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No.24

第24回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨

1. 日時 令和2年9月25日(金)14:03~15:22
2. 場所 Webexを用いたオンライン開催
3. 出席委員等
 
(委員)

玉木 彰 委員長 (兵庫医療大学大学院医療科学研究科 教授)
武田 真莉子 委員 (神戸学院大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局津山支局 支局長)
西口 修平 委員 (加納総合病院 名誉院長)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者) 渡辺 恭良 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム チームリーダー)
渡辺 恭介 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム 研究員)
水野 敬 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム 上級研究員)
   
(オブザーバー) 小川 壮 (神戸事業所長)
(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)令和元年度研究実施報告について(報告)
(2)人を対象としたMRI研究課題(新規・変更)に関わる審査
(3)その他

5. 報告事項
 

令和元年度研究実施報告について
・令和元年度の研究実施報告について

 事務局より令和元年度の研究実施報告書の内容について報告があり、研究結果及び進捗状況を確認した。

6. 審議事項
 

1)人を対象としたMRI研究課題(変更)
受付番号:K2020-023
「**製品の摂取が認知機能および脳活動に与える影響の検討」
研究実施責任者;健康・病態科学研究チーム 佐々木 章宏

【概要】
事務局より、本研究計画の変更内容(研究予定期間の延長、選択基準の変更、対象と人数の変更等)について説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議にて変更内容に特に問題がないことを確認後適正と判断された。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり

事務局: 前回の7月の倫理委員会で審査いただいた課題である。この研究は人数が30名で申請されていたが、これは実際に統計学上欲しい人数であって、脱落者を考慮してその前のスクリーニング試験の参加者を多めに記載することが抜けていたということで、人数を50名まで増やしたいという変更申請が上がっている。

委員長: この課題について、何かご質問はあるか。大丈夫か。それでは、この人数の変更に関して特にご質問やご意見等はないようなので、審査結果としては適正と判断するという形でよろしいか。

―ジェスチャーで異議なしと表明―

委員長: ありがとうございます。皆さんに丸をしていただけたということで、この課題については適正と判断するということにしたいと思う。

 

2)人を対象とした研究課題(新規)
受付番号:K2020-026
「機能性飲料の長期摂取による心理・生理・生化学的効果の検証」
研究実施責任者;健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭介

【概要】
研究実施責任者の渡辺研究員及び共同研究者の水野研究員、渡辺チームリーダーより、項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では被験者への直接対応を行う委託機関での新型コロナウイルス感染へのリスク対策について議論があった。試験委託先の感染防止対策について万全を期するよう強く求めることとされ、条件を満たした上で適正と判断するとされた。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり

委員長: 私たちは普段から、炭酸を飲もうというわけではなくても、飲んだものに炭酸が含まれていることがある。例えば飲酒の習慣がある方ならビールも炭酸、あるいはコーラであるとか、それ以外にもいろいろあると思うが、そのような普段飲んでしまうものの制限はこの研究において特にされないのか。

説明者1: そうである。試験中に例えばビールを禁止するとか、そういったことはしないようにしている。今回、そこを厳密に制限することは考えていない。

★: 研究の趣旨と関係している機関、研究体制はおおよそ分かったが、その間での情報のやりとりに関して確認したい。特に個人情報の観点について。今回、血液サンプルを採取される場所、あるいは被験者の方と会われる場所は、この資料を見ていると、恐らく○○か□□になっているがそれでよいか。

説明者1: そうである。

★: そちらで実際に採血、あるいは被験者とのやりとりをされるのは、理研側になるのか。あるいは、A株式会社になるのか。

説明者1: 被験者と関わるのは、B機構になる。A株式会社から委託されて、被験者の個人情報に関しては全てB機構で管理していただく。今回はA株式会社も理化学研究所も個人情報は持たない形で実施する。

★: 承知した。そうすると、理化学研究所には番号だけが来ると思っていればよろしいか。

説明者1: そうである。血液検体もID番号しか情報が載っていない状態で来る。

★: 研究を行って起こる不利益が可能性としてあるが、そういう不利益に関する対応もB機構がされると思ってよろしいか。

説明者1: 不利益の責任に関しては、A株式会社が責任を持つことになっている。

★: だが、同意文書を見ていると、研究に関する問い合わせ先はB機構になっている。これは窓口としてB機構が受けて、実際に中で回答されるのはA株式会社になるということか。

説明者1: そうである。

★: 試験内容のことで聞くが、例えば8番の活動量であるとか、3番は「うつ、ストレス等の主観的感覚の程度を数値化します」ということであるが、ここは今の社会情勢、コロナの影響などが関わってこないかが心配である。

説明者1: コロナの影響ということで、例えば気分の落ち込みが生じている方が増えているかもしれないということは私たちもかなり懸念はしていて、やはり今回の試験にも影響は出てくるだろうと考えている。後半にあった活動量計のところに関しても、勤務が在宅になったりして、普段とは違うところは見えてくるかと思うが、その中でやはり客観的な指標などに影響がないというところに重きを置いて、今回は主観指標に関してはご指摘のとおり、かなり注意して解析を行っていこうと考えている。

説明者2: おっしゃるとおり、ベースラインで既に従前の試験、昨年に実施した場合と変わっている可能性もあるとは思うが、実際には2群の介入になるので、その変化をしっかりと見ていくということになる。ただ、心配しているのは、まさにこの介入1カ月間での変化である。その方が第2波、第3波という状況で変わってきたり、今、説明があったように在宅勤務に変わってしまったり、その1カ月間の中での変化をしっかり押さえていく必要があると思っている。そこで生活日誌をきちんと取っていくというところで、ドラスティックな変化が起こった方などをピックアップできるとは思っている。そういうことで、解析に最終的に含めるか否かの判断も含めて検討していきたい。

★: 倫理面での本質的なことではないが、被験者の方が来られたときに、要はコロナの感染リスクへの対応を考えておく必要があると思った。例えば発熱している場合や、あるいはご家族がコロナに感染している人は来ていただくのは困るとか、大学等でも学生や職員が構内に立ち入るための基準を決めていると思うが、被験者の方と実際に対面でするときの基準は準備されているのか。

説明者1: B機構が被験者を集めて検査をするという業務を他の試験でもされていて、当日の検温であるとか、被験者に家で検温してから来てもらうとか、いろいろな対応をマニュアル化して作成している。私どもがそこをチェックするところまでは入っていけていないが、このような形でやっていますというマニュアルは見せていただいているので、そういったところは十分に気を付けて実施していただけるかと。

★: 今、言われたルールを決めていらっしゃるのは委託先のB機構であって、委託契約の当事者はB機構とA株式会社になるのか。それとも理化学研究所もこの委託の当事者になるのか。

説明者1: A株式会社が委託する主体になる。

★: もし、そこで何か問題が起こったときの責任はどこにあるのかということになるが、A株式会社にもその責任が及んでくる可能性はあると思う。それに当たって、いろいろなコロナ対策、いわゆるコロナルールをA株式会社の「研究への参加について」という研究説明文書に書いておく必要はないのか。書いておくと、法的には合意の内容になる。すなわち、このB機構が定めているコロナルールを守っていただいた上で、この研究にご参加いただくという契約がそこで成立すると考えれば、合意の内容になるので、もしそのルールを守らない方がいた場合は、そちらを排除する権限が契約上、B機構ないしA株式会社に発生してくるのではないかと思う。そのあたりを倫理的に検討しておく必要はないか。

説明者1: 今、言及いただいた「研究への参加について」という同意説明文書はA株式会社が作成して、倫理審査の方も受けているものなので、実務的には修正が難しいところがある。
もう1点、被験者のリクルートの際にどのような対策をするかという案内をされると聞いている。そこでご了承いただいた方のみ参加いただくという形にはなっているので、その内容に準じたことをしていただけない場合には、そこで対応ができるかと考えている。

★: ルールを守らない方を排除できる法的根拠があるのかということになる。法律があれば、それに基づいて排除はできるが、法律がなければ、あとは契約に基づく排除が可能だと思う。契約は今の図でいくと、A株式会社が作成されたこの説明文書を使って、募集は株式会社Cが委託を受けてされるわけか?

説明者1: そうである。

★: この説明文書にはコロナルールのことは書いていないので、そこでは協力者には伝わらない可能性がある。そして、今度は協力者が実験に応じるときは、契約の対象としてはやはりA株式会社であって、A株式会社が試験の運営を委託しているB機構が担当するが、B機構もルールを決めておられるということだが、(ルールから外れた被験者を)排除する権限があるのかということである。

説明者3: これは株式会社Cの方にA株式会社からそのあたりの情報、つまり感染対策が被験者に伝わる形でお願いしているはずである。であるから、そこで株式会社Cが被験者に対して感染対策のルールを詳しく説明しているので、この間の契約で、今、おっしゃったようなことは法律的に成り立たないか。

★: それが契約になるのか、お願いのレベルにとどまるのかという点になる。

説明者3: 例えば被験者に株式会社Cがそのルールを説明して、こういうことで納得したので、これが守れないときは排除を受けるという誓約書になるのか。

★: 誓約書か説明文書にそういうことが一言書いてあって、それを見て応じるのであれば、そこについての合意が成立していて、契約になっているという解釈は成り立つと思う。

説明者3: それではA株式会社にもう一回相談する。一応、被験者からそういうものをもらっておいた方がいいというアドバイスだと思ってよろしいか。

★: そうである。この倫理委員会は理研の倫理委員会であるから、冒頭に伺ったとおり、理研は契約の当事者には入っていないので、あくまでもA株式会社なりB機構と株式会社Cなりへのお願いを、というような意味合いになる。

説明者3: 了解した。きちんとしていただけるようにお願いをする。

説明者1: こういったお願いを守らない方をどうするかというところは、「研究への参加について」という書類の中の「参加できない基準」の12番に「研究責任者が不適当と判断した方」という項目があるので、こちらでそのようなまれなケースに対して、研究責任者がそういう人は参加できないと判断するという形で排除するのはどうか。

★: その解釈は十分に成り立つと思う。

説明者1: この12番のところで、研究責任者が今回のコロナの感染に対して、こういう対策を守ってもらわない人は不適当だと判断するということにしておけば、今の同意文書のままで十分ではないかと考えていたが。

★: その場合は、不適当なのかどうかという争点を巡っての対立になる。2m以上離れていて、空気が流れている部屋の中であれば、マスクは要らないのではないかという考え方の方が結構いらっしゃる。しかし、多くの日本人はやはりマスクをしてほしいということで、実施主体としてはそのような人がいたら排除すべきだというのが正解ではないかと思うが、そのときにこの12項でいけるかどうかということになる。そうであれば、マスクその他のコロナルールを守っていただくことを条件に、この研究に参加していただくというところで、押さえておいた方が無難かもしれない。

説明者1: ただ、そうなってくると、結構いろいろなことを細かく変えていかなくてはいけないかと感じた。

★: 一番抽象的な書き方としては、「株式会社C/B機構/A株式会社の定める新型コロナウイルス感染防止対策に従っていただくこと」などか。少し抽象的であるが、ないよりはましかと。

説明者1: 承知した。先ほどの承諾書を取るとか、こちらの同意文書にそういった項目を足すとか、そういった対応をすればよいということで理解した。

★: これは今回の研究だけではなく、今はもう全ての研究に通用する議論だと思う。

説明者3: 同意書の変更についてはA株式会社の方に、その辺については、別個に同意書以外に誓約書を取るかどうかも含めて、相談してみたいと思う。同意書を今、この場で変更するというのは、主体である株式会社Aの倫理審査を既に通っているものなので、向こうで簡単にできるものであれば、それが一番良いうが、何かそういう書類を付加するという方法もあると思う。ただ、理研が主体になって行う試験もあるので、その辺はどういう条項を入れていくかも含めてよく相談して、最適化したいと思う。

★: 今回はまずプレの試験では血液以外のチェックをして対象者が選ばれて、選ばれたら血液検査も入って、血球や血糖値など、病気に直接関わるようなものが測定されてくると思うが、このデータに関しては被験者さんには知らされないということは知らされているのか。あるいは、すごく大きな何らかの異常値が出たときは、どうされる予定になっているのか。

説明者3: 今までの試験全体で、血液検査の結果をご本人にお返しすることはないが、もし異常値があった場合は、こちらから「こういうことなので、近くのお医者さんを受診してください」という案内は行う。こちらの値が本当に正確なのかどうかも証明されていないので、異常値があった場合は、基本的には「こういう問題があるかもしれないので、診てもらってください」とご本人にご報告しているというのがほとんどだと思う。

★: 今回の被験者さんはそういうデータが見られるとか、健康診断を受けられるのだという期待はされていないという理解でよろしいか。

説明者3: ない。それは書いてある。

委員長: 他はよろしいか。それでは、審査に入りたいと思う。説明者および関係者は退席をお願いする。

【審議】
質疑応答後、審議が行われた。

委員長: 今まで出てきたご意見としては、コロナの関連で、感染対策にご協力いただけない方に対してどうするかという議論がずっとされていたと思う。その中で、説明文書の「研究に参加できる方」という項目の中の「参加できない基準」の現在は12番に「研究責任者が不適当と判断した方」という文面があるが、これだけではなくて、具体的にどのような方かという説明を足すなり、そのようなものを別途入れてはどうかというご意見があった。ただ、先ほど説明があったように、こちらは株式会社Aの方で倫理審査を通しているので、そこの部分をここで変更することは難しいかもしれないという感じだったと思うが、この点について何かご意見は。

★: 今回、株式会社Aが委託されているということなので、株式会社Aのルールというよりも、どちらかというと実際に採血をしたりする現場での施設のルールになるような気がしているので、もちろん株式会社Aから「こうしてください」ということは言えるかもしれないが、基本的には現場のルールに従っていただくのがいいのではないかと思っている。

委員長: 審査結果としては、例えば研究計画の見直しまでは行かないが、「条件を満たした上で適正と判断する」とか、「適正と判断する」といった認め方がある。今回のコロナ対策に関して、この理研から出された申請書の中で記載を加えたりしていただくのか、あくまでも主体は株式会社Aであって、そちらの方で倫理審査等をしてやっていることであり、理研の方はあくまでもデータの一部の解析と研究デザインのことを中心にやるので、あまりそこには直接タッチせずにこのままいくのかというところになるかと思う。

★: 私の意見としては、契約関係では理研は直接の当事者ではないが、ただ、やはり理研の見識として、協力をお願いする方々にはボランティアの方もいらっしゃるわけなので、その方々へのコロナ感染を極力防止するというのは、やはり理研としても情報発信すべきことではないかと思う。条件付き承認ということで、すなわち株式会社AおよびB機構等にコロナ対策を万全にしてこの試験を行うように理研として強く求めることを条件にするのはいかがか。

★: 今のご意見に賛成する。理研側がどういう見識を持っているのかという点については、今後の倫理審査のスタンダードということもあって、それはきちんと発信できた方がいいだろうというご意見はすごくよく分かる。そういう意味では、ご提案は非常に的を射ているのではないかと思う。

委員長: それでは条件を満たした上で適正と判断するということで、理研から研究の主体である株式会社Aならびにその委託先に対して、研究の実施に当たって感染対策を万全にするように強く申し入れていただくことを条件に承認という形でよろしいか。

―ジェスチャーで異議なしと表明―

委員長: ありがとうございました。それでは、そのような形の審査結果としたいと思う。

 

【その他】

事務局: 次回の開催日程は12月4日(金)の同じく午後2時からを予定している。

委員長: それでは、これにて終了したいと思う。

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