う。このホルター心電図の生波形を医療関係者が見る機会があるかどうかというのが、今回のポイントだと思う。

説明者: 実際のところR-R間隔で、ソフトウェアで自律神経機能に変換する形になる。心拍データを自律神経の方の評価につなげるので、解析ソフトウェアで生波形を見ずに、そのまま波形を載せて交感神経がどのぐらいとか・・・。

★ もしそれであれば、通常のホルター心電図とは違うのだということを明記し、そういう異常心電図、異常な波形は感知できないということを書いておいていただいた方がいいと思う。

説明者: では、ホルター心電図は自律神経機能評価にのみ使うというような形で記載する方がいいか。

★ 「医学上の異常は見つけられません」と書いておかれたらいいかと思う。ただ一つだけ、たまたまよくあるホルター心電図を借りてこられて、ポッと着けると、その機械自体が「異常です」「不整脈があります」と出したときに、それは医療者でなくても、こういうのが出ていると気がつく可能性があるので、本来そこはもうオンにしない方がいいかもしれない。

委員長: そうである。MRIが、試験の中では脳ドックで見るMRIとは違うのだというのと同じことで、この試験の中で使われるホルター心電計というのは、診断目的ではない。あるいはそういう機能があるのだったらマスクできるような形で使うということで。

【審議】
質疑応答後、審議が行われた。

★ インシデンタルに見つかった場合に、それをお伝えしないことが社会的道義に反する可能性があるということが、先ほどの懸案だと思う。そのホルター心電図のスペックであったり、解析であったりで、本当にそういうインシデンタルなものが出てこないのかというのを保証することは、結構難しいことではあるようには、思ってしまうのだが。

★ 実際のことを言うと、不整脈があると測定不能で出てくる。測定不能とは、本当に心電図がバイオロジカルな異常もあるし、雑音が外から入ってくるとか、いろいろなことがあるので、通常はそこを外して解析をする。わざわざ測定不能のとき、また生データが出て、この人の心電図はどうかということはほぼ見ないので、基本的に被験者さんにはそういう目的には一切使っていませんということを、書かれておけばいいと思う。ただ、たまたまそれでも見つかったというときには、そこは何らかのちゃんとした形で医療関係者を通じておっしゃるというのは、道義上取るべき態度だと思う。

★ ほぼ、そういう医学的な問題が見つかるような状況にはないという理解で、ただ、万が一のときには道義に照らして、産業医にご相談するということを含めるというのは。

★ それを記載するかどうかがすごく難しくて、私は記載しなくていいのかなと。そういう目的ではないのですよということを、お伝えしておけばいいのかなとは思う。

★ だから、通常のホルターの所見は取れないということを記載しておいていただければ。

★ ここは、やはりインフォームドコンセントの方に、ホルターと言っても、「これは医学検査ではありません。あくまで実験のデータを取得するためのもので、健康診断のものとは違います」というような形で、インフォームドコンセントで入れておく。「これで何も言われなかったから、心臓が大丈夫とは思わないでくださいね」みたいなことが伝わるニュアンスにしておけば、いいのではないかなと思う。

★ ここでは一切医学的な所見は取りませんというのが、一番きれいだと思う。

委員長: それを、どこかに入れていただくか。

事務局:多分、共同研究機関において対応されることだと思うので、このICの説明文書も含めて、向こうにお願いするような形になる。

委員長: プロトコルとICに「医学的診断をするものではない」ということの記載をお願いしていただくということで、承認ということで。



2)人を対象とした研究課題(新規)

受付番号:Kobe2 2018-09
    「***製品の窃取が脳機能に及ぼす影響の検討」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 佐々木 章宏

【概要】
研究実施責任者の佐々木研究員より、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われ、測定結果に影響が出ないよう、研究実施に当たっての禁止事項について十分注意を払うようコメント付きで承認とされた。 質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 基本的には****を狙っているわけであり、条件などをもう少し詰めた方がいいのかなと思うところがある。例えば、試験に入るまでのお茶とか、そういうところの禁止は、3日前からとかいうのが、PKを考えたときに影響しないというところで、多く皆さんがやっているところだと思うが、これは前日。  それから、認知機能を調べるときに、大体30分と、1時間後ぐらい、2回で測定されるようだが、これはCmaxのところで測るという意味か。

説明者: 吸収されてピークになるところが見たいなと。

★ 分布容積がそんなに変動しないので、そこはいいと思うが、自律神経を測定するのは何時間後ぐらいなのか。

説明者: 1時間後ぐらいのタイミングになる。

★ そうしたら、まあぎりぎり、そんなにぶれないところかもしれないが。でも、それだけ代謝能力、クリアランスが違っている被験者群になるということは、念頭に置かれておいた方がいいと思う。なるべく割と高齢に持って行った方が。

説明者: 今回、高齢者においては、高***によって認知機能が改善するというのを示唆するような結果が、先行研究としてあるということで、比較的もう少し若年の就業されているような年代の方を、対象として見たいということ。イメージとしては、日中の仕事の合間に○○を食べて、仕事のパフォーマンスが上がるといいなというようなイメージである。

★ だから、ベースで一番狙っている****は、やはりファーマコキネティクスをよくベースを考えて、もう少し禁止薬物を何時間前からにするとかをきちんとされていた方がいいかなと思った。

委員長: 確かに通常、中枢効果という場合、****も同じだと思うが、ご指摘のように、薬物代謝の点から、そういうのは個人個人で違う。薬物代謝パラメータ、PKパラメータの違いなども十分考慮して、データ解析されることが非常に大事だと思う。それと日常的にずっと、どなたも摂取しているものであり、そういったものの影響もあるので、データ解析には十分注意していただきたいと思う。

★ ****を含む食べものはいっぱいあるので、結構厳しくそこを禁止しておかないと。この***に含まれているのは、そんなに高くない。だから、その効果をより出すためには、いろいろなものをちゃんと抑えておかないと、出にくくなるのかなというところを、ちょっと心配した。

説明者: 今おっしゃっていただいたような普段、*****に関連するものを常用しているか、あるいは前日何時ごろに摂取したかというのを押さえるというのは、まず簡単にはできるかなというところなので、その辺を質問票に。

★ 3日前とかから、摂取しないでくださいとか、できると思うが。

説明者: わかった。 ★ 盲検という意味で、かなり厳密にしているみたいなことがあったが、封を切ったら、今日は濃いものかなと、よく市販で食べている方も多いかと思うので、分かってしまうのではないか。

委員長: この試験は、被験者が非盲検である。分かっても構わない、あるいは分かるということを前提にされている試験であるので、それは全然問題にならないと思う。もちろんデータの強さの評価は、また別の議論になると思うが、これはこれで分かったとしても、分からなかったとしても、どちらでもいいのではないかと思う。

★ それと、これが分からないのは、作業仮説として、濃ければ濃い方が効くのだということを言いたいのか。今の実験だと、薄い***は駄目で、濃い***はいいという結論が出てくるのではないかというので、これとの齟齬があるのではないのかというのが、気になった。

説明者: 摂取の前と後とで、自律神経と主観に関しては測定するので、もちろんベースラインになるような***0%というもののデータは持たないのだが、摂取前と比較することによって、***を摂取したときに効果が上がってくる。

★ では、同じぐらいだったら、別に薄い***でも効くということが分かるということか。

説明者: それが効いたかどうかというのは難しいかもしれない。何か食べたことによって、効果があったのではないかと言われる可能性があるので、そこは慎重に議論しないといけないと思う。

委員長: こういう食品の試験は、他の成分は何が入っているか分からないので、そのどの成分がどのように効いたかということも、一切議論できない。この食品を食べたということの効果を調べているわけで、それはそれでいいのではないかと思う。あえて個々の成分ごとの解析などは、次の仕事としてされたらいいのではないかと。  それと、予測される結果としては、食べる前よりも、食べた後に何らかの効果が出てくると。それがRとSとの間で差が出るか、出ないかというのは分からないので、今回この試験をやってみるということで、よろしいのではないか。

★ この研究に参画する被験者が、どのような人たちかということを確認しておきたいのだが、これはS(企業名)というところが、全く対象を特定せずに自由にリクルートされるという理解でよろしいか。

説明者: そうである。S(企業名)の方で、モニターのプールを持っているので、そこに情報を配信していただいて、そこから興味を持った方が自由に応募してくるという形となる。

★  インフォームドコンセントを行われる際に、研究の目的を説明するが、目的の中に予測される結果というのが間違って入ってしまうと、これは非常に強い認知的な効果というのが出てきてしまうので、そこについては、期待される結果というのは、分からないよう形でご説明されないといけないなと思う。研究の目的の説明についてどうされるのかというのは、あまりこの資料だけでは明確ではなかったので。

説明者: 26ページに説明文書が。***製品の摂取について、健康効果が報告されていますと。異なる2種類の製品を摂取していただき、自律神経機能、認知機能の結果を比較する。これによって***製品が脳機能に与える影響について明らかにするということで、高濃度***がよりいいとか、低濃度の方がいいということに関しては、言及はしていない。

委員長: 今回の試験は、被験者は非盲検なので、プラセボ効果を含めた成績しか得られないので、明らかにプラセボ効果は入る。それが前提での試験なので。

【審議】
質疑応答後、審議が行われた。

委員長: そうしたら、委員からご指摘のように、このもののPKのデータを含めて十分データ解析をされるということでお願いしておきたいと思う。 承認ということでよろしいか。

―全員同意―



3)人を対象としたMRI研究課題(変更)

受付番号:K2018-066
     「個別健康最大化のための健康指標開発研究」
研究実施責任者:健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 渡辺 恭良

【概要】
研究実施者の水野研究員より、本研究計画の変更内容について説明があり、特に問題はないとされ承認とされた。 説明終了後、特に質疑がなく審議が行われた。

委員長: お聞きした限り、軽微な変更だと思うが、よろしいか。そうしたら、承認ということにさせていただく。



4)人を対象としたMRI研究課題(継続) <医学系指針>

受付番号:K2018-044
     「疲労と感情認知の関連機序研究」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬(説明者:渡辺)

【概要】
研究実施者の渡辺チームリーダーより、本研究計画の継続申請について説明があり、特に問題はないとされ承認とされた。 説明終了後、特に質疑がなく審議が行われた。

委員長: 人数を増やすことによる期間の延長と、新たな研究資金を調達されたということで。よろしいか。では承認ということで。



5)人を対象としたMRI研究課題(継続)

受付番号:K2018-050
     「疲労状態における安静時脳機能ネットワークの解明」
研究実施責任者: 健康・病態科学研究チーム 佐々木 章宏



6)人を対象としたMRI研究課題(継続)

受付番号:K2018-051
     「脳画像データ活用による製品・サービスの評価基準の構築」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良



7)人を対象としたPET研究課題(継続)

受付番号:K2018-052
     「肝胆系輸送の機能評価に関する研究: [18F]ピタバスタチンを用いた分子イメージングに基づく体内動態・臓器分布の解析」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良

【概要】
事務局より、人を対象とした研究計画3課題について継続申請(研究予定期間の延長)があったことの説明があり、特に問題はないとされ承認とされた。



8)人を対象とした研究課題(変更)

受付番号:K2018-063
     「睡眠の質測定とケア行動の提案が健康増進と労働性の生産性の向上に及ぼす影響」
研究実施責任者: 新規計測開発チーム 片岡 洋祐

【概要】
研究実施責任者の片岡チームリーダーより、本研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。特に問題はないとされ承認とされた。 質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 同じアンケートだが、記載が変わったと。

説明者: そうである。

委員長: 試験内容は?

説明者: 全く変わっていない。 ただ、(共同研究先の倫理委員会で)書き方を、二つちゃんと分けて書きなさいということが出たらしい。

委員長: 分けて書けというのが、共同研究先の倫理委員会のご意見だったので、こちらもそれを認めるかと。

説明者: そうである。

★ 確認であるが、元々WHO-HPQの検査は入っていたのだけれど、その評価として、これは労働生産性の評価のためにあって、健康関連QOLというのは、これは元々SF-8で。それだけしか記載がなかったのを、不具合だから正したというだけの話だということか。

説明者: そうである。タイトルを見ていただくと、労働生産性は元から入っていて、そのこともお聞きになるつもりではあった。

★ WHOの質問紙の抜粋版も、最初から全部取っていたということか。

説明者: そうである。

★ それを明記した。新たに加えたのではなくて。

説明者: そういうことである。元からやるつもりでいたということ。  

【審議】
質疑応答後、審議が行われた。

委員長: 承認で何ら問題ないと思う。付け加えると、やはり一つの試験を、複数の倫理委員会で審議することによる問題点である。

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