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No.25

第25回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨

 

1. 日時 令和2年12月4日(金)14:01~15:21
2. 場所 Webexを用いたオンライン開催
3. 出席委員等
 
(委員)

玉木 彰 委員長 (兵庫医療大学大学院医療科学研究科 教授)
武田 真莉子 委員 (神戸学院大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局津山支局 支局長)
西口 修平 委員 (加納総合病院 名誉院長)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者) 渡辺 恭良 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム チームリーダー)
水野 敬 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム 上級研究員)
   
(オブザーバー) 小川 壮 (神戸事業所長)
(事務局)

吉識 肇 (神戸事業所 安全管理室長)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)人を対象とした研究課題(新規)に関わる審査
(2)人を対象としたMRI研究課題(新規)に関わる審査

5. 報告事項
 

1)人を対象とした研究課題(新規)
受付番号:K2020-041
「健康計測による網羅的皮膚機能解析に関する研究~単回試験~」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬

2)人を対象とした研究課題(新規)
受付番号:K2020-042
「健康計測による網羅的皮膚機能解析に関する研究~介入試験~」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
渡辺チームリーダー及び研究実施責任者の水野研究員より、新規研究計画の内容に沿って説明があった。同時に、K2020-041と同じ課題名で介入がある新規計画についても説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、**が含まれる食品は多くあるため、試験での摂取との差が出るのか、また、1日の摂取許容量を超えてしまうのではという意見があったことから、研究実施責任者から介入素材についてのコメントをA社に伝えること、また申請書の一部記載を修正することを要件に、適正と判断された。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり

委員長: 研究の主体はA社にあって、理研としては機器の貸出とデータ解析の一部を担うという内容になっている。質問はいかがか。

★ 試験の方でグルコースの糖化を測定するということで、こちらは腕の部分で測定するという表記だったが、詳細を教えていただけないか。もちろん、これは血液などを採るわけではないとは思うが、どういった形で測定するのか。

説明者1: これは最終糖化生成物については非侵襲で測る装置があり、基本的には上腕の部分をその装置に置いて、光を当て、その透過度から糖のくっついたタンパクの沈着量を測るという仕組みになっている。本来、血液検査でヘモグロビンA1c等の糖化マーカーを測ると、もっと精度は良いのだが、今回は全て非侵襲の計測で実施するということと、ヘモグロビンA1c濃度とAGEの値は比較的相関性があるというバックデータから、この方法・機器を選定しているところである。

★ 今回は今の試験も含めて、OCTなどもそれぞれ使われるが、恐らく赤色から近赤外ぐらいという理解でよろしいか。白色光などは入っていないのか。

説明者1: はい、そのとおりである。

★ 分かった。

委員長: その他、いかがか。

★ よろしいか。さまざまな食品や医薬部外品にも**は添加剤として入っているわけで、日本人でも通常の生活で1日○mgぐらいは摂取するというデータが出ているそうであるが、基本○mg摂取していて、例えばハーブティーも1杯だけで○mgぐらいは入っていて、摂取されているというものもあるそうだ。あとは医薬部外品で、例えばこれだと病院に行って投薬を受けている方は除外されているが、普通に薬局で買えるお薬や口腔内の清涼剤などにも、許容量ぐらいはいくらでも入っているという状況があって、そういう状況をご存じの上でこういう試験を立てているのかなと思っている。海外の調査だと、私が少し調べた限りでは、最大許容量が1日○mgと報告されていたり、体重当たり○mgなので、60kgだと○mgが1日の最大許容量だと言っている論文もあったりするので、今回は1日○mgを4週間飲ませることでよいか。

説明者1: そうである。

★ (普段の生活での摂取量に加えて)さらに○mgというのはちょっと、いいのだろうかと思うし、そうでなくても、ちゃんと差が出るのかというところが気になっている。差が出ない上に許容量も超えるのはいいのだろうかという不安があるが、倫理委員会を通っているということなので、理研側として言っていいのかどうかはよく分からない。

説明者1: 実際にこの摂取量については、有害事象判断医師であるB研究所のI先生とA社の担当のO様がしっかり議論した上で、決定したと伺っている。しかしながら、おっしゃっるように、日常生活、この4週間の中でハーブティーなど、**が含まれている食品や飲料の摂取制限は設けていないので、ぜひそのことは先方にもお伝えするとともに、次回の臨床試験においても、また本試験の予定を考えておられるので、そのあたりにしっかりと今のご意見を反映させて、実施できればと思っている。

説明者2: ご存じのように**というのはXXやYYなど、いろいろと皮膚に良い成分があって、(資料には)**のことがかなり書いてあるが、必ずしもそれだけをメインにやるわけではなく、XXからの抽出エキスの中に**がこれだけ入っていて、それとほぼZZを等量にした対照食品を作るということが書いてある。

★ その効果の方に関しては複合的、総合的でいいと思うが、海外の調査で許容摂取量が1日○mgと出ている論文があり、そういう意味で言うと、**として○mgを毎日摂取するというところなので、4週間連続、毎日○mgを摂取して、さらに通常の日常生活でも入ってくる分もあると考えると、いいのかなというところがあり、発言させていただいた。

説明者2: 了解した。

委員長: その他、いかがか。

★  22ページであるが、被験者の募集はC社がされて、被験者の名前や住所その他、同意書もそうであるが、そちらはこのC社が管理して、「A社へは個人が特定できる情報を送付しません」とあるから、名簿など、あるいはかなりデータがこちらに来るが、理研としてはもう名前が全く分からない状態だということであるのか。

説明者1: そうである。名前はなくて、IDに置き換えた、匿名化された情報のみが来る。

★ 特に今回は被験者が女性なので、顔の写真を気にされるのではないかと思うが、顔写真はA社に行くのか。

説明者1: そうである。顔写真そのものはA社に行く。

★ そのときは、お名前などが分からない状態で行くわけか。

説明者1: そうである。

★ C社で個人情報を集中管理されると考えてよろしいか。

説明者1: そのとおりである。

★ なるほど。その会社は被験者を募集する会社でなくて大丈夫か。

説明者1: この方法はよく〇〇業界の企業でなされているものである。この倫理委員会でも同様の手法で、自分たちは個人の被験者のお名前等の情報は取得せずに、そのあたりをしっかりと治験などをやられているような被験者リクルート会社に委託し、さまざまな被験者からの問い合わせへの対応もそのリクルート会社が担うという方法はやられている。

★ なるほど。分かった。

★ よろしいか。先ほどの**の量の問題に戻りたいが、実は**は錠剤という形で既に薬として売り出されているので。その場合には常用量として○mgぐらいを1日に飲んでいただく。副作用的なものが結構ある薬で、副作用は○mg以上飲むと出てくることが分かっている。食品で○mgぐらい摂取することに関しては、多分、ほとんど問題ないだろうとは思うが、一応、そういった副作用的なことはチェックされるのか。

説明者1: 有害事象判断医師も設定しているので、そちらの方は十分にA社の方で判断を行うという体制になっている。

★ この錠剤の適応はDとEなのであるが、Eに対しても保険適用を取っている。その辺のデータはちゃんと押さえておられるか。

説明者1: そのあたりは今、私の方ではお答えできかねるので、A社に確認したいと思う。

★ 既に薬剤として保険承認もされて、売り出されているので、ぜひその辺のチェックをお願いしたい。

説明者1: (A社に)お伝えする。

★ 審議資料2の介入試験の方の申請書の概要で、15行目から「メカニズム的な考察を深めることを目的に肌と全身指標のデータを取得する試験を実施する。する体内の様々な健康度を示す指標と皮膚状態の関わりを詳細に解析し、皮膚の機能を個別に最適化するための方策案を見出すことである」とあるが、文脈に合っていなくて、これは多分、審議資料1の方からのコピペ部分が、削り損ないか何かだと思う。

説明者1: ご指摘いただいた箇所を確認した。こちらは適切に修正させていただく。

委員長: 他にいかがか。この審査は理研の役割分担に関する審査になるので、介入内容等については、そこに踏み込んで審査するわけではないということになるかと思う。
 先ほど概要のところでご指摘いただいたが、私も分かりにくいと思ったのは、「本介入素材」と出てくるが、その「本介入素材」が何なのか、概要を読む限りではよく分からなかったところで、読み進めていくと**が出てくるので分かりにくいなという感想は持った。

説明者1: その辺もきちんと修正させていただく。

委員長: 他にいかがか。それでは審査に入りたいと思う。

-説明者退席後、審査が行われた-

委員長: 今回の議論としては、単回試験の方はほぼ何もなかったと思うが、介入試験の方で**の摂取量のことでご助言があった。こちらは既にA社の方で行った倫理審査を通っているので、その内容については意見として申請者から再度伝えていただくということになるかと思う。それ以外では概要の一部が分かりにくいということで、修正が必要となるが、それ以外に何か気になることはあるか。よろしいか。
 そうしたら、この研究課題1)と2)に関しては、一部修正はあるが、適正と判断するということでよろしいか。

★ よろしいかと思う。

委員長: それでは、そのようにさせていただきたいと思う。

 

3)人を対象とした研究MRI課題(新規)
受付番号:K2020-041
「疲労負債ダイナミクスの理解に基づく健康増進介入法の最適化~観察研究~」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
説明者の水野研究員より、本研究計画の内容に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議の結果、一部文言の修正が必要とされたが、内容について特に問題はないとされ、適正であると判断された。

質疑応答及び審議等詳細は以下のとおり

★ 検査項目の中に、皮膚にテープを貼って、それを剥がして成分を採るというものが入っていたように思ったが、間違っていないか。

説明者: そうである。候補としては入っている。

★ これは専門の知識がなくても、ご本人にやっていただく形になるのか。

説明者: いや、そうではない。実際にこれは看護師あるいは医師の担当者が基本的には実施することを想定している。

★ 関連でもう一つだけ。採血もあるということで、健康障害があった場合には担当医師がそれを診ると申請書に記載されていたかと思うが、その場合、担当医師はどなたになるのか。

説明者: 採血検査については、**研究所というところに血液検査を委託して実施していただく。そこではきちんと担当医師も据えていただいて、医師の監督下で実施することになる。
 また、その後の血液検査の結果から、パニック値等が出てくる可能性もあるので、そういった場合には担当医師プラス、われわれ理研の中の医師が総合的に判断して、その結果をどのようにお伝えするかの判断を担うという体制で、これまでも行ってきている。

★ 承知した。

委員長: 有害事象がもし発生した場合、医師が適切な対応をすることになっているが、具体的に何か補償するとか、あるいは保険に入るとかはないのか。

説明者: 採血検査については、基本的には考え得るリスクをきちんと説明して、神経損傷であるとか、炎症の反応が見られるとか、そういうことをお伝えした上で参加いただいており、そこで何かあったら、基本的には近くの病院にかかってくださいという形で対応をお願いするということで、同意を取らせていただいている。保険等もあるが、失明など、かなり重症化したものでないと保険に入れないということが実際にはあって、採血検査のリスクで保険に入っていただくことも難しいのが実態である。

★ PCなどのカメラを使って、顔の表情、あるいは顔の表面の状況から自律神経機能なども計測できるという話があった。そのデータは**社というところが解析されるのか。
PCからデータがまずどこに直接入ってきて、どこで個人情報をつぶすかというところが気になっている。

説明者: 基本的にはこちらからカメラ計測のPCを被験者に提供し、そちらのPCのカメラで自律神経と表情を測ることを考えている。そのPCの中に動画が一時的に取り込まれて、数値データに置き換える。自律神経についても、実際には動画の情報が入ってくるが、自律神経の交感神経の指標や副交感神経の指標の数値データに置き換える。そして、**社のデータサーバーには数値データのみが入っていくという形になり、動画情報、それから顔の画像は破棄するというシステムになっている。

★ 分かった。実際には理研の方でPCに入っているデータを集約されて、加工後のデータが**社に行くと思えばよろしいか。

説明者: そうである。機器自体はこちらから提供したもので、実際にデータをどんどん吸い上げてはいくが、そこの先のシステムの部分について**社に担っていただくということになる。

★ この外部環境の計測はすごいと思うが、被験者の自宅や職場等の活動場所において、アプリや被験者のモバイル端末を使用する場合もあると書かれていて、そういうもので電力・ガス使用量、紫外線、騒音というのは取れるものなのか。例えば私の持っているスマホなどを活用して計測するということなのか。

説明者: それにはやはり幾つかの装置が必要になる。騒音のデシベル量が分かるようなものやCO2の濃度が分かるようなもの、温度・湿度が分かるようなもの、そういったものは今、もう数万円ぐらいで手のひらに乗るようなサイズのものを購入ができる。実際にそのようなアプリをスマートフォンに入れることによって、データを吸い上げることができる。ただ、ガスや電力については、まだまだ住宅がスマートハウス等でないとなかなかできないが、これも広がっていっている。そういうものも生活者が実際に数値を見ることができて、それから取り出すことがアプリを使ってできるようになってきた。
 そういった環境にお住まいの方について電力・ガスの情報も突合し、また、実際にその方々がどういう時間帯にどういう生活をされているのかというパターンがまた見えてくるので、やはり最終的には個人の方にどのようなソリューションを提供して個別健康最大化を図るかということで、その外部環境のデータはものすごく重要だと感じており、何とかそのあたりも進めていきたいと思っている。本当に技術がどんどん進んでおり、1年後にはかなりそういうものも簡易に集積できるようなシステムができてくる可能性もあると思っている。

★ なるほど。それとこの自宅や職場というのが、自宅はいいにしても、職場が結構気になっていて、オフィスワーカーで、自分が働く場所が常に一定の人はいいかもしれないが、うちの商売のようにオフィスにいない時間の方が多くて、あちこちへ取材に行っているとか、外回りの営業マンとか、そのような環境が常に変わるような人は、この研究で外部環境計測のデータを取るのが難しいのではないかと思うが、その辺はどうなのか。

説明者: 温度・湿度については、精度はそんなに良くないが、例えば鞄に入れて持ち運べるようなものもある。身に着けていただく情報の範囲で、その変化がいろいろな場所にいて分かるという、精度は少し落ちるが、そういうインフォメーションが取れるようなものもある。
 おっしゃるように、日中のデータを非常に精度良く取らせていただくためには、やはり優先順位として最初にテレワーク中心の方々をリクルートするなど、データを収集できる精度を上げられるような方々ということで、これは主婦の方も候補になっているが、日中も比較的安定したデータが取得できるような方々を最初にやっていく。そういう観点で、ゆくゆくは働き方に依存しないモデルを作っていきたいと考えている。

★ ぜひよろしくお願いしたい。やはり外回りなど、環境が常に変わるようなところで仕事をしている人の方が、こういうソリューションの効果がぜひ欲しいところであるから、個人的にもとても楽しみにしている。

説明者: 少しコメントさせていただくと、そういった方々でも夜は結構安定して、就寝前と起床後はアクティビティが非常に低いところなので、そのあたりで評価をしっかり行うというのがポイントだと思っている。そのあたりを中心に、日中の行動パターン等についてもまた精度を上げて見ていきたいと考えている。

委員長: ありがとうございます。その他、いかがか。

★ 通し番号33ページの同意説明文書の第5項と第6項に関連するが、約1000名の方にご参加いただく予定で、研究実施場所が医療センターとグランフロント大阪と江坂ということであるが、来年の1月からスタートとして、コロナがまだしばらく続くと思うと、問題は研究実施場所に行けないということが、この4週間の間に起こるのではないかと。そういう場合は、この期間を延ばすことになるのか。延ばすことは特に研究の成果との関係で問題がないのか。

説明者: 1月から実施する研究はまず5名の方を候補としていて、非常に少人数で実施することを考えている。
 それから理化学研究所には、対策本部というものがあって、この倫理委員会の審査承認後に、次は実際にコロナ対策を鑑みた上で、実施していいかという判断がなされる。(判断によっては)1月の実施を見合わせて、時期をずらして実施することになる。
 できるだけ人数を減らし、時期も見ながら、できる範囲でこの計測研究を進めていくしかないというところになる。

★ 悩ましいところだと思うが、その中で頑張っていただきたい。あとは非常に些細な点であるが、28ページの3.1の(2)の「同意の意志」の「意志」は「意思」という字の方が良いのではないかと思う。意思表示のときの「いし」は思うという字を書くものであるから、「自ら同意の意志」は恐らく「意志」ではなくて「意思」の方が良いのではないかと思う。

説明者: 承知した。修正させていただく。

★ 今、コロナの話が出たので。1000人で2年間ということであれば、数名の方はもしかしたら症状がなくても、PCRを受けたら新型コロナウイルス陽性という方が、含まれる可能性がある。呼気分析などは飛沫だけではなくて、下手をしたらエアロゾルなどが出やすい環境かもしれないので、ぜひともアルコール消毒など、十分にその辺の知識のある方がチェックされて、安全に実施していただけたらと思う。

説明者: そういった計測項目についても、やはり飛沫等が影響されるようなものは、優先順位を少し下げながら実施せざるを得ないかと思っており、対策本部とも十分に協議しながら、そのあたりは慎重に進めさせていただきたいと思っている。

委員長: 他にいかがか。それでは審査に入りたい。
 
-説明者退席後、審査が行われた-

委員長: 今回、意見を幾つか出していただいたが、コロナの影響による研究期間の問題や計測におけるコロナ対策、あとは漢字の修正が必要であるということぐらいだったが、それ以外に特に大きな問題等は指摘されなかったと思う。以上を考えると、一部修正していただくことはあるが、特に問題なく、適正と判断してよろしいか。
 ありがとうございます。それでは、適正と判断するということにさせていただきたいと思う。

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