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No.27

第27回 神戸事業所 研究倫理第二委員会 議事要旨

 

1. 日時 令和3年6月16日(水)14:00~16:00
2. 場所 Zoomを用いたオンライン開催
3. 出席委員等
 
(委員)

玉木 彰 委員長 (神戸医療大学大学院医療科学研究科 教授)
武田 真莉子 委員 (神戸学院大学薬学部 教授)
辰野 久夫 委員 (辰野・尾崎・藤井法律事務所 弁護士)
中村 通子 委員 (朝日新聞岡山総局津山支局 支局長)
西口 修平 委員 (加納総合病院 名誉院長)
古屋敷 智之 委員 (神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 教授)
片岡 洋祐 委員 (生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム チームリーダー)

   
(説明者)

河合 英理子 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム 訪問研究員)
林 拓也(生命機能科学研究センター 脳コネクトミクスイメージング研究チーム チームリーダー)
水野 敬 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム 上級研究員)
渡辺 恭介 (生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム 研究員)

   
(オブザーバー) 小川 壮 (神戸事業所長)
(事務局)

片山 敦 (神戸事業所 安全管理室長)
高橋 一樹 (神戸事業所 安全管理室)
菊地 真 (神戸事業所 安全管理室)
北澤 泰二 (神戸事業所 安全管理室)

4. 議事項目
 

(1)人を対象とした研究課題(新規)に関わる審査
(2)その他

5. 委員長選任について
 

研究倫理委員会等設置細則に基づき、委員の互選により、玉木氏が委員長として選任された。

6. 審議事項
 

1)人を対象としたMRI研究課題(変更)
受付番号:K2021-011
「香りの疲労軽減効果のメカニズムの解明」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭良

【概要】
説明者の河合研究員より、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、特に問題は無いとされ、適正と判断された。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 主な変更点は、試験を3日に分けていること、それに合わせて謝金の支払いを変更していること、あとはMRI試験のときの血圧の測定等が入っているかと思う。特に質問はないようなので、審査に入りたいと思う。

委員長: 申請内容について、何かご意見はあるか。
それでは、審査結果としては、適正と判断するとしたいと思う。

 

2)人を対象としたMRI研究課題(変更)
受付番号:K2021-004
「米国ヒト脳コネクトームプロジェクトの画像・データを用いた脳機能解明研究」
研究実施責任者:脳コネクトミクスイメージング研究チーム 林 拓也

【概要】
脳コネクトミクスイメージング研究チームの林チームリーダーより、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、特に問題は無いとされ、適正と判断された。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★: 同意書のことについてお伺いしたい。今回は年齢がかなり高いというか、ご高齢の方がおられるが、認知症などは除外基準に入っているため、ご本人に判断能力があると考えておられているということでよろしいか。

説明者: 文書に記載されている範囲内での理解であるが、ご高齢の方々のプロジェクト、HCP-Aのプロジェクトにおいては認知検査を行い、その検査をパスされない方は除外され、対象被験者としては入っていないということになっている。その意味で、当該検査をパスされた方であれば、理解能力、ご自身の判断能力もあるという判断で、同意書も含めて本人の記載、同意を取った上で研究が進められているという認識である。

委員長: スクリーニングをされており、認知機能検査はしているという前提だと思う。他にはいかがか。では審査に入りたいと思うが何かご意見は。
 それでは審査結果としては適正と判断するとしたいと思う。

 

3)人を対象としたMRI研究課題(変更)
受付番号:K2021-009
「疲労負債ダイナミクスの理解に基づく健康増進介入法の最適化~観察研究~」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
説明者の水野研究員より、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、特に問題は無いとされ、適正と判断された。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: 基本的には新規の計測項目を追加されたということになるかと思う。では審査に入りたいと思うが何かご意見は。香りの試験を一つ追加したということで、大きな変化はないかと思う。
 それでは、審査結果としては、適正と判断するとしたいと思う。

 

4)人を対象とした研究課題(新規)
受付番号:K2021-003
「生体内の変化が肌および健康に与える影響に関する研究」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 水野 敬

【概要】
説明者の水野研究員より、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。質疑応答ではエクソソーム解析の目的が書かれていないのではないかとの指摘があった。また、対象物質について許容量を超えて摂取した場合の影響についてなどの議論が行われ、物質Aについては、食事での摂取量や有害事象としてどのような影響が予想されるのか確認・報告すること。また、エクソソーム解析の目的や対象となる物質・解析内容を計画書へ追記することとされ、これらの対応を満たすことを条件とした上で、適正と判断するとされた。

質疑応答等詳細は以下のとおり

★ この尿採取あるいは唾液採取のところで、エクソソームの精製・解析が入っているが、この目的は何か。

説明者: 慢性疲労症候群の患者さんで、血液中のエクソソーム解析を行った場合に幾つかのマーカーが特徴的な動態を示すインパクトのある論文が昨年か一昨年に出されており、疲労・健康分野で非常に注目されている。B社としてもこちらの分析ができるということで、積極的にこのような新規の健康度・疲労のマーカーに着目していることが実施を企図した背景である。

★ エクソソームの重要性やバイオマーカーとしての有用性もよく分かるが、この研究目的にそぐわないというか、記述がないところが少し気になる。遺伝情報がそこに入っているので。この皮膚の健康との関係性、目的が明らかに書かれていれば、こういった異議はないと思う。

説明者: B社の方にも伝えて、ご指摘いただいた点に関し、明示するという形で対応させていただきたいと思う。

★ 物質Aを高濃度に入れた飲み物もあり、被験者への文書にも物質Aだということは書かれているが、許容量を超えたときにどういう症状が知られているのかということは、試験をする側は押えておいた方がいいのではないかと思う。

説明者: もちろんこの量については、きちんと責任医師が立ち会って議論した上で設定しているので、基本的にはそこを判断するスキームはきちんと作られている。副作用としてどういうものが何パーセント出てくるかということは開示されていると思うが、ご指摘のように被験者には一部ご説明できていない可能性もあるため、もう少し丁寧に説明するといった対応を工夫していきたいと思う。

★ 体重キログラム当たりとしてWHOの許容量が示されているので、他の食品で摂ってしまうと、超えてしまいそうな気がする。一般の方だと、(何か症状があっても)それが原因だと思わないことが多いと思うので、注意はされた方がいいかと思った。

説明者: まだ試験は続いているため、今日頂いたご意見をB社には伝え、確認するように促していきたいと思う。

委員長: その他はいかがか。では、審査に入りたいと思う。
 出た意見としては、物質Aが摂取許容量を超えないのかという部分で、有害事象があるのか、ないのかということ。また、エクソソームを測定することになっているが、目的外使用にならないのかどうかというところが出たと思う。

★ やはり遺伝情報が入ってくるので、理由もなくエクソソームを測定するというのはどうなのかなと思った。

委員長: ただ、研究主体はB社であって、B社の方で倫理委員会を通って既に始まっているという状況なので、理研の役割は先ほど示していただいたように解析が主であり、その役割の中で、どこまで今回の倫理審査の中での意見を言えるのかというところもあるかと思うが、その点についてのご意見はいかがか。

★ これは得られた解析データを悪意がなくても目的外利用してしまいはしないかというご懸念なのか。そうだとすると、やはり研究目的を逸脱するかどうかという点だと思うので、既に研究が始まっているとはいえ、そこへの縛りを掛けることはできるのかもしれない。もう少し分かりやすいように、どこに目的外利用のリスクがあるのかをお聞かせいただければ。

★ エクソソームは最先端のバイオマーカーで、まだ実態がよく分かっていないものだが、その中には遺伝情報がたくさん詰まっている。個人情報を運ぶパッケージのようなところでもあるし、まだその実態がよく分かっていないところで、これは健康や皮膚の状態を測ることが目的なのに、何のために、なぜそこまでのことをやらなければいけないのかというところである。この物質Aの健康への作用や皮膚への作用を見る目的で、そこまで必要なのかなと。これを使って何を解析したいのかというところが明記されれば良いと感じた。

★ 確かにエクソソームは細胞内の情報伝達に関わっているものなので、病気との関わりであるとか、いろいろなことが研究されているかと思うが、その部分の結果をどのようにこの研究で使うのかというところが、今回の研究課題と直接結び付かない可能性はあるかなと感じる。そこの部分を少し明確にしていただくということは求めてもいいのかなと思う。

委員長 エクソソームの測定の目的と、その結果をどのようにこの研究に使う予定であるのかもしっかりと明記していただくという条件を付けて、適正と判断するかということになると思うがいかがか。

★ このエクソソームの解析というのは、そもそもどちらで行う予定なのか。もし理化学研究所でこれを解析するということであれば、かなり強く言わないといけないと思うが、そうではないということであれば、これはもうB社の中で責任をもっていただくということでいいと思う。

事務局: これについては、B社の方で解析まで行われる、もしくはB社が外部へ委託するという形になるかと思う。理研にはデータの状態で来るという話を伺っており、試料としては来ないため、こちらで解析することはないと思う。

委員長: ということはB社、またはどこかに委託して、エクソソームのデータを解析するということになるかと。その場合はどこまで本委員会で言えるのかどうかというのは判断しなくてはいけないが。

★ 研究にはある目的、あるいはビジョンが設定されて、それに対するいろいろな到達、アプローチのプロセスを解明していき、その過程でいろいろなことが見つかり、その見つかった情報を使ってまた次の研究に進むという、これは許される行為なのではないだろうかと思う。ただ、明らかに目的が別にあり、そこから得られた情報を別の目的に使うというのは、研究者としてはやってはいけない行為ではないかという整理でよろしいのか。

★ 恐らくゲノム情報や遺伝情報を取得して解析する場合には、その遺伝情報を管理する管理責任者も確か置かなくてはいけないし、それに関する法律も別途存在する。普通、そこを全く臨床研究の計画書の中に書いていないということはちょっと考えにくいのかなという気がしており、この計画書を読み返していたが、どこにもゲノム情報や遺伝情報を扱うという文言が出てこないので、恐らくこれはそういうことを扱われないのではないのかという気はしている。そこを確認されれば、恐らく遺伝情報や個人情報を扱うというところに関してはクリアできるかと。

★ エクソソームを採取して精製・解析するとは、何を解析したいのかは追究した方がいいのではないかと。普通はエクソソームを解析するとしたら、その中に入っている遺伝子情報を解析するために、エクソソームを回収して解析していると思う。一般の人はエクソソームが何か全く分からないため、(同意説明文書に)このような書き方をしていていいのかどうかというところもある。

委員長: まずは確認させていただくということかなとは思う。エクソソームをどういう目的で測定されるのか、どのように使われるのかということを確認していただいて、可能であれば、そこをしっかりと書いてくださいということにさせていただければと思うがいかがか。
 では、条件を満たした上で適正と判断するということにさせていただきたいと思う。

 

5)人を対象とした研究課題(新規)
受付番号:K2021-002
「機能性飲料摂取による抗疲労・健康増進効果の検証研究」
研究実施責任者:健康・病態科学研究チーム 渡辺 恭介

【概要】
説明者の渡辺研究員より、本研究計画の項目に沿って説明があり、質疑応答の後、審議が行われた。審議では、特に問題は無いとされ、適正と判断された。

質疑応答等詳細は以下のとおり

委員長: この研究課題について何かご意見はあるか。特にないようなので、適正と判断するということにさせていただいてもよろしいか。

 

7. その他
 

事務局より、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針及びヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の改正、統合ならびに人を対象とする研究に関する倫理規程等の改正について説明があった。また、これらの改正等に伴う委員会運営規則の改正について説明があり、審議の後、特に問題はないとされ、委員会運営規則の改正について適正と判断された。

   
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