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No.20

第20回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨


1. 日時 令和元年7月31日(水)15:00~17:50
2. 場所 理化学研究所 MIR&Dセンタービル 2階 大会議室
3. 出席委員等
 
(委員)

玉木 彰 委員長 (兵庫医療大学大学院医療科学研究科 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局 記者)
西口 修平 委員 (兵庫医科大学内科学 教授)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者) 佐々木 章宏 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム 研究員)
田村 泰久 (生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム 副チームリーダー)
林 拓也 (生命機能科学研究センター 脳コネクトミクスイメージング研究チーム チームリーダー)
沖中 勇輝 (生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム 研修生)
水野 敬 (健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 健康計測解析チーム チームリーダー)
(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)規程改正について (報告)
(2)審査を経ずに承認した申請について(報告)
(3)人を対象とした研究課題及び人を対象としたMRI・PET研究課題に関わる審査(新規・変更)
(4)その他

5. 委員紹介・委員長互選について
 

新たに委員となった玉木委員の紹介があった。また、研究倫理委員会等設置細則に基づき、委員の互選により、玉木委員が委員長として選任された。

6. 報告事事項
 

1)規程改正について

事務局より研究倫理委員会等設置細則の改正及び人を対象とする研究に関する倫理規程細則の改正について報告があった。

2)審査を経ずに承認した申請について

事務局より前回開催から今回までの間に、居室移転に伴う実施場所、保管場所等の変更申請が2件あったため、人を対象とする研究に関する倫理規程細則の第3条第2項第2号に基づき、審議を経ずに承認手続きが執られたことについて報告があった。

7. 審議事項
 

1)人を対象としたMRI研究課題(新規)

受付番号:K2019-016
     「***の飲用による認知機能改善効果」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良

【概要】
説明者の佐々木研究員より、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、特に問題は無いとされ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 被験食品と対照食品をランダムに提供するという話があったと思うが、それはどういう意味か。

説明者: 60名を本試験の対象として、性別・年齢を基準として二つの群に分けていく。一方の群には被験食品(**を含むカプセル)、もう一方の群には対照食品(**を含まないカプセル)を提供する。被験者は自分がどちらを飲むかを希望することはできず、割付担当者が決めたものに従って飲むということで、被験者には何を飲んでいるかは分からないということである。

★  そのカプセルについて質問が。**が入っているか、入っていないかというのは、例えば色合いなど、そういうものでは分からないような工夫がされているのか。

説明者: 対照食品の方にはクチナシの色素を使っており、外観からは分からないようになっている。

★  分からないということでよいか。

説明者: これはもう○○(企業名)の方で過去に同様の研究をされていて、十分に確立された対照食品であると認識している。

★ このプラセボカプセルを1日9粒というのは、過去の○○(企業名)での検討から、例えば健康な人には特に害がないということはもう確認済みという理解でいいのか。

説明者: そうである。

★ 日常的に**を摂取するような、生活の中での摂取量は勘案しないのか。

説明者: そこの部分に関してはコントロールしない。ただ、日常的にたくさん摂取する方は背景調査の段階で除外したいと考えている。

★ 3カ月という短期間に、気分はともかくとして、脳の構造や脳活動自体まで変化が起きるものなのか。

説明者: そこに関しては、はっきりと答えることは難しいが、まずこの研究に先行するものとして、同じく3カ月、12週間の**カプセルの継続摂取で高齢者の認知機能のスコアなどに改善が見られているということに足を置いている。

★ 高齢者という認知機能が少し落ちている、普通より低い人にアドオンすると、効果が見えやすいかなということは直感的に感じるが、今回は健康で働き盛りの年頃の方なので、そのような脳の活動などを日頃から活発にやっているような方にその程度の**をアドオンして目に見える成果が出る見通しなのかということが、この研究デザインで気になった。

説明者: MMSEなどのスクリーニングでは引っ掛からないが、実はもう少し若年のところから少しずつ認知機能の低下が始まっている可能性があると考えている。それで、そのように日常で認知機能の低下が起こっているとすれば、それを落ちないようにすくい上げていくような効果を期待して、この年代を対象としている部分がある。ただ正直なところ、高齢者を対象とした先行研究にデザインを合わせているので、40代、50代の方を対象として効果が本当にあるかということは未知数である。

委員長: MMSEの反応性の問題で話しをされていたが、そうであるならばMCIが検出できるようなMoCA-Jとか、そういう評価バッテリーの方が、恐らくこの年代の人であればスクリーニングが可能ではないかと思ったりする。
 あと、この年代の方だったら、恐らく普段の生活の中で**以外にも認知機能が上がるようなこと、例えば身体活動であるとか、何か読むとか、そういったことの影響も入ってきて、データそのものに少しバイアスが掛かってくるのではないかとも感じたがいかがか。

説明者: 認知機能に関してはスクリーニング検査としてMMSEを一つ取るが、それは先行研究との整合性を担保するという意味で取っているものである。それに加えてあと二つ、脳活バランサーとCognitraxという課題を行う。それは注意や実行機能、表情認知といった機能を測定する検査になる。こちらはMMSEよりもう少し複雑な課題になっていて、そのあたりで差が見えてくれば面白いのではないかと期待している。
 あとは身体活動のところだが、こればかりはどれぐらい身体能力があるかを測定するのは困難であるので、アインシュタインの質問票という英国で開発された質問票をベースに日常的な認知機能に関する活動がどれぐらいされているのかを背景情報として集めたいと考えている。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた

委員長 それでは審査に入りたいと思うが、いかがか。承認、条件付き承認、変更を勧告する、承認しない、該当しないという選択肢がある。

★ 特に問題ないかと思うが。

委員長: そうしたら、承認ということにさせていただきたいと思う。

 

2)人を対象とした研究課題(新規)

受付番号:K2019-012
     「***症状に対する**含有成分による改善効果について」
研究実施責任者:細胞機能評価研究チーム 田村 泰久^^

【概要】
研究実施責任者の田村副チームリーダーより、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、**含有単一成分Xが**に多く含まれる成分ではあるものの、実際の試験で使用するのは大豆から抽出された成分であるということで、研究課題名の修正、及び説明文書へ大豆からの抽出物であることなどの追記を求められ、条件付き承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 以前、成分Xの内服試験をされているが、そのときに何か不都合な症状などはあったか。

説明者: 実際に成分Xに関してはなかったが、それと同じ時期に行った**エキスに関しては、少し気分が悪くなった方はいらっしゃった。ただ、少なくとも成分Xに関してはそのようにアンケートに書いた方はおらず、実際に訴えはない。

★ 成分Xというのは**に含まれているのか?

説明者: そうである。ある種の**に高含有で、実際は大豆から抽出している物質で試験を行う。われわれはたまたま**からスタートして、前回の試験では**エキスと**に含まれる物質の一つである成分X を使って試験を行っていたので、「**含有成分」という表記にさせていただいたが、実際は**だけに含まれているというわけではない。

★ これは確かに表記が難しいと思う。実際に今回飲む成分Xは大豆から抽出されているものでよいか。

説明者: そうである。大豆から抽出されたものである。

★ ここを「**」と書くと、どうしても**から抽出されたものを飲んでいるのだという意識が出てきてしまうと思う。前の試験は前の試験で、この試験はまた新たに申請されるということであれば、大豆含有成分と言っていいのか、あるいはもう成分Xと書いてしまうと何かまずいのか。

説明者: 確かにおっしゃるように「大豆」と書いた方が正確なのかもしれない。

★ 8ページからの同意説明文を見ると、9ページの第6項に今おっしゃったことが出てくる。諸外国でサプリメントとして販売されているということだが、これは**とは全く関係ないわけか。

説明者: 関係ない。成分Xとして出されている。

★ 最近はやはりアレルギーの問題があるので、今回、大豆から抽出しているということは書いておいた方がいいように思う。

説明者: 分かった。そこは「大豆」に変更してよろしいか。

★ 「**」とした方が、すごく具体的なイメージは湧くのだが。この研究課題名が「**含有成分による改善効果について」で、同意説明文も「**含有成分による軽減効果の評価」という課題名になっているが。

★ 大豆の成分は完全に取り除かれているのか。合成ではなくて、抽出であれば、残っている可能性がある。

説明者: 少し残っている可能性がある。

★ そうすると、例えば**だったら酵母とか、そういうものに対するアレルギー反応がある人は駄目になるし、大豆だったら大豆のタンパクに対してアレルギーがある人は駄目になるから、むしろ元のものを出しておいた方が。

説明者: わかった。では、タイトルはもう「大豆」の方がよろしいか。

★ 書くのだったら、「大豆」の方がいいと思う。

★ 私のアイデアだが、タイトルは「大豆含有成分」として、「この研究の目的、意義」というところに「日本固有の発酵食品である**や大豆等の食品に多く含まれる、こういう成分の中の一つ」という書き方でいいのではないかと思う。

説明者: 分かった。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた

委員長: それでは研究課題名を少し変更して、説明文書に詳しく記載していただくということで、条件付き承認という形で承認したいと思う。

 

3)人を対象としたMRI研究課題(新規)

受付番号:K2019-015
     「標準MRIプロトコル・解析・データベース技術の開発と脳機能構築の解明および脳疾患診断法の確立」
研究実施責任者:脳コネクトミクスイメージング研究チーム 林 拓也

【概要】
研究実施責任者の林チームリーダーより、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では特に問題はないとされ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 過去に理研で撮られたデータについては、これに使うということの了解はもう得られているのか。

説明者: それについては、今日の審査にも出ている佐々木さんから説明のある課題が。説明は私の後になると思うが・・・。

事務局: 事務局から補足させていただく。この後とさらに一つ後の6項目の課題で、これの試料の提供についての変更申請が出ている。

★ 今の質問に関連して、過去の画像を使われるわけか。

説明者: 理化学研究所については、そうである。

★ それはその画像を提供された協力者の方の意図には反した利用の仕方になるのか。

説明者: そちらについては次にあるので、そちらで審査していただきたいのだが、基本的には同意を再度頂くか、オプトアウトという形で同意を取得するかということになるのではないかと思う。

★ この研究課題について、今、この倫理委員会で何を審議すべきかということになるが。

説明者: 情報を扱って解析研究を行うということが、今、国際的にも流れになっている。その情報の扱いが適正であるかどうか、適正に匿名化されているかどうか、適正に取得されたものかどうか、そういった流れをこの倫理委員会で審査いただく必要がある。

★ 恐らくこういうケースはバイオバンクなどをやるときによく出てくる話で、バイオバンクを作るときには今後の目的は分からなくて、新たに目的が出てきたときに、使用される人、被験者、その検体を元々提供した人がその目的を嫌だと思ったときにオプトアウトできるようになっているというのが根本かと思う。
 そのオプトアウトができるためには、元々試料を提供した人に、今、自分が提供した試料に係る情報がどこで使われているのかということが知らされていることが恐らく重要になる。ですから、恐らく理研側あるいはそれぞれ元のデータが取得された場所で、取得された画像情報が理研で解析されているということが分かるような体制が取られていれば、それで問題ないのだと思う。そして、嫌だと思ったときに連絡できるように、しかるべき連絡先がきちんと確保されていることが大事だと思う。  

★ それは基本的にはホームページで開示するということになるのか。

★ ホームページでの開示が一般的だと思う。

説明者: 理化学研究所の過去に取得したデータのオプトアウトについては、そちらの課題名でホームページに出ることになる。こちらの研究そのものはそういった同意を得たデータについて解析するということが主体になっているので、この中では全て同意を得たデータのみが集まってきて、使われる。

説明者: おっしゃるとおりで、データを取得する機関で、データを取得すること、操作そのものについては各機関が責任を持って、各施設の倫理委員会に基づいた説明同意文書によってデータが取得される。それぞれの施設で内容が少し、目的が違っているとか、説明の仕方にもかなりばらつきはあるが、基本的には国際脳の中でデータを取得した後、他の研究者とデータを共有して使うということを説明文書内に入れて、同意を取っていただくということになる。

★ この国際脳という枠組みにどういうところが参画していて、その中にデータが提供されて、被験者のデータがシェアされていく、ということが分かるようなウェブサイトのようなものはあるのか。

説明者: 国際脳のウェブサイトは昨年、立ち上がったところで、どこの機関が関わっているかということもそちらに記載がある。

★ 国際脳の考え方としては、データを取得した各機関が、その国際脳にはどういう機関が入っていて、データがシェアされるという情報開示も含めて、被験者の方に情報を開示していく責も負っているという考え方をしているということか。

説明者: そうである。国際脳の枠組みの中でも倫理的なことを審議するワーキンググルーブが立ち上がっており、もう少し大きな方針も含めてそのワーキンググループ内で議論されて、方針が決まって、それに基づいて各施設でも決められるということになる。

★ 「標準MRI」ということで「標準」と付けているのは何か意味があるのか。

説明者: 「標準」は最近この分野で一般的によく使われるようになってきているが、standardizationということで、いろいろな装置で計測するときに、MRIも一つの計測なのだが、計測機器ごとにデータの性質が違うという問題はどうしても生じ得る。そういった問題を解決しよう、標準化しましょうという意図で使用している。

★ 標準MRIというのは、MRIがもっと進化したときにはこの守備範囲から外れるわけか。それとも、それを標準ということにするわけか。

説明者: 医療機器全てがそうなのだが、時代とともに技術がどんどん開発され、メーカーは最新鋭の、最新技術の、最高精度の画像を作ろうとする。それによって各メーカーで違う装置がたくさんできる。一方で医療技術をどこの病院でも平均して、同じクオリティの医療を提供できる、少なくとも診断技術において同じクオリティの診断ができる、そのための装置の標準化という意味合いで使っている。画像のレベルでは多少の良し悪しはあるが、診断するレベルでは装置間の差をなくして均等に患者さんの病気の診断をしましょうという意味合いで「標準化」という言葉が医療の間では使われることが多くなっている。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた

委員長: 今回の研究に関しては特によろしいか。承認ということで。

 

4)人を対象とした研究課題(新規)

受付番号:K2019-014
     「泌尿器癌患者における癌関連疲労バイオマーカーの探索」
研究実施責任者:細胞機能評価研究チーム 片岡 洋祐

【概要】
説明者の沖中医師より、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、特に問題はないとされ、承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 今回の研究の内容に関しては、もう**大の倫理審査を通っているのか。

説明者: そうである。

★ 泌尿器癌に限定したのは、他の癌と比べて特徴があるのか。

説明者: 特徴というよりは、こういった癌関連の疲労に関しては十分な研究がまだ行われていないのが現状である。私自身が泌尿器科という立場で、泌尿器科の主治医として、この数年で新規の癌治療も出てきているし、ただ、治療が進んでもすごく進行された患者さんの倦怠感はやはり強いものなので、まずはそこが第一歩、スタートということで、今回、泌尿器癌という形で出した。

★ 前立腺癌と膀胱癌と精巣癌、あるいは腎癌などは全く違うが、そこで共通するものを見つけていくということか。

説明者: そうである。やはり癌悪液質の方なら、全ての癌において共通するような因子、物質が同定できれば理想的だと考えている。

★  対象者は全て癌の告知を受けられた方なのか。

説明者: そうである。癌の治療を過去に行われてきた方、行っている方が中心になる。

★  デザインとしては、対照群は特に置くわけではなくて、治療前後であったり、患者さんの中のばらつきであったりを指標としながら、癌関連疲労のバイオマーカーを探索するというアプローチでよろしいか。

説明者: そうである。

【審議】
説明者退席後、審議が行われた

委員長: 理研の役割としては血液データの解析というところだけだと思うので、特に問題はないかと思う。それでは、承認させていただきたいと思う。

 

5)人を対象としたMRI研究課題(変更)

受付番号:K2019-017
     「脳画像データ活用による製品・サービスの評価基準の構築」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良

【概要】
説明者の佐々木研究員より、研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議ではデータの公開方法などについて議論があり、国際脳プロジェクトのデータベースで公開される旨を明記し、その意義と目的について追記、また、オプトアウトに際し研究計画の変更が明確になるよう、説明文書を修正の上、委員長による確認を行う条件付きでの承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ (同意説明文書の)15ページの表現だが、一般の方に「公開データベース上に公開します」で意味が分かるのか。

説明者: 例えば「インターネット上のページにデータを公開します」という表現の方がよろしいか。

★ あくまでもクローズな公開データベースにアップされるという意味なのか。誰でもアクセスできるものなのか。

説明者: 利用に当たっては利用規約を設け、ユーザーとしての登録をしていただく。その登録をした方であれば、基本的には誰でも利用できるような形になろうかと。実際にそれを研究として活用していくということについては、利用者が所属している機関の倫理委員会にそのデータを利用することを申請して、その承認を受けた上で利活用していただくというのが原則になるかとは思う。

★ 公開データベースというのは、一般の方にとってはなじみがなくて、具体的には分からないので、もう少し何か説明できないかと。研究に参画する機関として一定の機関があって、それが例えば大学であるとか、研究機関であるとか、そういうものがその公開データベースにアクセスをして、そのデータを使うということ。

説明者: 必ずしもこの計画に参画している機関には限定しない。完全にオープンなデータベースとして活用するので、例えば私たちが関係のない海外の研究機関、大学や研究所の人がこのデータベースのデータをダウンロードして使いたいという場合でも、それは規約にのっとって登録した上であれば可能であるということである。

★ 例えば今おっしゃったようなことを少しお書きいただければ、少し見えてくるのではないかと思う。誰でも彼でも何の制限もなくアクセスできて、勝手に使えるというイメージではない。しかし、普通、「公開」というのはそういうイメージを持つので。

★ すごく簡単に「さまざまな研究に利用されるデータベース」とすると、誰でも彼でも見られるという意味での公開というイメージではなくて、研究する人が見られるもので、ただ、一つの機関、理研なら理研だけではなくて、他の機関もいろいろなところがあなたのデータを使うというイメージが伝わるのではないか。そして、そのデータベースを利用する機関は、この厳重なセキュリティで何やかんやのことをやったところだけが使えるようにしているという補足が最後にあると、研究機関であるということが分かったら、どこまで開かれているかということが一般人としてはイメージしやすくなるのではないかと思った。

説明者: 承知した。

★ 説明文書が今、どういう形でウェブサイトに出されているのかを確認したいのだが、これは元々ImPACTの枠組みでやられていた研究で、恐らくこれがそもそも始まったときに説明文書はウェブ公開されているのか。

説明者: そうである。

★(古屋敷) それで、今回は変更申請という形で出てきているから、既にウェブサイトに出ている説明文書の中身をアップデートしようという話をされている。ただ、実際には外から見ていると、説明文書があるだけで、中が変わっていることに気付かない。ですから本来は、国際脳という枠組みを追加してやるということがvigilantに見える形で、今回、国際脳を追加したという説明文書をやはり用意すべきではないかと。

委員長: その方が親切である。

説明者: ご指摘されているのは、ウェブに掲載する、その掲載方法の部分ということか。

★ そうである。

説明者: それについては、この後に説明されるリサーチコンプレックスのプロジェクトでも何回かオプトアウトしているが、その際には変更箇所を確実に明記し、そこだけピックアップして、この内容についてこのように変更したということをウェブに掲載するようにしていきたい。

★ 何月何日にどういう変更箇所があったかということが分かるようになっているということか。

説明者: その通りである。

★ 最低ラインには行っているということは理解した。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた

委員長: 説明文書で変更した部分をどのように公開するかというところだが、いかがか。

★ 正直、結構大きな変更である。研究者のコミュニティだけとはいっても、結局、登録すれば誰でもアクセスできるようになるデータベースなので、本当に「変更箇所をご確認ください」だけでその重大性が伝わるのかどうか、私は直ちにはよく分からなかった。

★ 非常に貴重なデータを公開することによって、いろいろなアイデアでまたそれをプロセスして、良いものを生み出していこうということが趣旨である。今回の参加者の大部分に関しては、善意でデータを渡していただいているということで、そのデータをまた使っていただき、さらにそれが利用されるということは、自分がボランティアでやったことによって非常に貴重な成果が得られるのだと感じていただけると思うから、ぜひそのあたりを追加していただくと。

★ やはり意義をきちんと説明するということはとても大事だと思う。

★ 2ページを拝見すると、国際脳プロジェクトに提供すると。これだけだと国際脳プロジェクトの管理する公開データベースに提供すると読めるが、11ページのアンダーラインのところを見ると、「またデータの開示は海外の研究プロジェクトのみならず、国内においても(中略)整備する」とある。かつ、先ほどの同意説明文の修正を見ると、「公開データベース上に公開します」とある。もうフリーハンドに、15ページのアンダーラインに書かれたような、他の研究者と一緒により良いものにしていくために必要であれば、どんどん公開していきますよと。この審査の対象は国際脳だけなのか。

★ その辺はすごく気になっていて、特に15ページの同意文書には国際脳という記載も全然ない。やはりこれだけを読んだら、どこに行くのだろうということがよく分からないふうに読めてしまう。いずれにしても、どこに公開しようとしているのかという公開先が非常に分かりにくい部分があるので、15ページの説明文書の記載にしても、もう少しちゃんと特定する形である必要があるのではないかというのが私の意見でもある。やはり説明が足りないということは、正直、感じる。
 それは裏返せば、説明文書をしっかりとすれば、もちろんしっかりとした目的がある研究なので、最終的にはぜひ推進してほしいということは申し添えたいと思う。

★ 相手先は一般の方だということを考えたら、やはりもう少し丁寧な説明が必要かと思う。

委員長: それでは、その部分を修正していただくという条件付きで承認ということで。

 

6)人を対象としたMRI研究課題(変更)

受付番号:K2019-028
     「個別健康最大化のための健康指標開発研究」
研究実施責任者:健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 渡辺 恭良

【概要】
説明者の水野チームリーダーより、研究計画の変更内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、同意説明文に於いて、記載内容の修正と、国際脳プロジェクトについての説明を追記することとされ、条件付きの承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 先ほど議論になっていたのだが、これはウェブページで、どういう形で分かりよく公開されるのか。

説明者: 基本的にはウェブページでID登録等を行い公開という形になっていくのではないかと思う。

★ こういうプロジェクト、国際脳などにも公開するというのは、MRIは確か100名ぐらいであったか。

説明者: そうである。

★ (被験者の)一人一人に手紙やメールはされるのか。

説明者: オプトアウトを行う。ただ、計測日から時間が経過しているということもあるので、通知ができない場合にはリサーチコンプレックスのホームページで、MRIを受けられた方について「オープンデータ化を進めさせていただきたい」という情報開示を行って、それを見ていただく機会を設ける。

★ そのポイントを確認したかったのだが、ウェブサイト上に公開データベースに載るような手続きをするということが分かる形で明文化され、その上で、元々から公開されている説明文書の修正も見られる状態になっているということで、両方やられるということでよいか。

説明者: そのとおりである。

★ 49ページの黄色のハイライトのところだが、取りあえず画像データは国際脳プロジェクトの公開データベースに公開するわけか。

説明者: そうである。

★ データの公開先として想定されているのは、まずはここ(国際脳プロジェクト)だけなのか。

説明者: そうである。むやみやたらにオープン化するということではなく、この国際脳のプロジェクトでMRI画像、背景情報、認知課題、質問票のデータと限定して明記させていただいている。

★ 「国際脳プロジェクトに関連する」と非常にアバウトなのだが、実際にはこれは国際脳プロジェクトが管理する公開データベースということでよいか。

説明者: そうである。

★ もし他に何も害がないのであったら、もう少しクリアにされた方がいいような気はした。

説明者: 分かった。

★ これ(説明文書)を一般の方が読まれたときに、国際脳プロジェクトとは何なのかということは分かるのか。

説明者: 国際脳プロジェクトのホームページが立ち上がった時点でURL等を付けて連絡させていただくか、問い合わせ窓口で。メールで連絡する際に「何でも聞いてください」という形で対応させていただくことを考えている。

★ 例えば49ページの下に、国際脳プロジェクトとは何かという簡単な脚注を付けるのはおかしいか。

説明者: 分かった。それについては検討させていただく。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた

委員長: それでは、国際脳プロジェクトの説明などを加えることで承認させていただきたいと思う。

 

7)人を対象とした研究課題(新規)

審査受託課題
     「個別健康最大化のための健康指標開発研究(実践的健康計測研究)」
研究実施責任者:阪急阪神ホールディングス 三善 仁

【概要】
研究実施責任者の三善氏より、審査依頼を受けた新規研究計画の内容について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、説明文書に理研に取得したデータが送られる旨を明記することとされ、条件付き承認とされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ 研究の趣旨としては、非常に健康増進につながる研究なので賛成するところだが、やはり個人情報の管理について、これは広い意味ではグループの中で雇用されている方を対象として、その個人情報をお持ちになり、その中にはいろいろとかなりセンシティブな個人情報もあるので、匿名化された情報とその対応表はどのように管理されるのか。それが人事など、そういうものに悪影響を及ぼすことは特に避けなければならないので、その辺についてもう少し細かく、御社の中でどのような組織が対応表を持っていて、どのような人たちがデータベースにアクセスできるのか、少しご説明いただきたい。

説明者: 今回、ブロックチェーン型のデータストアにアクセスできる権限を持っているのは、ここにいる研究者の人間である。匿名化するもの、健保組合のデータではなくて今回の計測データについてアクセス権限を持っているのは、あくまで私どもここにいる研究者で、そのデータのアクセス権限等については責任者である私が管理するという形を想定している。グループの人間なので人事に連携するかという点については、全くないということをここで宣言できると思う。

委員長: 社内の人たちに参加を募るとなると、何かやらなくてはいけないような雰囲気にならないのかということだけが、気になるところである。

説明者: 心配されている点としては、これを人事部長が主体で発信すると、評価につながると捉える方が出てくる可能性があると思うが、あくまでも今回は研究が主体である私の所属しているグループ開発室がそこの研究をするという形で、グループに全て発信していくことを想定している。そして、受けられた方の個人情報等が人事と連携することはなく、人事はそういう情報をもらえないという形になるから、そこはご安心いただければと思う。

★ データは御社で匿名化されて、そのデータは理化学研究所に提供されるわけか?

説明者: そうである。

★ 協力していただく社員の方々はそれをこの説明文書で理解できるのか。

説明者: それはきっちりと最初の同意を頂く段階で説明させていただく形を取ろうと考えている。当然、今回は研究の一環ですので、研究だということを前面に出した上で、それに賛同いただける方に受けていただくという形を想定しており、そこは十分に認識いただいた上で同意いただけることを願っている。

★ やはり社員の方からすると、協力されて、それ(データ)が第三者に提供されるということについては明記しておいた方が安全かと思う。

説明者: ここはもう少しそういうことを明記するような形で修正させていただく。

【審議】
説明者退席後、審査が行われた

委員長: それでは、データを理研に提供するということが分かるような形での説明文書の変更でいかがか。

★ 入れるとしたら、18ページの「研究で得られたデータ・試料の取扱い」か、あるいは冒頭のところ。

委員長: 最初のところに書いてもいいのかもしれない。

★ やはり何らかの記載が要ると思う。

委員長: では、その辺を説明文書にきちんと書いていただくということで、承認してよろしいか。

 

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